§E8.25作図可能数

最終更新

定規とコンパスで何が作図できるかという問いは、古代ギリシャの幾何学に始まる。直線と円を引く操作を繰り返して多くの図形を作図することができるが、立方体の倍積や任意の角の三等分は、長い間その可否が決着しなかった。作図の手順を工夫するだけでは、作図できないことを示すことはできないからである。作図可能数は、この問いを代数の言葉で捉え直すための概念であり、作図によって得られる点を複素数とみなして集めたものである。作図が許す操作は、体の四則演算と平方根をとる操作に対応する。したがって、作図の可否は、与えられた数が有理数体から二次拡大を重ねた体に入るかどうかという、拡大の次数に関する問題に帰着する。たとえば23\sqrt[3]{2}は有理数体上の次数が33であり、作図することができない。立方体倍積と角の三等分の不可能性は、この対応を用いて Wantzel が 1837 年に示した。本記事では、作図可能数の基本的な性質と、作図不能性の証明について解説する。

1 作図可能数の定義

定規で引く直線は作図済みの二点を通る直線であり、コンパスで描く円は作図済みの点を中心とし作図済みの二点の距離を半径とする円である。作図を、このような直線と円の交点を一点ずつ加える操作の有限回の反復として、次のように定式化する。

定義 1.1. 複素数x+iyx+iy(x,y∈Rx,y\in\mathbb R)を座標平面の点(x,y)(x,y)と同一視し、部分集合S⊆CS\subseteq\mathbb Cを考える。

  1. 相異なる二点a,b∈Sa,b\in Sを通る直線を、SSが定める直線 (line determined bySS) という。
  2. 点c∈Sc\in Sを中心とし、相異なる二点a,b∈Sa,b\in Sの距離∣a−b∣|a-b|を半径とする円を、SSが定める円 (circle determined bySS) という。
  3. SSが定める直線と円のうち相異なる二つに共通に属する点z∈Cz\in\mathbb Cを、SSから一段で作図される (constructible fromSSin one step) 点という。

複素数zzが作図可能 (constructible) であるとは、有限列z0,z1,…,znz_0,z_1,\ldots,z_n(n≥1n\ge1)であって、z0=0z_0=0とz1=1z_1=1を満たし、2≤k≤n2\le k\le nを満たす各kkについてzkz_kが{z0,…,zk−1}\{z_0,\ldots,z_{k-1}\}から一段で作図され、z∈{z0,…,zn}z\in\{z_0,\ldots,z_n\}となるものが存在することをいう。作図可能な複素数全体をC\mathcal Cと書く。

補題 1.2. 部分集合S⊆CS\subseteq\mathcal Cを考える。SSから一段で作図される点はC\mathcal Cに属する。

証明.zzをSSから一段で作図される点とする。zzが共通に属する二つの直線または円は、SSの高々六個の点s1,…,sms_1,\ldots,s_mによって定まるので、zzは{s1,…,sm}\{s_1,\ldots,s_m\}から一段で作図される。各llについて、sls_lに対して作図可能性の定義の条件を満たす有限列z0(l),…,znl(l)z^{(l)}_0,\ldots,z^{(l)}_{n_l}を取り、列

0, 1, z2(1),…,zn1(1), …, z2(m),…,znm(m), z0,\ 1,\ z^{(1)}_2,\ldots,z^{(1)}_{n_1},\ \ldots,\ z^{(m)}_2,\ldots,z^{(m)}_{n_m},\ z

を考える。部分集合T⊆T′⊆CT\subseteq T'\subseteq\mathbb Cについて、TTが定める直線と円はT′T'が定める直線と円でもあるので、TTから一段で作図される点はT′T'から一段で作図される。k≥2k\ge2について、zk(l)z^{(l)}_kは{z0(l),…,zk−1(l)}\{z^{(l)}_0,\ldots,z^{(l)}_{k-1}\}から一段で作図され、この集合は上の列でzk(l)z^{(l)}_kより前にある項の集合に含まれる。各sls_lはz0(l),…,znl(l)z^{(l)}_0,\ldots,z^{(l)}_{n_l}のいずれかであるので、上の列でzzより前にある。したがって、zzは上の列でzzより前にある項の集合から一段で作図される。上の列はzzに対して作図可能性の定義の条件を満たすので、z∈Cz\in\mathcal Cである。▨

2 作図可能数の体

補題 2.1.C\mathcal CはC\mathbb Cの部分体である。さらに、任意のz∈Cz\in\mathcal Cと、w2=zw^2=zを満たす任意のw∈Cw\in\mathbb Cについて、w∈Cw\in\mathcal Cである。

証明.

主張 2.1.1. 任意のz,w∈Cz,w\in\mathcal Cについて、z+wz+w、−z-z、z‾\overline zおよびizizはC\mathcal Cに属する。

証明.z=0z=0ならば−z=z‾=iz=0∈C-z=\overline z=iz=0\in\mathcal Cであるので、−z-z、z‾\overline z、izizについてはz≠0z\neq0とする。

点−z-zは、00とzzを通る直線と、中心00、半径∣z−0∣|z-0|の円に共通に属する。この直線と円は{0,z}\{0,z\}が定める直線と円であるから、補題 1.2により−z∈C-z\in\mathcal Cである。

z=0z=0またはw=0w=0ならばz+w∈{z,w}⊆Cz+w\in\{z,w\}\subseteq\mathcal Cである。z≠0z\neq0、w≠0w\neq0、z≠wz\neq wならば、点z+wz+wは、中心zz、半径∣w−0∣|w-0|の円と、中心ww、半径∣z−0∣|z-0|の円に共通に属する。二つの円は中心が異なるので相異なり、いずれも{0,z,w}\{0,z,w\}が定める円である。z=w≠0z=w\neq0ならば、点z+w=2zz+w=2zは、00とzzを通る直線と、中心zz、半径∣z−0∣|z-0|の円に共通に属する。いずれの場合も、補題 1.2によりz+w∈Cz+w\in\mathcal Cである。

z∈Rz\in\mathbb Rならばz‾=z∈C\overline z=z\in\mathcal Cである。z∉Rz\notin\mathbb Rならばz≠0,1z\neq0,1であり、∣z‾−0∣=∣z−0∣|\overline z-0|=|z-0|と∣z‾−1∣=∣z−1‾∣=∣z−1∣|\overline z-1|=|\overline{z-1}|=|z-1|により、点z‾\overline zは中心00、半径∣z−0∣|z-0|の円と、中心11、半径∣z−1∣|z-1|の円に共通に属する。二つの円は{0,1,z}\{0,1,z\}が定める相異なる円であるから、補題 1.2によりz‾∈C\overline z\in\mathcal Cである。

既に得たとおり−z∈C-z\in\mathcal Cであり、z≠−zz\neq-zである。符号±\pmのいずれについても

∣±3 iz−z∣=∣z∣ ∣±3 i−1∣=2∣z∣,∣±3 iz+z∣=∣z∣ ∣±3 i+1∣=2∣z∣|\pm\sqrt3\,iz-z|=|z|\,|\pm\sqrt3\,i-1|=2|z|, \qquad |\pm\sqrt3\,iz+z|=|z|\,|\pm\sqrt3\,i+1|=2|z|

であるから、二点±3 iz\pm\sqrt3\,izは、中心zz、半径∣z−(−z)∣|z-(-z)|の円と、中心−z-z、半径∣z−(−z)∣|z-(-z)|の円に共通に属する。二つの円は{z,−z}\{z,-z\}が定める相異なる円であるから、補題 1.2により±3 iz∈C\pm\sqrt3\,iz\in\mathcal Cである。点izizは、相異なる二点3 iz\sqrt3\,izと−3 iz-\sqrt3\,izを通る直線{t3 iz∣t∈R}\{t\sqrt3\,iz\mid t\in\mathbb R\}と、中心00、半径∣z−0∣|z-0|の円に共通に属するので、補題 1.2によりiz∈Ciz\in\mathcal Cである。▨

主張 2.1.2. 実数a,b,c∈Ca,b,c\in\mathcal Cがa≠0a\neq0を満たすならば、bc/a∈Cbc/a\in\mathcal Cである。

証明.b=0b=0またはc=0c=0ならばbc/a=0∈Cbc/a=0\in\mathcal Cであるので、b≠0b\neq0かつc≠0c\neq0とする。主張 2.1.1により、i=i⋅1i=i\cdot1、ibibおよびq:=c+ib−aq:=c+ib-aはC\mathcal Cに属する。q−c=ib−aq-c=ib-aの実部は−a≠0-a\neq0であるから、q≠cq\neq cであり、ccとqqを通る直線は

{c+t(ib−a)∣t∈R}\{c+t(ib-a)\mid t\in\mathbb R\}

である。この直線は00でない実数ccを含むので、00とiiを通る直線iRi\mathbb Rとは異なる。t=c/at=c/aのときc+t(ib−a)=i bc/ac+t(ib-a)=i\,bc/aであるから、点i bc/ai\,bc/aは二つの直線に共通に属する。補題 1.2によりi bc/a∈Ci\,bc/a\in\mathcal Cであり、主張 2.1.1を三回用いると

i3⋅i bca=bca∈Ci^3\cdot\frac{i\,bc}{a}=\frac{bc}{a}\in\mathcal C

を得る。▨

主張 2.1.3. 複素数zzがC\mathcal Cに属することと、Re⁡z\operatorname{Re}zとIm⁡z\operatorname{Im}zがともにC\mathcal Cに属することは同値である。

証明.z∈Cz\in\mathcal Cとし、x:=Re⁡zx:=\operatorname{Re}z、y:=Im⁡zy:=\operatorname{Im}zとおく。主張 2.1.1により、2=1+12=1+1、2x=z+z‾2x=z+\overline zおよび2y=i3(z+(−z‾))2y=i^3\bigl(z+(-\overline z)\bigr)はC\mathcal Cに属する。主張 2.1.2をa=2a=2、c=1c=1とb∈{2x,2y}b\in\{2x,2y\}に適用すると、x,y∈Cx,y\in\mathcal Cを得る。逆に、実数x,y∈Cx,y\in\mathcal Cについて、主張 2.1.1によりx+iy∈Cx+iy\in\mathcal Cである。▨

0,1∈C0,1\in\mathcal Cであり、主張 2.1.1によりC\mathcal Cは加法と符号の反転について閉じる。

z,w∈Cz,w\in\mathcal Cを取り、z=x+iyz=x+iy、w=u+ivw=u+iv(x,y,u,v∈Rx,y,u,v\in\mathbb R)と書く。主張 2.1.3によりx,y,u,v∈Cx,y,u,v\in\mathcal Cであり、主張 2.1.2をa=1a=1と(b,c)∈{(x,u),(y,v),(x,v),(y,u)}(b,c)\in\{(x,u),(y,v),(x,v),(y,u)\}に適用すると、xuxu、yvyv、xvxv、yuyuはC\mathcal Cに属する。C\mathcal Cは加法と符号の反転について閉じるので、

Re⁡(zw)=xu−yv,Im⁡(zw)=xv+yu\operatorname{Re}(zw)=xu-yv, \qquad \operatorname{Im}(zw)=xv+yu

はC\mathcal Cに属し、主張 2.1.3によりzw∈Czw\in\mathcal Cである。z≠0z\neq0ならば、N:=x2+y2=zz‾N:=x^2+y^2=z\overline zはC\mathcal Cに属する正の実数である。主張 2.1.2をa=Na=N、c=1c=1とb∈{x,−y}b\in\{x,-y\}に適用すると、z−1z^{-1}の実部x/Nx/Nと虚部−y/N-y/NはC\mathcal Cに属するので、主張 2.1.3によりz−1∈Cz^{-1}\in\mathcal Cである。以上により、C\mathcal CはC\mathbb Cの部分体である。

正の実数r∈Cr\in\mathcal Cを取る。c:=(r−1)/2c:=(r-1)/2はC\mathcal Cに属し、c+1=(r+1)/2>0c+1=(r+1)/2>0であるからc≠−1c\neq-1である。

∣ir−c∣2=r+(r−1)24=(r+1)24=∣c−(−1)∣2|i\sqrt r-c|^2=r+\frac{(r-1)^2}{4}=\frac{(r+1)^2}{4}=|c-(-1)|^2

であるから、点iri\sqrt rは、中心cc、半径∣c−(−1)∣|c-(-1)|の円と、00とiiを通る直線に共通に属する。この円と直線は{−1,0,c,i}\{-1,0,c,i\}が定める円と直線であるから、補題 1.2によりir∈Ci\sqrt r\in\mathcal Cであり、r=(ir)/i∈C\sqrt r=(i\sqrt r)/i\in\mathcal Cである。00でないζ∈C\zeta\in\mathcal Cについては、∣ζ∣2=ζζ‾|\zeta|^2=\zeta\overline\zetaがC\mathcal Cに属する正の実数であるから、∣ζ∣∈C|\zeta|\in\mathcal Cである。

z∈Cz\in\mathcal Cと、w2=zw^2=zを満たすw∈Cw\in\mathbb Cを取る。z=0z=0ならばw=0∈Cw=0\in\mathcal Cである。z≠0z\neq0とし、u:=z/∣z∣u:=z/|z|とおくと、u∈Cu\in\mathcal Cかつ∣u∣=1|u|=1である。u=−1u=-1ならばv:=iv:=iとおき、u≠−1u\neq-1ならばv:=(1+u)/∣1+u∣v:=(1+u)/|1+u|とおく。いずれの場合もv∈Cv\in\mathcal Cである。u≠−1u\neq-1の場合には、u‾=u−1\overline u=u^{-1}から

∣1+u∣2=(1+u)(1+u−1)=(1+u)2u|1+u|^2=(1+u)\bigl(1+u^{-1}\bigr)=\frac{(1+u)^2}{u}

となるので、v2=(1+u)2/∣1+u∣2=uv^2=(1+u)^2/|1+u|^2=uである。u=−1u=-1の場合にもv2=−1=uv^2=-1=uである。w0:=∣z∣ vw_0:=\sqrt{|z|}\,vとおくと、w0∈Cw_0\in\mathcal Cかつw02=∣z∣ u=zw_0^2=|z|\,u=zである。(w−w0)(w+w0)=w2−w02=0(w-w_0)(w+w_0)=w^2-w_0^2=0であるからw=±w0w=\pm w_0であり、w∈Cw\in\mathcal Cである。▨

3 二次拡大の塔による特徴づけ

補題 3.1.FFをR\mathbb Rの部分体とし、部分集合S⊆CS\subseteq\mathbb Cに属するすべての点の実部と虚部がFFに属すると仮定する。点zzがSSから一段で作図されるならば、d≥0d\ge0を満たすd∈Fd\in Fが存在して、zzの実部と虚部はF(d)F(\sqrt d)に属する。ここでd\sqrt dはddの非負の平方根を表し、F(d)F(\sqrt d)はFFとd\sqrt dによって生成されるR\mathbb Rの部分体を表す。

証明.z=x0+iy0z=x_0+iy_0(x0,y0∈Rx_0,y_0\in\mathbb R)と書く。SSが定める直線が相異なる二点p1+ip2p_1+ip_2とq1+iq2q_1+iq_2を通るとき、a:=q2−p2a:=q_2-p_2、b:=p1−q1b:=p_1-q_1、c:=ap1+bp2c:=ap_1+bp_2とおくと、a,b,c∈Fa,b,c\in Fかつ(a,b)≠(0,0)(a,b)\neq(0,0)であり、この直線は方程式ax+by=cax+by=cの実数解(x,y)(x,y)全体である。SSが定める円が中心m1+im2m_1+im_2と、SSの二点s,s′s,s'の距離ρ:=∣s−s′∣\rho:=|s-s'|を半径とするとき、

ρ2=(Re⁡s−Re⁡s′)2+(Im⁡s−Im⁡s′)2∈F\rho^2=(\operatorname{Re}s-\operatorname{Re}s')^2+(\operatorname{Im}s-\operatorname{Im}s')^2\in F

である。e:=−2m1e:=-2m_1、f:=−2m2f:=-2m_2、g:=m12+m22−ρ2g:=m_1^2+m_2^2-\rho^2とおくと、e,f,g∈Fe,f,g\in Fであり、この円は方程式x2+y2+ex+fy+g=0x^2+y^2+ex+fy+g=0の実数解全体である。

主張 3.1.1.(a,b)≠(0,0)(a,b)\neq(0,0)を満たすa,b,c∈Fa,b,c\in Fとe,f,g∈Fe,f,g\in Fについて、(x0,y0)(x_0,y_0)が二つの方程式ax+by=cax+by=cとx2+y2+ex+fy+g=0x^2+y^2+ex+fy+g=0をともに満たすならば、d≥0d\ge0を満たすd∈Fd\in Fが存在してx0,y0∈F(d)x_0,y_0\in F(\sqrt d)である。

証明. 二つの方程式の形はxxとyyの入れ替えで保たれるので、b≠0b\neq0と仮定してよい。y0=(c−ax0)/by_0=(c-ax_0)/bを第二の方程式に代入すると、

Ax02+Bx0+C=0,A=1+a2b2Ax_0^2+Bx_0+C=0, \qquad A=1+\frac{a^2}{b^2}

を満たすB,C∈FB,C\in Fが存在する。A≠0A\neq0であり、d:=B2−4AC∈Fd:=B^2-4AC\in Fとおくと

(2Ax0+B)2=4A(Ax02+Bx0+C)+B2−4AC=d(2Ax_0+B)^2=4A\bigl(Ax_0^2+Bx_0+C\bigr)+B^2-4AC=d

である。したがってd≥0d\ge0であり、2Ax0+B=±d2Ax_0+B=\pm\sqrt dからx0=(±d−B)/(2A)∈F(d)x_0=(\pm\sqrt d-B)/(2A)\in F(\sqrt d)を得る。さらにy0=(c−ax0)/b∈F(d)y_0=(c-ax_0)/b\in F(\sqrt d)である。▨

zzは、SSが定める直線と円のうち相異なる二つに共通に属する。その二つが直線a1x+b1y=c1a_1x+b_1y=c_1とa2x+b2y=c2a_2x+b_2y=c_2である場合、Δ:=a1b2−a2b1=0\Delta:=a_1b_2-a_2b_1=0と仮定する。このとき零でない二つのベクトル(a1,b1)(a_1,b_1)と(a2,b2)(a_2,b_2)は平行であり、(a2,b2)=λ(a1,b1)(a_2,b_2)=\lambda(a_1,b_1)を満たす実数λ≠0\lambda\neq0が存在する。(x0,y0)(x_0,y_0)は二つの方程式をともに満たすのでc2=a2x0+b2y0=λc1c_2=a_2x_0+b_2y_0=\lambda c_1であり、二つの方程式の解集合は一致する。解集合の一致は二つの直線が相異なることに反するので、Δ≠0\Delta\neq0である。Cramer の公式により

x0=c1b2−c2b1Δ,y0=a1c2−a2c1Δx_0=\frac{c_1b_2-c_2b_1}{\Delta}, \qquad y_0=\frac{a_1c_2-a_2c_1}{\Delta}

はともにFFに属するので、d=0d=0とすればよい。

その二つの一方が直線で他方が円である場合、主張 3.1.1により結論が成り立つ。

その二つが円x2+y2+ekx+fky+gk=0x^2+y^2+e_kx+f_ky+g_k=0(k=1,2k=1,2)である場合、二つの方程式の差をとると

(e1−e2)x0+(f1−f2)y0=g2−g1(e_1-e_2)x_0+(f_1-f_2)y_0=g_2-g_1

を得る。e1=e2e_1=e_2かつf1=f2f_1=f_2ならば、この式からg1=g2g_1=g_2となり、二つの円の方程式が一致して、二つの円が相異なることに反する。したがって(e1−e2,f1−f2)≠(0,0)(e_1-e_2,f_1-f_2)\neq(0,0)であり、(x0,y0)(x_0,y_0)はFF係数の一次方程式(e1−e2)x+(f1−f2)y=g2−g1(e_1-e_2)x+(f_1-f_2)y=g_2-g_1と方程式x2+y2+e1x+f1y+g1=0x^2+y^2+e_1x+f_1y+g_1=0をともに満たす。主張 3.1.1により結論が成り立つ。▨

補題 3.2.EEをC\mathbb Cの部分体とし、任意のz∈Ez\in Eと、w2=zw^2=zを満たす任意のw∈Cw\in\mathbb Cについて、w∈Ew\in Eであると仮定する。C\mathbb Cの部分体の塔

Q=F0⊆F1⊆⋯⊆Fr\mathbb Q=F_0\subseteq F_1\subseteq\cdots\subseteq F_r

が[Fj:Fj−1]∈{1,2}[F_j:F_{j-1}]\in\{1,2\}(1≤j≤r1\le j\le r)を満たすならば、Fr⊆EF_r\subseteq Eである。

証明.EEは11を含む体であるから、整数mmと00でない整数nnについてm/n∈Em/n\in Eであり、F0=Q⊆EF_0=\mathbb Q\subseteq Eである。1≤j≤r1\le j\le rとし、Fj−1⊆EF_{j-1}\subseteq Eと仮定する。[Fj:Fj−1]=1[F_j:F_{j-1}]=1ならば、11がFjF_jのFj−1F_{j-1}上の基底であるからFj=Fj−1⊆EF_j=F_{j-1}\subseteq Eである。[Fj:Fj−1]=2[F_j:F_{j-1}]=2とし、α∈Fj∖Fj−1\alpha\in F_j\setminus F_{j-1}を取る。p,q∈Fj−1p,q\in F_{j-1}がp+qα=0p+q\alpha=0かつq≠0q\neq0を満たすならばα=−p/q∈Fj−1\alpha=-p/q\in F_{j-1}となるので、11とα\alphaはFj−1F_{j-1}上一次独立であり、22次元のFj−1F_{j-1}-線形空間FjF_jの基底をなす。したがって

Fj={p+qα∣p,q∈Fj−1}F_j=\{p+q\alpha\mid p,q\in F_{j-1}\}

であり、α2=−bα−c\alpha^2=-b\alpha-cを満たすb,c∈Fj−1b,c\in F_{j-1}が存在する。β:=2α+b\beta:=2\alpha+bとおくと

β2=4α2+4bα+b2=b2−4c∈Fj−1⊆E\beta^2=4\alpha^2+4b\alpha+b^2=b^2-4c\in F_{j-1}\subseteq E

であるから、EEについての仮定によりβ∈E\beta\in Eである。α=(β−b)/2∈E\alpha=(\beta-b)/2\in Eであり、EEは体であるからFj⊆EF_j\subseteq Eである。jjについての帰納法によりFr⊆EF_r\subseteq Eである。▨

定理 3.3.z∈Cz\in\mathbb Cについて、次の二条件は同値である。

  1. zzは作図可能である。
  2. C\mathbb Cの部分体の塔 Q=F0⊆F1⊆⋯⊆Fr\mathbb Q=F_0\subseteq F_1\subseteq\cdots\subseteq F_r が存在し、z∈Frz\in F_rかつ[Fj:Fj−1]∈{1,2}[F_j:F_{j-1}]\in\{1,2\}が1≤j≤r1\le j\le rを満たすすべてのjjについて成り立つ。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。zzに対して作図可能性の定義の条件を満たす有限列z0,…,znz_0,\ldots,z_nを取る。R\mathbb Rの部分体K1:=QK_1:=\mathbb Qから始めて、2≤k≤n2\le k\le nについてR\mathbb Rの部分体Kk⊇Kk−1K_k\supseteq K_{k-1}を、z0,…,zkz_0,\ldots,z_kの実部と虚部がすべてKkK_kに属し、[Kk:Kk−1]∈{1,2}[K_k:K_{k-1}]\in\{1,2\}となるように帰納的に定める。z0=0z_0=0とz1=1z_1=1の実部と虚部はK1K_1に属する。Kk−1K_{k-1}まで定まったとする。補題 3.1をF=Kk−1F=K_{k-1}とS={z0,…,zk−1}S=\{z_0,\ldots,z_{k-1}\}に適用すると、dk≥0d_k\ge0を満たすdk∈Kk−1d_k\in K_{k-1}が存在して、zkz_kの実部と虚部はKk:=Kk−1(dk)K_k:=K_{k-1}(\sqrt{d_k})に属する。Kk−1⊆KkK_{k-1}\subseteq K_kであるから、z0,…,zkz_0,\ldots,z_kの実部と虚部はすべてKkK_kに属する。dk\sqrt{d_k}はx2−dk∈Kk−1[x]x^2-d_k\in K_{k-1}[x]の根であるから、§E8.2 定理 2.1によりdk\sqrt{d_k}のKk−1K_{k-1}上の最小多項式はx2−dkx^2-d_kを割り、その次数は11または22である。§E8.2 定理 3.1により[Kk:Kk−1]∈{1,2}[K_k:K_{k-1}]\in\{1,2\}である。

iiはx2+1∈Kn[x]x^2+1\in K_n[x]の根であるから、§E8.2 定理 2.1と§E8.2 定理 3.1により[Kn(i):Kn]∈{1,2}[K_n(i):K_n]\in\{1,2\}である。zzの実部と虚部はKnK_nに属するので、z∈Kn(i)z\in K_n(i)である。Fj:=Kj+1F_j:=K_{j+1}(0≤j≤n−10\le j\le n-1)およびFn:=Kn(i)F_n:=K_n(i)とおくと、C\mathbb Cの部分体の塔Q=F0⊆⋯⊆Fn\mathbb Q=F_0\subseteq\cdots\subseteq F_nは(2)の条件を満たす。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。補題 2.1により、E=CE=\mathcal Cは補題 3.2の仮定を満たす。同じ補題によりFr⊆CF_r\subseteq\mathcal Cであるから、z∈Cz\in\mathcal Cである。▨

[Fj:Fj−1]=1[F_j:F_{j-1}]=1ならばFj=Fj−1F_j=F_{j-1}であるから、(2)の塔から重複する体を除くと、各段が二次拡大である塔を得ることができる。したがって(2)は、各段が二次拡大であるC\mathbb Cの部分体の塔で、最後の体がzzを含むものが存在するという条件と同値である。

系 3.4.EEをC\mathbb Cの部分体とし、任意のz∈Ez\in Eと、w2=zw^2=zを満たす任意のw∈Cw\in\mathbb Cについて、w∈Ew\in Eであると仮定する。このときC⊆E\mathcal C\subseteq Eである。したがって、C\mathcal Cは、この性質をもつC\mathbb Cの部分体のうち最小のものである。

証明.z∈Cz\in\mathcal Cを取る。定理 3.3により、[Fj:Fj−1]∈{1,2}[F_j:F_{j-1}]\in\{1,2\}(1≤j≤r1\le j\le r)を満たすC\mathbb Cの部分体の塔Q=F0⊆⋯⊆Fr\mathbb Q=F_0\subseteq\cdots\subseteq F_rで、z∈Frz\in F_rとなるものが存在する。補題 3.2によりFr⊆EF_r\subseteq Eであるから、z∈Ez\in Eである。補題 2.1によりC\mathcal C自身もこの性質をもつC\mathbb Cの部分体であるから、C\mathcal Cは最小である。▨

系 3.5.z∈Cz\in\mathcal Cならば、zzはQ\mathbb Q上代数的であり、[Q(z):Q][\mathbb Q(z):\mathbb Q]は22の冪である。したがって、zzのQ\mathbb Q上の最小多項式の次数は22の冪である。

証明.定理 3.3により、[Fj:Fj−1]∈{1,2}[F_j:F_{j-1}]\in\{1,2\}(1≤j≤r1\le j\le r)を満たすC\mathbb Cの部分体の塔Q=F0⊆⋯⊆Fr\mathbb Q=F_0\subseteq\cdots\subseteq F_rで、z∈Frz\in F_rとなるものが存在する。塔の公式§E8.1 定理 2.1を繰り返し適用すると、[Fr:Q][F_r:\mathbb Q]は有限であり、ある整数t≥0t\ge0について[Fr:Q]=2t[F_r:\mathbb Q]=2^tである。§E8.2 命題 4.1によりzzはQ\mathbb Q上代数的であり、§E8.2 定理 3.1により[Q(z):Q][\mathbb Q(z):\mathbb Q]はzzのQ\mathbb Q上の最小多項式の次数に等しい。FrF_rはQ\mathbb Qとzzを含む体であるからQ(z)⊆Fr\mathbb Q(z)\subseteq F_rであり、FrF_rのQ\mathbb Q上の基底はFrF_rをQ(z)\mathbb Q(z)上でも生成するので、[Fr:Q(z)][F_r:\mathbb Q(z)]は有限である。塔の公式§E8.1 定理 2.1により

2t=[Fr:Q(z)] [Q(z):Q]2^t=[F_r:\mathbb Q(z)]\,[\mathbb Q(z):\mathbb Q]

であるから、[Q(z):Q][\mathbb Q(z):\mathbb Q]は2t2^tの正の約数であり、素因数分解の一意性により22の冪である。▨

系 3.6.f∈Q[x]f\in\mathbb Q[x]をQ[x]\mathbb Q[x]で既約な多項式とし、deg⁡f\deg fは22の冪でないと仮定する。このとき、ffの根である複素数はいずれも作図可能でない。

証明.z∈Cz\in\mathbb Cをffの根とし、ggをffの最高次係数の逆数をffに掛けたモニック多項式とする。ggはQ[x]\mathbb Q[x]で既約であり、g(z)=0g(z)=0であるから、zzはQ\mathbb Q上代数的である。§E8.2 定理 2.1により、zzのQ\mathbb Q上の最小多項式はggを割る非定数のモニック多項式である。既約多項式ggの非定数のモニックな約数はgg自身だけであるから、最小多項式はggであり、§E8.2 定理 3.1により[Q(z):Q]=deg⁡f[\mathbb Q(z):\mathbb Q]=\deg fである。deg⁡f\deg fは22の冪でないので、系 3.5によりz∉Cz\notin\mathcal Cである。▨

4 立方体倍積と角の三等分

定理 4.1. 実数23\sqrt[3]2は作図可能でない。さらに、作図可能な二点a,ba,bで∣a−b∣=23|a-b|=\sqrt[3]2を満たすものは存在しない。すなわち、線分[0,1][0,1]を一辺とする立方体の二倍の体積をもつ立方体の一辺を、作図可能な二点を端点とする線分として得ることはできない。

証明. 多項式x3−2∈Z[x]x^3-2\in\mathbb Z[x]は、素数22について Eisenstein の判定法§E6.28 命題 8.1の条件を満たすので、Q[x]\mathbb Q[x]で既約である。次数33は22の冪でないので、系 3.6により23∉C\sqrt[3]2\notin\mathcal Cである。

作図可能な二点a,ba,bが∣a−b∣=23|a-b|=\sqrt[3]2を満たすと仮定する。a≠ba\neq bであるから、00と11を通る直線と、中心00、半径∣a−b∣|a-b|の円は、{0,1,a,b}\{0,1,a,b\}が定める直線と円である。点23\sqrt[3]2は両者に共通に属するので、補題 1.2により23∈C\sqrt[3]2\in\mathcal Cとなり、23∉C\sqrt[3]2\notin\mathcal Cと両立しない。▨

定理 4.2.eiπ/3e^{i\pi/3}は作図可能であり、半直線{teiπ/9∣t>0}\{te^{i\pi/9}\mid t>0\}上の点はいずれも作図可能でない。さらに、有限列w0,w1,…,wnw_0,w_1,\ldots,w_n(n≥2n\ge2)がw0=0w_0=0、w1=1w_1=1、w2=eiπ/3w_2=e^{i\pi/3}を満たし、3≤k≤n3\le k\le nを満たす各kkについてwkw_kが{w0,…,wk−1}\{w_0,\ldots,w_{k-1}\}から一段で作図されるならば、どのwkw_kも半直線{teiπ/9∣t>0}\{te^{i\pi/9}\mid t>0\}上にない。すなわち、三点00、11、eiπ/3e^{i\pi/3}が定める角π/3\pi/3は、定規とコンパスで三等分することができない。

証明.3=1+1+13=1+1+1と−1-1は部分体C\mathcal Cに属するので、補題 2.1により3∈C\sqrt3\in\mathcal Cとi∈Ci\in\mathcal Cを得る。したがってeiπ/3=(1+3 i)/2∈Ce^{i\pi/3}=(1+\sqrt3\,i)/2\in\mathcal Cである。

半直線上の点p=teiπ/9p=te^{i\pi/9}(t>0t>0)が作図可能であると仮定する。00とppを通る直線と、中心00、半径∣1−0∣|1-0|の円は、{0,1,p}\{0,1,p\}が定める直線と円であり、ζ:=eiπ/9\zeta:=e^{i\pi/9}は両者に共通に属する。補題 1.2によりζ∈C\zeta\in\mathcal Cであり、C\mathcal Cは体であるからu:=ζ+ζ−1∈Cu:=\zeta+\zeta^{-1}\in\mathcal Cである。ζ3=eiπ/3\zeta^3=e^{i\pi/3}からζ3+ζ−3=2cos⁡(π/3)=1\zeta^3+\zeta^{-3}=2\cos(\pi/3)=1であるので、

u3=ζ3+ζ−3+3(ζ+ζ−1)=1+3uu^3=\zeta^3+\zeta^{-3}+3\bigl(\zeta+\zeta^{-1}\bigr)=1+3u

となり、uuはh:=x3−3x−1∈Q[x]h:=x^3-3x-1\in\mathbb Q[x]の根である。hhが有理数の根m/nm/n(m,n∈Zm,n\in\mathbb Zは互いに素、n>0n>0)をもつと仮定すると、m3=3mn2+n3m^3=3mn^2+n^3である。nnの素因数はいずれもm3m^3を割り、したがってmmを割るので、mmとnnが互いに素であることからn=1n=1である。このときm(m2−3)=1m(m^2-3)=1であるからm=±1m=\pm1であるが、h(1)=−3h(1)=-3かつh(−1)=1h(-1)=1であるので、h(m/n)≠0h(m/n)\neq0となり、m/nm/nがhhの根であることと両立しない。したがってhhはQ\mathbb Qに根をもたず、次数が33であるから、§E6.28 定理 4.3によりQ[x]\mathbb Q[x]で既約である。次数33は22の冪でないので、系 3.6によりu∉Cu\notin\mathcal Cであり、u∈Cu\in\mathcal Cと両立しない。したがって半直線上のどの点も作図可能でない。

有限列w0,…,wnw_0,\ldots,w_nを主張のとおりに取る。w0,w1,w2∈Cw_0,w_1,w_2\in\mathcal Cであり、3≤k≤n3\le k\le nについてw0,…,wk−1∈Cw_0,\ldots,w_{k-1}\in\mathcal Cならば、補題 1.2によりwk∈Cw_k\in\mathcal Cである。kkについての帰納法により、すべてのwkw_kはC\mathcal Cに属する。半直線{teiπ/9∣t>0}\{te^{i\pi/9}\mid t>0\}上のどの点も作図可能でないので、どのwkw_kもこの半直線上にない。▨

注意 4.3.定理 4.2では、すべての角を定規とコンパスで三等分することができるという主張が、角π/3\pi/3によって否定される。三等分することができる角も存在する。補題 2.1により3\sqrt3とiiは作図可能であるから、eiπ/6=(3+i)/2e^{i\pi/6}=(\sqrt3+i)/2も作図可能である。したがって、三点00、11、iiが定める角π/2\pi/2について、その三分の一の角をなす半直線{teiπ/6∣t>0}\{te^{i\pi/6}\mid t>0\}上の点eiπ/6e^{i\pi/6}を作図することができる。

5 演習

問題 5.1.e2πi/3e^{2\pi i/3}は作図可能であり、半直線{te2πi/9∣t>0}\{te^{2\pi i/9}\mid t>0\}上の点はいずれも作図可能でないことを示せ。さらに、有限列w0,w1,…,wnw_0,w_1,\ldots,w_n(n≥2n\ge2)がw0=0w_0=0、w1=1w_1=1、w2=e2πi/3w_2=e^{2\pi i/3}を満たし、3≤k≤n3\le k\le nを満たす各kkについてwkw_kが{w0,…,wk−1}\{w_0,\ldots,w_{k-1}\}から一段で作図されるならば、どのwkw_kもこの半直線上にないこと、すなわち三点00、11、e2πi/3e^{2\pi i/3}が定める角2π/32\pi/3は定規とコンパスで三等分することができないことを示せ。

解答.

補題 2.1により3∈C\sqrt3\in\mathcal Cとi∈Ci\in\mathcal Cであるから、e2πi/3=(−1+3 i)/2∈Ce^{2\pi i/3}=(-1+\sqrt3\,i)/2\in\mathcal Cである。

半直線上の点p=te2πi/9p=te^{2\pi i/9}(t>0t>0)が作図可能であると仮定する。00とppを通る直線と、中心00、半径∣1−0∣|1-0|の円は、{0,1,p}\{0,1,p\}が定める直線と円であり、ζ:=e2πi/9\zeta:=e^{2\pi i/9}は両者に共通に属する。補題 1.2によりζ∈C\zeta\in\mathcal Cであり、C\mathcal Cは体であるからu:=ζ+ζ−1=2cos⁡(2π/9)∈Cu:=\zeta+\zeta^{-1}=2\cos(2\pi/9)\in\mathcal Cである。ζ3=e2πi/3\zeta^3=e^{2\pi i/3}からζ3+ζ−3=2cos⁡(2π/3)=−1\zeta^3+\zeta^{-3}=2\cos(2\pi/3)=-1であるので、

u3=ζ3+ζ−3+3(ζ+ζ−1)=−1+3uu^3=\zeta^3+\zeta^{-3}+3\bigl(\zeta+\zeta^{-1}\bigr)=-1+3u

となり、uuはh:=x3−3x+1∈Q[x]h:=x^3-3x+1\in\mathbb Q[x]の根である。hhが有理数の根m/nm/n(m,n∈Zm,n\in\mathbb Zは互いに素、n>0n>0)をもつと仮定すると、m3=3mn2−n3m^3=3mn^2-n^3である。nnの素因数はいずれもm3m^3を割り、したがってmmを割るので、mmとnnが互いに素であることからn=1n=1である。このときm(m2−3)=−1m(m^2-3)=-1であるからm=±1m=\pm1であるが、h(1)=−1h(1)=-1かつh(−1)=3h(-1)=3であるので、h(m/n)≠0h(m/n)\neq0となり、m/nm/nがhhの根であることと両立しない。したがってhhはQ\mathbb Qに根をもたず、次数が33であるから、§E6.28 定理 4.3によりQ[x]\mathbb Q[x]で既約である。次数33は22の冪でないので、系 3.6によりu∉Cu\notin\mathcal Cであり、u∈Cu\in\mathcal Cと両立しない。したがって半直線上のどの点も作図可能でない。

有限列w0,…,wnw_0,\ldots,w_nを問題のとおりに取る。w0,w1,w2∈Cw_0,w_1,w_2\in\mathcal Cであり、3≤k≤n3\le k\le nについてw0,…,wk−1∈Cw_0,\ldots,w_{k-1}\in\mathcal Cならば、補題 1.2によりwk∈Cw_k\in\mathcal Cである。kkについての帰納法により、すべてのwkw_kはC\mathcal Cに属する。半直線{te2πi/9∣t>0}\{te^{2\pi i/9}\mid t>0\}上のどの点も作図可能でないので、どのwkw_kもこの半直線上にない。▨

参考文献

  1. Emil Artin, Galois Theory, 2nd ed., Notre Dame Mathematical Lectures 2, Dover Publications, 1997, originally published 1944.
  2. Ian Stewart, Galois Theory, 5th ed., CRC Press, 2022.

前提記事