§A4.3一次不定方程式 ax + by = c

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方程式の解を求めるとき、未知数がどの範囲の数を表すかによって、答えは変わります。たとえば、7x+11y=1007x+11y=100を満たす実数の組は直線上に並びますが、そのうち整数の組を求めるには、係数の整除関係を考える必要があります。

整数解を一つ見つけても、ほかの整数解があるか、あるならどのような形で表されるかは、まだ明らかではありません。整数a,b,ca,b,cに対して、ax+by=cax+by=cの整数解を求める方程式を一次不定方程式といいます。一次不定方程式は、整除や最大公約数の性質を、方程式の解の存在と構造に結びつける基本的な対象です。

本記事では、一次不定方程式の整数解について、基本的な性質と代表的な例を解説します。

1 一次不定方程式とベズーの等式

整数a,b,ca,b,cに対し、ax+by=cax+by=cを満たす整数の組(x,y)(x,y)を求める方程式を、一次不定方程式といいます。解を一つ固定したとき、その解を特殊解と呼びます。

補題 1.1.a,ba,bを少なくとも一方が00でない整数とし、d=gcd⁡(a,b)d=\gcd(a,b)とする。整数r,sr,sが存在してar+bs=dar+bs=dが成り立つ。この等式をベズーの等式という。

証明.a=0a=0ならr=0r=0,s=b/∣b∣s=b/|b|とし、b=0b=0ならr=a/∣a∣r=a/|a|,s=0s=0とすると、ar+bs=dar+bs=dとなる。a,ba,bがともに00でない場合、∣a∣,∣b∣|a|,|b|に互除法を適用する。§A4.1 定理 3.3により、互除法は有限回で停止し、最後の除法で割る数はddである。最初の二数∣a∣=(a/∣a∣)a|a|=(a/|a|)a,∣b∣=(b/∣b∣)b|b|=(b/|b|)bは、a,ba,bの整数係数の和である。各段の余りは、直前の二数の一方から他方の整数倍を引いたものなので、余りもa,ba,bの整数係数の和である。したがって最後の除法で割る数ddも整数係数の和となり、ar+bs=dar+bs=dを満たす整数r,sr,sが得られる。▨

2 整数解の存在と一般解

定理 2.1.a,b,ca,b,cを整数とし、a,ba,bの少なくとも一方が00でないとする。d=gcd⁡(a,b)d=\gcd(a,b)とおく。ax+by=cax+by=cが整数解をもつための必要十分条件は、ddがccを割り切ることである。整数解(x0,y0)(x_0,y_0)が一つ存在するとき、すべての整数解は

x=x0+bdt,y=y0−adt(t∈Z)x=x_0+\frac{b}{d}t,\qquad y=y_0-\frac{a}{d}t\qquad(t\in\Z)

で表され、各解に対応する整数ttはただ一つに定まる。

証明. 整数解(x,y)(x,y)が存在するとき、ddはa,ba,bをともに割り切るので、c=ax+byc=ax+byを割り切る。逆にddがccを割り切るとき、補題 1.1によりar+bs=dar+bs=dを満たす整数r,sr,sを取ると、(x0,y0)=((c/d)r,(c/d)s)(x_0,y_0)=((c/d)r,(c/d)s)は整数解である。

任意の特殊解(x0,y0)(x_0,y_0)を固定する。任意の整数ttから定理の表示式で定めた(x,y)(x,y)は整数の組であり、

ax+by=ax0+by0+abdt−abdt=cax+by=ax_0+by_0+\frac{ab}{d}t-\frac{ab}{d}t=c

を満たす。任意の整数解(x,y)(x,y)について、u=x−x0u=x-x_0,v=y−y0v=y-y_0,A=a/dA=a/d,B=b/dB=b/dとおく。Au+Bv=0Au+Bv=0であり、上で取った整数r,sr,sはAr+Bs=1Ar+Bs=1を満たす。したがって

u=(Ar+Bs)u=B(su−rv),v=(Ar+Bs)v=−A(su−rv)u=(Ar+Bs)u=B(su-rv),\qquad v=(Ar+Bs)v=-A(su-rv)

となる。整数t=su−rvt=su-rvを取ると、(x,y)(x,y)は定理の表示式で表される。同じ解を与える二つの整数t,t′t,t'に対してB(t−t′)=A(t−t′)=0B(t-t')=A(t-t')=0となる。A,BA,Bの少なくとも一方は00でないので、t=t′t=t'である。▨

注意 2.2. 一般解の表示でttを−t-tに置き換えても、ttがすべての整数を動くことは変わらない。したがって、x=x0−(b/d)tx=x_0-(b/d)t,y=y0+(a/d)ty=y_0+(a/d)tも同じ解の全体を表す。

注意 2.3.a=b=0a=b=0の場合、方程式は0=c0=cとなる。c=0c=0ならすべての整数の組が解であり、c≠0c\ne0なら解はない。

3 互除法からの計算

例 3.1.1071x+1029y=211071x+1029y=21を解く。互除法により

  1. 1071=1×1029+421071=1\times1029+42
  2. 1029=24×42+211029=24\times42+21
  3. 42=2×21+042=2\times21+0

であり、gcd⁡(1071,1029)=21\gcd(1071,1029)=21である。余りの式を逆にたどると

21=1029−24×42=1029−24(1071−1029)=−24×1071+25×102921=1029-24\times42 =1029-24(1071-1029) =-24\times1071+25\times1029

となるので、(−24,25)(-24,25)は特殊解である。定理 2.1より、一般解は

x=−24+49t,y=25−51t(t∈Z)x=-24+49t,\qquad y=25-51t\qquad(t\in\Z)

である。右辺が63=3×2163=3\times21の場合には、特殊解を33倍して(−72,75)(-72,75)を得る。この場合の一般解はx=−72+49tx=-72+49t,y=75−51ty=75-51t(t∈Zt\in\Z)である。

4 非負整数解

問題 4.1. 方程式7x+11y=1007x+11y=100の非負整数解をすべて求めよ。また、7x+11y=107x+11y=10は整数解をもつが、非負整数解をもたないことを示せ。

解答.

7×(−3)+11×11=1007\times(-3)+11\times11=100なので、定理 2.1より、第一の方程式の一般解はx=−3+11tx=-3+11t,y=11−7ty=11-7t(t∈Zt\in\Z)である。整数ttに対して、x≥0x\ge0はt≥1t\ge1と同値であり、y≥0y\ge0はt≤1t\le1と同値である。したがってt=1t=1に限られ、非負整数解は(8,4)(8,4)だけである。

第二の方程式では7×3+11×(−1)=107\times3+11\times(-1)=10なので整数解が存在し、定理 2.1より、一般解はx=3+11tx=3+11t,y=−1−7ty=-1-7t(t∈Zt\in\Z)である。整数ttに対して、x≥0x\ge0はt≥0t\ge0と同値であり、y≥0y\ge0はt≤−1t\le-1と同値である。両方を満たす整数ttは存在しないので、非負整数解はない。▨

閑話休題:ダイ・ハード3の水差しパズル 映画『ダイ・ハード3』には、爆弾を止めるために、3ガロンと5ガロンの容器だけを使って正確に4ガロンの水を作る場面がある。同じ容量の関係をもつ3リットルと5リットルの容器で、4リットルを量る操作を考える。

許された操作は、容器を満たすこと、空にすること、他方が満杯になるか注ぐ側が空になるまで水を移すこととする。 3Lと5Lの容器に入っている水量を、この順に組で表す。空の状態から

(0,0)→(3,0)→(0,3)→(3,3)→(1,5)→(1,0)→(0,1)→(3,1)→(0,4)(0,0)\to(3,0)\to(0,3)\to(3,3)\to(1,5) \to(1,0)\to(0,1)\to(3,1)\to(0,4)

と操作すると、5Lの容器に4Lが残る。外から加えた水は3Lを3回、捨てた水は5Lを1回なので、残った水量は3×3−5=43\times3-5=4である。この操作により、3x+5y=43x+5y=4の整数解(3,−1)(3,-1)に対応する水量が実現する。

6Lと9Lの容器では、空の状態から同じ種類の操作を何回行っても、それぞれの容器の水量は3の倍数である。満たす操作と空にする操作はこの性質を保つ。移す操作では、注ぐ側の水量と受ける側の空き容量はいずれも3の倍数であり、二つの量の小さい方だけ水を移すので、操作後の水量も3の倍数である。したがって4Lを量ることはできない。また、gcd⁡(6,9)=3\gcd(6,9)=3は44を割り切らないので、定理 2.1により6x+9y=46x+9y=4に整数解はない。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の1次不定方程式の整数解を1組求め、一般解を書け。

解法の型互除法を逆にたどって特殊解を1組見つける

  1. 例題 1

    14x+11y=−20014x + 11y = -200
  2. 例題 2

    9x+7y=−1179x + 7y = -117
  3. 例題 3

    7x+2y=−237x + 2y = -23
  4. 例題 4

    3x+14y=233x + 14y = 23
  5. 例題 5

    4x+13y=−1104x + 13y = -110
  6. 例題 6

    4x+3y=−174x + 3y = -17
  7. 例題 7

    4x+5y=−124x + 5y = -12
  8. 例題 8

    14x+13y=−13714x + 13y = -137
  9. 例題 9

    10x+3y=−910x + 3y = -9
  10. 例題 10

    5x+13y=−555x + 13y = -55

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の1次不定方程式の整数解を1組求め、一般解を書け。

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