1 等差数列
まず、一定の数を加えて次の項を作る数列を定義します。
定義 1.1 (等差数列). すべての正の整数nについて
an+1−an=dが成り立つ数列{an}を等差数列という。a1を初項、一定の差dを公差という。
初項から第n項までには、公差をn−1回加えます。
証明. 正の整数nを固定する。漸化関係ak+1=ak+dをk=1,…,n−1に対して順に用いると
an=a1+d+⋯+d=a+(n−1)dとなる。▨
等差数列の和は、項を逆順に並べた和を加えると導くことができます。
証明. 正の整数nと初項a、公差d、末項lを固定し、Snを項の順方向と逆方向に書く。
SnSn=a+(a+d)+⋯+(l−d)+l,=l+(l−d)+⋯+(a+d)+a対応する項を加えると、どの組もa+lとなる。組はn個あるので
2Sn=n(a+l)となる。両辺を2で割ると公式を得る。▨
例 1.4. 等差数列の初項が3、第8項までの和が108であるとする。公差をdとすると、
108=28{2⋅3+7d}である。したがって27=6+7dとなり、d=3である。一般項an=3+3(n−1)=3nを用いると、最初の8項の和は3(1+2+⋯+8)=108となり、条件と一致する。
例 1.5. 初項が5、公差が4である等差数列の和が320になる項数を求める。
320=2n{2⋅5+(n−1)4}=n(2n+3)より、2n2+3n−320=0である。解の公式からn=(−3±2569)/4となる。正の整数にならないので、この条件を満たす項数は存在しない。和の方程式を解いた後にも、項数が正の整数であることを確認する必要がある。
2 等比数列
次に、一定の数を掛けて次の項を作る数列を定義します。
定義 2.1 (等比数列). すべての正の整数nについて
an+1=ranが成り立つ数列{an}を等比数列という。a1を初項、一定の数rを公比という。
初項から第n項までには、公比をn−1回掛けます。
証明. 正の整数nを固定する。漸化関係ak+1=rakをk=1,…,n−1に対して順に用いると
an=a1rn−1=arn−1となる。▨
等比数列の和では、SnとrSnの差を取ると中間の項が消えます。
証明.r=1とし、SnとrSnを書く。
SnrSn=a+ar+⋯+arn−1,=ar+ar2+⋯+arn二式の差を取ると
(1−r)Sn=a−arn=a(1−rn)となる。1−r=0なので両辺を1−rで割る。r=1の場合には全項がaであり、和はnaとなる。▨
例 2.5. 初項が2、第3項が18であり、すべての項が正である等比数列を考える。公比をrとすると
2r2=18であり、r2=9よりr=3またはr=−3である。r=−3の数列2,−6,18,…は第3項が18であるが、第2項が負である。すべての項が正であるという条件からr>0なので、r=3である。第4項までの和は
S4=1−32(1−34)=80である。実際に2+6+18+54=80となる。
3 演習
問題 3.1. 次の問いに答えよ。
- 初項が7、公差が−3である等差数列について、第12項と、初項から第12項までの和を求めよ。
- 初項が3、公比が2である等比数列について、第8項と、初項から第8項までの和を求めよ。
- 等差数列の第3項が11、第9項が35であるとき、初項、公差、初項から第20項までの和を求めよ。
- 初項が81、公比が31である等比数列について、初項から第n項までの和が121になる正の整数nが存在するかどうかを調べ、存在するならそのnを求めよ。
- 初項が3、公比が実数rである等比数列について、初項から第4項までの和が12となるrをすべて求めよ。
解答.
- 第12項は7+11⋅(−3)=−26であり、和は212{7+(−26)}=−114である。
- 第8項は3⋅27=384であり、和は2−13(28−1)=765である。
- 第9項と第3項の差から6d=24なので、公差は4であり、初項は11−2⋅4=3である。第20項までの和は220{2⋅3+19⋅4}=820である。
- 公比31は1でないので、和は1−1/381{1−(1/3)n}=2243(1−3−n)である。これが121に等しいとき3−n=1−243242=3−5となるので、項数n=5が存在する。実際に81+27+9+3+1=121である。
- r=1のとき、S4=1−r3(1−r4)=3(1+r+r2+r3)である。S4=12とするとr3+r2+r−3=0、すなわち(r−1)(r2+2r+3)=0となる。r2+2r+3=(r+1)2+2>0なのでr=1だけが残り、r=1に反する。r=1のとき、全項が3なのでS4=4⋅3=12となり、条件を満たす。したがってr=1だけである。
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