§B1.4漸化式の解法(基本形)

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等差数列は前の項に一定の数を加え、等比数列は前の項に一定の数を掛けて作られ、どちらも第 n 項を n の式で書き表すことができます。前の項に加える操作と掛ける操作を合わせた規則、たとえば前の項を 2 倍して 3 を加えるという規則で作られる数列では、第 n 項の式はすぐには見えません。前の項から次の項を定める規則を漸化式といい、漸化式と最初の項から第 n 項を n の式で表すことを、漸化式を解くといいます。漸化式は、数列を前の項との関係で定める基本的な方法です。本記事では、基本的な形の漸化式の解き方を解説します。

1 漸化式と初期条件

定義 1.1 (漸化式と初期条件). 数列の項を、それより番号の小さい項から定める規則を表す等式を漸化式という。二つ以上の数列を同時に定める場合には、それらの数列の番号の小さい項から定める等式の組を漸化式という。出発点となる最初の項(たとえばa1a_1)の値を与える条件を初期条件という。正の整数nnについてan+1a_{n+1}をana_nから定める漸化式と初項a1a_1が与えられると、a2,a3,…a_2,a_3,\ldotsが順に一意に定まる。

例 1.2.an+1=an+2a_{n+1}=a_n+2だけでは、1,3,5,…1,3,5,\ldotsも4,6,8,…4,6,8,\ldotsも条件を満たす。初期条件a1=1a_1=1を加えると、前者だけが定まる。

漸化式を解くとは、漸化式と初期条件を満たす数列について、第nn項ana_nをnnの式で表す(一般項を求める)ことです。漸化式と初項を満たす数列は一意に定まるので、求めた式がn=1n=1で初項に一致し、すべての正の整数nnで漸化式を満たすならば、その式が一般項です。

2 等差型

an+1=an+da_{n+1}=a_n+dのように、前の項に一定の数ddを加えて次の項を作る漸化式を等差型といいます。等差型の漸化式と初項は、等差数列を定めます。

公式 2.1 (等差型の一般項).dd、AAを定数とし、数列{an}\{a_n\}が

a1=A,an+1=an+d(n=1,2,3,…)a_1=A,\qquad a_{n+1}=a_n+d\quad(n=1,2,3,\ldots)

を満たすとする。このとき、すべての正の整数nnについて

an=A+(n−1)da_n=A+(n-1)d

である。

証明. すべての正の整数nnについてan+1−an=da_{n+1}-a_n=dであるから、{an}\{a_n\}は初項AA、公差ddの等差数列である。§B1.1 公式 1.2によりan=A+(n−1)da_n=A+(n-1)dである。▨

例 2.2.a1=5a_1=5、an+1=an−3a_{n+1}=a_n-3とする。公式 2.1により

an=5−3(n−1)=8−3na_n=5-3(n-1)=8-3n

である。n=1n=1のとき8−3=5=a18-3=5=a_1であり、an+1=8−3(n+1)=5−3na_{n+1}=8-3(n+1)=5-3nとan−3=(8−3n)−3=5−3na_n-3=(8-3n)-3=5-3nが一致する。

3 等比型

an+1=rana_{n+1}=ra_nのように、前の項に一定の数rrを掛けて次の項を作る漸化式を等比型といいます。等比型の漸化式と初項は、等比数列を定めます。

公式 3.1 (等比型の一般項).rr、AAを定数とし、数列{an}\{a_n\}が

a1=A,an+1=ran(n=1,2,3,…)a_1=A,\qquad a_{n+1}=ra_n\quad(n=1,2,3,\ldots)

を満たすとする。このとき、すべての正の整数nnについて

an=Arn−1a_n=Ar^{n-1}

である。

証明. すべての正の整数nnについてan+1=rana_{n+1}=ra_nであるから、{an}\{a_n\}は初項AA、公比rrの等比数列である。§B1.1 公式 2.2によりan=Arn−1a_n=Ar^{n-1}である。▨

例 3.2.a1=3a_1=3、an+1=−2ana_{n+1}=-2a_nとする。公式 3.1により

an=3(−2)n−1a_n=3(-2)^{n-1}

である。n=1n=1のとき3(−2)0=3=a13(-2)^0=3=a_1であり、ana_nに−2-2を掛けると3(−2)n−1⋅(−2)=3(−2)n=an+13(-2)^{n-1}\cdot(-2)=3(-2)^n=a_{n+1}となる。

4 一次型

an+1=pan+qa_{n+1}=pa_n+qのように、前の項の定数倍に定数を加えて次の項を作る漸化式を一次型といいます。

項が番号によらず一定の値α\alphaであるような数列an=αa_n=\alphaが漸化式を満たすための条件は、α=pα+q\alpha=p\alpha+qです。α\alphaがこの式を満たすとき、an−αa_n-\alphaについての漸化式は等比型になります。

p≠1p\ne1のとき、α=pα+q\alpha=p\alpha+qは(1−p)α=q(1-p)\alpha=qと同値であり、α=q1−p\alpha=\dfrac{q}{1-p}がただ一つの解です。p=1p=1のとき、α=pα+q\alpha=p\alpha+qはα=α+q\alpha=\alpha+qとなり、q≠0q\ne0ならば解がなく、q=0q=0ならばすべてのα\alphaが解です。どちらの場合もα\alphaをただ一つに定めることができないので、p=1p=1は等差型として解きます。

定理 4.1.pp、qq、AAを定数とし、数列{an}\{a_n\}が

a1=A,an+1=pan+q(n=1,2,3,…)a_1=A,\qquad a_{n+1}=pa_n+q\quad(n=1,2,3,\ldots)

を満たすとする。

  • p≠1p\ne1ならば、α=q1−p\alpha=\dfrac{q}{1-p}と置くと、すべての正の整数nnについて an=α+(A−α)pn−1a_n=\alpha+(A-\alpha)p^{n-1} である。
  • p=1p=1ならば、すべての正の整数nnについて an=A+(n−1)qa_n=A+(n-1)q である。

証明.p≠1p\ne1のとき、α=q1−p\alpha=\dfrac{q}{1-p}は(1−p)α=q(1-p)\alpha=q、すなわちα=pα+q\alpha=p\alpha+qを満たす。すべての正の整数nnについて、漸化式an+1=pan+qa_{n+1}=pa_n+qからこの等式を辺々引くと

an+1−α=p(an−α)a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)

である。bn=an−αb_n=a_n-\alphaとおくと、b1=A−αb_1=A-\alphaであり、すべての正の整数nnについてbn+1=pbnb_{n+1}=pb_nである。公式 3.1によりbn=(A−α)pn−1b_n=(A-\alpha)p^{n-1}であるから、an=α+(A−α)pn−1a_n=\alpha+(A-\alpha)p^{n-1}である。

p=1p=1のとき、漸化式はan+1=an+qa_{n+1}=a_n+qである。公式 2.1でd=qd=qとすると、an=A+(n−1)qa_n=A+(n-1)qである。▨

例 4.2.a1=4a_1=4、an+1=2an+3a_{n+1}=2a_n+3とする。p=2≠1p=2\ne1であり、α=2α+3\alpha=2\alpha+3からα=−3\alpha=-3である。漸化式から−3=2(−3)+3-3=2(-3)+3を辺々引くと

an+1+3=2(an+3)a_{n+1}+3=2(a_n+3)

である。a1+3=7a_1+3=7なので、an+3=7⋅2n−1a_n+3=7\cdot2^{n-1}、すなわち

an=7⋅2n−1−3a_n=7\cdot2^{n-1}-3

である。n=1n=1のとき7−3=4=a17-3=4=a_1であり、

2an+3=14⋅2n−1−3=7⋅2n−3=an+12a_n+3=14\cdot2^{n-1}-3=7\cdot2^n-3=a_{n+1}

となる。

例 4.3.a1=−2a_1=-2、an+1=an+5a_{n+1}=a_n+5とする。p=1p=1、q=5≠0q=5\ne0なので、α=α+5\alpha=\alpha+5は解をもたず、α\alphaを引く方法は使うことができない。漸化式は等差型であり、公式 2.1により

an=−2+5(n−1)=5n−7a_n=-2+5(n-1)=5n-7

である。n=1n=1のとき5−7=−2=a15-7=-2=a_1であり、5(n+1)−7=(5n−7)+55(n+1)-7=(5n-7)+5である。

5 演習

問題 5.1. 次の漸化式と初項で定まる数列の一般項を求めよ。さらに、求めた式がn=1n=1で初項に一致し、すべての正の整数nnで漸化式を満たすことを確かめよ。

  1. a1=2a_1=2、an+1=an+4a_{n+1}=a_n+4
  2. a1=5a_1=5、an+1=12ana_{n+1}=\dfrac12a_n
  3. a1=1a_1=1、an+1=3an−4a_{n+1}=3a_n-4(一定値を引いて等比型へ帰着させよ。)
  4. a1=Aa_1=A、an+1=3an−8a_{n+1}=3a_n-8(AAは定数とする。一般項をAAで表し、すべての項が等しくなるAAの値を求めよ。)
解答.
  1. 等差型で公差が44であるから、an=2+4(n−1)=4n−2a_n=2+4(n-1)=4n-2である。n=1n=1のとき4−2=2=a14-2=2=a_1であり、4(n+1)−2=(4n−2)+44(n+1)-2=(4n-2)+4である。
  2. 等比型で公比が12\dfrac12であるから、an=5(12)n−1a_n=5\left(\dfrac12\right)^{n-1}である。n=1n=1のとき5=a15=a_1であり、12⋅5(12)n−1=5(12)n\dfrac12\cdot5\left(\dfrac12\right)^{n-1}=5\left(\dfrac12\right)^nである。
  3. α=3α−4\alpha=3\alpha-4からα=2\alpha=2である。漸化式から2=3⋅2−42=3\cdot2-4を辺々引くとan+1−2=3(an−2)a_{n+1}-2=3(a_n-2)となる。a1−2=−1a_1-2=-1であるから、公式 3.1によりan−2=−3n−1a_n-2=-3^{n-1}、すなわちan=2−3n−1a_n=2-3^{n-1}である。n=1n=1のとき2−1=1=a12-1=1=a_1であり、3an−4=6−3n−4=2−3n=an+13a_n-4=6-3^n-4=2-3^n=a_{n+1}である。
  4. p=3≠1p=3\ne1であり、α=3α−8\alpha=3\alpha-8からα=4\alpha=4である。定理 4.1によりan=4+(A−4)3n−1a_n=4+(A-4)3^{n-1}である。n=1n=1のとき4+(A−4)=A4+(A-4)=Aであり、3an−8=12+(A−4)3n−8=4+(A−4)3n=an+13a_n-8=12+(A-4)3^n-8=4+(A-4)3^n=a_{n+1}である。A=4A=4ならば、すべての正の整数nnについてan=4a_n=4であり、すべての項が等しい。逆に、すべての項が等しいならばa2=a1a_2=a_1であり、a2=4+3(A−4)a_2=4+3(A-4)から4+3(A−4)=A4+3(A-4)=A、すなわちA=4A=4である。

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例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の漸化式で定まる数列の一般項 a_n を求めよ。

次の漸化式で定まる数列の一般項を求めよ。

解法の型特性方程式 α\alpha==pαp\alpha + q →\to a_n − α\alpha が等比数列

  1. 例題 1

    a1=−1,an+1=3an+6a_1 = -1,\quad a_{n+1} = 3a_n + 6
  2. 例題 2

    a1=−6,an+1=2an+3a_1 = -6,\quad a_{n+1} = 2a_n + 3
  3. 例題 3

    a1=−3,an+1=2an+2a_1 = -3,\quad a_{n+1} = 2a_n + 2
  4. 例題 4

    a1=−1,an+1=3an−4a_1 = -1,\quad a_{n+1} = 3a_n - 4
  5. 例題 5

    a1=4,an+1=3an−4a_1 = 4,\quad a_{n+1} = 3a_n - 4
  6. 例題 6

    a1=−3,an+1=3an+4a_1 = -3,\quad a_{n+1} = 3a_n + 4
  7. 例題 7

    a1=7,an+1=−2an+12a_1 = 7,\quad a_{n+1} = -2a_n + 12
  8. 例題 8

    a1=4,an+1=2an−1a_1 = 4,\quad a_{n+1} = 2a_n - 1
  9. 例題 9

    a1=−4,an+1=2an+3a_1 = -4,\quad a_{n+1} = 2a_n + 3
  10. 例題 10

    a1=−1,an+1=−2an+6a_1 = -1,\quad a_{n+1} = -2a_n + 6

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の漸化式で定まる数列の一般項 a_n を求めよ。

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