§B1.9無限級数

最終更新

無限個の項の和は、有限個までの和を作ってから、その極限として定義します。本記事では、無限等比級数、循環小数、図形の和、項が打ち消し合う級数、および調和級数を扱います。

1 部分和による定義

無限級数の和は、記号を形式的に足し続けたものではありません。

定義 1.1 (無限級数の収束と和). 数列{ak}\{a_k\}の第nn項までの和(部分和)を

Sn=∑k=1nakS_n=\sum_{k=1}^{n}a_k

とする(§B1.3 定義 1.1)。数列{Sn}\{S_n\}が値SSに収束するとき、無限級数∑k=1∞ak\sum_{k=1}^{\infty}a_kは収束するといい、その和を

∑k=1∞ak=S\sum_{k=1}^{\infty}a_k=S

と定める。{Sn}\{S_n\}が収束しないとき、級数は発散するという。とくに{Sn}\{S_n\}が正の無限大に発散するとき、級数は正の無限大に発散するという。

2 収束に必要な条件

和を求めることができなくても、各項の様子から級数が発散することを判定することができる場合があります。

定理 2.1.∑k=1∞ak\sum_{k=1}^{\infty}a_kが収束するならば、

lim⁡n→∞an=0\lim_{n\to\infty}a_n=0

である。

証明. 級数の和をSSとすると、Sn→SS_n\to Sである。n≥2n\ge2のとき、§B1.3 定理 1.2によりan=Sn−Sn−1a_n=S_n-S_{n-1}である。n→∞n\to\inftyのときn−1n-1も限りなく大きくなるのでSn−1→SS_{n-1}\to Sであり、§B1.7 定理 3.1の 1 により

an=Sn−Sn−1→S−S=0a_n=S_n-S_{n-1}\to S-S=0

である。▨

例 2.2.∑k=1∞kk+1\sum_{k=1}^{\infty}\dfrac{k}{k+1}の一般項はak=kk+1=11+1/ka_k=\dfrac{k}{k+1}=\dfrac1{1+1/k}である。1k→0\dfrac1k\to0であり、分母の極限11は00でなく、各項の分母1+1k1+\dfrac1kも00でないから、§B1.7 定理 3.1の 3 によりak→1a_k\to1である。一般項が00に近づかないので、定理 2.1の対偶により、この級数は発散する。

3 調和級数

定理 2.1の逆は成り立ちません。一般項が00に近づく級数にも、発散するものがあります。

定理 3.1. 調和級数

∑k=1∞1k\sum_{k=1}^{\infty}\frac1k

は正の無限大に発散する。

証明. 各項1k\dfrac1kは正であり、Sn+1−Sn=1n+1>0S_{n+1}-S_n=\dfrac1{n+1}>0であるから、S1<S2<S3<⋯S_1<S_2<S_3<\cdotsと単調に増加する。

mmを正の整数とする。S2mS_{2^m}の第22項以降を、j=1,…,mj=1,\ldots,mについてk=2j−1+1,…,2jk=2^{j-1}+1,\ldots,2^jの項を集めた第jj群に分けると

S2m=1+∑j=1m(12j−1+1+⋯+12j)S_{2^m}=1+\sum_{j=1}^{m}\left(\frac1{2^{j-1}+1}+\cdots+\frac1{2^j}\right)

である。第jj群には2j−12^{j-1}個の項があり、各項は12j\dfrac1{2^j}以上であるから、第jj群の和は2j−1⋅12j=122^{j-1}\cdot\dfrac1{2^j}=\dfrac12以上である。したがって

S2m≥1+m2S_{2^m}\ge1+\frac m2

である。

MMを任意の実数とし、1+m2>M1+\dfrac m2>Mを満たす正の整数mmを取る。n≥2mn\ge2^mならば、{Sn}\{S_n\}の単調増加性によりSn≥S2m≥1+m2>MS_n\ge S_{2^m}\ge1+\dfrac m2>Mである。よってSnS_nは限りなく大きくなり、調和級数は正の無限大に発散する。▨

注意 3.2 (一般項が00に近づく二つの級数).∑k=1∞1k\sum_{k=1}^{\infty}\dfrac1kと∑k=1∞1k2\sum_{k=1}^{\infty}\dfrac1{k^2}は、どちらも一般項が00に近づく。前者は定理 3.1により正の無限大に発散し、後者は§B1.8 例 4.4により収束する。したがって、一般項が00に近づくという条件だけでは、級数が収束するか発散するかは決まらない。

4 無限等比級数

有限等比数列の和の公式から第nn項までの和を求め、収束条件と和を導きます。

定理 4.1 (無限等比級数の和). 初項a≠0a\ne0、公比rrの無限等比級数

∑k=1∞ark−1\sum_{k=1}^{\infty}ar^{k-1}

は、∣r∣<1|r|<1の場合に限って収束し、その和は

a1−r\frac{a}{1-r}

である。

証明.∣r∣<1|r|<1のとき、r≠1r\ne1なので、§B1.1 公式 2.4により第nn項までの和は

Sn=a(1−rn)1−rS_n=\frac{a(1-r^n)}{1-r}

である。§B1.7 定理 2.1によりrn→0r^n\to0であるから、§B1.7 定理 3.1によりSn→a1−rS_n\to\dfrac{a}{1-r}である。よって級数は収束し、その和はa1−r\dfrac{a}{1-r}である。

∣r∣≥1|r|\ge1のとき、すべての正の整数nnについて∣arn−1∣=∣a∣ ∣r∣n−1≥∣a∣>0|ar^{n-1}|=|a|\,|r|^{n-1}\ge|a|>0である。したがってarn−1ar^{n-1}は00に限りなく近づくことがなく、定理 2.1の対偶により、級数は発散する。▨

例 4.2. 循環小数0.27‾=0.272727…0.\overline{27}=0.272727\ldotsは

27100+271002+271003+⋯\frac{27}{100}+\frac{27}{100^2}+\frac{27}{100^3}+\cdots

という無限等比級数である。初項は27/10027/100、公比は1/1001/100であり、公比の絶対値は11未満なので、定理 4.1により

0.27‾=27/1001−1/100=2799=3110.\overline{27} =\frac{27/100}{1-1/100} =\frac{27}{99} =\frac3{11}

である。

例 4.3. 長さ11の線分を半分にし、残った線分をさらに半分にする操作を続ける。各段階で新しく取り出す長さは

12,14,18,…\frac12,\frac14,\frac18,\ldots

である。この総和は、初項1/21/2、公比1/21/2の無限等比級数であり、公比の絶対値は11未満なので、定理 4.1により

1/21−1/2=1\frac{1/2}{1-1/2}=1

である。有限段階の部分和は常に11未満であり、極限として11になる。

面積の和では、長さの比と面積の比を区別します。相似な図形では、長さの比がrrならば面積の比はr2r^2です。

例 4.4. 一辺の長さが11の正方形から始め、各辺の中点を結んで内側の正方形を作る操作を続ける。一辺の長さがssの正方形の各辺の中点を結んでできる正方形の一辺の長さは(s/2)2+(s/2)2=s/2\sqrt{(s/2)^2+(s/2)^2}=s/\sqrt2であり、長さの比は1/21/\sqrt2である。したがって面積の比は(1/2)2=1/2(1/\sqrt2)^2=1/2であり、kk番目の正方形の面積は(1/2)k−1(1/2)^{k-1}である。すべての正方形の面積を足し合わせた値は、初項11、公比1/21/2の無限等比級数であり、定理 4.1により

∑k=1∞(12)k−1=11−1/2=2\sum_{k=1}^{\infty}\left(\frac12\right)^{k-1}=\frac1{1-1/2}=2

である。

5 項が打ち消し合う級数

各項を隣の項との差に分解することができると、部分和の中間項が消えます。

例 5.1 (Telescoping Sum). 各項は1k(k+1)=1k−1k+1\dfrac1{k(k+1)}=\dfrac1k-\dfrac1{k+1}と分解される。§B1.2 例 5.1により、第nn項までの和は

Sn=∑k=1n1k(k+1)=1−1n+1S_n=\sum_{k=1}^{n}\frac1{k(k+1)}=1-\frac1{n+1}

である。n→∞n\to\inftyのとき1n+1→0\dfrac1{n+1}\to0であるからSn→1S_n\to1であり、

∑k=1∞1k(k+1)=1\sum_{k=1}^{\infty}\frac1{k(k+1)}=1

である。

6 演習

問題 6.1. 次の問いに答えよ。

  1. 0.135‾0.\overline{135}を無限等比級数として表し、分数へ直せ。
  2. 最初の正方形の一辺を11とし、一辺の長さが直前の正方形の1/31/3である正方形を順に加えるとき、面積の総和を求めよ。
  3. ∑k=1∞1(k+2)(k+3)\sum_{k=1}^{\infty}\dfrac1{(k+2)(k+3)}について、第nn項までの和を求め、その極限から級数の和を求めよ。
  4. ∑k=1∞3k2+12k2−k\sum_{k=1}^{\infty}\dfrac{3k^2+1}{2k^2-k}が発散することを、一般項の極限から示せ。
  5. ∑k=1∞(−1)kk+1k\sum_{k=1}^{\infty}(-1)^k\dfrac{k+1}{k}が発散することを、一般項の大きさから示せ。
解答.
  1. 初項は1351000\dfrac{135}{1000}、公比は11000\dfrac1{1000}であり、公比の絶対値は11未満である。定理 4.1により 0.135‾=135/10001−1/1000=135999=5370.\overline{135}=\frac{135/1000}{1-1/1000}=\frac{135}{999}=\frac5{37} である。
  2. 面積は1, 19, 192, …1,\ \dfrac19,\ \dfrac1{9^2},\ \ldotsと並び、公比は19\dfrac19なので、総和は11−1/9=98\dfrac1{1-1/9}=\dfrac98である。
  3. 1(k+2)(k+3)=1k+2−1k+3\dfrac1{(k+2)(k+3)}=\dfrac1{k+2}-\dfrac1{k+3}である。f(k)=−1k+2f(k)=-\dfrac1{k+2}と置くと右辺はf(k+1)−f(k)f(k+1)-f(k)に等しいので、§B1.2 公式 2.1により第nn項までの和は Sn=f(n+1)−f(1)=13−1n+3S_n=f(n+1)-f(1)=\frac13-\frac1{n+3} である。n→∞n\to\inftyのとき1n+3→0\dfrac1{n+3}\to0であるからSn→13S_n\to\dfrac13であり、級数の和は13\dfrac13である。
  4. 一般項はak=3k2+12k2−k=3+1/k22−1/ka_k=\dfrac{3k^2+1}{2k^2-k}=\dfrac{3+1/k^2}{2-1/k}である。1k→0\dfrac1k\to0、1k2→0\dfrac1{k^2}\to0であり、分母の極限22は00でなく、各項の分母2−1k2-\dfrac1kも00でないから、§B1.7 定理 3.1によりak→32a_k\to\dfrac32である。一般項が00に近づかないので、定理 2.1の対偶により、この級数は発散する。
  5. 一般項をaka_kとすると、すべての正の整数kkについて∣ak∣=k+1k=1+1k>1|a_k|=\dfrac{k+1}{k}=1+\dfrac1k>1である。したがってaka_kは00に近づくことがなく、定理 2.1の対偶により、この級数は発散する。

▨

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の無限級数の和を求めよ。収束しない場合は「発散」と答えよ。

解法の型部分和 Sₙ を作ってから n →\to∞\infty。等比なら a/(1-r)、1/(n(n+d)) 型は部分分数に分けて望遠鏡和

  1. 例題 1

    ∑n=1∞4(−13)n−1\sum_{n=1}^{\infty} 4\left(-\dfrac{1}{3}\right)^{n-1}
  2. 例題 2

    ∑n=1∞4n(n+1)\sum_{n=1}^{\infty} \dfrac{4}{n(n+1)}
  3. 例題 3

    ∑n=1∞6n(n+2)\sum_{n=1}^{\infty} \dfrac{6}{n(n+2)}
  4. 例題 4

    ∑n=1∞n(23)n\sum_{n=1}^{\infty} n\left(\dfrac{2}{3}\right)^{n}
  5. 例題 5

    ∑n=1∞4n(n+3)\sum_{n=1}^{\infty} \dfrac{4}{n(n+3)}
  6. 例題 6

    ∑n=1∞2n(−13)n\sum_{n=1}^{\infty} 2n\left(-\dfrac{1}{3}\right)^{n}
  7. 例題 7

    ∑n=1∞3(23)n−1\sum_{n=1}^{\infty} 3\left(\dfrac{2}{3}\right)^{n-1}
  8. 例題 8

    ∑n=1∞3n(12)n\sum_{n=1}^{\infty} 3n\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n}
  9. 例題 9

    ∑n=1∞4(−34)n−1\sum_{n=1}^{\infty} 4\left(-\dfrac{3}{4}\right)^{n-1}
  10. 例題 10

    ∑n=1∞3n(n+3)\sum_{n=1}^{\infty} \dfrac{3}{n(n+3)}

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の無限級数の和を求めよ。収束しない場合は「発散」と答えよ。

演習を読み込み中…

前提記事