1 Σ 記号と和の性質
定義 1.1 (Σ 記号). 整数m,nがm≤nを満たし、akが整数m≤k≤nで定義された有限な族であるとき、
k=m∑nak=am+am+1+⋯+anと定める。kは和の中でmからnまで動く添字であり、項数はn−m+1個である。
定理 1.2. 整数m,nがm≤nを満たすとする。ak,bkを整数m≤k≤nで定義された有限な族とし、p,qを定数とする。このとき
k=m∑n(pak+qbk)=pk=m∑nak+qk=m∑nbkが成り立つ。
証明. 左辺を有限和の定義に従って展開し、分配法則でakを含む項とbkを含む項を集める。
k=m∑n(pak+qbk)=(pam+qbm)+⋯+(pan+qbn)=p(am+⋯+an)+q(bm+⋯+bn)となり、右辺に一致する。▨
証明. 和はn−m+1個の項からなり、各項はcに等しい。▨
例 1.4.ak=bk=kとし、m=1、n=2とする。
k=1∑2akbk=1⋅1+2⋅2=5,(k=1∑2ak)(k=1∑2bk)=(1+2)(1+2)=9である。したがって、∑k=mnakbk=(∑k=mnak)(∑k=mnbk)は一般には成り立たない。
例 1.5.nを正の整数とし、akを整数1≤k≤nで定義された有限な族とする。j=k−1と置くと、和∑k=2n+1ak−1の下端k=2はj=1に、上端k=n+1はj=nに移るので
k=2∑n+1ak−1=j=1∑naj=k=1∑nakである。項数は、移す前が(n+1)−2+1=n個、移した後がn−1+1=n個で一致する。n=2では、左辺はa1+a2であり、右辺と一致する。
2 差の和
証明. 有限和を展開すると
k=1∑n{f(k+1)−f(k)}={f(2)−f(1)}+{f(3)−f(2)}+⋯+{f(n+1)−f(n)}となる。f(2),…,f(n)が相殺し、f(n+1)−f(1)だけが残る。▨
3 べき乗和の公式
証明.ak=kは初項1、公差1の等差数列であり、第n項はnである。§B1.1 等差数列・等比数列の等差数列の和の公式§B1.1 公式 1.3を初項a=1、末項l=nとして用いると
k=1∑nk=2n(1+n)となる。▨
証明. 恒等式
(k+1)3−k3=3k2+3k+1をk=1,…,nについて足す。左辺はf(k)=k3とした公式 2.1により(n+1)3−1に等しい。右辺は、定理 1.2を繰り返し用いて項ごとの和に分け、公式 1.3により∑k=1n1=nとすると、3∑k=1nk2+3∑k=1nk+nに等しい。したがって
(n+1)3−1=3k=1∑nk2+3k=1∑nk+nである。公式 3.1を代入すると
3k=1∑nk2=(n+1)3−1−23n(n+1)−n=2n(n+1)(2n+1)となる。両辺を3で割ると公式を得る。▨
証明. 恒等式
(k+1)4−k4=4k3+6k2+4k+1をk=1,…,nについて足す。左辺はf(k)=k4とした公式 2.1により(n+1)4−1に等しい。右辺は、定理 1.2を繰り返し用いて項ごとの和に分け、公式 1.3により∑k=1n1=nとすると、4∑k=1nk3+6∑k=1nk2+4∑k=1nk+nに等しい。公式 3.1と公式 3.2を代入すると
4k=1∑nk3=(n+1)4−1−n(n+1)(2n+1)−2n(n+1)−n=n2(n+1)2となる。両辺を4で割ると公式を得る。▨
例 3.4. 正の整数nに対して、定理 1.2を繰り返し用い、公式 3.2、公式 3.1、公式 1.3を代入すると、
k=1∑n(3k2−2k+1)=3k=1∑nk2−2k=1∑nk+k=1∑n1=2n(n+1)(2n+1)−n(n+1)+n=2n(2n2+n+1)である。
4 階差数列と一般項
定義 4.1 (階差数列). 数列{an}に対して
bn=an+1−anで定まる数列{bn}を、{an}の階差数列という。
証明.n≥2とする。n−1は正の整数であり、f(k)=akはk=1,…,nで定義されている。bk=ak+1−akに公式 2.1を上端n−1で用いると
k=1∑n−1bk=k=1∑n−1(ak+1−ak)=an−a1となる。両辺にa1を加えると公式を得る。▨
例 4.3.a1=2、bn=3n+1とする。n≥2のとき、公式 4.2と、nをn−1に替えた公式 3.1により
an=2+k=1∑n−1(3k+1)=2+23n(n−1)+n−1=23n2−n+2である。この式にn=1を代入すると23−1+2=2=a1となるので、すべての正の整数nについてan=23n2−n+2である。
5 部分分数による和の計算
例 5.1.
k1−k+11=k(k+1)(k+1)−k=k(k+1)1である。f(k)=−k1と置くと、左辺はf(k+1)−f(k)に等しい。したがって、公式 2.1により
k=1∑nk(k+1)1=f(n+1)−f(1)=1−n+11=n+1nである。n=1のとき、左辺は1⋅21=21、右辺は21であり一致する。
例 5.2.
21(k1−k+21)=21⋅k(k+2)(k+2)−k=k(k+2)1である。f(k)=−k1−k+11と置くと
f(k+1)−f(k)=−k+11−k+21+k1+k+11=k1−k+21である。したがって、公式 2.1により
k=1∑nk(k+2)1=21{f(n+1)−f(1)}=21(23−n+11−n+21)=4(n+1)(n+2)n(3n+5)である。k1と−k+21は添字が2だけ離れた項どうしで打ち消し合うので、f(n+1)−f(1)には和の両端の二項ずつ、すなわち11,21と−n+11,−n+21が残る。n=1のとき、左辺は1⋅31=31、右辺は4⋅2⋅31⋅8=31であり一致する。
6 演習
問題 6.1. 次の問いに答えよ。
- 正の整数nに対して、∑k=1n(2k3−k2+4)をnの式で表せ。
- すべての正の整数nについてan+1−an=2n+3を満たし、a1=1である数列{an}の一般項を求めよ。n=1の場合を別に確認せよ。
- 正の整数nに対して、∑k=1n(k+1)(k+2)1を部分分数分解を用いて求めよ。
解答.
- 定理 1.2を繰り返し用い、公式 3.3、公式 3.2、公式 1.3を代入すると
k=1∑n(2k3−k2+4)=2n2(n+1)2−6n(n+1)(2n+1)+4n=6n{3n(n+1)2−(n+1)(2n+1)+24}
であり、和は6n(3n3+4n2+23)である。
- n≥2では、公式 4.2により
an=1+k=1∑n−1(2k+3)=1+n(n−1)+3(n−1)=n2+2n−2
である。この式にn=1を代入すると1+2−2=1=a1となるので、すべての正の整数nについてan=n2+2n−2である。
- (k+1)(k+2)1=k+11−k+21である。f(k)=−k+11と置くと右辺はf(k+1)−f(k)に等しいので、公式 2.1により和は
f(n+1)−f(1)=21−n+21=2(n+2)n
である。
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