§B2.1関数の概念とグラフ

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式x\sqrt{x}にx=−4x=-4を入れても、実数としての値は定まりません。式を書くだけでは、どのxxに対しても値が決まるとは限りません。式に入れてよい数の範囲が決まっていなければ、「この関数の値」や「この関数のグラフ」が何を指すのかがはっきりしません。また、同じ式x2x^2でも、入れてよい数を00以上に限るか実数全体にするかで、グラフの形が変わり、別のものとして扱うべき場面があります。

そこで、関数を、入れてよい数の集まりである定義域と、その各要素に値をただ一つ対応させる規則の組として定めます。関数は以降の数学のあらゆる場面で用いられる最も基本的な対象の一つであり、その定義に定義域を含めておくことで、後の議論が何を問うているのかをそろえることができます。

本記事では、関数の定義と、値域およびグラフについて解説します。

1 関数、定義域、値域

定義 1.1 (関数・定義域・値域).DDを実数の集合とする。DDの各要素xxに実数f(x)f(x)をただ一つ対応させる規則を、DD上の 関数 (function) といい、f:D→Rf:D\to\mathbb Rと書く。DDを関数の定義域、{f(x)∣x∈D}\{f(x)\mid x\in D\}を関数の値域という。

関数は、対応の規則と定義域をともに指定して定める。二つの関数f:D→Rf:D\to\mathbb R、g:E→Rg:E\to\mathbb Rは、D=ED=Eであり、かつ各x∈Dx\in Dでf(x)=g(x)f(x)=g(x)であるとき、またそのときに限り等しい(同じ関数である)という。

定義域を示さず式だけで関数を与えたときは、その式が実数として意味をもつ実数xxの全体を定義域とする。

たとえばf(x)=xf(x)=\sqrt{x}を式だけで与えたとき、根号の中身が00以上でなければならないため、定義域は[0,∞)[0,\infty)、値域も[0,∞)[0,\infty)です。

例 1.2.f:[0,∞)→Rf:[0,\infty)\to\mathbb Rとg:R→Rg:\mathbb R\to\mathbb Rを、ともにx↦x2x\mapsto x^2で定める。二つの式は同じであるが、ffの定義域は負の数を含まず、ggの定義域は含む。たとえば−1-1はggの定義域に属しffの定義域には属さないので、定義域が一致せず、ffとggは別の関数である。

さらに、ffとggの値域はいずれも[0,∞)[0,\infty)である。値域が同じであっても、定義域が異なれば関数は一致しない。

注意 1.3 (式を変形しても定義域は広がらない).h(x)=x2−1x−1h(x)=\dfrac{x^2-1}{x-1}の定義域はR∖{1}\mathbb R\setminus\{1\}である。x≠1x\ne1ではh(x)=x+1h(x)=x+1と約分できるが、hhは、R\mathbb R上でx+1x+1を値とする関数とは別の関数である。hhの定義域にx=1x=1は含まれず、hhはx=1x=1に値をもたない。

2 グラフ

定義 2.1 (関数のグラフ). 定義域DD上の関数ffに対して、座標平面上の点(x,f(x))(x,f(x))(x∈Dx\in D)の全体をffのグラフ (graph) という。

グラフの点のxx座標の全体は定義域DDに一致し、yy座標の全体は値域に一致します。したがって、グラフの横方向の広がりが定義域、縦方向の広がりが値域を表します。下の図のy=xy=\sqrt{x}では、x<0x<0に対応する点がありません。

定理 2.2. 座標平面上の図形が、ある関数のグラフであるための必要十分条件は、各実数aaに対し、直線x=ax=aとの共有点が高々一つであることである。

証明. 図形が定義域DD上の関数ffのグラフであるとし、任意の実数aaを固定する。a∉Da\notin Dならば直線x=ax=aはグラフと交わらず、a∈Da\in Dならば共有点は(a,f(a))(a,f(a))だけである。したがって、各直線x=ax=aとグラフとの共有点は高々一つである。

逆に、各直線x=ax=aとの共有点が高々一つである図形CCに対して、D={a∈R∣(a,y)∈C となる実数 y が存在する}D=\{a\in\mathbb R\mid (a,y)\in C\text{ となる実数 }y\text{ が存在する}\}とおく。各a∈Da\in Dについて(a,y)∈C(a,y)\in Cを満たす実数yyは存在し、仮定によりただ一つである。その実数をf(a)f(a)と定めると、ffはDD上の実数値関数であり、CCは点(a,f(a))(a,f(a))(a∈Da\in D)の全体に一致する。ゆえにCCはffのグラフである。▨

例 2.3. 円x2+y2=1x^2+y^2=1は、直線x=0x=0と(0,1)(0,1)、(0,−1)(0,-1)の二点で交わる。定理 2.2の条件がa=0a=0で成り立たないので、この円は関数のグラフではない。

3 演習

問題 3.1 (定義域と値域・関数のグラフ).

  1. R\mathbb R上の関数x↦x2x\mapsto\sqrt{x^2}とx↦∣x∣x\mapsto|x|は同じ関数か。
  2. f(x)=x2f(x)=x^2の定義域を[−1,2][-1,2]とするとき、ffの値域を求めよ。
  3. 上半円y=4−x2y=\sqrt{4-x^2}をyyがxxの式で表された関数のグラフとみて、その定義域と値域を求めよ。
  4. 放物線x=y2x=y^2が関数のグラフでないことを、縦線による判定を用いて示せ。
解答.
  1. 同じ関数である。どちらの定義域もR\mathbb Rである(x2≥0x^2\ge0なのでx2\sqrt{x^2}はすべての実数xxで定まる)。各実数xxについて、x2\sqrt{x^2}は22乗してx2x^2になる00以上の数であり、∣x∣|x|も00以上で∣x∣2=x2|x|^2=x^2を満たすので、x2=∣x∣\sqrt{x^2}=|x|である。したがって定義域が一致し、各点で値も一致する。なおx2=x\sqrt{x^2}=xはx=−1x=-1で成り立たない。
  2. 値域は[0,4][0,4]である。x∈[−1,2]x\in[-1,2]ならば∣x∣≤2|x|\le2なので0≤x2≤40\le x^2\le4である。逆にc∈[0,4]c\in[0,4]に対しx=c∈[0,2]⊂[−1,2]x=\sqrt{c}\in[0,2]\subset[-1,2]とおくとf(x)=cf(x)=cとなる。端点の値f(−1)=1f(-1)=1、f(2)=4f(2)=4だけを見て[1,4][1,4]とするのは誤りである。x=0x=0が定義域に含まれ、f(0)=0f(0)=0だからである。
  3. 定義域は、4−x2≥04-x^2\ge0すなわち−2≤x≤2-2\le x\le2より[−2,2][-2,2]である。値域は[0,2][0,2]である。 \sqrt{\ }は00以上なので値は00以上であり、4−x2≤44-x^2\le4より値は22以下である。逆にc∈[0,2]c\in[0,2]に対しx=4−c2∈[−2,2]x=\sqrt{4-c^2}\in[-2,2]とおくと4−x2=c2=c\sqrt{4-x^2}=\sqrt{c^2}=cとなる。
  4. 直線x=1x=1は放物線と(1,1)(1,1)、(1,−1)(1,-1)の二点で交わる。したがって定理 2.2により、この放物線は関数のグラフではない。yyをxxの関数とみると対応が一つに定まらないが、x=y2x=y^2はxxをyyの関数として表している。

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例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の関数の定義域と値域を求めよ(定義域の指定がなければ、その式が意味をもつ最大の範囲を定義域とする。分母 ≠\ne 0、根号の中 ≥\ge 0、真数 > 0 を必ず確認すること)。

次の2次関数の、指定された定義域における値域を求めよ。

解法の型定義域は式の要請(分母 ≠\ne 0 / 根号の中 ≥\ge 0 / 真数 > 0)から、値域は平方完成・相加相乗・グラフの単調性から読む。定義域を制限すると値域も変わる

  1. 例題 1

    y=2x2+4x+2(0≤x≤2)y = 2x^{2}+4x+2 \qquad (0 \le x \le 2)
  2. 例題 2

    y=−2x2+8x−4(0≤x≤3)y = -2x^{2}+8x-4 \qquad (0 \le x \le 3)
  3. 例題 3

    y=−2x2−4x−3(0≤x≤2)y = -2x^{2}-4x-3 \qquad (0 \le x \le 2)
  4. 例題 4

    y=2x2+8x+5(−1≤x≤1)y = 2x^{2}+8x+5 \qquad (-1 \le x \le 1)
  5. 例題 5

    y=2x2+8x+5(−3≤x≤0)y = 2x^{2}+8x+5 \qquad (-3 \le x \le 0)
  6. 例題 6

    y=−x2−4x−1(−2≤x≤1)y = -x^{2}-4x-1 \qquad (-2 \le x \le 1)
  7. 例題 7

    y=−x2−4(−3≤x≤−1)y = -x^{2}-4 \qquad (-3 \le x \le -1)
  8. 例題 8

    y=−2x2−4(−1≤x≤2)y = -2x^{2}-4 \qquad (-1 \le x \le 2)
  9. 例題 9

    y=2x2−4x−1(0≤x≤4)y = 2x^{2}-4x-1 \qquad (0 \le x \le 4)
  10. 例題 10

    y=−2x2+4x+1(0≤x≤3)y = -2x^{2}+4x+1 \qquad (0 \le x \le 3)

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の関数の定義域と値域を求めよ(定義域の指定がなければ、その式が意味をもつ最大の範囲を定義域とする。分母 ≠\ne 0、根号の中 ≥\ge 0、真数 > 0 を必ず確認すること)。

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