§B2.13高次導関数と曲線の凹凸

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導関数の符号を調べると、関数がどの区間で増加し、どの区間で減少するかが分かります。しかし、増加しているというだけでは、グラフがどのように曲がっているかは分かりません。たとえばf(x)=x3−3xf(x)=x^3-3xはx>1x>1でもx<−1x<-1でも増加していますが、前者では曲線が下に凸、後者では上に凸であり、同じ増加でも形が異なります。

この曲がり方は、接線の傾きを表す導関数がどう変化するかで決まります。導関数をさらに微分した第2次導関数は、この変化を読むための基本的な道具であり、曲線の凹凸や、凹凸が入れ替わる変曲点を調べるときに広く用いられます。増減と凹凸をあわせると、グラフの概形をかなり正確に描くことができ、増減を使って不等式を示すときにも同じ見方が役立ちます。

本記事では、高次導関数と曲線の凹凸について、基本的な性質や代表的な例を解説します。

1 曲線の凹凸と変曲点

定義 1.1 (下に凸・上に凸). 関数ffは開区間JJの各点で微分可能であるとする。JJの各点ccに、曲線y=f(x)y=f(x)の点(c,f(c))(c,f(c))における接線の傾きf′(c)f'(c)を対応させる関数f′f'が、JJ上で狭義単調増加であるとき、曲線y=f(x)y=f(x)はJJで下に凸 (convex) であるという。f′f'がJJ上で狭義単調減少であるとき、曲線y=f(x)y=f(x)はJJで上に凸 (concave) であるという。

注意 1.2 (弦による定義).定義 1.1では、接線の傾きの増え方によって凹凸が定められている。これに対して、区間JJ上の関数ffについて、x1<x2x_1<x_2を満たすすべてのx1,x2∈Jx_1,x_2\in Jと0≤t≤10\le t\le1を満たすすべてのttで

f((1−t)x1+tx2)≤(1−t)f(x1)+tf(x2)f\bigl((1-t)x_1+tx_2\bigr)\le(1-t)f(x_1)+tf(x_2)

が成り立つこと、すなわち曲線上の2点を結ぶ弦がその2点の間で曲線より下に来ないことによって、下に凸を定める流儀もある。この流儀では、上に凸は不等号の向きを逆にした条件で定める。実数m,km,kについてf(x)=mx+kf(x)=mx+kと定めると、ffは上の不等式を等号で満たすので、この流儀では直線y=mx+ky=mx+kは下に凸である。一方、f′(x)=mf'(x)=mは狭義単調増加でも狭義単調減少でもないので、直線y=mx+ky=mx+kは定義 1.1では下に凸でも上に凸でもない。

定義 1.3 (高次導関数と変曲点). 関数ffの導関数f′f'が微分可能であるとき、f′f'の導関数をf′′f''と書き、ffの第2次導関数 (second derivative) という。一般に、f(1)=f′f^{(1)}=f'とし、正の整数nnについてf(n)f^{(n)}が定まり、さらに微分可能であるとき、f(n)f^{(n)}の導関数をf(n+1)f^{(n+1)}と書く。f(n)f^{(n)}をffの第nn次導関数 (nn-th derivative) という。f(2)=f′′f^{(2)}=f''であり、f(3)f^{(3)}をf′′′f'''とも書く。第2次以上の導関数を高次導関数 (higher-order derivative) という。

開区間IIの各点でffが微分可能であり、さらにf′f'がIIの各点で微分可能であるとき、ffはIIで2回微分可能 (twice differentiable) であるという。

ffを開区間IIで2回微分可能な関数とし、a∈Ia\in Iとする。ある正の数δ\deltaについて(a−δ,a+δ)⊆I(a-\delta,a+\delta)\subseteq Iであり、曲線y=f(x)y=f(x)が(a−δ,a)(a-\delta,a)と(a,a+δ)(a,a+\delta)の一方で下に凸、他方で上に凸であるとき、点(a,f(a))(a,f(a))を曲線y=f(x)y=f(x)の変曲点 (inflection point) という。

例 1.4.R\R上でf(x)=x4f(x)=x^4と定める。§B2.5 公式 2.1を繰り返し用いると、すべての実数xxについて

f′(x)=4x3,f′′(x)=12x2,f′′′(x)=24x,f(4)(x)=24f'(x)=4x^3,\qquad f''(x)=12x^2,\qquad f'''(x)=24x,\qquad f^{(4)}(x)=24

である。f(5)f^{(5)}は定数関数00であり、定数関数00の導関数は定数関数00であるから、55以上のすべての整数nnについてf(n)(x)=0f^{(n)}(x)=0である。とくに、ffはR\Rで2回微分可能である。

定理 1.5. 関数ffは開区間IIで2回微分可能であるとする。IIのすべてのxxについてf′′(x)>0f''(x)>0ならば、曲線y=f(x)y=f(x)はIIで下に凸である。IIのすべてのxxについてf′′(x)<0f''(x)<0ならば、曲線y=f(x)y=f(x)はIIで上に凸である。

証明.ffはIIで2回微分可能であるから、f′f'は開区間IIの各点で微分可能であり、その導関数はf′′f''である。したがって、§B2.5 定理 4.2を関数f′f'と開区間IIに適用することができる。IIのすべてのxxでf′′(x)>0f''(x)>0ならば、§B2.5 定理 4.2 (1)によりf′f'はII上で狭義単調増加であるから、曲線y=f(x)y=f(x)はIIで下に凸である。IIのすべてのxxでf′′(x)<0f''(x)<0ならば、§B2.5 定理 4.2 (2)によりf′f'はII上で狭義単調減少であるから、曲線y=f(x)y=f(x)はIIで上に凸である。▨

注意 1.6 (凹凸判定と不等式の証明の根拠).定理 1.5の証明と、後の定理 3.1の証明は、どちらも§B2.5 定理 4.2を根拠とする。§B2.5 定理 4.2の証明では平均値の定理を証明せずに用いており、平均値の定理の証明は§D1.14 微分の定義と平均値の定理で与えられる。

定理 1.7. 関数ffは開区間IIで2回微分可能であるとし、a∈Ia\in Iとする。点(a,f(a))(a,f(a))が曲線y=f(x)y=f(x)の変曲点ならば、f′′(a)=0f''(a)=0である。

証明. 変曲点の定義により、ある正の数δ\deltaについて(a−δ,a+δ)⊆I(a-\delta,a+\delta)\subseteq Iであり、曲線y=f(x)y=f(x)は(a−δ,a)(a-\delta,a)と(a,a+δ)(a,a+\delta)の一方で下に凸、他方で上に凸である。

曲線が(a−δ,a)(a-\delta,a)で下に凸であり、(a,a+δ)(a,a+\delta)で上に凸であるとする。f′f'はaaで微分可能であるから、§B2.10 定理 2.1により、t→at\to aのときf′(t)→f′(a)f'(t)\to f'(a)であり、§B1.10 定理 2.2により、t→a−0t\to a-0のときもt→a+0t\to a+0のときもf′(t)→f′(a)f'(t)\to f'(a)である。a−δ<x<aa-\delta<x<aを満たすxxをとる。f′f'は(a−δ,a)(a-\delta,a)上で狭義単調増加であるから、x<t<ax<t<aを満たすすべてのttについてf′(x)<f′(t)f'(x)<f'(t)である。t→a−0t\to a-0とすると、§B1.10 定理 3.1 (4)によりf′(x)≤f′(a)f'(x)\le f'(a)である。a<x<a+δa<x<a+\deltaを満たすxxをとる。f′f'は(a,a+δ)(a,a+\delta)上で狭義単調減少であるから、a<t<xa<t<xを満たすすべてのttについてf′(x)<f′(t)f'(x)<f'(t)である。t→a+0t\to a+0とすると、§B1.10 定理 3.1 (4)によりf′(x)≤f′(a)f'(x)\le f'(a)である。したがって、開区間(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)のすべてのxxについてf′(x)≤f′(a)f'(x)\le f'(a)であり、f′f'はaaで極大である。aaはf′f'の定義域に含まれる開区間IIの点であり、f′f'はaaで微分可能であるから、§B2.5 定理 3.3をf′f'に適用するとf′′(a)=(f′)′(a)=0f''(a)=(f')'(a)=0である。

曲線が(a−δ,a)(a-\delta,a)で上に凸であり、(a,a+δ)(a,a+\delta)で下に凸であるとする。g=−fg=-fとおくと、§B2.5 公式 2.1によりggはIIで2回微分可能であり、g′=−f′g'=-f'、g′′=−f′′g''=-f''である。f′f'は(a−δ,a)(a-\delta,a)上で狭義単調減少であるからg′g'は(a−δ,a)(a-\delta,a)上で狭義単調増加であり、f′f'は(a,a+δ)(a,a+\delta)上で狭義単調増加であるからg′g'は(a,a+δ)(a,a+\delta)上で狭義単調減少である。したがって、曲線y=g(x)y=g(x)は(a−δ,a)(a-\delta,a)で下に凸であり、(a,a+δ)(a,a+\delta)で上に凸である。前段の議論をggに適用するとg′′(a)=0g''(a)=0であり、f′′(a)=−g′′(a)=0f''(a)=-g''(a)=0である。▨

開区間IIで2回微分可能な関数ffとa∈Ia\in Iについて、f′′(a)=0f''(a)=0は点(a,f(a))(a,f(a))が変曲点であるための必要条件ですが、十分条件ではありません。一方、ある正の数δ\deltaについて(a−δ,a+δ)⊆I(a-\delta,a+\delta)\subseteq Iであり、f′′(x)f''(x)が(a−δ,a)(a-\delta,a)のすべての点で正、(a,a+δ)(a,a+\delta)のすべての点で負である場合、またはその逆の場合には、定理 1.5により曲線y=f(x)y=f(x)は(a−δ,a)(a-\delta,a)と(a,a+δ)(a,a+\delta)の一方で下に凸、他方で上に凸であり、点(a,f(a))(a,f(a))は変曲点です。そこで変曲点を求めるときは、f′′(x)=0f''(x)=0を満たすxxを候補とし、その前後でf′′(x)f''(x)の符号が実際に変わるかを確かめます。

例 1.8.R\R上でf(x)=x4f(x)=x^4と定める。例 1.4によりf′′(x)=12x2f''(x)=12x^2であり、f′′(0)=0f''(0)=0である。x≠0x\ne0を満たすすべてのxxでf′′(x)>0f''(x)>0であるから、定理 1.5により、曲線y=x4y=x^4は(−∞,0)(-\infty,0)でも(0,∞)(0,\infty)でも下に凸であり、f′f'は(−∞,0)(-\infty,0)上と(0,∞)(0,\infty)上でそれぞれ狭義単調増加である。正の数δ\deltaをどのようにとっても、f′f'は(−δ,0)(-\delta,0)上と(0,δ)(0,\delta)上でそれぞれ狭義単調増加であるから、どちらの区間の上でも狭義単調減少でなく、曲線はどちらの区間でも上に凸でない。したがって、f′′(0)=0f''(0)=0であるが点(0,0)(0,0)は変曲点ではなく、定理 1.7の逆は成り立たない。

2 増減と凹凸の表

例 2.1.R\R上でf(x)=x3−3xf(x)=x^3-3xと定める。§B2.5 例 4.6で求めたとおり、f′(x)=3(x+1)(x−1)f'(x)=3(x+1)(x-1)であり、ffは(−∞,−1](-\infty,-1]上と[1,∞)[1,\infty)上で狭義単調増加、[−1,1][-1,1]上で狭義単調減少であって、−1-1で極大値22をとり、11で極小値−2-2をとる。さらにf′′(x)=6xf''(x)=6xであり、f′′(x)f''(x)はx<0x<0で負、x>0x>0で正である。定理 1.5により、曲線y=f(x)y=f(x)は(−∞,0)(-\infty,0)で上に凸であり、(0,∞)(0,\infty)で下に凸である。とくに、曲線は(−1,0)(-1,0)で上に凸、(0,1)(0,1)で下に凸であるから、δ=1\delta=1として、点(0,0)(0,0)は変曲点である。f′′(x)=0f''(x)=0を満たすxxは00だけであるから、定理 1.7により、ほかに変曲点はない。

f′f'とf′′f''の符号が変わるx=−1,0,1x=-1,0,1で区切り、導関数と第2次導関数の符号、増減と凹凸、区切りの点での値を一つの表にまとめる。

xx (−∞,−1)(-\infty,-1) −1-1 (−1,0)(-1,0) 00 (0,1)(0,1) 11 (1,∞)(1,\infty)
f′(x)f'(x) ++ 00 −- −3-3 −- 00 ++
f′′(x)f''(x) −- −6-6 −- 00 ++ 66 ++
f(x)f(x) 増加・上に凸 22 減少・上に凸 00 減少・下に凸 −2-2 増加・下に凸

表の「増加」「減少」は、その列の区間でffが狭義単調増加、狭義単調減少であることを表し、「上に凸」「下に凸」は、その列の区間で曲線y=f(x)y=f(x)が上に凸、下に凸であることを表す。

3 微分を用いる不等式の証明

定理 3.1.IIを区間とし(有界でなくてもよく、端点を含むかどうかも問わない)、a∈Ia\in Iとする。関数FFの定義域はIIを含み、FFはII上で連続であり、IIの内部の各点で微分可能で、IIの内部のすべてのxxについてF′(x)≥0F'(x)\ge0であるとする。このとき、FFはII上で広義単調増加であり、x≥ax\ge aを満たすすべてのx∈Ix\in IについてF(x)≥F(a)F(x)\ge F(a)、x≤ax\le aを満たすすべてのx∈Ix\in IについてF(x)≤F(a)F(x)\le F(a)である。とくに、F(a)=0F(a)=0ならば、x≥ax\ge aを満たすすべてのx∈Ix\in IについてF(x)≥0F(x)\ge0である。

証明.§B2.5 定理 4.2 (3)により、FFはII上で広義単調増加である。x∈Ix\in Iをとる。x>ax>aならば、広義単調増加の定義によりF(a)≤F(x)F(a)\le F(x)であり、x<ax<aならばF(x)≤F(a)F(x)\le F(a)であり、x=ax=aならばF(x)=F(a)F(x)=F(a)である。したがって、x≥ax\ge aを満たすすべてのx∈Ix\in IについてF(x)≥F(a)F(x)\ge F(a)、x≤ax\le aを満たすすべてのx∈Ix\in IについてF(x)≤F(a)F(x)\le F(a)である。F(a)=0F(a)=0ならば、x≥ax\ge aを満たすすべてのx∈Ix\in IについてF(x)≥F(a)=0F(x)\ge F(a)=0である。▨

例 3.2.x≥0x\ge0を満たすすべてのxxについてx3+1≥x2+xx^3+1\ge x^2+xであることを示す。R\R上でF(x)=x3−x2−x+1F(x)=x^3-x^2-x+1と定めると、

F′(x)=3x2−2x−1=(3x+1)(x−1)F'(x)=3x^2-2x-1=(3x+1)(x-1)

である。FFはR\Rの各点で微分可能であるから、§B2.10 定理 2.1によりR\Rの各点で連続である。また、F(1)=0F(1)=0である。

区間[1,∞)[1,\infty)の内部(1,∞)(1,\infty)のすべてのxxについて、3x+1>03x+1>0かつx−1>0x-1>0であるからF′(x)>0F'(x)>0である。定理 3.1をI=[1,∞)I=[1,\infty)、a=1a=1として用いると、x≥1x\ge1を満たすすべてのxxについてF(x)≥F(1)=0F(x)\ge F(1)=0である。

区間[0,1][0,1]の内部(0,1)(0,1)のすべてのxxについて、3x+1>03x+1>0かつx−1<0x-1<0であるからF′(x)<0F'(x)<0である。G=−FG=-Fとおくと、GGは[0,1][0,1]上で連続であり、(0,1)(0,1)のすべてのxxについてG′(x)=−F′(x)>0G'(x)=-F'(x)>0である。定理 3.1を関数GGにI=[0,1]I=[0,1]、a=1a=1として用いると、0≤x≤10\le x\le1を満たすすべてのxxについてG(x)≤G(1)=0G(x)\le G(1)=0、すなわちF(x)≥0F(x)\ge0である。

したがって、x≥0x\ge0を満たすすべてのxxについてF(x)≥0F(x)\ge0、すなわちx3+1≥x2+xx^3+1\ge x^2+xである。なお、F(x)=(x−1)2(x+1)F(x)=(x-1)^2(x+1)と因数分解しても、同じ結論を直接確かめることができる。

例 3.3. 角を弧度法で測る。x≥0x\ge0を満たすすべてのxxについてsin⁡x≤x\sin x\le xであり、すべての実数xxについてcos⁡x≥1−x22\cos x\ge1-\dfrac{x^2}2であることを示す。

R\R上でF(x)=x−sin⁡xF(x)=x-\sin xと定める。§B2.11 定理 4.1により、FFはR\Rの各点で微分可能であり、F′(x)=1−cos⁡xF'(x)=1-\cos xである。§B2.10 定理 2.1によりFFはR\Rの各点で連続である。すべての実数xxでcos⁡x≤1\cos x\le1であるから、F′(x)≥0F'(x)\ge0である。F(0)=0F(0)=0であるから、定理 3.1をI=RI=\R、a=0a=0として用いると、x≥0x\ge0を満たすすべてのxxについてF(x)≥0F(x)\ge0、すなわちsin⁡x≤x\sin x\le xである。

R\R上でG(x)=cos⁡x−1+x22G(x)=\cos x-1+\dfrac{x^2}2と定める。§B2.11 定理 4.1により、GGはR\Rの各点で微分可能であり、G′(x)=−sin⁡x+x=F(x)G'(x)=-\sin x+x=F(x)である。§B2.10 定理 2.1によりGGはR\Rの各点で連続であり、とくに区間[0,∞)[0,\infty)上で連続である。前段により、[0,∞)[0,\infty)の内部(0,∞)(0,\infty)のすべてのxxについてG′(x)=F(x)≥0G'(x)=F(x)\ge0である。G(0)=cos⁡0−1=0G(0)=\cos0-1=0であるから、定理 3.1をI=[0,∞)I=[0,\infty)、a=0a=0として用いると、x≥0x\ge0を満たすすべてのxxについてG(x)≥0G(x)\ge0である。x<0x<0ならば−x>0-x>0であり、cos⁡(−x)=cos⁡x\cos(-x)=\cos xであるからG(x)=G(−x)≥0G(x)=G(-x)\ge0である。したがって、すべての実数xxについてG(x)≥0G(x)\ge0、すなわちcos⁡x≥1−x22\cos x\ge1-\dfrac{x^2}2である。

4 演習

問題 4.1 (分数関数の変曲点).R\R上でf(x)=xx2+1f(x)=\dfrac{x}{x^2+1}と定める。f′′(x)f''(x)の符号を調べて曲線y=f(x)y=f(x)の凹凸を調べ、変曲点をすべて求めよ。

解答.

すべての実数xxでx2+1>0x^2+1>0であるから、§B2.10 定理 4.1によりffはR\Rの各点で微分可能であり、

f′(x)=1⋅(x2+1)−x⋅2x(x2+1)2=1−x2(x2+1)2f'(x)=\frac{1\cdot(x^2+1)-x\cdot2x}{(x^2+1)^2}=\frac{1-x^2}{(x^2+1)^2}

である。分母の(x2+1)2=x4+2x2+1(x^2+1)^2=x^4+2x^2+1は多項式であり、その導関数は4x3+4x=4x(x2+1)4x^3+4x=4x(x^2+1)である。すべての実数xxで(x2+1)2>0(x^2+1)^2>0であるから、再び§B2.10 定理 4.1によりf′f'はR\Rの各点で微分可能であり、

f′′(x)=−2x(x2+1)2−(1−x2)⋅4x(x2+1)(x2+1)4=−2x(x2+1)−4x(1−x2)(x2+1)3=2x(x2−3)(x2+1)3f''(x)=\frac{-2x(x^2+1)^2-(1-x^2)\cdot4x(x^2+1)}{(x^2+1)^4}=\frac{-2x(x^2+1)-4x(1-x^2)}{(x^2+1)^3}=\frac{2x(x^2-3)}{(x^2+1)^3}

である。したがって、ffはR\Rで2回微分可能である。(x2+1)3>0(x^2+1)^3>0であるから、f′′(x)f''(x)の符号は2x(x+3)(x−3)2x(x+\sqrt3)(x-\sqrt3)の符号に等しく、x<−3x<-\sqrt3と0<x<30<x<\sqrt3で負、−3<x<0-\sqrt3<x<0とx>3x>\sqrt3で正である。定理 1.5により、曲線y=f(x)y=f(x)は(−∞,−3)(-\infty,-\sqrt3)と(0,3)(0,\sqrt3)で上に凸であり、(−3,0)(-\sqrt3,0)と(3,∞)(\sqrt3,\infty)で下に凸である。

δ=3\delta=\sqrt3とする。曲線は(−23,−3)(-2\sqrt3,-\sqrt3)で上に凸、(−3,0)(-\sqrt3,0)で下に凸であるから、点(−3,f(−3))(-\sqrt3,f(-\sqrt3))は変曲点である。曲線は(−3,0)(-\sqrt3,0)で下に凸、(0,3)(0,\sqrt3)で上に凸であるから、点(0,f(0))(0,f(0))は変曲点である。曲線は(0,3)(0,\sqrt3)で上に凸、(3,23)(\sqrt3,2\sqrt3)で下に凸であるから、点(3,f(3))(\sqrt3,f(\sqrt3))は変曲点である。f′′(x)=0f''(x)=0を満たすxxは−3-\sqrt3、00、3\sqrt3だけであるから、定理 1.7により、ほかに変曲点はない。f(−3)=−34f(-\sqrt3)=-\dfrac{\sqrt3}4、f(0)=0f(0)=0、f(3)=34f(\sqrt3)=\dfrac{\sqrt3}4であるから、変曲点は(−3,−34)\left(-\sqrt3,-\dfrac{\sqrt3}4\right)、(0,0)(0,0)、(3,34)\left(\sqrt3,\dfrac{\sqrt3}4\right)である。▨

問題 4.2 (傾きが 0 の変曲点).R\R上でf(x)=x4−4x3f(x)=x^4-4x^3と定める。増減と凹凸を一つの表にまとめ、ffの極値と曲線y=f(x)y=f(x)の変曲点をすべて求めよ。また、f′(0)=0f'(0)=0であるが、ffは00で極値をとらないことを示せ。

解答.

§B2.5 公式 2.1により、

f′(x)=4x3−12x2=4x2(x−3),f′′(x)=12x2−24x=12x(x−2)f'(x)=4x^3-12x^2=4x^2(x-3),\qquad f''(x)=12x^2-24x=12x(x-2)

であり、ffはR\Rで2回微分可能である。f′(x)f'(x)はx<0x<0と0<x<30<x<3で負、x>3x>3で正であり、f′′(x)f''(x)はx<0x<0とx>2x>2で正、0<x<20<x<2で負である。ffはR\Rの各点で微分可能であるから、§B2.10 定理 2.1によりR\Rの各点で連続である。§B2.5 定理 4.2により、ffは(−∞,0](-\infty,0]上と[0,3][0,3]上でそれぞれ狭義単調減少であり、[3,∞)[3,\infty)上で狭義単調増加である。定理 1.5により、曲線y=f(x)y=f(x)は(−∞,0)(-\infty,0)と(2,∞)(2,\infty)で下に凸であり、(0,2)(0,2)で上に凸である。f(0)=0f(0)=0、f(2)=−16f(2)=-16、f(3)=−27f(3)=-27、f′(2)=−16f'(2)=-16、f′′(3)=36f''(3)=36であるから、増減と凹凸の表は次のとおりである。

xx (−∞,0)(-\infty,0) 00 (0,2)(0,2) 22 (2,3)(2,3) 33 (3,∞)(3,\infty)
f′(x)f'(x) −- 00 −- −16-16 −- 00 ++
f′′(x)f''(x) ++ 00 −- 00 ++ 3636 ++
f(x)f(x) 減少・下に凸 00 減少・上に凸 −16-16 減少・下に凸 −27-27 増加・下に凸

表の読み方は例 2.1の表と同じである。

δ=3\delta=3とすると、0<x<30<x<3でf′(x)<0f'(x)<0、3<x<63<x<6でf′(x)>0f'(x)>0であるから、§B2.5 定理 4.5 (2)によりffは33で極小であり、極小値はf(3)=−27f(3)=-27である。ffは(−∞,0](-\infty,0]上と[0,3][0,3]上で狭義単調減少であるから、x<0x<0ならばf(x)>f(0)f(x)>f(0)であり、0<x≤30<x\le3ならばf(x)<f(0)f(x)<f(0)である。00を含むどの開区間も、f(x)>f(0)f(x)>f(0)を満たすx<0x<0と、f(x)<f(0)f(x)<f(0)を満たす0<x≤30<x\le3を含むので、ffは00で極大でも極小でもない。ffはR\Rの各点で微分可能であり、f′(x)=0f'(x)=0を満たすxxは00と33だけであるから、§B2.5 定理 3.3により、ffの極値は33における極小値−27-27だけである。とくに、f′(0)=0f'(0)=0であるが、ffは00で極値をとらない。

曲線は(−2,0)(-2,0)で下に凸、(0,2)(0,2)で上に凸であるから、δ=2\delta=2として、点(0,0)(0,0)は変曲点である。曲線は(1,2)(1,2)で上に凸、(2,3)(2,3)で下に凸であるから、δ=1\delta=1として、点(2,−16)(2,-16)は変曲点である。f′′(x)=0f''(x)=0を満たすxxは00と22だけであるから、定理 1.7により、ほかに変曲点はない。f′(0)=0f'(0)=0であるから、変曲点(0,0)(0,0)における接線はy=0y=0であり、その傾きは00である。▨

問題 4.3 (2次式の不等式).R\R上でF(x)=x2−2x+1F(x)=x^2-2x+1と定める。定理 3.1を用いて、すべての実数xxについてF(x)≥0F(x)\ge0であることを示し、FFの最小値を求めよ。

解答.

F′(x)=2x−2=2(x−1)F'(x)=2x-2=2(x-1)である。FFはR\Rの各点で微分可能であるから、§B2.10 定理 2.1によりR\Rの各点で連続である。また、F(1)=0F(1)=0である。区間[1,∞)[1,\infty)の内部(1,∞)(1,\infty)のすべてのxxでF′(x)>0F'(x)>0であるから、定理 3.1をI=[1,∞)I=[1,\infty)、a=1a=1として用いると、x≥1x\ge1を満たすすべてのxxでF(x)≥F(1)=0F(x)\ge F(1)=0である。G=−FG=-Fとおくと、G′(x)=−2(x−1)G'(x)=-2(x-1)であり、区間(−∞,1](-\infty,1]の内部(−∞,1)(-\infty,1)のすべてのxxでG′(x)>0G'(x)>0である。定理 3.1を関数GGにI=(−∞,1]I=(-\infty,1]、a=1a=1として用いると、x≤1x\le1を満たすすべてのxxでG(x)≤G(1)=0G(x)\le G(1)=0、すなわちF(x)≥0F(x)\ge0である。したがって、すべての実数xxでF(x)≥0=F(1)F(x)\ge0=F(1)であり、FFはx=1x=1で最小値00をとる。▨

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の関数について f″(x) を求め、グラフの凹凸(下に凸・上に凸となる x の範囲)と変曲点の座標を答えよ。

解法の型f″ > 0 で下に凸、f″ < 0 で上に凸。f″ == 0 かつその前後で符号が変わる点が変曲点

  1. 例題 1

    f(x)=x4−6x2−2x+3f(x) = x^{4}-6x^{2}-2x+3
  2. 例題 2

    f(x)=−x3+3x2−3f(x) = -x^{3}+3x^{2}-3
  3. 例題 3

    f(x)=−x3−6x2+3xf(x) = -x^{3}-6x^{2}+3x
  4. 例題 4

    f(x)=−2x3−6x2−xf(x) = -2x^{3}-6x^{2}-x
  5. 例題 5

    f(x)=x4−4x3−x+3f(x) = x^{4}-4x^{3}-x+3
  6. 例題 6

    f(x)=2x3+6x2−3x+3f(x) = 2x^{3}+6x^{2}-3x+3
  7. 例題 7

    f(x)=−2x3+12x2+x+1f(x) = -2x^{3}+12x^{2}+x+1
  8. 例題 8

    f(x)=x3+3x2+x+2f(x) = x^{3}+3x^{2}+x+2
  9. 例題 9

    f(x)=x4−4x3+3x+2f(x) = x^{4}-4x^{3}+3x+2
  10. 例題 10

    f(x)=x4−4x3+x−1f(x) = x^{4}-4x^{3}+x-1

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の関数について f″(x) を求め、グラフの凹凸(下に凸・上に凸となる x の範囲)と変曲点の座標を答えよ。

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