§B2.9分数関数・無理関数

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分母または根号を含む式では、最初に定義域を定めます。分数関数の漸近線を求め、根号を含む方程式はもとの式に代入して解を判定します。

1 分数関数

定義 1.1 (分数関数). 実係数多項式P(x)P(x)と、零多項式でない実係数多項式Q(x)Q(x)を用いて

f(x)=P(x)Q(x)f(x)=\frac{P(x)}{Q(x)}

と表される関数を 分数関数 (rational function) という。その定義域はQ(x)≠0Q(x)\ne0を満たす実数全体である。QQが定数のときは多項式関数になるが、これも分数関数に含める。QQが定数でないものだけを分数関数とよぶ流儀もある。

例 1.2.f(x)=2x+4x+2f(x)=\dfrac{2x+4}{x+2}の定義域はx≠−2x\ne-2である。x≠−2x\ne-2ではf(x)=2f(x)=2であるが、x=−2x=-2における値は定義されていない。グラフは直線y=2y=2から点(−2,2)(-2,2)を除いたものであり、直線y=2y=2全体でも双曲線でもない。

定義 1.3 (一次分数関数).a,b,c,da,b,c,dを実数とし、c≠0c\ne0、ad−bc≠0ad-bc\ne0とする。f(x)=ax+bcx+df(x)=\frac{ax+b}{cx+d}と表される関数を 一次分数関数 (linear fractional function) という。

定理 1.4.k≠0k\ne0、p,qp,qを実数とする。

  1. y=kx−p+qy=\dfrac{k}{x-p}+qのグラフは、y=kxy=\dfrac kxのグラフをxx軸方向にpp、yy軸方向にqqだけ平行移動したものである。定義域はR∖{p}\mathbb R\setminus\{p\}、値域はR∖{q}\mathbb R\setminus\{q\}であり、直線x=px=pが垂直漸近線、直線y=qy=qが水平漸近線である。
  2. 一次分数関数ax+bcx+d\dfrac{ax+b}{cx+d}は、p=−dcp=-\dfrac dc、q=acq=\dfrac ac、k=bc−adc2k=\dfrac{bc-ad}{c^2}とおくとx≠px\ne pでkx−p+q\dfrac{k}{x-p}+qに等しく、k≠0k\ne0である。

証明.

  1. g(x)=k/xg(x)=k/xの定義域はD=R∖{0}D=\mathbb R\setminus\{0\}である。k≠0k\ne0よりg(x)≠0g(x)\ne0であり、y≠0y\ne0に対してx=k/yx=k/yとおけばg(x)=yg(x)=yとなるので、値域はg(D)=R∖{0}g(D)=\mathbb R\setminus\{0\}である。§B2.2 定理 1.1により、平行移動後のグラフはy=g(x−p)+q=k/(x−p)+qy=g(x-p)+q=k/(x-p)+q、定義域はD+p=R∖{p}D+p=\mathbb R\setminus\{p\}、値域はg(D)+q=R∖{q}g(D)+q=\mathbb R\setminus\{q\}である。

    x→p+0x\to p+0のときx−p→+0x-p\to+0であるから、k/(x−p)k/(x-p)はk>0k>0なら正の無限大に、k<0k<0なら負の無限大に発散する。定数qqを加えても発散の向きは変わらない。x→p−0x\to p-0のときはx−p→−0x-p\to-0であり、向きが逆になって同様に発散する。したがって、§B2.3 定義 3.1によりx=px=pは垂直漸近線である。また、x→+∞x\to+\inftyまたはx→−∞x\to-\inftyのときk/(x−p)→0k/(x-p)\to0であるから、k/(x−p)+q→qk/(x-p)+q\to qであり、y=qy=qは水平漸近線である。

  2. cx+d=c(x−p)cx+d=c(x-p)であり、ax+b=a(x−p)+(ap+b)=a(x−p)+bc−adcax+b=a(x-p)+(ap+b)=a(x-p)+\dfrac{bc-ad}{c}である。x≠px\ne pでc(x−p)c(x-p)で割ると

    ax+bcx+d=ac+bc−adc2⋅1x−p=kx−p+q\frac{ax+b}{cx+d}=\frac ac+\frac{bc-ad}{c^2}\cdot\frac1{x-p}=\frac{k}{x-p}+q

    を得る。ad−bc≠0ad-bc\ne0よりk≠0k\ne0である。

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y=k/xy=k/xのグラフは直角双曲線とよばれます。一次分数関数のグラフは、この直角双曲線を平行移動したものです。

注意 1.5 (漸近線を述べる条件).c≠0c\ne0とする。ad−bc≠0ad-bc\ne0ならば

ax+bcx+d=ac+bc−adc21x+d/c=kx−p+q,\frac{ax+b}{cx+d} =\frac{a}{c}+\frac{bc-ad}{c^2}\frac{1}{x+d/c} =\frac{k}{x-p}+q,

ただし

p=−dc,q=ac,k=bc−adc2≠0p=-\frac dc,\qquad q=\frac ac,\qquad k=\frac{bc-ad}{c^2}\ne0

である。一方、ad−bc=0ad-bc=0ならばk=0k=0となり、関数はx=px=pを除いて定数qqに等しい。この場合のグラフには穴があり、x=px=pは漸近線ではない。

例 1.6.f(x)=2x−1x−1f(x)=\dfrac{2x-1}{x-1}とする。a=2a=2、b=−1b=-1、c=1c=1、d=−1d=-1でad−bc=−1≠0ad-bc=-1\ne0であり、p=1p=1、q=2q=2、k=1k=1であるからf(x)=1x−1+2f(x)=\dfrac1{x-1}+2と書ける。分母が00でない条件から定義域はR∖{1}\mathbb R\setminus\{1\}である。y=f(x)y=f(x)とおくとy−2=1/(x−1)y-2=1/(x-1)であるからy≠2y\ne2であり、逆にy≠2y\ne2に対してx=1+1/(y−2)x=1+1/(y-2)とおけばf(x)=yf(x)=yとなる。したがって値域はR∖{2}\mathbb R\setminus\{2\}である。このx=1+1/(y−2)x=1+1/(y-2)は、yyからxxを求める式、すなわち逆関数の式でもある。定理 1.4により、x=1x=1とy=2y=2が漸近線である。

2 無理関数

定義 2.1 (無理関数).xxの式で表され、その式にR(x)\sqrt{R(x)}の形の根号(平方根)を含む関数を 無理関数 (irrational function) と呼ぶ。定義域は、式に現れる各根号R(x)\sqrt{R(x)}についてR(x)R(x)が定義されR(x)≥0R(x)\ge0を満たし、かつ式全体が定義される実数xx全体である。

例 2.2.g(x)=2x−6g(x)=\sqrt{2x-6}の定義域は2x−6≥02x-6\ge0、すなわちx≥3x\ge3である。g(x)≥0g(x)\ge0であり、任意のy≥0y\ge0に対してx=(y2+6)/2x=(y^2+6)/2とおけばg(x)=yg(x)=yとなるので、値域は[0,∞)[0,\infty)である。グラフは端点(3,0)(3,0)から右上へ延びる。また、g(x)g(x)は負の値をとらないため、方程式2x−6=−1\sqrt{2x-6}=-1は解をもたない。

3 無理方程式と両辺の二乗

定理 3.1. 実数AA、BBについてA=BA=BならばA2=B2A^2=B^2である。しかしA2=B2A^2=B^2からはA=BA=BまたはA=−BA=-Bが従うだけであり、一般にはA=BA=Bは従わない。ただしA≥0A\ge0かつB≥0B\ge0ならば、A=BA=BとA2=B2A^2=B^2は同値である。

証明. 実数A,BA,Bをとる。等式

A2−B2=(A−B)(A+B)A^2-B^2=(A-B)(A+B)

が成り立つ。A=BA=BならばA2=B2A^2=B^2である。一方、A2=B2A^2=B^2ならば(A−B)(A+B)=0(A-B)(A+B)=0であるから、A=BA=BまたはA=−BA=-Bである。実際、A=1A=1、B=−1B=-1ではA2=B2A^2=B^2であるがA≠BA\ne Bであるため、逆向きは一般には成り立たない。

A≥0A\ge0かつB≥0B\ge0とする。A2=B2A^2=B^2ならばA=BA=BまたはA=−BA=-Bであり、A=−BA=-BのときはA+B=0A+B=0とA,B≥0A,B\ge0からA=B=0A=B=0となってA=BA=Bが成り立つ。よってA=BA=BとA2=B2A^2=B^2は同値である。▨

例 3.2.x+1=x−1\sqrt{x+1}=x-1を解く。根号の内部が00以上であるためにはx≥−1x\ge-1が必要であり、このとき左辺は00以上である。したがって、等式が成り立つためには右辺についてx−1≥0x-1\ge0、すなわちx≥1x\ge1が必要である。x≥1x\ge1では両辺が00以上であるから、定理 3.1により、両辺を二乗した

x+1=(x−1)2,x+1=(x-1)^2,

すなわちx2−3x=0x^2-3x=0と同値である。候補はx=0,3x=0,3であり、x≥1x\ge1を満たすのはx=3x=3だけである。x=3x=3では4=2=3−1\sqrt4=2=3-1となり、もとの式を満たす。したがって、解はx=3x=3だけである。

捨てたx=0x=0は、x+1=−(x−1)\sqrt{x+1}=-(x-1)の解である。実際1=1=−(0−1)\sqrt1=1=-(0-1)が成り立つ。二乗するとx+1=x−1\sqrt{x+1}=x-1とx+1=−(x−1)\sqrt{x+1}=-(x-1)の解がともに残る。

4 演習

問題 4.1 (分数関数・無理関数の演習).

  1. x2−1x−1\dfrac{x^2-1}{x-1}の定義域と、約分後の式を答えなさい。穴の位置も答えなさい。
  2. 3−x\sqrt{3-x}の定義域と値域を答えなさい。
  3. x+2=x\sqrt{x+2}=xを解き、二乗で得た候補をもとの式へ代入して確認しなさい。
  4. 3x+1x+1\dfrac{3x+1}{x+1}と4−2x\sqrt{4-2x}について、定義域と値域を記し、前者では漸近線、後者では端点を示してグラフの概形を描きなさい。
解答 (演習の解答).
  1. 分母が00にならないため、定義域はx≠1x\ne1である。x≠1x\ne1では x2−1x−1=x+1\frac{x^2-1}{x-1}=x+1 である。x=1x=1における値は定義されていないので、穴の位置は(1,2)(1,2)である。
  2. 根号の内部について3−x≥03-x\ge0が必要であるから、定義域はx≤3x\le3である。関数の値は00以上であり、任意のy≥0y\ge0に対してx=3−y2x=3-y^2とおけば3−x=y\sqrt{3-x}=yとなる。したがって、値域は[0,∞)[0,\infty)である。
  3. 根号の内部と右辺の符号からx≥0x\ge0が必要である。両辺を二乗すると x+2=x2,x+2=x^2, すなわち(x−2)(x+1)=0(x-2)(x+1)=0であるから、候補はx=2,−1x=2,-1である。x=−1x=-1はx≥0x\ge0を満たさず、代入しても左辺は1=1\sqrt1=1、右辺は−1-1となって等しくない。x=2x=2は2+2=2\sqrt{2+2}=2を満たす。したがって、解はx=2x=2だけである。
  4. a=3a=3、b=1b=1、c=1c=1、d=1d=1でad−bc=2≠0ad-bc=2\ne0であり、p=−1p=-1、q=3q=3、k=−2k=-2であるから3x+1x+1=−2x+1+3\dfrac{3x+1}{x+1}=-\dfrac2{x+1}+3である。定義域はR∖{−1}\mathbb R\setminus\{-1\}、値域はR∖{3}\mathbb R\setminus\{3\}、漸近線はx=−1x=-1とy=3y=3である。k<0k<0であるから、x>−1x>-1ではy<3y<3、x<−1x<-1ではy>3y>3となり、グラフは右下と左上に二つの枝をもつ(x=0x=0でy=1y=1)。4−2x\sqrt{4-2x}の定義域は4−2x≥04-2x\ge0より(−∞,2](-\infty,2]である。値は00以上であり、任意のy≥0y\ge0に対してx=(4−y2)/2x=(4-y^2)/2とおけば4−2x=y\sqrt{4-2x}=yとなるので、値域は[0,∞)[0,\infty)である。グラフは端点(2,0)(2,0)から左上へ延びる。

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例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の問いに答えよ。定義域(分母 ≠\ne 0、根号の中身 ≥\ge 0)を必ず確認すること。

解法の型分数関数は k/(x−p) + q に変形して漸近線 x == p, y == q を読む。無理方程式は2乗したら必ず検算(無縁解の除去)

  1. 無理関数 y == √(3x+3) の定義域と値域を求めよ。

    y=3x+3y = \sqrt{3x+3}
  2. 分数関数 y == (-x-1)/(x-3) を y == k/(x − p) + q の形に変形し、漸近線と定義域・値域を答えよ。

    y=−x−1x−3y = \dfrac{-x-1}{x-3}
  3. 分数関数 y == (x+4)/(x+3) を y == k/(x − p) + q の形に変形し、漸近線と定義域・値域を答えよ。

    y=x+4x+3y = \dfrac{x+4}{x+3}
  4. 分数関数 y == (-3x)/(x+2) を y == k/(x − p) + q の形に変形し、漸近線と定義域・値域を答えよ。

    y=−3xx+2y = \dfrac{-3x}{x+2}
  5. 不等式 √(x + 2) ≥\ge x を解け。

    x+2≥x\sqrt{x + 2} \ge x
  6. 分数関数 y == (x+5)/(x+4) を y == k/(x − p) + q の形に変形し、漸近線と定義域・値域を答えよ。

    y=x+5x+4y = \dfrac{x+5}{x+4}
  7. 無理関数 y == √(-x) − 1 の定義域と値域を求めよ。

    y=−x−1y = \sqrt{-x} - 1
  8. 不等式 √(x + 30) ≥\ge x を解け。

    x+30≥x\sqrt{x + 30} \ge x
  9. 無理関数 y == √(2x-6) の定義域と値域を求めよ。

    y=2x−6y = \sqrt{2x-6}
  10. 方程式 √(x+2) == x を解け。

    x+2=x\sqrt{x+2} = x

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の問いに答えよ。定義域(分母 ≠\ne 0、根号の中身 ≥\ge 0)を必ず確認すること。

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