§B2.5多項式の微分と接線・増減・極値

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多項式の微分係数と導関数を定義し、接線を求めます。導関数の符号から増減表を作り、極値を判定します。

1 微分係数と接線

定義 1.1 (微分係数と導関数). 実数の集合DDの点aaについて、aaを含むある開区間がDDに含まれるとき、aaをDDの内部の点 (interior point) といい、DDの内部の点の全体をDDの内部という。

関数ffの定義域の内部の点aaをとる。h≠0h\ne0に対する差の商

f(a+h)−f(a)h\frac{f(a+h)-f(a)}h

を、xxがaaからa+ha+hまで変わるときのffの平均変化率 (average rate of change) という。極限

lim⁡h→0f(a+h)−f(a)h\lim_{h\to0}\frac{f(a+h)-f(a)}h

が存在するとき、ffはaaで微分可能 (differentiable) であるといい、その極限をaaにおける微分係数 (derivative at a point) と呼んでf′(a)f'(a)と書く。ffが定義域の内部の各点で微分可能であるとき、各点aaにf′(a)f'(a)を対応させる関数をffの導関数 (derivative) という。

点(a,f(a))(a,f(a))と点(a+h,f(a+h))(a+h,f(a+h))(h≠0h\ne0)を通る直線の傾きは差の商f(a+h)−f(a)h\dfrac{f(a+h)-f(a)}hに等しく、ffがaaで微分可能ならば、h→0h\to0のときf′(a)f'(a)に近づきます。

定義 1.2 (接線). 関数ffが定義域の内部の点aaで微分可能であるとする。点(a,f(a))(a,f(a))を通り傾きがf′(a)f'(a)である直線

y=f(a)+f′(a)(x−a)y=f(a)+f'(a)(x-a)

を、曲線y=f(x)y=f(x)の点(a,f(a))(a,f(a))における接線 (tangent line) という。

例 1.3.R\R上でf(x)=x3f(x)=x^3と定める。h≠0h\ne0に対して

f(0+h)−f(0)h=h3h=h2\frac{f(0+h)-f(0)}h=\frac{h^3}h=h^2

であり、h→0h\to0のときh2→0h^2\to0であるから、f′(0)=0f'(0)=0である。したがって、曲線y=x3y=x^3の原点における接線はy=0+0⋅(x−0)y=0+0\cdot(x-0)、すなわちy=0y=0である。x<0x<0ではx3<0x^3<0、x>0x>0ではx3>0x^3>0であるから、曲線は原点の左側で接線の下にあり、右側で接線の上にある。接線は、接する点で曲線を横切ることがある。

2 多項式の導関数

公式 2.1 (多項式の微分).nnを正の整数とすると、(xn)′=nxn−1(x^n)'=nx^{n-1}である。また、定数cc、実数λ\lambda、微分可能な関数f,gf,gに対して

c′=0,(λf)′=λf′,(f+g)′=f′+g′c'=0,\qquad (\lambda f)'=\lambda f',\qquad (f+g)'=f'+g'

が成り立つ。したがって、00以上の整数mmと実数a0,a1,…,ama_0,a_1,\dots,a_mに対して、多項式∑k=0makxk\displaystyle\sum_{k=0}^{m}a_kx^kで表されるR\R上の関数はR\Rの各点で微分可能であり、

(∑k=0makxk)′=∑k=1mkakxk−1\left(\sum_{k=0}^{m}a_kx^k\right)'=\sum_{k=1}^{m}ka_kx^{k-1}

である。ただし、m=0m=0のとき右辺は00とする。

証明. 正の整数nn、実数aa、およびh≠0h\ne0をとる。二項展開により

(a+h)n−anh=nan−1+∑k=2n(nk)an−khk−1\frac{(a+h)^n-a^n}{h} =na^{n-1}+\sum_{k=2}^{n}\binom{n}{k}a^{n-k}h^{k-1}

である。n=1n=1のとき右辺の和は空である。h→0h\to0とすると、和の各項は00に近づくので、(xn)′=nxn−1(x^n)'=nx^{n-1}を得る。定数関数の差の商は00であるから、c′=0c'=0である。また、ffとggがaaで微分可能ならば、

λf(a+h)−λf(a)h=λf(a+h)−f(a)h,\frac{\lambda f(a+h)-\lambda f(a)}h =\lambda\frac{f(a+h)-f(a)}h,(f+g)(a+h)−(f+g)(a)h=f(a+h)−f(a)h+g(a+h)−g(a)h\frac{(f+g)(a+h)-(f+g)(a)}h =\frac{f(a+h)-f(a)}h+\frac{g(a+h)-g(a)}h

である。極限の定数倍と和の規則(§B1.10 定理 3.1 (1))により、(λf)′(a)=λf′(a)(\lambda f)'(a)=\lambda f'(a)および(f+g)′(a)=f′(a)+g′(a)(f+g)'(a)=f'(a)+g'(a)が成り立つ。1≤k≤m1\le k\le mに対して(akxk)′=kakxk−1(a_kx^k)'=ka_kx^{k-1}であり、定数a0a_0の導関数は00である。和の規則を項の個数について繰り返し用いると、(∑k=0makxk)′=∑k=1mkakxk−1\displaystyle\left(\sum_{k=0}^{m}a_kx^k\right)'=\sum_{k=1}^{m}ka_kx^{k-1}を得る。▨

3 極値

定義 3.1 (極大・極小). 関数ffと実数aaをとる。aaを含むある開区間JJがffの定義域に含まれ、すべてのx∈Jx\in Jについてf(x)≤f(a)f(x)\le f(a)が成り立つとき、ffはaaで極大 (local maximum) であるといい、f(a)f(a)を極大値 (local maximum value) という。aaを含むある開区間JJがffの定義域に含まれ、すべてのx∈Jx\in Jについてf(x)≥f(a)f(x)\ge f(a)が成り立つとき、ffはaaで極小 (local minimum) であるといい、f(a)f(a)を極小値 (local minimum value) という。極大値と極小値をまとめて極値 (local extremum) という。ffがaaで極大または極小であることを、ffはaaで極値をとるという。

注意 3.2. 極大を、aaを含むある開区間JJが定義域に含まれ、x≠ax\ne aを満たすすべてのx∈Jx\in Jについてf(x)<f(a)f(x)<f(a)が成り立つこととして定める流儀もある。極小も、不等号の向きを逆にして同じように定める。この流儀では定数関数はどの点でも極値をとらないが、上の定義では定数関数は定義域の内部の各点で極大かつ極小である。この流儀で極大(極小)であれば上の定義でも極大(極小)であるから、定理 3.3はこの流儀の極値にも適用することができる。定理 4.5の結論はx≠ax\ne aでの狭義の不等式を含むので、その結論からはどちらの流儀でも極大・極小が得られる。

定理 3.3. 関数ffが定義域の内部の点aaで微分可能であり、aaで極値をとるならば、f′(a)=0f'(a)=0である。

証明.ffがaaで極小であるとする。極小の定義により、aaを含むある開区間JJがffの定義域に含まれ、すべてのx∈Jx\in Jについてf(x)≥f(a)f(x)\ge f(a)である。a+h∈Ja+h\in Jを満たすh>0h>0に対してはf(a+h)−f(a)≥0f(a+h)-f(a)\ge0であるから、

f(a+h)−f(a)h≥0\frac{f(a+h)-f(a)}h\ge0

である。a+h∈Ja+h\in Jを満たすh<0h<0に対しては、分子は00以上であり分母は負であるから、

f(a+h)−f(a)h≤0\frac{f(a+h)-f(a)}h\le0

である。ffはaaで微分可能であるから、h→+0h\to+0とh→−0h\to-0のどちらの極限でも差の商はf′(a)f'(a)に近づく。極限は大小関係を保つので(§B1.10 定理 3.1 (4))、f′(a)≥0f'(a)\ge0かつf′(a)≤0f'(a)\le0であり、f′(a)=0f'(a)=0である。ffがaaで極大である場合には、−f-fはaaで極小であり、公式 2.1により−f-fはaaで微分可能で(−f)′(a)=−f′(a)(-f)'(a)=-f'(a)である。極小の場合に示したことを−f-fに適用すると−f′(a)=0-f'(a)=0であり、f′(a)=0f'(a)=0である。▨

定理 3.3の逆は成り立たず、微分可能でない点で極値をとる関数もあります。

例 3.4.R\R上でf(x)=x3f(x)=x^3と定める。例 1.3で求めたとおりf′(0)=0f'(0)=0である。一方、x<0x<0ではf(x)<0=f(0)f(x)<0=f(0)、x>0x>0ではf(x)>0=f(0)f(x)>0=f(0)であるから、00を含むどの開区間にもf(x)<f(0)f(x)<f(0)となるxxとf(x)>f(0)f(x)>f(0)となるxxがある。したがって、ffは00で極大でも極小でもない。

R\R上でg(x)=∣x∣g(x)=|x|と定める。すべての実数xxについてg(x)≥0=g(0)g(x)\ge0=g(0)であるから、ggは00で極小である。00における差の商はh>0h>0で11、h<0h<0で−1-1であり、h→+0h\to+0とh→−0h\to-0の極限が異なるので、ggは00で微分可能でない。したがって、極値をとる点は、導関数が00になる点のほかに、微分可能でない点にもありうる。

4 増減と極値の判定

定義 4.1 (単調増加・単調減少). 関数ffと、ffの定義域に含まれる集合SSをとる。SSに属するすべてのx1,x2x_1,x_2について、x1<x2x_1<x_2ならばf(x1)<f(x2)f(x_1)<f(x_2)が成り立つとき、ffはSS上で狭義単調増加 (strictly increasing) であるという。SSに属するすべてのx1,x2x_1,x_2について、x1<x2x_1<x_2ならばf(x1)>f(x2)f(x_1)>f(x_2)が成り立つとき、ffはSS上で狭義単調減少 (strictly decreasing) であるという。SSに属するすべてのx1,x2x_1,x_2について、x1<x2x_1<x_2ならばf(x1)≤f(x2)f(x_1)\le f(x_2)が成り立つとき、ffはSS上で広義単調増加 (nondecreasing) であるという。SSに属するすべてのx1,x2x_1,x_2について、x1<x2x_1<x_2ならばf(x1)≥f(x2)f(x_1)\ge f(x_2)が成り立つとき、ffはSS上で広義単調減少 (nonincreasing) であるという。

定理 4.2.IIを区間とする(有界でなくてもよく、端点を含むかどうかも問わない)。IIの内部は、IIからIIに属する端点を除いた開区間である。関数ffの定義域はIIを含み、ffはII上で連続であり、IIの内部の各点で微分可能であるとする。このとき、次が成り立つ。

  1. IIの内部のすべてのxxについてf′(x)>0f'(x)>0ならば、ffはII上で狭義単調増加である。
  2. IIの内部のすべてのxxについてf′(x)<0f'(x)<0ならば、ffはII上で狭義単調減少である。
  3. IIの内部のすべてのxxについてf′(x)≥0f'(x)\ge0ならば、ffはII上で広義単調増加である。
  4. IIの内部のすべてのxxについてf′(x)≤0f'(x)\le0ならば、ffはII上で広義単調減少である。

また、IIが開区間であり、ffがIIの各点で微分可能であるならば、ffはII上で連続である。したがって、この場合には連続性を仮定せずに上の四つの主張が成り立つ。

証明.x1<x2x_1<x_2を満たすx1,x2∈Ix_1,x_2\in Iをとる。IIは区間であるから[x1,x2]⊆I[x_1,x_2]\subseteq Iである。開区間(x1,x2)(x_1,x_2)の各点は、IIに含まれる開区間(x1,x2)(x_1,x_2)に属するので、IIの内部の点である。したがって、ffを[x1,x2][x_1,x_2]に制限した関数は[x1,x2][x_1,x_2]で連続であり、(x1,x2)(x_1,x_2)の各点で微分可能である。§D1.14 定理 3.1により、あるc∈(x1,x2)c\in(x_1,x_2)について

f(x2)−f(x1)=f′(c)(x2−x1)f(x_2)-f(x_1)=f'(c)(x_2-x_1)

が成り立つ。ccはIIの内部の点であり、x2−x1>0x_2-x_1>0である。(1)の仮定の下ではf′(c)>0f'(c)>0であるからf(x1)<f(x2)f(x_1)<f(x_2)であり、(2)の仮定の下ではf′(c)<0f'(c)<0であるからf(x1)>f(x2)f(x_1)>f(x_2)である。(3)の仮定の下ではf′(c)≥0f'(c)\ge0であるからf(x1)≤f(x2)f(x_1)\le f(x_2)であり、(4)の仮定の下ではf′(c)≤0f'(c)\le0であるからf(x1)≥f(x2)f(x_1)\ge f(x_2)である。x1<x2x_1<x_2を満たすx1,x2∈Ix_1,x_2\in Iは任意であったので、ffは各仮定の下で、それぞれII上で狭義単調増加、狭義単調減少、広義単調増加、広義単調減少である。

IIが開区間であり、ffがIIの各点で微分可能であるとする。a∈Ia\in Iをとる。a+h∈Ia+h\in Iを満たすh≠0h\ne0について

f(a+h)=f(a)+h⋅f(a+h)−f(a)hf(a+h)=f(a)+h\cdot\frac{f(a+h)-f(a)}h

であり、h→0h\to0のとき右辺はf(a)+0⋅f′(a)=f(a)f(a)+0\cdot f'(a)=f(a)に近づく。したがってffはaaで連続であり、ffはII上で連続である。開区間IIの内部はII自身であるから、ffは定理の仮定を満たし、四つの主張が成り立つ。▨

注意 4.3 (増減判定の根拠).定理 4.2の証明で用いた平均値の定理は、次の主張である。a<ba<bを満たす実数a,ba,bと、[a,b][a,b]で連続かつ(a,b)(a,b)の各点で微分可能な関数ffに対して、あるc∈(a,b)c\in(a,b)が存在してf(b)−f(a)=f′(c)(b−a)f(b)-f(a)=f'(c)(b-a)が成り立つ。本記事ではこの定理を証明せずに用い、その証明は§D1.14 微分の定義と平均値の定理で与えられる。

定理 4.2の区間が端点を含む場合、その端点での連続性の仮定は省くことができない。[0,1][0,1]上でf(0)=1f(0)=1、0<x≤10<x\le1でf(x)=xf(x)=xと定めると、(0,1)(0,1)のすべてのxxでf′(x)=1>0f'(x)=1>0であるが、f(0)=1>12=f(12)f(0)=1>\dfrac12=f\left(\dfrac12\right)であるから、ffは[0,1][0,1]上で狭義単調増加でない。このffは00で連続でない。

注意 4.4.定理 4.2 (1)の仮定は、狭義単調増加であるための十分条件であって、必要条件ではない。R\R上でf(x)=x3f(x)=x^3と定めると、f′(x)=3x2f'(x)=3x^2であり、f′(0)=0f'(0)=0である。ffは多項式であるから区間(−∞,0](-\infty,0]と[0,∞)[0,\infty)で連続であり(§B1.10 定理 6.3 (1))、それぞれの内部(−∞,0)(-\infty,0)、(0,∞)(0,\infty)のすべてのxxでf′(x)=3x2>0f'(x)=3x^2>0である。定理 4.2 (1)により、ffは(−∞,0](-\infty,0]上と[0,∞)[0,\infty)上でそれぞれ狭義単調増加である。x1<x2x_1<x_2を満たす実数x1,x2x_1,x_2をとると、両方が(−∞,0](-\infty,0]に属するか両方が[0,∞)[0,\infty)に属する場合はf(x1)<f(x2)f(x_1)<f(x_2)であり、x1<0<x2x_1<0<x_2の場合はf(x1)<f(0)<f(x2)f(x_1)<f(0)<f(x_2)である。したがって、ffはR\R上で狭義単調増加であるが、f′(0)=0f'(0)=0である。

定理 4.5. 関数ff、実数aa、正の数δ\deltaをとる。開区間(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)はffの定義域に含まれ、ffは(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)で連続であり、aa以外の(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)の各点で微分可能であるとする。

  1. a−δ<x<aa-\delta<x<aを満たすすべてのxxでf′(x)>0f'(x)>0であり、a<x<a+δa<x<a+\deltaを満たすすべてのxxでf′(x)<0f'(x)<0であるならば、0<∣x−a∣<δ0<|x-a|<\deltaを満たすすべてのxxでf(x)<f(a)f(x)<f(a)であり、ffはaaで極大である。
  2. a−δ<x<aa-\delta<x<aを満たすすべてのxxでf′(x)<0f'(x)<0であり、a<x<a+δa<x<a+\deltaを満たすすべてのxxでf′(x)>0f'(x)>0であるならば、0<∣x−a∣<δ0<|x-a|<\deltaを満たすすべてのxxでf(x)>f(a)f(x)>f(a)であり、ffはaaで極小である。

証明.(1)を示す。区間(a−δ,a](a-\delta,a]の内部は(a−δ,a)(a-\delta,a)である。ffは(a−δ,a](a-\delta,a]で連続であり、(a−δ,a)(a-\delta,a)のすべてのxxでf′(x)>0f'(x)>0であるから、定理 4.2 (1)によりffは(a−δ,a](a-\delta,a]上で狭義単調増加であり、a−δ<x<aa-\delta<x<aを満たすすべてのxxでf(x)<f(a)f(x)<f(a)である。区間[a,a+δ)[a,a+\delta)の内部は(a,a+δ)(a,a+\delta)である。ffは[a,a+δ)[a,a+\delta)で連続であり、(a,a+δ)(a,a+\delta)のすべてのxxでf′(x)<0f'(x)<0であるから、定理 4.2 (2)によりffは[a,a+δ)[a,a+\delta)上で狭義単調減少であり、a<x<a+δa<x<a+\deltaを満たすすべてのxxでf(x)<f(a)f(x)<f(a)である。よって、0<∣x−a∣<δ0<|x-a|<\deltaを満たすすべてのxxでf(x)<f(a)f(x)<f(a)であり、開区間(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)のすべてのxxでf(x)≤f(a)f(x)\le f(a)であるから、ffはaaで極大である。

(2)を示す。g=−fg=-fとおく。ggは(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)で連続であり、公式 2.1によりaa以外の(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)の各点で微分可能でg′=−f′g'=-f'である。したがって、ggは(1)の仮定を満たし、0<∣x−a∣<δ0<|x-a|<\deltaを満たすすべてのxxでg(x)<g(a)g(x)<g(a)、すなわちf(x)>f(a)f(x)>f(a)である。よって、開区間(a−δ,a+δ)(a-\delta,a+\delta)のすべてのxxでf(x)≥f(a)f(x)\ge f(a)であり、ffはaaで極小である。▨

例 4.6.R\R上でf(x)=x3−3xf(x)=x^3-3xと定める。公式 2.1によりf′(x)=3x2−3=3(x+1)(x−1)f'(x)=3x^2-3=3(x+1)(x-1)であり、f′(x)f'(x)はx<−1x<-1とx>1x>1で正、−1<x<1-1<x<1で負、x=±1x=\pm1で00である。ffは多項式であるから、どの区間でも連続である(§B1.10 定理 6.3 (1))。定理 4.2により、ffは(−∞,−1](-\infty,-1]上と[1,∞)[1,\infty)上で狭義単調増加であり、[−1,1][-1,1]上で狭義単調減少である。導関数の符号、増減、関数値を一つの表(増減表)にまとめる。

xx (−∞,−1)(-\infty,-1) −1-1 (−1,1)(-1,1) 11 (1,∞)(1,\infty)
f′(x)f'(x) ++ 00 −- 00 ++
f(x)f(x) 増加 22 減少 −2-2 増加

表の「増加」「減少」は、その列の区間でffが狭義単調増加、狭義単調減少であることを表す。

δ=2\delta=2とすると、−3<x<−1-3<x<-1でf′(x)>0f'(x)>0、−1<x<1-1<x<1でf′(x)<0f'(x)<0であるから、定理 4.5 (1)によりffは−1-1で極大であり、極大値はf(−1)=2f(-1)=2である。δ=2\delta=2とすると、−1<x<1-1<x<1でf′(x)<0f'(x)<0、1<x<31<x<3でf′(x)>0f'(x)>0であるから、定理 4.5 (2)によりffは11で極小であり、極小値はf(1)=−2f(1)=-2である。ffはR\Rの各点で微分可能であるから、定理 3.3により、ffが極値をとる点はf′(x)=0f'(x)=0を満たすx=±1x=\pm1に限られる。

点(−1,2)(-1,2)と点(1,−2)(1,-2)における接線は、f′(±1)=0f'(\pm1)=0であるから、それぞれy=2y=2とy=−2y=-2である。f(x)−2=(x+1)2(x−2)f(x)-2=(x+1)^2(x-2)、f(x)+2=(x−1)2(x+2)f(x)+2=(x-1)^2(x+2)と因数分解されるので、接線y=2y=2と曲線の共有点のxx座標は−1-1と22、接線y=−2y=-2と曲線の共有点のxx座標は11と−2-2である。また、x≤2x\le2を満たすすべてのxxでf(x)≤2f(x)\le2であり、x≥−2x\ge-2を満たすすべてのxxでf(x)≥−2f(x)\ge-2である。

5 演習

問題 5.1 (定義に従う微分係数).R\R上でf(x)=x∣x∣f(x)=x|x|と定める。ffが00で微分可能であることを微分係数の定義に従って示し、f′(0)f'(0)を求めよ。

解答.

h≠0h\ne0に対して

f(0+h)−f(0)h=h∣h∣h=∣h∣\frac{f(0+h)-f(0)}h=\frac{h|h|}h=|h|

であり、h→0h\to0のとき∣h∣→0|h|\to0である。したがって、ffは00で微分可能であり、f′(0)=0f'(0)=0である。▨

問題 5.2 (接線と曲線の共有点). 曲線y=x3−xy=x^3-xの点(1,0)(1,0)における接線の方程式を求めよ。また、この接線と曲線の共有点をすべて求めよ。

解答.

f(x)=x3−xf(x)=x^3-xとおくと、f′(x)=3x2−1f'(x)=3x^2-1であり、f′(1)=2f'(1)=2である。点(1,0)(1,0)における接線はy=0+2(x−1)y=0+2(x-1)、すなわちy=2x−2y=2x-2である。共有点のxx座標は、x3−x=2x−2x^3-x=2x-2、すなわちx3−3x+2=0x^3-3x+2=0の実数解である。x3−3x+2=(x−1)2(x+2)x^3-3x+2=(x-1)^2(x+2)であるから、実数解はx=1x=1とx=−2x=-2である。f(−2)=−6f(-2)=-6であるから、共有点は(1,0)(1,0)と(−2,−6)(-2,-6)である。▨

問題 5.3 (2次関数の頂点).a,b,ca,b,cを実数とし、a>0a>0とする。R\R上でf(x)=ax2+bx+cf(x)=ax^2+bx+cと定める。f′(x)=0f'(x)=0を満たすxxはただ一つであり、それが放物線y=f(x)y=f(x)の頂点のxx座標−b2a-\dfrac b{2a}に等しいことを示せ。さらに、p=−b2ap=-\dfrac b{2a}とおくとき、x≠px\ne pを満たすすべての実数xxでf(x)>f(p)f(x)>f(p)であり、ffはppで極小であることを示せ。

解答.

f′(x)=2ax+b=2a(x−p)f'(x)=2ax+b=2a(x-p)であり、a≠0a\ne0であるから、f′(x)=0f'(x)=0を満たすxxはppだけである。f(x)=a(x−p)2+c−b24af(x)=a(x-p)^2+c-\dfrac{b^2}{4a}であるから、放物線y=f(x)y=f(x)の頂点のxx座標はppである。a>0a>0であるから、x<px<pではf′(x)<0f'(x)<0、x>px>pではf′(x)>0f'(x)>0である。ffは多項式であるからどの区間でも連続であり、定理 4.2 (2)によりffは(−∞,p](-\infty,p]上で狭義単調減少であり、定理 4.2 (1)によりffは[p,∞)[p,\infty)上で狭義単調増加である。したがって、x<px<pならばf(x)>f(p)f(x)>f(p)であり、x>px>pならばf(x)>f(p)f(x)>f(p)である。とくに、すべての実数xxでf(x)≥f(p)f(x)\ge f(p)であるから、ffはppで極小である。▨

問題 5.4 (増減表とグラフの概形).R\R上でf(x)=x3−12xf(x)=x^3-12xと定める。ffの増減表を作り、極値を求め、曲線y=f(x)y=f(x)の概形を描け。

解答.

f′(x)=3x2−12=3(x+2)(x−2)f'(x)=3x^2-12=3(x+2)(x-2)であり、f′(x)f'(x)はx<−2x<-2とx>2x>2で正、−2<x<2-2<x<2で負である。ffは多項式であるからどの区間でも連続であり、定理 4.2により、ffは(−∞,−2](-\infty,-2]上と[2,∞)[2,\infty)上で狭義単調増加であり、[−2,2][-2,2]上で狭義単調減少である。f(−2)=16f(-2)=16、f(2)=−16f(2)=-16であるから、増減表は次のとおりである。

xx (−∞,−2)(-\infty,-2) −2-2 (−2,2)(-2,2) 22 (2,∞)(2,\infty)
f′(x)f'(x) ++ 00 −- 00 ++
f(x)f(x) 増加 1616 減少 −16-16 増加

δ=4\delta=4として定理 4.5を用いると、ffは−2-2で極大値1616をとり、22で極小値−16-16をとる。f′(x)=0f'(x)=0を満たすのはx=±2x=\pm2だけであるから、定理 3.3により、ほかに極値はない。f(x)=x(x2−12)f(x)=x(x^2-12)であるから、曲線はxx軸とx=0,±23x=0,\pm2\sqrt3で交わる。曲線は左下から増加して点(−2,16)(-2,16)に達し、原点を通って点(2,−16)(2,-16)まで減少した後、右上へ増加する。▨

問題 5.5 (導関数が 0 になる点で極値をとらない3次関数).R\R上でf(x)=x3−3x2+3xf(x)=x^3-3x^2+3xと定める。ffがR\R上で狭義単調増加であることを示し、ffがどの点でも極値をとらないことを示せ。

解答.

f′(x)=3x2−6x+3=3(x−1)2f'(x)=3x^2-6x+3=3(x-1)^2であり、x≠1x\ne1でf′(x)>0f'(x)>0、f′(1)=0f'(1)=0である。ffは多項式であるから(−∞,1](-\infty,1]と[1,∞)[1,\infty)で連続であり、それぞれの内部(−∞,1)(-\infty,1)、(1,∞)(1,\infty)のすべてのxxでf′(x)>0f'(x)>0である。定理 4.2 (1)により、ffは(−∞,1](-\infty,1]上と[1,∞)[1,\infty)上でそれぞれ狭義単調増加である。x1<x2x_1<x_2を満たす実数x1,x2x_1,x_2をとる。両方が(−∞,1](-\infty,1]に属するか両方が[1,∞)[1,\infty)に属する場合はf(x1)<f(x2)f(x_1)<f(x_2)であり、x1<1<x2x_1<1<x_2の場合はf(x1)<f(1)<f(x2)f(x_1)<f(1)<f(x_2)である。したがって、ffはR\R上で狭義単調増加である。

実数aaと、aaを含む開区間JJを任意にとる。JJはaaより大きいxxとaaより小さいxxを含み、前者ではf(x)>f(a)f(x)>f(a)、後者ではf(x)<f(a)f(x)<f(a)である。したがって、すべてのx∈Jx\in Jでf(x)≤f(a)f(x)\le f(a)となるJJも、すべてのx∈Jx\in Jでf(x)≥f(a)f(x)\ge f(a)となるJJも存在せず、ffはどの点でも極大でも極小でもない。とくに、f′(1)=0f'(1)=0であるが、ffは11で極値をとらない。f(x)=(x−1)3+1f(x)=(x-1)^3+1であるから、曲線y=f(x)y=f(x)は曲線y=x3y=x^3をxx軸方向に11、yy軸方向に11だけ平行移動したものであり、点(1,1)(1,1)では注意 4.4の原点と同じ状況が起きている。▨

問題 5.6 (極値を三つもつ4次関数).R\R上でf(x)=3x4−4x3−12x2f(x)=3x^4-4x^3-12x^2と定める。ffの極値をすべて求めよ。

解答.

f′(x)=12x3−12x2−24x=12x(x+1)(x−2)f'(x)=12x^3-12x^2-24x=12x(x+1)(x-2)であり、f′(x)f'(x)はx<−1x<-1と0<x<20<x<2で負、−1<x<0-1<x<0とx>2x>2で正である。ffは多項式であるからどの区間でも連続であり、f(−1)=−5f(-1)=-5、f(0)=0f(0)=0、f(2)=−32f(2)=-32であるから、定理 4.2により、増減表は次のとおりである。

xx (−∞,−1)(-\infty,-1) −1-1 (−1,0)(-1,0) 00 (0,2)(0,2) 22 (2,∞)(2,\infty)
f′(x)f'(x) −- 00 ++ 00 −- 00 ++
f(x)f(x) 減少 −5-5 増加 00 減少 −32-32 増加

δ=1\delta=1として定理 4.5 (2)を用いると、ffは−1-1で極小値−5-5をとる。δ=1\delta=1として定理 4.5 (1)を用いると、ffは00で極大値00をとる。δ=2\delta=2として定理 4.5 (2)を用いると、ffは22で極小値−32-32をとる。f′(x)=0f'(x)=0を満たすのはx=−1,0,2x=-1,0,2だけであるから、定理 3.3により、ほかに極値はない。極小値−5-5はf(2)=−32f(2)=-32より大きいので、極小値はR\R上のffの最小値であるとは限らない。▨

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の関数を微分せよ。

  1. 例題 1

    f(x)=4x4+6x3−x+3f(x) = 4x^{4}+6x^{3}-x+3
  2. 例題 2

    f(x)=4x4+5x3−4x2−3x+2f(x) = 4x^{4}+5x^{3}-4x^{2}-3x+2
  3. 例題 3

    f(x)=2x2f(x) = 2x^{2}
  4. 例題 4

    f(x)=x2−5x−2f(x) = x^{2}-5x-2
  5. 例題 5

    f(x)=2x3−4x2+2x+3f(x) = 2x^{3}-4x^{2}+2x+3
  6. 例題 6

    f(x)=3x3−x2−xf(x) = 3x^{3}-x^{2}-x
  7. 例題 7

    f(x)=−2x3−4x2+3x−6f(x) = -2x^{3}-4x^{2}+3x-6
  8. 例題 8

    f(x)=−x4−6x−4f(x) = -x^{4}-6x-4
  9. 例題 9

    f(x)=3x4−2x3−3x2−x+6f(x) = 3x^{4}-2x^{3}-3x^{2}-x+6
  10. 例題 10

    f(x)=2x4+6x3−4x2f(x) = 2x^{4}+6x^{3}-4x^{2}

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の関数を微分せよ。

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