§B2.8逆関数

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関数は、入力から出力を決める規則です。しかし、出力の値が分かっていて、もとの入力を知りたい場面もよくあります。xxの2乗が99だと分かっているとき、xxはいくつかと問う場合がその一例です。このように値から入力へ向きを逆にたどる関数があれば、関数のはたらきを逆向きに使うことができます。

ところが、どの関数でも向きを逆にたどることができるわけではありません。x2=1x^2 = 1となるxxは11と−1-1の二つあり、値11から入力をただ一つに決めることができないからです。xxの2乗をx≥0x \ge 0に制限すると、値から入力がただ一つに決まり、その逆向きの対応として平方根が得られます。一般に、向きを逆にたどる対応を逆関数といい、関数を調べる基本的な道具の一つです。逆関数が定まるかどうかは、定義域と終域をどう定めるかに左右されます。

本記事では、逆関数が定まる条件と、その性質について解説します。

1 逆関数と、その値の対応

定義 1.1 (逆関数).XX、YYを空でない実数の部分集合とし、f:X→Yf : X \to Yを全単射とする。§B2.7 定理 3.1によってただ一つ定まるffの逆写像f−1:Y→Xf^{-1} : Y \to Xを、ffの逆関数 (inverse function) という。

定理 1.2.f:X→Yf : X \to Yを全単射とし、f−1:Y→Xf^{-1} : Y \to Xをその逆関数とする。このとき次が成り立つ。

  1. XXの要素aaとYYの要素bbについて、b=f(a)b = f(a)であることとa=f−1(b)a = f^{-1}(b)であることは同値である。
  2. f−1f^{-1}の定義域はYYであり、これはffの値域f(X)f(X)に等しい。
  3. f−1f^{-1}の値域は、ffの定義域XXに等しい。

証明. 1 を示す。b=f(a)b = f(a)とすると、§B2.7 定理 3.1の条件f−1(f(x))=xf^{-1}(f(x)) = xをx=ax = aに適用してf−1(b)=f−1(f(a))=af^{-1}(b) = f^{-1}(f(a)) = aである。逆にa=f−1(b)a = f^{-1}(b)とすると、条件f(f−1(y))=yf(f^{-1}(y)) = yをy=by = bに適用してf(a)=f(f−1(b))=bf(a) = f(f^{-1}(b)) = bである。

2 を示す。f−1f^{-1}はYYからXXへの写像であるから、その定義域はYYである。またffは全射であるから、YYのどの要素もffによる値としてあらわれ、f(X)=Yf(X) = Yが成り立つ。

3 を示す。§B2.7 定理 3.1によりf−1f^{-1}は全単射であり、とくにXXへの全射であるから、f−1f^{-1}の値域は終域XXに等しい。▨

2 終域を固定した逆関数が定まる条件

§B2.7 定理 3.1では、全単射ffに対して二つの等式を満たす逆写像が定まることが述べられています。次の定理はその逆の向きを含み、XXとYYが空でない集合でありさえすれば、実数の部分集合でなくても成り立ちます。

定理 2.1.f:X→Yf : X \to Yを写像とする。

  1. g(f(x))=xg(f(x)) = xとf(g(y))=yf(g(y)) = yをともに満たす写像g:Y→Xg : Y \to Xが存在することは、ffが全単射であることと同値である。
  2. 1 のggが存在するとき、ggはただ一つであり、ffの逆写像f−1f^{-1}である。

とくにXXとYYが実数の部分集合であるとき、二つの等式を満たす写像g:Y→Xg : Y \to Xが存在するための必要十分条件はffが全単射であることであり、このggが逆関数f−1f^{-1}である。

証明. 1 の「存在すれば全単射」を示す。g:Y→Xg : Y \to Xを、g(f(x))=xg(f(x)) = xとf(g(y))=yf(g(y)) = yをともに満たす写像とする。

はじめにffが単射であることを示す。XXの要素x1x_1、x2x_2がf(x1)=f(x2)f(x_1) = f(x_2)を満たすとする。両辺へggを施すとg(f(x1))=g(f(x2))g(f(x_1)) = g(f(x_2))であり、条件g(f(x))=xg(f(x)) = xをx=x1x = x_1とx=x2x = x_2に適用してx1=x2x_1 = x_2となる。値が等しいことから入力が等しいことが従うので、これは§B2.7 定義 2.1の単射の条件の対偶にあたり、ffは単射である。

次にffが全射であることを示す。YYの要素yyを任意にとり、x=g(y)x = g(y)と置く。ggはYYからXXへの写像であるからxxはXXの要素であり、条件f(g(y))=yf(g(y)) = yからf(x)=yf(x) = yである。したがって、YYのどの要素についても、それを値とするXXの要素が存在する。

単射性と全射性が示されたので、ffは全単射である。

1 の「全単射ならば存在する」は§B2.7 定理 3.1である。2 は、ffが全単射であるとき、§B2.7 定理 3.1では二つの等式を満たすggがただ一つであり、それが逆写像f−1f^{-1}であることが述べられている。最後の文は、XXとYYが実数の部分集合のとき、定義 1.1によりこのf−1f^{-1}を逆関数とよぶことによる。▨

証明では二つの等式を別々に用いました。g(f(x))=xg(f(x)) = xからは単射性が従い、f(g(y))=yf(g(y)) = yからは全射性が従います。一方の等式だけでは、もう一方の性質は従いません。次の例がそれを確かめます。全単射とは限らない写像について、片側の等式の扱いは§B2.7 注意 4.2にもあります。

例 2.2.

  1. f:[0, ∞)→Rf : [0,\,\infty) \to \mathbb{R}をf(x)=x2f(x) = x^2、g:R→[0, ∞)g : \mathbb{R} \to [0,\,\infty)をg(y)=∣y∣g(y) = \sqrt{|y|}で定める。00以上の実数xxについて∣x2∣=x2|x^2| = x^2であるからg(f(x))=x2=xg(f(x)) = \sqrt{x^2} = xであり、g(f(x))=xg(f(x)) = xはすべてのx∈[0, ∞)x \in [0,\,\infty)で成り立つ。しかしffは全射でない。実際、x2=−1x^2 = -1を満たす00以上の実数xxは存在しない。f(g(−1))=f(1)=1≠−1f(g(-1)) = f(1) = 1 \ne -1であり、f(g(y))=yf(g(y)) = yはすべてのy∈Ry \in \mathbb{R}では成り立たない。
  2. F:R→[0, ∞)F : \mathbb{R} \to [0,\,\infty)をF(x)=x2F(x) = x^2、G:[0, ∞)→RG : [0,\,\infty) \to \mathbb{R}をG(y)=yG(y) = \sqrt{y}で定める。00以上の実数yyについてF(G(y))=(y)2=yF(G(y)) = (\sqrt{y})^2 = yであり、F(G(y))=yF(G(y)) = yはすべてのy∈[0, ∞)y \in [0,\,\infty)で成り立つ。しかしFFは単射でない。実際、F(1)=F(−1)=1F(1) = F(-1) = 1であり、1≠−11 \ne -1である。G(F(−1))=1=1≠−1G(F(-1)) = \sqrt{1} = 1 \ne -1であり、G(F(x))=xG(F(x)) = xはすべてのx∈Rx \in \mathbb{R}では成り立たない。

3 単射であるだけの写像と、終域の取り替え

ffが単射であって全射でないとき、ffは全単射でないから、定理 2.1により、二つの等式を満たすg:Y→Xg : Y \to Xは存在しません。値域に入らないYYの要素yyには、f(x)=yf(x) = yを満たすXXの要素が無く、g(y)g(y)として対応させるべきものが無いからです。この場合には、終域を値域f(X)f(X)に取り替えたうえで逆写像を定めます。

定理 3.1.f:X→Yf : X \to Yを単射とし、f~:X→f(X)\tilde{f} : X \to f(X)をffの終域を値域に取り替えた写像とする。このときf~\tilde{f}は全単射であり、その逆写像f~−1:f(X)→X\tilde{f}^{-1} : f(X) \to Xがただ一つ定まる。このf~−1\tilde{f}^{-1}は、f(X)f(X)の要素yyに対して、f(x)=yf(x) = yを満たすXXの要素xxを対応させる写像である。

証明.§B2.7 定理 5.2により、ffが単射であるからf~\tilde{f}は全単射である。したがって§B2.7 定理 3.1により、逆写像f~−1\tilde{f}^{-1}がただ一つ定まる。f(X)f(X)の要素yyについてx=f~−1(y)x = \tilde{f}^{-1}(y)と置くと、§B2.7 定理 3.1の条件f~(f~−1(y))=y\tilde{f}(\tilde{f}^{-1}(y)) = yによりf~(x)=y\tilde{f}(x) = yであり、f~\tilde{f}の定め方からf(x)=yf(x) = yである。ffは単射であるから、f(x)=yf(x) = yを満たすXXの要素はxxのほかにない。▨

例 3.2.f:[0, ∞)→Rf : [0,\,\infty) \to \mathbb{R}をf(x)=x2f(x) = x^2で定める。§B2.7 例 5.3のとおり、ffは単射であって全射ではない。値域は、00以上のすべての実数xxについてx2≥0x^2 \ge 0であること、および00以上の実数yyに対してy\sqrt{y}が00以上で(y)2=y(\sqrt{y})^2 = yを満たすことから、f([0, ∞))=[0, ∞)f([0,\,\infty)) = [0,\,\infty)である。

ffは全射でないから、定理 2.1により、終域R\mathbb{R}を変えないままでは逆関数は定まらない。そこで定理 3.1に従い、終域を値域に取り替えた写像h:[0, ∞)→[0, ∞)h : [0,\,\infty) \to [0,\,\infty)、h(x)=x2h(x) = x^2を考える。hhは全単射であり、逆関数h−1:[0, ∞)→[0, ∞)h^{-1} : [0,\,\infty) \to [0,\,\infty)がただ一つ定まる。00以上の実数yyに対してh−1(y)h^{-1}(y)はx2=yx^2 = yを満たす00以上の実数xxであり、これはy\sqrt{y}である。すなわちh−1(y)=yh^{-1}(y) = \sqrt{y}である。

終域を値域に取り替えるには、単射であることの確かめが要ります。区間上で狭義単調な関数は、次の定理により単射であることをすぐに確かめることができます。

定理 3.3.IIを区間とし、f:I→Rf : I \to \mathbb{R}がIIで狭義単調増加であるとする。すなわち、IIの要素x1x_1、x2x_2についてx1<x2x_1 < x_2ならばf(x1)<f(x2)f(x_1) < f(x_2)である。このとき、ffは単射である。さらに、定理 3.1の逆関数f~−1:f(I)→I\tilde{f}^{-1} : f(I) \to Iも、f(I)f(I)で狭義単調増加である。

証明.ffが単射であることを示す。IIの要素x1x_1、x2x_2がx1≠x2x_1 \ne x_2を満たすとする。一般性を失わずx1<x2x_1 < x_2とすると、仮定からf(x1)<f(x2)f(x_1) < f(x_2)であるからf(x1)≠f(x2)f(x_1) \ne f(x_2)である。よってffは単射である。

f~−1\tilde{f}^{-1}が狭義単調増加であることを示す。f(I)f(I)の要素y1y_1、y2y_2がy1<y2y_1 < y_2を満たすとし、x1=f~−1(y1)x_1 = \tilde{f}^{-1}(y_1)、x2=f~−1(y2)x_2 = \tilde{f}^{-1}(y_2)と置く。定理 1.2の 1 によりf(x1)=y1f(x_1) = y_1、f(x2)=y2f(x_2) = y_2である。x1≥x2x_1 \ge x_2と仮定する。x1=x2x_1 = x_2ならばy1=f(x1)=f(x2)=y2y_1 = f(x_1) = f(x_2) = y_2となり、x1>x2x_1 > x_2ならばffの狭義単調増加性からy1=f(x1)>f(x2)=y2y_1 = f(x_1) > f(x_2) = y_2となる。どちらもy1<y2y_1 < y_2に反する。よってx1<x2x_1 < x_2、すなわちf~−1(y1)<f~−1(y2)\tilde{f}^{-1}(y_1) < \tilde{f}^{-1}(y_2)である。▨

狭義単調減少な関数についても、不等号の向きを入れ替えて同じ議論ができ、単射であり、逆関数も狭義単調減少です。教科書では、狭義単調な関数について「値域の上で逆関数を考える」と述べることが多く、これは終域を値域f(I)f(I)に取り替えたf~\tilde{f}の逆関数を考えることにあたります。この性質は、指数関数の逆関数として対数関数を定める場面で使われます。詳しくは§B3.5 対数関数が扱います。

4 グラフが直線y=xy = xに関して対称であること

定理 4.1.XX、YYを空でない実数の部分集合とし、f:X→Yf : X \to Yを全単射とする。座標平面において、y=f(x)y = f(x)のグラフとy=f−1(x)y = f^{-1}(x)のグラフは、直線y=xy = xに関して対称である。

証明. はじめに、実数aa、bbについて、点(a, b)(a,\,b)と点(b, a)(b,\,a)が直線y=xy = xに関して対称であることを確かめる。a=ba = bのとき、二つの点は一致し、直線y=xy = xの上にある。a≠ba \ne bのとき、二点を結ぶ線分の中点は(a+b2, a+b2)\left(\dfrac{a+b}{2},\,\dfrac{a+b}{2}\right)であり、これは直線y=xy = xの上にある。また、二点を通る直線の傾きはa−bb−a=−1\dfrac{a-b}{b-a} = -1であり、直線y=xy = xの傾き11との積が−1-1であるから、二つの直線は垂直に交わる。よって(a, b)(a,\,b)と(b, a)(b,\,a)は直線y=xy = xに関して対称である。

次に、点(a, b)(a,\,b)がy=f(x)y = f(x)のグラフ上にあることと、点(b, a)(b,\,a)がy=f−1(x)y = f^{-1}(x)のグラフ上にあることが同値であることを示す。前者は、aaがXXの要素であってb=f(a)b = f(a)が成り立つことである。定理 1.2の 1 により、これはbbがYYの要素であってa=f−1(b)a = f^{-1}(b)が成り立つことと同値であり、後者にあたる。

したがって、y=f(x)y = f(x)のグラフの各点は、直線y=xy = xに関する対称移動によってy=f−1(x)y = f^{-1}(x)のグラフの点へ写り、その逆も成り立つ。二つのグラフは直線y=xy = xに関して対称である。▨

例 3.2のhhとh−1h^{-1}について、この対称性を図に示します。

5 逆関数の求め方

全単射であることは、YYのどの要素yyについても、f(x)=yf(x) = yを満たすXXの要素xxがちょうど一つ存在することと同じです。少なくとも一つ存在することが全射であり、高々一つであることが単射です。そのため、f(x)=yf(x) = yをxxについて解いてXXの中にただ一つの解が得られれば、全単射であることと逆関数の値が同時に分かります。定理 1.2の 1 により、その解がf−1(y)f^{-1}(y)だからです。二つのグラフを同じ座標平面へ描くために変数の名前をそろえるときは、得られた式のyyをxxに書き換えてy=f−1(x)y = f^{-1}(x)とします。

例 5.1.f:[0, ∞)→[1, ∞)f : [0,\,\infty) \to [1,\,\infty)をf(x)=x2+1f(x) = x^2 + 1で定める。

11以上の実数yyを任意にとり、f(x)=yf(x) = yを満たす00以上の実数xxを調べる。x2+1=yx^2 + 1 = yはx2=y−1x^2 = y - 1と同値であり、y−1≥0y - 1 \ge 0である。x≥0x \ge 0のときx2=y−1x^2 = y - 1となるのはx=y−1x = \sqrt{y-1}の場合だけであり、このxxは00以上である。したがってf(x)=yf(x) = yの解は[0, ∞)[0,\,\infty)の中にちょうど一つあり、ffは全単射である。解がf−1(y)f^{-1}(y)であるからf−1(y)=y−1f^{-1}(y) = \sqrt{y-1}である。

f−1f^{-1}の定義域はffの値域[1, ∞)[1,\,\infty)であり、f−1f^{-1}の値域はffの定義域[0, ∞)[0,\,\infty)である。変数の名前をそろえると、逆関数のグラフはy=x−1y = \sqrt{x-1}である。

注意 5.2 (記号f−1f^{-1}の読み方). 記号f−1f^{-1}は逆関数を表すものであり、1f\dfrac{1}{f}を表すものではない。−1-1を書く位置で両者を区別する。例 3.2のhhを例にとると、h−1(4)=2h^{-1}(4) = 2である一方、(h(4))−1=116\left(h(4)\right)^{-1} = \dfrac{1}{16}である。

6 演習

問題 6.1 (逆関数を求める).

  1. f:(−∞, 0]→[0, ∞)f : (-\infty,\,0] \to [0,\,\infty)をf(x)=x2f(x) = x^2で定める。ffが全単射であることを示し、逆関数f−1f^{-1}を求めよ。また、y=f(x)y = f(x)とy=f−1(x)y = f^{-1}(x)のグラフの関係を述べよ。
  2. f:[1, ∞)→[−1, ∞)f : [1,\,\infty) \to [-1,\,\infty)をf(x)=x2−2xf(x) = x^2 - 2xで定める。ffが全単射であることを示し、逆関数f−1f^{-1}とその定義域・値域を求めよ。
  3. f:R→Rf : \mathbb{R} \to \mathbb{R}をf(x)=−x3f(x) = -x^3で定める。ffは全単射であり、y=f(x)y = f(x)とy=f−1(x)y = f^{-1}(x)のグラフは点(1, −1)(1,\,-1)を共有することを示せ。この点が直線y=xy = xの上にないことから、二つのグラフの交点がつねに直線y=xy = xの上にあるとは限らないことを確かめよ。
解答.
  1. 00以上の実数yyを任意にとる。x≤0x \le 0のとき、x2=yx^2 = yとなるのはx=−yx = -\sqrt{y}の場合だけである(x=−∣x∣=−x2x = -|x| = -\sqrt{x^2}だからである)。−y≤0-\sqrt{y} \le 0であり(−y)2=y(-\sqrt{y})^2 = yであるから、f(x)=yf(x) = yの解は(−∞, 0](-\infty,\,0]の中にちょうど一つあり、ffは全単射である。解がf−1(y)f^{-1}(y)であるからf−1(y)=−yf^{-1}(y) = -\sqrt{y}であり、定義域は[0, ∞)[0,\,\infty)、値域は(−∞, 0](-\infty,\,0]である。定理 4.1により、y=x2y = x^2(x≤0x \le 0)とy=−xy = -\sqrt{x}のグラフは直線y=xy = xに関して対称である。
  2. f(x)=(x−1)2−1f(x) = (x-1)^2 - 1である。−1-1以上の実数yyを任意にとる。f(x)=yf(x) = yは(x−1)2=y+1(x-1)^2 = y + 1と同値であり、y+1≥0y + 1 \ge 0である。x≥1x \ge 1のときx−1≥0x - 1 \ge 0であるから、x−1=y+1x - 1 = \sqrt{y+1}、すなわちx=1+y+1x = 1 + \sqrt{y+1}だけが解である。このxxは11以上であるから、解は[1, ∞)[1,\,\infty)の中にちょうど一つあり、ffは全単射である。f−1(y)=1+y+1f^{-1}(y) = 1 + \sqrt{y+1}であり、定義域はffの値域[−1, ∞)[-1,\,\infty)、値域はffの定義域[1, ∞)[1,\,\infty)である。検算として、f(1+y+1)=(y+1)2−1=yf(1 + \sqrt{y+1}) = (\sqrt{y+1})^2 - 1 = yである。
  3. 実数yyを任意にとる。f(x)=yf(x) = yはx3=−yx^3 = -yと同値である。x↦x3x \mapsto x^3は狭義単調増加であるから定理 3.3により単射であり、実数の3乗根の存在から、x3=−yx^3 = -yを満たす実数xxはちょうど一つある。よってffは全単射である。f(1)=−1f(1) = -1であるから、点(1, −1)(1,\,-1)はy=f(x)y = f(x)のグラフ上にある。次に、f(−1)=1f(-1) = 1であるから定理 1.2の 1 によりf−1(1)=−1f^{-1}(1) = -1であり、点(1, −1)(1,\,-1)はy=f−1(x)y = f^{-1}(x)のグラフ上にもある。点(1, −1)(1,\,-1)はy=xy = xを満たさないので、二つのグラフの交点が直線y=xy = xの上にあるとは限らない。

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例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の関数の逆関数を求め、その定義域と値域も答えよ。

解法の型y == f(x) を x について解き、x と y を入れ替える。もとの関数の値域が逆関数の定義域になる(定義域と値域が入れ替わる)

  1. 関数 f(x) == (x-3)²(定義域 x ≥\ge 3)の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=(x−3)2(x≥3)f(x) = \left(x-3\right)^{2} \quad (x \ge 3)
  2. 関数 f(x) == (-1)/(2x-2) の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=−12x−2f(x) = \dfrac{-1}{2x-2}
  3. 関数 f(x) == (3x-1)/(x-3) の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=3x−1x−3f(x) = \dfrac{3x-1}{x-3}
  4. 関数 f(x) == (-x-2)/(x+1) の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=−x−2x+1f(x) = \dfrac{-x-2}{x+1}
  5. 関数 f(x) == (x+1)²(定義域 x ≥\ge -1)の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=(x+1)2(x≥−1)f(x) = \left(x+1\right)^{2} \quad (x \ge -1)
  6. 関数 f(x) == (x+2)²(定義域 x ≥\ge -2)の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=(x+2)2(x≥−2)f(x) = \left(x+2\right)^{2} \quad (x \ge -2)
  7. 関数 f(x) == x³ − 2 の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=x3−2f(x) = x^{3}-2
  8. 関数 f(x) == (-3x-3)/(2x-3) の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=−3x−32x−3f(x) = \dfrac{-3x-3}{2x-3}
  9. 関数 f(x) == (x-1)²(定義域 x ≥\ge 1)の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=(x−1)2(x≥1)f(x) = \left(x-1\right)^{2} \quad (x \ge 1)
  10. 関数 f(x) == (2x-3)/(x-3) の逆関数を求め、その定義域と値域を答えよ。

    f(x)=2x−3x−3f(x) = \dfrac{2x-3}{x-3}

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の関数の逆関数を求め、その定義域と値域も答えよ。

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