数直線上で、実数ととの距離が以下になる範囲を求めるとします。距離がちょうどになる点だけを求めても、求める範囲全体は定まりません。距離が小さい点も含めて、大小の条件を満たす値を調べる必要があります。
この条件は、不等式で表されます。式を変形して解の範囲を求める場合にも、変形の前後でその条件を満たす値が変わらないことが必要です。
本記事では、不等式の変形と数直線上の範囲との対応を調べ、大小の条件を満たす実数を求めます。
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数直線上で、実数ととの距離が以下になる範囲を求めるとします。距離がちょうどになる点だけを求めても、求める範囲全体は定まりません。距離が小さい点も含めて、大小の条件を満たす値を調べる必要があります。
この条件は、不等式で表されます。式を変形して解の範囲を求める場合にも、変形の前後でその条件を満たす値が変わらないことが必要です。
本記事では、不等式の変形と数直線上の範囲との対応を調べ、大小の条件を満たす実数を求めます。
不等式は、二つの式の大小関係をで表した式です。ここでは係数と変数を実数とします。不等式の解はその関係を満たす変数の値であり、解くとは解の集合を求めることです。解の集合が等しい不等式への変形を同値変形といいます。
公式 1.1.を実数とする。両辺への同じ数の加減は不等号の向きを変えず、
となる。なら
であり、なら
である。をそれぞれに変えても成り立つ。
正の数による乗法と加法で大小が保たれることを用います。負の数の場合は、たとえばの両辺からを引くととなります。正の数を掛ければとなるので、負数倍では向きが反転します。各操作は逆の操作で元へ戻るため同値性を保ちます。両辺をで割ることはできず、倍すると大小の情報が失われます。
例 1.2.の両辺を負の数で割るととなる。
両辺に文字を含む不等式では、両辺からを引き、両辺をで割ると
となる。したがって解はであり、は元の両辺を等しくするので解には含まれない。
問題 1.3.を実数とする。不等式
を満たす実数の範囲を、の値によって場合分けして求めよ。
である。の場合にはなので、両辺をで割ると、解はとなる。の場合にはなので、不等号を反転させて、解はとなる。
の場合には、元の不等式はである。したがって、すべての実数が解である。この場合にはで割ることはできない。のときに得た式へ単にを代入すると、またはとなり、元の不等式の解全体を表さない。▨
負数倍による反転は、数直線の順序とも一致します。の両辺を倍するとであり、負数になった後ではのほうが大きい数です。
複数の不等式を同時に満たす解を求めるものを連立不等式といいます。その解は、それぞれの不等式の解の共通部分です。数直線で範囲を重ねる場合にも、境界の点が両方の解に含まれるかを確認します。
例 2.1.とを同時に満たす実数を求める。最初の不等式の解はであるから、共通範囲は
となる。は両方を満たすが、は最初の不等式を満たさない。
は数直線上のとの距離です。距離が指定された値より小さい場合はの両側の区間を、大きい場合はその区間の外を調べます。
公式 3.1.を実数、とする。このとき
である。また
である。とすればの不等式を得る。
注意 3.2.を実数とする。は非負なので、のときとは解をもたず、とはすべての実数が解である。
のとき、は解なし、は、は、はすべての実数が解となる。
例 3.3.はからの距離が以下であることを表すので、解はである。内部の式の符号で分けても同じ答えを得る。
の場合はであり、からとなる。場合分けの条件とあわせてを得る。
の場合はであり、からとなる。場合分けの条件とあわせてを得る。
二つの範囲を合わせるとである。両端では絶対値がとなるため、広義不等号の解に含まれる。
問題 3.4. 実数について
を解け。また、この不等式の両辺を二乗するだけでは同値変形にならないことを、具体的なの値で示せ。
左辺は非負なので、解は、すなわちを満たさなければならない。
の場合にはであり、
となる。場合分けの条件と合わせると、のすべての実数が解である。
の場合にはであり、
となる。場合分けの条件と合わせるとが解である。二つの場合を合わせて、解はとなる。得た範囲では右辺も非負である。
では元の不等式はとなり、成り立たない。しかし、両辺を二乗した不等式ではとなり、成り立つ。二乗によって右辺の符号の情報を失ったため、元の不等式を満たさない値が加わっている。▨
負の係数が文字の前にある場合も、除法の符号を確認します。たとえばの両辺をで割るととなります。絶対値では、右辺の符号と、距離が区間の内側・外側のどちらを表すかを区別すると、答えが一つの区間か二つの範囲かを判断することができます。
条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。
x を実数とする。次の一次不等式を解け。
解法の型負の数で割るときは不等号の向きが反転する
x を実数とする。次の絶対値不等式を解け。
解法の型|x − a| は「a からの距離」。< は近い側、> は遠い側
問題を解いてから「解答・解説」を開けます。
演習を読み込み中…
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