文字を含む等式を満たす値は、一つとは限りません。たとえばは、のときにものときにも成り立ちます。等式を満たす値の一つを確かめるだけでは、ほかに値があるかどうかは分かりません。
方程式の解をすべて求めるためには、式の変形によって元の等式と同じ解が保たれるかを確かめることが重要です。
本記事では、実数の範囲で一次方程式と二次方程式の解を求める基本を説明します。
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文字を含む等式を満たす値は、一つとは限りません。たとえばは、のときにものときにも成り立ちます。等式を満たす値の一つを確かめるだけでは、ほかに値があるかどうかは分かりません。
方程式の解をすべて求めるためには、式の変形によって元の等式と同じ解が保たれるかを確かめることが重要です。
本記事では、実数の範囲で一次方程式と二次方程式の解を求める基本を説明します。
文字を含む等式を方程式といい、等式を成り立たせる文字の値を解といいます。ここでは係数を実数とし、実数の解をすべて求めます。二つの方程式の解の集合が等しいとき、二つの方程式は同値であるといいます。方程式を同値な方程式へ変える操作を同値変形といいます。
両辺に同じ数や式を加える操作、両辺から同じ数や式を引く操作は、逆の操作で元へ戻すことができるので同値変形です。両辺に同じ非零の数を掛ける操作、両辺を同じ非零の数で割る操作も同値変形です。
注意 1.1.の実数解はである。両辺をで割ってとすると、解が失われる。で割る操作が同値性を保つのはの範囲である。の場合を別に調べる必要がある。
を実数、とします。一次方程式の両辺からを引くととなり、両辺をで割るととなります。
例 2.1.の両辺にを加え、両辺を非零の数で割ると
となる。したがって実数解はである。
等式の一方の辺の項を、符号を変えて他方の辺へ移す操作を移項といいます。移項は、両辺に同じ式を加減する操作の略記です。
を実数、としたを二次方程式といいます。因数分解の形が分かる場合は、次の実数の性質を使います。
公式 3.1. 実数に対して、であることと、またはであることは同値である。
証明.とする。ならば結論が成り立つ。ならば両辺をで割ってを得る。逆に、またはならばである。▨
二次式を、一次式の二乗と定数を用いて書き直す操作を平方完成といいます。方程式を二乗の形にすると、平方根を用いて解を求めることができます。
例 4.1.であるから
となる。したがって実数解はである。
公式 4.2.を実数、とし、と置く。このとき
が成り立つ。したがって
である。
証明.なのでが定まる。二乗を展開すると
となる。両辺にを加えると、最初の等式を得る。方程式の両辺にを加え、非零の数で割ると、二乗の方程式との同値性を得る。▨
を二次方程式の判別式といいます。平方完成で得た二乗の方程式の右辺は、なのでと同じ符号です。実数の二乗が非負であることから、の符号によって実数解を分類します。
公式 5.1.を実数、とし、と置く。二次方程式の実数解は次のように定まる。
の場合の解をまとめて
と書く。これを二次方程式の解の公式という。
証明.公式 4.2の二乗の方程式の両辺に非零の数を掛けると
となる。ならば、実数の二乗は非負なので実数解はない。
ならば、平方根の定義とにより
となる。ならば実数解はの一つである。ならばなので二つの解は異なる。▨
因数分解の形が分かる式では一次因子をと置く方法を使い、二乗の形への変形では平方完成を使います。一般の係数については、平方完成から導いた解の公式を使うことができます。ただし実数の計算として根号を使うのはの場合です。
問題 5.2.を実数とする。方程式
の実数解をすべて求めよ。また、異なる実数解の個数をによって分類せよ。
左辺は
と因数分解される。したがって、元の方程式はまたはと同値である。
のとき、を満たす実数はなく、元の方程式はである。実数解はの一つである。
のとき、実数解はとである。二つが一致するのはのときに限る。よって、では重解の一つであり、では異なる二つの実数解をもつ。
の場合には、解の公式でも判別式を
と求めることができる。となるのはであり、因数分解による分類と一致する。ただしでは二次の係数が0になるため、解の公式を適用せず、一次方程式として扱う。▨
下の図はの場合です。横軸に、縦軸にをとり、を満たす点を描いています。軸上ではなので、グラフと軸の共有点の座標は方程式の実数解です。を動かすと、の符号に応じて共有点の個数が変わります。
求めた解を元の式へ代入すると、計算の検算を行うことができます。
注意 6.1.の場合の「解なし」は、実数の範囲で解がないという意味である。複素数まで範囲を広げると解は存在し、§A1.13 複素数の四則と解と係数の関係で扱う。
条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。
x を実数とする。次の一次方程式を解け。
解法の型移項して の形に集める
x を実数とする。次の実数係数二次方程式を解け。
解法の型左辺を因数分解して「積 0」に持ち込む
x を実数とする。次の実数係数二次方程式を解け(解は簡約した形で答えること)。
解法の型解の公式
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