§A1.82次不等式

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二次方程式x2−x−2=0x^2-x-2=0を解くと、二次式が零になる実数は−1-1と22だと分かります。しかし、x2−x−2≤0x^2-x-2\le0を満たす実数を求めるには、零になる点だけでなく、式の値が負になる範囲も調べる必要があります。

このように二次式の大小を条件とするものが二次不等式です。二次関数のグラフでは、式の値が正か負かという違いが、点がxx軸の上か下かという位置の違いに対応します。

本記事では、二次式の符号とグラフの位置との対応から、二次不等式の解の集合を求めます。

1 二次不等式とグラフの符号

a,b,ca,b,cを実数、a≠0a\ne0とします。実数xxについてax2+bx+c>0ax^2+bx+c>0、ax2+bx+c<0ax^2+bx+c<0、ax2+bx+c≥0ax^2+bx+c\ge0、ax2+bx+c≤0ax^2+bx+c\le0の形の不等式を二次不等式といいます。解は、その不等式を満たすxxの集合です。

対応するグラフy=ax2+bx+cy=ax^2+bx+cでは、y>0y>0はxx軸より上の点、y<0y<0は下の点を表します。y=0y=0となる点はxx軸上です。したがって広義不等号では、該当する側の点とxx軸上の点をあわせて調べます。

下の図はa=1a=1の場合です。b,cb,cを変えると、グラフとxx軸の共有点が変わります。縦帯はx2+bx+c<0x^2+bx+c<0を満たすxxの範囲を表します。図で観察した符号を、以下では因数分解と平方完成によって確かめます。

2 係数の符号と実数解による分類

最高次係数が負の場合には、不等式の両辺を−1-1倍して、不等号を反転させます。§A1.7 公式 1.1により同じ解が保たれ、最高次係数が正の式に帰着します。以下ではa>0a>0とし、判別式D=b2−4acD=b^2-4acによって場合を分けます。境界となる実数解は、因数分解または§A1.5 公式 5.1から求めます。

公式 2.1.a,b,ca,b,cを実数、a>0a>0、D=b2−4ac>0D=b^2-4ac>0とし、ax2+bx+c=0ax^2+bx+c=0の二つの実数解をα<β\alpha<\betaとする。このとき

ax2+bx+c>0  ⟺  x<α または x>β,ax^2+bx+c>0\iff x<\alpha\ \text{または}\ x>\beta,ax2+bx+c<0  ⟺  α<x<βax^2+bx+c<0\iff\alpha<x<\beta

である。広義不等号では境界も含み、

ax2+bx+c≥0  ⟺  x≤α または x≥β,ax^2+bx+c\ge0\iff x\le\alpha\ \text{または}\ x\ge\beta,ax2+bx+c≤0  ⟺  α≤x≤βax^2+bx+c\le0\iff\alpha\le x\le\beta

となる。

証明. 解の公式からα+β=−b/a\alpha+\beta=-b/a、αβ=c/a\alpha\beta=c/aとなるので、展開によりax2+bx+c=a(x−α)(x−β)ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta)である。x<αx<\alphaでは二因子がともに負、α<x<β\alpha<x<\betaでは一方が正で他方が負、x>βx>\betaではともに正である。a>0a>0なので、積は外側で正、内側で負となる。境界では積が00である。▨

例 2.2.x2−x−2≤0x^2-x-2\le0を解く。x2−x−2=(x+1)(x−2)x^2-x-2=(x+1)(x-2)の二つの零点は−1,2-1,2である。二因子の積は−1<x<2-1<x<2で負となり、端点では00となる。したがって解は−1≤x≤2-1\le x\le2である。同じ式の厳密不等号x2−x−2<0x^2-x-2<0の解は−1<x<2-1<x<2である。

−x2+x+2≥0-x^2+x+2\ge0の場合は、両辺を−1-1倍してx2−x−2≤0x^2-x-2\le0とする。よって解は同じく−1≤x≤2-1\le x\le2である。

3 判別式が零または負の場合

公式 3.1.a,b,ca,b,cを実数、a>0a>0、D=b2−4ac=0D=b^2-4ac=0とし、α=−b/(2a)\alpha=-b/(2a)と置く。このときax2+bx+c=a(x−α)2ax^2+bx+c=a(x-\alpha)^2であり、四つの不等式の解は次のようになる。

  1. ax2+bx+c>0ax^2+bx+c>0の解はx≠αx\ne\alphaのすべての実数である。
  2. ax2+bx+c≥0ax^2+bx+c\ge0の解はすべての実数である。
  3. ax2+bx+c<0ax^2+bx+c<0は解をもたない。
  4. ax2+bx+c≤0ax^2+bx+c\le0の解はx=αx=\alphaだけである。

証明.§A1.5 公式 4.2にD=0D=0を用いると平方の表示を得る。a>0a>0なので、その値はx=αx=\alphaで00、それ以外で正である。▨

例 3.2.x2−2x+1=(x−1)2x^2-2x+1=(x-1)^2であるから、x2−2x+1>0x^2-2x+1>0の解はx≠1x\ne1のすべての実数である。x=1x=1では00となるが、それ以外では正となるため、二つの異なる実数解の間と外側に分ける分類は用いない。

公式 3.3.a,b,ca,b,cを実数、a>0a>0、D=b2−4ac<0D=b^2-4ac<0とする。このときax2+bx+cax^2+bx+cはすべての実数xxで正である。したがってax2+bx+c>0ax^2+bx+c>0とax2+bx+c≥0ax^2+bx+c\ge0はすべての実数が解であり、ax2+bx+c<0ax^2+bx+c<0とax2+bx+c≤0ax^2+bx+c\le0は解をもたない。

証明.§A1.5 公式 4.2によって

ax2+bx+c=a(x+b2a)2−D4aax^2+bx+c=a\left(x+\frac b{2a}\right)^2-\frac D{4a}

となる。第一項は非負、第二項−D/(4a)-D/(4a)は正なので、和は正である。▨

4 全実数上で非負となる条件

不等式の証明では、二次式がすべての実数で非負となる条件を用います。上の三分類をまとめると、次の形になります。

公式 4.1.a,b,ca,b,cを実数、a>0a>0とし、D=b2−4acD=b^2-4acと置く。すべての実数xxでax2+bx+c≥0ax^2+bx+c\ge0となることと、D≤0D\le0となることは同値である。D=0D=0の場合、値が00になるのはx=−b/(2a)x=-b/(2a)のときだけである。

証明.D<0D<0の場合は公式 3.3、D=0D=0の場合は公式 3.1により、すべての実数で非負である。逆にD>0D>0なら、公式 2.1により二つの実数解の間で負となる。よって全実数で非負ならばD≤0D\le0である。D=0D=0の唯一の零点も平方の表示から従う。▨

問題 4.2.a,b,ca,b,cを実数、a≠0a\ne0とする。不等式

ax2+bx+c≤0ax^2+bx+c\le0

の解がちょうど−1≤x≤2-1\le x\le2となる二次式を、すべて求めよ。さらに、x=0x=0での式の値が−4-4である場合に、a,b,ca,b,cを求めよ。

解答.

f(x)=ax2+bx+cf(x)=ax^2+bx+cと置く。a<0a<0ならば、−f(x)-f(x)の最高次係数は正であり、f(x)≤0f(x)\le0は−f(x)≥0-f(x)\ge0と同値である。最高次係数が正の二次式について、判別式が正ならば公式 2.1により非負となる範囲は二つの根の外側であり、判別式が零以下ならば公式 4.1によりすべての実数で非負となる。したがってa<0a<0の場合の解は、指定された有界な区間にならない。

よってa>0a>0である。公式 3.3により判別式が負なら解はなく、公式 3.1により零なら解は一つの実数だけなので、判別式は正である。二つの根をα<β\alpha<\betaとすると、公式 2.1により解はα≤x≤β\alpha\le x\le\betaである。指定された区間との一致からα=−1\alpha=-1、β=2\beta=2となる。したがって

f(x)=a(x+1)(x−2),a>0f(x)=a(x+1)(x-2),\qquad a>0

でなければならない。逆に、この形の二次式は、a>0a>0であるため、ちょうど−1≤x≤2-1\le x\le2で非正となる。求める二次式はこの形のすべてである。

さらにf(0)=−4f(0)=-4ならば−2a=−4-2a=-4よりa=2a=2であり、

f(x)=2(x+1)(x−2)=2x2−2x−4f(x)=2(x+1)(x-2)=2x^2-2x-4

となる。したがってa=2a=2、b=−2b=-2、c=−4c=-4である。▨

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

実数 xx について、次の2次不等式を解け。

解法の型グラフを描き、xx 軸との交点の内側か外側かを読む

  1. (1)x2−2x>0x^{2}-2x > 0
  2. (2)x2+3x−18≥0x^{2}+3x-18 \ge 0
  3. (3)x2−5x+4<0x^{2}-5x+4 < 0
  4. (4)x2+8x+15≤0x^{2}+8x+15 \le 0
  5. (5)x2−1≤0x^{2}-1 \le 0

解法の型グラフが xx 軸に接する/離れている場合。答えの言い方に注意

  1. 例題 1

    x2+8x+17≥0x^{2}+8x+17 \ge 0
  2. 例題 2

    x2−10x+25<0x^{2}-10x+25 < 0
  3. 例題 3

    x2−8x+16≥0x^{2}-8x+16 \ge 0
  4. 例題 4

    x2+10x+25<0x^{2}+10x+25 < 0
  5. 例題 5

    x2+6x+9≥0x^{2}+6x+9 \ge 0

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

実数 xx について、次の2次不等式を解け。

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