§A2.6円の方程式と、直線・円の位置関係

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円は、中心から一定の距離にある点を集めた図形です。たとえば、原点からの距離が一定である点を座標で表すと、円を表す方程式が得られます。円の方程式は、距離によって定まる図形を座標の式で扱う基本的な例です。

円と直線が交わるかどうかも、中心からの距離や方程式によって調べることができます。図に描かれた位置関係を、共有点の個数として正確に捉えることが目的です。本記事では、円の方程式と、直線や別の円との位置関係を解説します。

1 円の標準形と一般形

中心C=(a,b)\mathrm C=(a,b)、半径r>0r>0の円は、実数平面の点P=(x,y)\mathrm P=(x,y)のうちCP=r\mathrm{CP}=rを満たす点の集合です。距離は非負なので、距離の式を二乗すると同値な方程式が得られます。

公式 1.1. 中心(a,b)(a,b)、半径r>0r>0の円の方程式は

(x−a)2+(y−b)2=r2.(x-a)^2+(y-b)^2=r^2.

実係数ℓ,m,n\ell,m,nに対して、一般形x2+y2+ℓx+my+n=0x^2+y^2+\ell x+my+n=0は

(x+ℓ2)2+(y+m2)2=ℓ2+m24−n\left(x+\frac\ell2\right)^2+\left(y+\frac m2\right)^2 =\frac{\ell^2+m^2}{4}-n

と同値である。右辺が正なら中心(−ℓ/2,−m/2)(-\ell/2,-m/2)、半径が右辺の平方根である円を表す。右辺が00なら中心の一点だけを表し、負なら実数の点を表さない。

証明.x2+ℓx=(x+ℓ/2)2−ℓ2/4x^2+\ell x=(x+\ell/2)^2-\ell^2/4とy2+my=(y+m/2)2−m2/4y^2+my=(y+m/2)^2-m^2/4を一般形へ代入する。左辺の平方和は非負であり、00になるのは二つの平方がともに00のときに限る。右辺が正なら、その平方根を距離とする円になる。▨

例 1.2.x2+y2−4x+2y−4=0x^2+y^2-4x+2y-4=0を平方完成すると

(x−2)2+(y+1)2=9(x-2)^2+(y+1)^2=9

となるので、中心は(2,−1)(2,-1)、半径は33である。一方、定数項を55に変えた方程式は(x−2)2+(y+1)2=0(x-2)^2+(y+1)^2=0となり、点(2,−1)(2,-1)だけを表す。この一点の集合を点円と呼ぶこともある。

2 直線と円の位置関係

定理 2.1. 中心C=(u,v)\mathrm C=(u,v)、半径r>0r>0の円と、直線l:ax+by+c=0l:ax+by+c=0(a2+b2>0a^2+b^2>0)に対し、

d=∣au+bv+c∣a2+b2d=\frac{|au+bv+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}

とおく。d<rd<rなら共有点は二つ、d=rd=rなら一つで接し、d>rd>rなら共有点はない。

証明.§A2.5 公式 4.1により、ddは中心C\mathrm Cと直線llの距離である。垂線の足をH\mathrm Hとすると、ll上の点P\mathrm Pに対し三平方の定理からCP2=d2+HP2\mathrm{CP}^2=d^2+\mathrm{HP}^2である。よって円上にある条件はHP2=r2−d2\mathrm{HP}^2=r^2-d^2となる。右辺が正ならH\mathrm Hの両側に一点ずつ、00ならH\mathrm Hだけがあり、負なら点はない。▨

交点の座標は、円と直線の連立方程式を解いて求めます。b≠0b\ne0ならy=(−ax−c)/by=(-ax-c)/bを代入してxxの二次方程式を作ります。b=0b=0ならa≠0a\ne0なのでx=−c/ax=-c/aを代入し、yyの二次方程式を作ります。残した未知数の各実数解に交点が一つずつ対応するため、判別式の正・零・負が共有点の個数二・一・零に対応します。

例 2.2. 円x2+y2=5x^2+y^2=5と直線y=x+1y=x+1では、中心から直線までの距離が1/2<51/\sqrt2<\sqrt5なので交点は二つである。代入すると

x2+(x+1)2=5,2(x+2)(x−1)=0x^2+(x+1)^2=5,\qquad 2(x+2)(x-1)=0

となる。二次方程式2x2+2x−4=02x^2+2x-4=0の判別式はD=22−4⋅2⋅(−4)=36>0D=2^2-4\cdot2\cdot(-4)=36>0で、距離による二交点の判定と一致する。交点は(−2,−1),(1,2)(-2,-1),(1,2)である。同じ円と鉛直線x=1x=1では1<51<\sqrt5であり、代入した式はy2=4y^2=4となる。交点は(1,−2),(1,2)(1,-2),(1,2)である。鉛直線x=5x=\sqrt5ならy2=0y^2=0となり、接点は(5,0)(\sqrt5,0)である。

問題 2.3. 円x2+y2=1x^2+y^2=1に接し、点P=(1,2)\mathrm P=(1,2)を通る直線をすべて求め、それぞれの接点の座標を求めよ。

解答.

P\mathrm Pを通る鉛直線はx=1x=1である。原点からこの直線までの距離は11なので、円に接する。接点は(1,0)(1,0)である。

P\mathrm Pを通る鉛直でない直線は、実数mmを用いて

y−2=m(x−1)y-2=m(x-1)

と表される。定理 2.1により、円に接する条件は、原点から直線までの距離が半径11に等しいことである。したがって

∣2−m∣m2+1=1.\frac{|2-m|}{\sqrt{m^2+1}}=1.

分母は正であり、両辺が非負なので、この等式は

(2−m)2=m2+1(2-m)^2=m^2+1

と同値である。整理すると4−4m=14-4m=1となり、m=3/4m=3/4を得る。よって鉛直でない接線は

3x−4y+5=03x-4y+5=0

だけである。

接点は原点から接線へ下ろした垂線の足である。§A2.5 公式 4.1より、この接点は

(−5⋅332+(−4)2,−5⋅(−4)32+(−4)2)=(−35,45)\left(-\frac{5\cdot3}{3^2+(-4)^2}, -\frac{5\cdot(-4)}{3^2+(-4)^2}\right) =\left(-\frac35,\frac45\right)

となる。したがって求める接線はx=1x=1と3x−4y+5=03x-4y+5=0であり、接点はそれぞれ(1,0)(1,0)と(−3/5,4/5)(-3/5,4/5)である。▨

3 2つの円の位置関係

定理 3.1. 二つの円の中心間距離をdd、半径をr1,r2>0r_1,r_2>0とする。d>0d>0のとき、d>r1+r2d>r_1+r_2またはd<∣r1−r2∣d<|r_1-r_2|なら共有点はなく、等号ならそれぞれ外接・内接する。∣r1−r2∣<d<r1+r2|r_1-r_2|<d<r_1+r_2なら2点で交わる。d=0d=0のときは、半径が等しければ同じ円、異なれば共有点なしである。

証明.d=0d=0なら、同じ中心からの距離が二つの半径に等しくなる条件を比べれば結論を得る。d>0d>0の場合、中心を結ぶ方向を座標軸とし、中心を(0,0),(d,0)(0,0),(d,0)に置く。二つの円の方程式を引くと、両方の円上にある条件は

x2+y2=r12,x=s,s=d2+r12−r222dx^2+y^2=r_1^2,\qquad x=s,\qquad s=\frac{d^2+r_1^2-r_2^2}{2d}

と同値である。したがって、二円の共有点は、中心が原点で半径がr1r_1の円と直線x=sx=sの共有点である。原点と直線x=sx=sの距離は∣s∣|s|なので、定理 2.1により、共有点の個数はr12−s2r_1^2-s^2が正なら二つ、零なら一つ、負なら零である。

r12−s2=((r1+r2)2−d2)(d2−(r1−r2)2)4d2.r_1^2-s^2 =\frac{((r_1+r_2)^2-d^2)(d^2-(r_1-r_2)^2)}{4d^2}.

r1+r2>∣r1−r2∣r_1+r_2>|r_1-r_2|なので、この式は∣r1−r2∣<d<r1+r2|r_1-r_2|<d<r_1+r_2で正、両端で零、それ以外で負になる。▨

閑話休題:アポロニウスの円 相異なる定点A,B\mathrm A,\mathrm Bから等距離にある点の集合は、線分AB\mathrm{AB}の垂直二等分線です。一方、距離の比をk:1k:1(k>0k>0,k≠1k\ne1)に固定した点の集合は円となり、アポロニウスの円と呼ばれます。たとえばA=(0,0)\mathrm A=(0,0)、B=(3,0)\mathrm B=(3,0)、P=(x,y)\mathrm P=(x,y)とすると、AP=2BP\mathrm{AP}=2\mathrm{BP}は、距離がともに非負であるため

x2+y2=4((x−3)2+y2)x^2+y^2=4((x-3)^2+y^2)

と同値です。平方完成すると

(x−4)2+y2=4(x - 4)^2 + y^2 = 4

となります。この円にはB\mathrm Bが含まれないので、比AP:BP=2:1\mathrm{AP}:\mathrm{BP}=2:1も定義されます。一般のk>0k>0,k≠1k\ne1では、同じ計算によって中心と半径は

(3k2k2−1,0),3k∣k2−1∣\left(\frac{3k^2}{k^2-1},0\right),\qquad \frac{3k}{|k^2-1|}

となります。kkが11に近づくと中心までの距離と半径はともに増大します。k=1k=1の距離条件を直接整理すると、垂直二等分線x=3/2x=3/2が得られます。

複素解析では、円と直線を合わせた族がメビウス変換によって保たれるという性質を扱います。直線も円とともに扱うことで、変換の性質を統一して述べることができます。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

実数平面上の半径 r>0 の円を表す次の方程式について、中心と半径を求めよ。

解法の型平方完成して (x−p)2+(y−q)2=r2(x-p)^2+(y-q)^2=r^2 の形に直す。

  1. (1)x2+y2−4y−21=0x^{2} + y^{2} - 4y - 21 = 0
  2. (2)x2+y2+12x+4y+15=0x^{2} + y^{2} + 12x + 4y + 15 = 0
  3. (3)x2+y2+6x+8y=0x^{2} + y^{2} + 6x + 8y = 0
  4. (4)x2+y2+8y−9=0x^{2} + y^{2} + 8y - 9 = 0
  5. (5)x2+y2−10x+21=0x^{2} + y^{2} - 10x + 21 = 0
  6. (6)x2+y2−8x−12y+43=0x^{2} + y^{2} - 8x - 12y + 43 = 0
  7. (7)x2+y2+4x+4y+4=0x^{2} + y^{2} + 4x + 4y + 4 = 0
  8. (8)x2+y2+8x−12y+48=0x^{2} + y^{2} + 8x - 12y + 48 = 0
  9. (9)x2+y2−8x+4y+19=0x^{2} + y^{2} - 8x + 4y + 19 = 0
  10. (10)x2+y2−2x−6y+6=0x^{2} + y^{2} - 2x - 6y + 6 = 0

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

実数平面上の半径 r>0 の円を表す次の方程式について、中心と半径を求めよ。

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