§A2.7軌跡と方程式

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円の上を点が動くとき、定点と動く点を結ぶ線分の中点も動きます。中点がどのような図形を描くかを調べるには、中点の位置を一つ求めるだけでなく、中点として現れる点をすべて捉える必要があります。このように、与えられた条件を満たす点の集合を軌跡と呼びます。

軌跡を方程式で表すことは、点の動きや図形の条件を座標で調べる基本的な方法です。その方程式が表す点の集合と、元の条件を満たす点の集合が一致するかどうかが問題になります。本記事では、軌跡の方程式を求め、その方程式が元の条件を正しく表すことを確かめます。

1 軌跡の方程式と逆向きの確認

軌跡は、与えられた条件を満たす点の集合です。実数平面の直交座標で、求める点を(x,y)(x,y)と置きます。条件を座標の式へ直し、補助変数を消去すると、軌跡上の点が満たす方程式が得られます。ただし、方程式を満たす点がすべて元の条件から得られることも確認する必要があります。分母の非零条件や符号条件が残る場合には、方程式と合わせて答えに含めます。

例 1.1. 定点A=(4,0)\mathrm A=(4,0)と、円u2+v2=9u^2+v^2=9上を動く点P=(u,v)\mathrm P=(u,v)の中点M=(x,y)\mathrm M=(x,y)の軌跡を求める。中点の条件は

x=4+u2,y=v2x=\frac{4+u}{2},\qquad y=\frac v2

である。u=2x−4u=2x-4,v=2yv=2yを円の方程式に代入すると

(2x−4)2+(2y)2=9,(x−2)2+y2=94(2x-4)^2+(2y)^2=9,\qquad (x-2)^2+y^2=\frac94

を得る。逆に、最後の方程式を満たす任意の(x,y)(x,y)に対してP=(2x−4,2y)\mathrm P=(2x-4,2y)と置けば、P\mathrm Pはもとの円上にあり、M\mathrm MはAP\mathrm{AP}の中点である。したがって軌跡は、中心(2,0)(2,0)、半径3/23/2の円全体である。

単位円上の点の表示により、θ\thetaが実数全体を動くとき、P=(3cos⁡θ,3sin⁡θ)\mathrm P=(3\cos\theta,3\sin\theta)はもとの円全体を動く。したがって、中点の式に代入した表示

M=(4+3cos⁡θ2,3sin⁡θ2)\mathrm M=\left(\frac{4+3\cos\theta}{2},\frac{3\sin\theta}{2}\right)

は、軌跡のすべての点を表す。

注意 1.2. 具体的なP\mathrm Pから得たM\mathrm Mを方程式に代入する検算は、計算誤りの確認には役立つが、方程式上のすべての点が元の条件を満たすことの証明にはならない。逆向きには、任意の点からもとのP\mathrm Pを構成する必要がある。

2 除外点と平方の符号条件

分母を払う前に分母が00でない条件を記録します。たとえば元の式が1/x1/xを含むなら、変形後の方程式にもx≠0x\ne0を添えます。補助変数を消去するときにも、その変数の範囲が座標にどのような制約を与えるかを確認します。

例 2.1. 定点A=(0,2)\mathrm A=(0,2)と、xx軸上の点P=(t,0)\mathrm P=(t,0)(t≠0t\ne0)の中点M=(x,y)\mathrm M=(x,y)を考える。

x=t2,y=1x=\frac t2,\qquad y=1

であるからy=1y=1,x≠0x\ne0が必要である。逆にy=1y=1,x≠0x\ne0を満たす点に対しt=2xt=2xと置くとt≠0t\ne0であり、もとの中点条件が成り立つ。軌跡は直線y=1y=1から点(0,1)(0,1)を除いた集合である。

問題 2.2. 実数平面でO=(0,0)\mathrm O=(0,0)、A=(0,2)\mathrm A=(0,2)とする。点P=(t,0)\mathrm P=(t,0)がxx軸全体を動くとき、O\mathrm Oから直線AP\mathrm{AP}に下ろした垂線の足H\mathrm Hの軌跡を求めよ。ただしt∈Rt\in\Rとし、O\mathrm Oが直線AP\mathrm{AP}上にある場合にはH=O\mathrm H=\mathrm Oとする。

解答.

A\mathrm AとP\mathrm Pは常に異なる点であり、直線AP\mathrm{AP}の方程式は

2x+ty−2t=02x+ty-2t=0

である。§A2.5 公式 4.1の垂線の足の公式から、H=(x,y)\mathrm H=(x,y)は

x=4tt2+4,y=2t2t2+4x=\frac{4t}{t^2+4},\qquad y=\frac{2t^2}{t^2+4}

と表される。したがって

x2+y2=16t2+4t4(t2+4)2=4t2t2+4=2yx^2+y^2 =\frac{16t^2+4t^4}{(t^2+4)^2} =\frac{4t^2}{t^2+4} =2y

となり、

x2+(y−1)2=1x^2+(y-1)^2=1

を得る。一方、

2−y=8t2+4>02-y=\frac{8}{t^2+4}>0

なので、円上の点(0,2)(0,2)は垂線の足として現れない。

逆に、x2+(y−1)2=1x^2+(y-1)^2=1を満たし、(0,2)(0,2)と異なる任意の点(x,y)(x,y)をとる。この円上では0≤y≤20\le y\le2であり、y=2y=2ならx=0x=0である。したがってy<2y<2であり、

t=2x2−yt=\frac{2x}{2-y}

と置くことができる。円の方程式からx2=y(2−y)x^2=y(2-y)なので、

t2+4=4x2+4(2−y)2(2−y)2=82−yt^2+4 =\frac{4x^2+4(2-y)^2}{(2-y)^2} =\frac{8}{2-y}

となる。よって

4tt2+4=x,2t2t2+4=x22−y=y.\frac{4t}{t^2+4}=x,\qquad \frac{2t^2}{t^2+4}=\frac{x^2}{2-y}=y.

このttに対する垂線の足は、初めにとった点(x,y)(x,y)に一致する。

したがって軌跡は、中心(0,1)(0,1)、半径11の円から点(0,2)(0,2)を除いた集合である。点(0,0)(0,0)はt=0t=0のときに現れるため、除かない。▨

例 2.3.x=x−2\sqrt{x}=x-2では、平方根の定義からx≥0x\ge0、等式の右辺の符号からx≥2x\ge2が必要である。二乗すると

x=(x−2)2,(x−1)(x−4)=0x=(x-2)^2,\qquad (x-1)(x-4)=0

となるが、x=1x=1は符号条件を満たさない。x=4x=4は4=4−2\sqrt4=4-2を満たすので、もとの方程式の解は44だけである。

閑話休題:距離条件による曲線と反射 焦点と呼ばれる定点と、その点を通らない準線と呼ばれる定直線から等距離にある点の軌跡は放物線です。焦点が準線上にある場合には、軌跡は焦点を通り準線に垂直な直線となります。

相異なる二つの焦点の距離をd>0d>0とすると、二焦点からの距離の和がs>ds>dである点の軌跡は楕円です。s=ds=dなら焦点を結ぶ線分、s<ds<dなら空集合となります。二焦点からの距離の差の絶対値がkkである点の軌跡は、0<k<d0<k<dのとき双曲線です。k=0k=0なら垂直二等分線、k=dk=dなら焦点を結ぶ直線上で線分の内部を除いた二本の半直線、k>dk>dなら空集合となります。和と差の境界では、三角不等式の等号条件によって図形が退化します。

曲線の接線に対して入射角と反射角が等しいという反射のモデルでは、放物線が開く側から軸に平行に入射する光線は、反射後に焦点を通ります。逆に焦点から出る光線は、反射後に軸と平行になります。放物線を軸の周りに回転させた放物面は、パラボラアンテナや電波望遠鏡の集光面、ヘッドライトの反射面に用いられます。楕円では一方の焦点から出る光線が反射後に他方の焦点を通ります。音の反射による「ささやきの回廊」や、衝撃波を集中させる機器にも、焦点へ集める性質を用いる設計があります。実際の波の集まり方は波長や反射面の精度にも依存します。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

実数平面上の点 P=(x,y)P=(x,y) が次の条件を満たすとき、必要な除外条件も含めて軌跡の方程式を求めよ。

解法の型求める点を (x, y) とおき、条件を x, y の式に翻訳して補助変数を消去する

  1. 円周上を動く点と定点を結ぶ線分の中点 M の軌跡の方程式を求めよ。

    A(3,−4),点 P は円 (x+11)2+(y−8)2=4 上を動く,M は線分 AP の中点\mathrm{A}(3, -4),\quad \text{点 P は円 } (x + 11)^{2} + (y - 8)^{2} = 4 \text{ 上を動く},\quad \text{M は線分 AP の中点}
  2. 定点(焦点)と定直線(準線)から等距離にある点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    焦点 F(0,−2),準線 x=2\text{焦点 } \mathrm{F}(0, -2),\qquad \text{準線 } x = 2
  3. 定点(焦点)と定直線(準線)から等距離にある点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    焦点 F(2,0),準線 y=6\text{焦点 } \mathrm{F}(2, 0),\qquad \text{準線 } y = 6
  4. 2定点からの距離の比が与えられた条件を満たす点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    A(−1,2), B(−4,2),AP:BP=1:2\mathrm{A}(-1, 2),\ \mathrm{B}(-4, 2),\qquad \mathrm{AP} : \mathrm{BP} = 1 : 2
  5. 定点(焦点)と定直線(準線)から等距離にある点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    焦点 F(−2,−2),準線 y=2\text{焦点 } \mathrm{F}(-2, -2),\qquad \text{準線 } y = 2
  6. 2定点からの距離の平方の和が一定である点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    A(6,−2), B(2,−6),AP2+BP2=34\mathrm{A}(6, -2),\ \mathrm{B}(2, -6),\qquad \mathrm{AP}^{2} + \mathrm{BP}^{2} = 34
  7. 2定点からの距離の平方の和が一定である点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    A(−1,−5), B(5,1),AP2+BP2=54\mathrm{A}(-1, -5),\ \mathrm{B}(5, 1),\qquad \mathrm{AP}^{2} + \mathrm{BP}^{2} = 54
  8. 2定点から等距離にある点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    A(0,1), B(−6,7),AP=BP\mathrm{A}(0, 1),\ \mathrm{B}(-6, 7),\qquad \mathrm{AP} = \mathrm{BP}
  9. 円周上を動く点と定点を結ぶ線分の中点 M の軌跡の方程式を求めよ。

    A(−2,−1),点 P は円 (x+2)2+(y+7)2=16 上を動く,M は線分 AP の中点\mathrm{A}(-2, -1),\quad \text{点 P は円 } (x + 2)^{2} + (y + 7)^{2} = 16 \text{ 上を動く},\quad \text{M は線分 AP の中点}
  10. 定点(焦点)と定直線(準線)から等距離にある点 P の軌跡の方程式を求めよ。

    焦点 F(1,−2),準線 y=2\text{焦点 } \mathrm{F}(1, -2),\qquad \text{準線 } y = 2

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

実数平面上の点 P=(x,y)P=(x,y) が次の条件を満たすとき、必要な除外条件も含めて軌跡の方程式を求めよ。

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