§A2.5点と直線

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図形を座標で表すと、点の位置に関する問題を数の計算として扱うことができます。たとえば、二点を結ぶ線分の中点は、二点の座標から求めることができます。さらに、直線を方程式で表すと、点が直線上にあるかどうかを、座標がその式を満たすかどうかによって判断することができます。点の座標と直線の方程式は、図形の位置関係や距離を計算するための基本的な表現です。本記事では、座標を用いた点と直線の扱い方を解説します。

1 二点間の距離と分点

座標平面では、互いに垂直な二つの軸に同じ単位長さをとります。

公式 1.1.A=(x1,y1)\mathrm{A}=(x_1,y_1)、B=(x2,y2)\mathrm{B}=(x_2,y_2)の距離は

AB=(x2−x1)2+(y2−y1)2.\mathrm{AB}=\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}.

証明. 横と縦の移動の長さは∣x2−x1∣|x_2-x_1|、∣y2−y1∣|y_2-y_1|である。両方が正なら、この二辺を直角をはさむ辺とする直角三角形に三平方の定理を適用する。一方が00なら距離は他方の長さであり、両方が00なら距離は00なので、同じ式が成り立つ。▨

公式 1.2. 相異なる二点A=(x1,y1)\mathrm{A}=(x_1,y_1)、B=(x2,y2)\mathrm{B}=(x_2,y_2)と正の数m,nm,nに対して、AP:PB=m:n\mathrm{AP}:\mathrm{PB}=m:nに線分AB\mathrm{AB}を内分する点は

P=(nx1+mx2m+n,ny1+my2m+n).\mathrm{P}=\left(\frac{nx_1+mx_2}{m+n},\frac{ny_1+my_2}{m+n}\right).

m≠nm\ne nのとき、同じ比に外分する点は

P=(mx2−nx1m−n,my2−ny1m−n).\mathrm{P}=\left(\frac{mx_2-nx_1}{m-n},\frac{my_2-ny_1}{m-n}\right).

証明. 直線AB\mathrm{AB}上の点を

P=(x1+t(x2−x1), y1+t(y2−y1))\mathrm{P}=(x_1+t(x_2-x_1),\ y_1+t(y_2-y_1))

と表すと、AP=∣t∣AB\mathrm{AP}=|t|\mathrm{AB}、PB=∣1−t∣AB\mathrm{PB}=|1-t|\mathrm{AB}である。内分では0<t<10<t<1なのでt/(1−t)=m/nt/(1-t)=m/nからt=m/(m+n)t=m/(m+n)を得る。外分ではt<0t<0またはt>1t>1なので、∣t∣/∣1−t∣=m/n|t|/|1-t|=m/nからt=m/(m−n)t=m/(m-n)を得る。m>nm>nならt>1t>1、m<nm<nならt<0t<0であり、いずれも線分の外側にある。m=nm=nでは有限の外分点は存在しない。▨

例 1.3.A=(1,2)\mathrm{A}=(1,2)、B=(7,5)\mathrm{B}=(7,5)の距離は62+32=35\sqrt{6^2+3^2}=3\sqrt5である。2:12:1に内分する点は(5,4)(5,4)、外分する点は(13,8)(13,8)となる。中点はm=n=1m=n=1の内分点であり、座標は(4,7/2)(4,7/2)である。

注意 1.4. 中点と二点間の距離は、二点を入れ替えても変わらない。

2 直線の方程式

定義 2.1 (直線の方程式).a,b,c∈Ra,b,c\in\R、a2+b2>0a^2+b^2>0に対して

ax+by+c=0ax+by+c=0

を満たす点全体が直線であり、この式を 直線の方程式 (equation of a line) という。b≠0b\ne0ならy=−(a/b)x−c/by=-(a/b)x-c/bと書くことができ、係数−a/b-a/bを傾きという。b=0b=0ならa≠0a\ne0で、直線はx=−c/ax=-c/aとなり、傾きは定義されない。

公式 2.2. 相異なる二点A=(x1,y1)\mathrm{A}=(x_1,y_1)、B=(x2,y2)\mathrm{B}=(x_2,y_2)を通る直線は一意に定まり、x1≠x2x_1\ne x_2なら

y−y1=y2−y1x2−x1(x−x1),y-y_1=\frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_1),

x1=x2x_1=x_2ならx=x1x=x_1である。傾きmmで(x1,y1)(x_1,y_1)を通る直線はy−y1=m(x−x1)y-y_1=m(x-x_1)と表される。

証明.x1≠x2x_1\ne x_2のとき、直線の式y=mx+dy=mx+dに二点を代入して引くとm=(y2−y1)/(x2−x1)m=(y_2-y_1)/(x_2-x_1)、さらにd=y1−mx1d=y_1-mx_1と一意に定まる。x1=x2x_1=x_2ならy1≠y2y_1\ne y_2なので、二点を通る非鉛直な直線は存在せず、鉛直線x=x1x=x_1が唯一の直線である。▨

注意 2.3.A=B\mathrm{A}=\mathrm{B}の場合、一点を通る直線は無数にあり、二点から直線を一意に定めることはできない。冒頭の図ではA≠B\mathrm{A}\ne\mathrm{B}の範囲を扱っている。

3 平行と垂直

公式 3.1. 二つの直線aix+biy+ci=0a_ix+b_iy+c_i=0(i=1,2i=1,2、ai2+bi2>0a_i^2+b_i^2>0)は、

a1b2−a2b1=0a_1b_2-a_2b_1=0

のとき、かつそのときに限り方向が同じである。二直線が異なれば平行であり、同じ直線なら一致する。また、二直線が垂直である条件は

a1a2+b1b2=0a_1a_2+b_1b_2=0

である。両方の傾きが定義されるとき、方向が同じ条件はm1=m2m_1=m_2、垂直条件はm1m2=−1m_1m_2=-1と書かれる。

証明.b1b2≠0b_1b_2\ne0の場合、方向が同じ条件は傾き−a1/b1-a_1/b_1と−a2/b2-a_2/b_2が等しいことであり、第1式に等しい。方向の角をθ1,θ2\theta_1,\theta_2とすると、垂直である条件はcos⁡(θ1−θ2)=0\cos(\theta_1-\theta_2)=0である。余弦の差の公式をcos⁡θ1cos⁡θ2≠0\cos\theta_1\cos\theta_2\ne0で割ると1+tan⁡θ1tan⁡θ2=01+\tan\theta_1\tan\theta_2=0、すなわち1+m1m2=01+m_1m_2=0を得る。係数で書くと第2式となる。一方、b1=0b_1=0の場合には第1直線は鉛直であり、方向が同じ条件はb2=0b_2=0、垂直である条件はa2=0a_2=0である。二つの係数条件はそれぞれこの条件と一致する。b2=0b_2=0の場合も二直線を取り替えれば同じである。▨

4 点と直線の距離

公式 4.1. 点P=(x0,y0)\mathrm{P}=(x_0,y_0)と直線l:ax+by+c=0l:ax+by+c=0(a2+b2>0a^2+b^2>0)の距離は

d=∣ax0+by0+c∣a2+b2.d=\frac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}.

垂線の足H\mathrm{H}の座標は、t=(ax0+by0+c)/(a2+b2)t=(ax_0+by_0+c)/(a^2+b^2)として

H=(x0−ta, y0−tb)\mathrm{H}=(x_0-ta,\ y_0-tb)

である。

証明.t=(ax0+by0+c)/(a2+b2)t=(ax_0+by_0+c)/(a^2+b^2)とし、H=(x0−ta,y0−tb)\mathrm{H}=(x_0-ta,y_0-tb)をとる。

a(x0−ta)+b(y0−tb)+c=0a(x_0-ta)+b(y_0-tb)+c=0

なのでH\mathrm{H}はll上にある。t=0t=0ならP=H\mathrm{P}=\mathrm{H}は直線上にあり、距離は00である。t≠0t\ne0の場合、P\mathrm{P}とH\mathrm{H}を通る直線の方程式は

b(x−x0)−a(y−y0)=0b(x-x_0)-a(y-y_0)=0

であり、その係数(b,−a)(b,-a)とllの係数(a,b)(a,b)はba−ab=0ba-ab=0を満たす。したがって二直線は垂直である。直線上の任意の点Q≠H\mathrm{Q}\ne\mathrm{H}に対し、三平方の定理から

PQ2=PH2+HQ2>PH2\mathrm{PQ}^2=\mathrm{PH}^2+\mathrm{HQ}^2>\mathrm{PH}^2

である。よってH\mathrm{H}が最短距離を与え、

d=PH=∣t∣a2+b2=∣ax0+by0+c∣a2+b2d=\mathrm{PH}=|t|\sqrt{a^2+b^2} =\frac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}

を得る。▨

例 4.2.P=(1,2)\mathrm{P}=(1,2)とl:3x+4y−1=0l:3x+4y-1=0の距離は

d=∣3+8−1∣9+16=2.d=\frac{|3+8-1|}{\sqrt{9+16}}=2.

t=10/25=2/5t=10/25=2/5なので、垂線の足は

H=(−15,25).\mathrm{H}=\left(-\frac15,\frac25\right).

3(−1/5)+4(2/5)−1=03(-1/5)+4(2/5)-1=0によりH\mathrm{H}は直線上にあり、PH=2\mathrm{PH}=2であることも座標の差から確認することができる。

閑話休題:マンハッタン距離と単位円 横方向と縦方向にだけ移動するモデルでは、二点間の距離を

d=∣x2−x1∣+∣y2−y1∣d=|x_2-x_1|+|y_2-y_1|

で表します。この距離をマンハッタン距離、またはタクシー距離と呼びます。原点からの距離が11の点全体は

∣x∣+∣y∣=1|x|+|y|=1

となります。各象限で絶対値を外すと線分の方程式が得られ、その集合は(1,0),(0,1),(−1,0),(0,−1)(1,0),(0,1),(-1,0),(0,-1)を頂点とする正方形です。

マンハッタン距離は非負で、二点が一致するときに限り00となり、二点の順序によらず、三角不等式を満たします。最後の性質は、各座標で∣u+v∣≤∣u∣+∣v∣|u+v|\le|u|+|v|を用いて足すことで確かめることができます。したがって、通常のユークリッド距離と異なる形の単位円をもちながら、距離の公理を満たします。このような距離を一般に扱う理論が距離空間論です。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

実数平面上の相異なる2点 A, B について、次の2点間の距離を求めよ。

解法の型距離 = (x2−x1)2+(y2−y1)2\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}

  1. (1)A(2,−4), B(0,−5)\text{A}(2, -4),\ \text{B}(0, -5)
  2. (2)A(−5,−1), B(−1,3)\text{A}(-5, -1),\ \text{B}(-1, 3)
  3. (3)A(−5,6), B(4,3)\text{A}(-5, 6),\ \text{B}(4, 3)
  4. (4)A(4,4), B(4,−2)\text{A}(4, 4),\ \text{B}(4, -2)

実数平面上の相異なる点 A, B と m,n>0m,n>0 に対し、線分 ABAB を m:nm:n に内分する点の座標を求めよ。

解法の型内分点 = nA+mBm+n\dfrac{nA+mB}{m+n}

  1. (1)実数平面上の相異なる点 A, B があり、m,n>0m,n>0 とする。線分 ABAB を 1:21:2 に内分する点の座標を求めよ。A(7,1), B(4,4) を1:2に内分する点\text{A}(7, 1),\ \text{B}(4, 4)\ \text{を} 1 : 2 \text{に内分する点}
  2. (2)実数平面上の相異なる点 A, B があり、m,n>0m,n>0 とする。線分 ABAB を 1:31:3 に内分する点の座標を求めよ。A(−6,−1), B(−2,−9) を1:3に内分する点\text{A}(-6, -1),\ \text{B}(-2, -9)\ \text{を} 1 : 3 \text{に内分する点}
  3. (3)実数平面上の相異なる点 A, B があり、m,n>0m,n>0 とする。線分 ABAB を 1:31:3 に内分する点の座標を求めよ。A(−7,5), B(−3,−7) を1:3に内分する点\text{A}(-7, 5),\ \text{B}(-3, -7)\ \text{を} 1 : 3 \text{に内分する点}
  4. (4)実数平面上の相異なる点 A, B があり、m,n>0m,n>0 とする。線分 ABAB を 1:21:2 に内分する点の座標を求めよ。A(1,1), B(−5,10) を1:2に内分する点\text{A}(1, 1),\ \text{B}(-5, 10)\ \text{を} 1 : 2 \text{に内分する点}

実数平面上の相異なる2点で、x 座標が異なる A, B を通る直線の方程式を求めよ。

解法の型傾き = y2−y1x2−x1\dfrac{y_2-y_1}{x_2-x_1}。点と傾きから y−y1=a(x−x1)y-y_1=a(x-x_1)

  1. (1)A(0,0), B(3,6)\text{A}(0, 0),\ \text{B}(3, 6)
  2. (2)A(2,6), B(4,12)\text{A}(2, 6),\ \text{B}(4, 12)
  3. (3)A(5,−12), B(0,3)\text{A}(5, -12),\ \text{B}(0, 3)
  4. (4)A(−1,−3), B(−4,−12)\text{A}(-1, -3),\ \text{B}(-4, -12)

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