§E7.41自由群と自由アーベル群のコホモロジー

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自由群と自由アーベル群は、いずれも生成元から定まる基本的な群であるが、群コホモロジーの構造は異なる。例えば、二つの生成元をもつ自由群の整数係数の第二次コホモロジーは零であるのに対し、階数二の自由アーベル群では整数全体に同型となる。生成元の間に可換性の関係を加えることが、コホモロジーの次数と積にどのように反映されるかが問題となる。

自由群では、生成集合の大きさや係数への作用によらず、二次以上のコホモロジーが消滅する。一方、有限階数自由アーベル群の自明な整数係数コホモロジーでは、第一次の類の積が高次の類を生成し、環全体は外積代数として記述される。本記事では、自由群と自由アーベル群のコホモロジーの基本的な性質と、この構造の相違を解説する。

1 自由群の増大イデアル

定理 1.1.XXを任意の集合、F=F(X)F=F(X)をXX上の自由群、R=Z[F]R=\Z[F]とし、添加写像ε ⁣:R→Z\ep\colon R\to\Zの核をIFI_Fとする。このとき、族(x−1)x∈X(x-1)_{x\in X}は左RR-加群IFI_Fの基底である。したがって、∂(ex)=x−1\partial(e_x)=x-1で定まる左RR-線形写像を用いた列

0⟶⨁x∈XRex→∂R→εZ⟶00\longrightarrow\bigoplus_{x\in X}Re_x \xrightarrow{\partial}R\xrightarrow{\ep}\Z\longrightarrow0

は、自明左RR-加群Z\Zの自由分解である。

証明.§E7.27 補題 2.2により、頂点集合FFと正辺(g,x) ⁣:g→gx(g,x)\colon g\to gxをもつ Cayley グラフは木である。正辺上の整数の有限支持一鎖の群をC1C_1とし、各正辺(g,x)(g,x)をgexge_xに対応させると、

C1=⨁(g,x)∈F×XZ(g,x)≅⨁x∈XRexC_1=\bigoplus_{(g,x)\in F\times X}\Z(g,x) \cong\bigoplus_{x\in X}Re_x

となる。頂点上の有限支持零鎖の群はRRである。境界を∂(g,x)=gx−g\partial(g,x)=gx-gと定める。左乗法による群の作用に対して∂(gex)=g(x−1)\partial(ge_x)=g(x-1)であるから、この境界は主張の左RR-線形写像に一致する。

非零の一鎖ccを取り、係数が非零である辺とその端点からなる有限部分グラフを考える。この部分グラフは森であり、辺をもつ連結成分が存在する。その成分の最長の単純道の端点vvには、成分の辺が一本だけ接する。実際、別の辺が接するならば、その辺の他端が道の外にあれば道を延長することができ、道の上にあれば閉路が生じる。いずれも最長性または木性に反する。∂c\partial cのvvにおける係数は、この一本の辺の非零係数かその負である。よって∂c≠0\partial c\ne0であり、∂\partialは単射である。

任意のg∈Fg\in Fに対し、木の頂点11からggへの唯一の単純道を取る。道が正辺をその向きに通るときは係数11、逆向きに通るときは係数−1-1を付けた一鎖をpgp_gとする。道の内点の境界は相殺されるので、∂pg=g−1\partial p_g=g-1である。a=∑gagg∈ker⁡εa=\sum_g a_g g\in\ker\epに対して、∑gag=0\sum_g a_g=0であるから

a=∑gag(g−1)=∂(∑gagpg)a=\sum_g a_g(g-1)=\partial\Bigl(\sum_g a_gp_g\Bigr)

となる。係数aga_gの台も各道も有限であるため、括弧内はC1C_1の元である。逆にε(gx−g)=0\ep(gx-g)=0なので、im⁡∂=ker⁡ε\im\partial=\ker\epである。従って∂\partialは⨁xRex\bigoplus_xRe_xからIFI_Fへの同型であり、ε(1)=1\ep(1)=1と合わせて表示した列の完全性を得る。

X=∅X=\varnothingの場合にはF={1}F=\{1\}、C1=0C_1=0であり、添加はZ\Zの恒等写像である。この場合も同じ列が自由分解となる。▨

系 1.2.XXを任意の集合、F=F(X)F=F(X)、AAを任意の左Z[F]\Z[F]-加群とする。写像

δ ⁣:A⟶∏x∈XA,a⟼((x−1)a)x∈X\delta\colon A\longrightarrow\prod_{x\in X}A, \qquad a\longmapsto((x-1)a)_{x\in X}

に対して、H0(F,A)≅ker⁡δ=AFH^0(F,A)\cong\ker\delta=A^F、H1(F,A)≅coker⁡δH^1(F,A)\cong\coker\deltaであり、すべてのq≥2q\ge2に対してHq(F,A)=0H^q(F,A)=0である。

証明.§E6.10 補題 1.4により、基底上の値を取る写像は

Hom⁡Z[F](Z[F],A)≅A,Hom⁡Z[F](⨁x∈XZ[F]ex,A)≅∏x∈XA\Hom_{\Z[F]}(\Z[F],A)\cong A,\qquad \Hom_{\Z[F]}\Bigl(\bigoplus_{x\in X}\Z[F]e_x,A\Bigr) \cong\prod_{x\in X}A

を与える。定理 1.1の分解にHom⁡Z[F](−,A)\Hom_{\Z[F]}(-,A)を施すと、これらの同型の下で余鎖複体は0→A→δ∏xA→00\to A\xrightarrow{\delta}\prod_xA\to0となる。§E7.35 系 4.4により、そのコホモロジーがHq(F,A)H^q(F,A)である。δa=0\delta a=0はすべてのx∈Xx\in Xがaaを固定することを意味し、XXがFFを生成するためa∈AFa\in A^Fと同値である。▨

2 無限巡回群との直積の分解

定理 2.1.GGを任意の群、C=⟨t⟩C=\langle t\rangleを無限巡回群とし、R=Z[G]R=\Z[G]、S=Z[C]S=\Z[C]、L=Z[G×C]L=\Z[G\times C]とおく。自明左RR-加群Z\Zの射影分解P∙→εPZP_\bullet\xrightarrow{\ep_P}\Zを取り、Q∙→εQZQ_\bullet\xrightarrow{\ep_Q}\Zを自由分解

0⟶Se1→dQSe0→εQZ⟶0,dQe1=(t−1)e0,εQ(e0)=10\longrightarrow S e_1\xrightarrow{d_Q}S e_0\xrightarrow{\ep_Q}\Z\longrightarrow0, \qquad d_Qe_1=(t-1)e_0,\quad \ep_Q(e_0)=1

とする。P,QP,Qを非負次数の鎖複体とし、次数零からの微分を零とする。各n≥0n\ge0に対し、p,q≥0p,q\ge0として

Tn=⨁p+q=nPp⊗ZQq,D(u⊗v)=dPu⊗v+(−1)pu⊗dQv(u∈Pp, v∈Qq)T_n=\bigoplus_{p+q=n}P_p\otimes_{\Z}Q_q, \qquad D(u\otimes v)=d_Pu\otimes v+(-1)^p u\otimes d_Qv \quad(u\in P_p,\ v\in Q_q)

と定め、作用を(g,tm)(u⊗v)=gu⊗tmv(g,t^m)(u\otimes v)=gu\otimes t^m vとする。このとき、T∙→εP⊗εQZT_\bullet\xrightarrow{\ep_P\otimes\ep_Q}\Zは自明左LL-加群Z\Zの射影分解である。PPが自由分解ならばTTも自由分解であり、任意の群GGについてこの構成による自由分解が存在する。

証明.§E7.38 定理 3.1により、表示したQQは自由分解である。テンソル積の普遍性によって、表示した作用とDDは整数上の線形写像を定める。群の積との両立性を純テンソル上で確かめると、各TnT_nは左LL-加群となり、DDと添加は左LL-線形である。D2(u⊗v)D^2(u\otimes v)の二つの交差項の係数は(−1)p−1(-1)^{p-1}と(−1)p(-1)^pであるため相殺され、dP2=dQ2=0d_P^2=d_Q^2=0からD2=0D^2=0である。

LLを右RR-加群とみなすと、各ppに対して左LL-加群の同型

L⊗RPp⟶Pp⊗ZS,(g,tm)⊗u⟼gu⊗tmL\otimes_RP_p\longrightarrow P_p\otimes_{\Z}S, \qquad (g,t^m)\otimes u\longmapsto gu\otimes t^m

が存在する。その逆はu⊗tm↦(1,tm)⊗uu\otimes t^m\mapsto(1,t^m)\otimes uであり、テンソル積の平衡関係によって両者の合成は恒等写像となる。§E6.16 命題 1.2 (3)により、PpP_pは自由左RR-加群の直和因子である。分裂包含と射影にL⊗R−L\otimes_R-を施すと、その合成は引き続き恒等写像である。自由左RR-加群の基底を(bi)i∈I(b_i)_{i\in I}とすると、誘導された加群は(1⊗bi)i∈I(1\otimes b_i)_{i\in I}を左LL-基底とする。これは§E6.14 定理 4.2の整数基底による表示からも従う。従って§E6.16 命題 2.1 (2)によりPp⊗ZSP_p\otimes_{\Z}Sは射影的であり、二つのこの形の加群の直和であるTnT_nも§E6.16 命題 2.1 (1)によって射影的である。PpP_p自身が自由ならば、同じ基底の表示によって各TnT_nは自由である。

整数上の写像η ⁣:Z→Q0\eta\colon\Z\to Q_0をη(1)=e0\eta(1)=e_0により定める。また、s ⁣:Q0→Q1s\colon Q_0\to Q_1を整数線形に

s(tme0)={∑a=0m−1tae1(m>0),0(m=0),−∑a=m−1tae1(m<0)s(t^me_0)= \begin{cases} \displaystyle\sum_{a=0}^{m-1}t^ae_1 &(m>0),\\ 0 &(m=0),\\ \displaystyle-\sum_{a=m}^{-1}t^ae_1 &(m<0) \end{cases}

と定め、他の次数では零とする。各有限和の隣接項を相殺すると

dQs(tme0)=(tm−1)e0,s((tm+1−tm)e0)=tme1d_Qs(t^me_0)=(t^m-1)e_0,\qquad s\bigl((t^{m+1}-t^m)e_0\bigr)=t^me_1

を得る。従ってdQs+sdQ=1−ηεQd_Qs+sd_Q=1-\eta\ep_Qである。右辺のηεQ\eta\ep_Qは次数零にのみ作用する。

E=1⊗εQ ⁣:T→PE=1\otimes\ep_Q\colon T\to PとJ=1⊗η ⁣:P→TJ=1\otimes\eta\colon P\to Tは整数上の鎖写像であり、EJ=1PEJ=1_Pである。整数上の次数一の写像をH(u⊗v)=(−1)pu⊗s(v)H(u\otimes v)=(-1)^p u\otimes s(v)(u∈Ppu\in P_p)と定めると、

(DH+HD)(u⊗v)=u⊗(dQs+sdQ)v=(1T−JE)(u⊗v)\begin{aligned} (DH+HD)(u\otimes v) &=u\otimes(d_Qs+sd_Q)v\\ &=(1_T-JE)(u\otimes v) \end{aligned}

となる。第一因子の微分を含む二項は、係数(−1)p(-1)^pと(−1)p−1(-1)^{p-1}によって相殺される。よってEEは整数上の鎖ホモトピー同値である。§E6.37 系 1.5により、TTの正次数のホモロジーは零であり、EEと添加の両立性からH0(T)→ZH_0(T)\to\Zも同型である。従って添加列は整数上で完全であり、同じ核と像をもつ左LL-加群の列としても完全である。最後に§E6.38 定理 1.3によってPPを自由分解に選ぶと、TTは自由分解となる。▨

3 有限階数自由アーベル群の分解

定理 3.1.n≥0n\ge0を整数とし、自由アーベル群An=ZnA_n=\Z^nの標準生成元をt1,…,tnt_1,\ldots,t_n、群環をLn=Z[An]L_n=\Z[A_n]とする。各k≥0k\ge0に対して、{1,…,n}\{1,\ldots,n\}のkk元部分集合JJを添字とする基底eJe_Jをもつ自由左LnL_n-加群をKkK_kとする。J={j1<⋯<jk}J=\{j_1<\cdots<j_k\}に対して

deJ=∑r=1k(−1)r−1(tjr−1)eJ∖{jr}d e_J=\sum_{r=1}^k(-1)^{r-1}(t_{j_r}-1)e_{J\setminus\{j_r\}}

と定め、K0=Lne∅K_0=L_ne_\varnothingの添加をε(e∅)=1\ep(e_\varnothing)=1で定める。このとき、K∙→εZK_\bullet\xrightarrow{\ep}\Zは自明左LnL_n-加群Z\Zの自由分解である。この分解をAnA_nの Koszul 分解という。

証明.n=0n=0のとき、K0=ZK_0=\Z、Kk=0K_k=0(k>0k>0)であり、添加は恒等写像である。n≥1n\ge1では、最初のn−1n-1個の巡回因子から得た自由分解と最後の巡回因子の二項自由分解に定理 2.1を適用する。各因子で次数一の基底を選ぶ添字の集合をJJとすると、テンソル積の基底はeJe_Jで添字付けられる。添字jrj_rの因子を微分するとき、その前に次数一の因子がr−1r-1個あるため、全複体の符号は(−1)r−1(-1)^{r-1}である。従って得られる微分は表示したddに等しく、階数についての帰納法により主張が従う。▨

系 3.2.n≥0n\ge0を整数とし、An=ZnA_n=\Z^nに自明整数係数を用いる。定理 3.1の基底に対する双対コチェインを

fJ ⁣:K∣J∣⟶Z,fJ(eI)={1(I=J),0(I≠J)f_J\colon K_{|J|}\longrightarrow\Z,\qquad f_J(e_I)= \begin{cases}1 &(I=J),\\0 &(I\ne J) \end{cases}

とする。このとき[fJ][f_J](∣J∣=k|J|=k)はHk(An,Z)H^k(A_n,\Z)の整数基底である。特に0≤k≤n0\le k\le nではHk(An,Z)≅Z(nk)H^k(A_n,\Z)\cong\Z^{\binom nk}であり、k>nk>nではHk(An,Z)=0H^k(A_n,\Z)=0である。

証明. 自明整数係数では各ti−1t_i-1が零として作用するため、Hom⁡Ln(K∙,Z)\Hom_{L_n}(K_\bullet,\Z)の微分は零である。従って§E7.35 系 4.4により、各次数のコチェインの基底(fJ)∣J∣=k(f_J)_{|J|=k}がそのままコホモロジーの基底を与える。▨

4 整数係数コホモロジー環

定義 4.1.n≥0n\ge0を整数とする。自由アーベル群Zn\Z^nの整数上の外積代数 (exterior algebra) を、次数一の生成元v1,…,vnv_1,\ldots,v_nと関係式

vi2=0,vivj+vjvi=0(i≠j)v_i^2=0,\qquad v_iv_j+v_jv_i=0\quad(i\ne j)

によって定まる単位的次数付き整数代数ΛZ(Zn)\Lambda_{\Z}(\Z^n)とする。すなわち、生成元の有限語を整数基底とし、語の連結を積とする自由結合代数の、表示した関係式が生成する両側イデアルによる商である。空語は単位を表し、n=0n=0のときこの代数はZ\Zである。

注意 4.2.n≥0n\ge0を整数とする。Zn\Z^nの外積代数を、一次のすべての元の平方を零にする関係によって定めても同じ代数を得る。実際、vi2=0v_i^2=0と(vi+vj)2=0(v_i+v_j)^2=0からvivj+vjvi=0v_iv_j+v_jv_i=0が従い、逆に表示した関係式から任意の整数a1,…,ana_1,\ldots,a_nに対して

(∑iaivi)2=∑iai2vi2+∑i<jaiaj(vivj+vjvi)=0\Bigl(\sum_i a_i v_i\Bigr)^2 =\sum_i a_i^2v_i^2+\sum_{i<j}a_i a_j(v_iv_j+v_jv_i)=0

が従う。

定理 4.3.n≥0n\ge0を整数とし、An=ZnA_n=\Z^nに自明整数係数を用いる。系 3.2の次数一の基底をui=[f{i}]u_i=[f_{\{i\}}]とする。このとき、vi↦uiv_i\mapsto u_iにより単位的次数付き環の同型

ΛZ(Zn)→ ≅ H∗(An,Z)\Lambda_{\Z}(\Z^n)\xrightarrow{\ \cong\ }H^*(A_n,\Z)

が定まる。i1<⋯<iki_1<\cdots<i_kに対し、ui1⌣⋯⌣uik=[f{i1,…,ik}]u_{i_1}\smile\cdots\smile u_{i_k}=[f_{\{i_1,\ldots,i_k\}}]である。

証明.Ln=Z[An]L_n=\Z[A_n]とし、KKを定理 3.1の自由分解とする。J={j1<⋯<jk}J=\{j_1<\cdots<j_k\}に対して、左LnL_n-線形写像ιi ⁣:Kk→Kk−1\iota_i\colon K_k\to K_{k-1}を

ιi(eJ)={(−1)r−1eJ∖{i}(i=jr),0(i∉J)\iota_i(e_J)= \begin{cases} (-1)^{r-1}e_{J\setminus\{i\}} &(i=j_r),\\ 0 &(i\notin J) \end{cases}

と定め、K0K_0では零とする。同じ添字を二度削除することはできないためιi2=0\iota_i^2=0である。異なる二つの添字を削除すると、一方の削除は他方の位置を一だけ変えるので、二つの削除順の符号は逆になる。従ってιiιj=−ιjιi\iota_i\iota_j=-\iota_j\iota_i(i≠ji\ne j)である。微分はd=∑i(ti−1)ιid=\sum_i(t_i-1)\iota_iであるから、dιi=−ιidd\iota_i=-\iota_i dとなる。

k≥1k\ge1においてci∣Kk=(−1)k−1ιic_i|_{K_k}=(-1)^{k-1}\iota_iとし、K0K_0では零とする。k≥2k\ge2では

dci=(−1)k−1dιi=(−1)k−2ιid=cidd c_i=(-1)^{k-1}d\iota_i =(-1)^{k-2}\iota_i d=c_i d

であり、k=1k=1では両辺が零である。またεci∣K1=f{i}\ep c_i|_{K_1}=f_{\{i\}}であるから、写像の族ci ⁣:Kj+1→Kjc_i\colon K_{j+1}\to K_j(j≥0j\ge0)はコサイクルf{i}f_{\{i\}}の持上げである。

§E6.40 命題 4.1と§E7.40 命題 3.1により、任意の正次数のコサイクルf ⁣:Kp→Zf\colon K_p\to\Zに対して

[f]⌣ui=[fci]∈Hp+1(An,Z)[f]\smile u_i=[f c_i]\in H^{p+1}(A_n,\Z)

である。ci2=0c_i^2=0、cicj=−cjcic_ic_j=-c_jc_iであり、f{i}=εci∣K1f_{\{i\}}=\ep c_i|_{K_1}なので、ui2=0u_i^2=0とui⌣uj=−uj⌣uiu_i\smile u_j=-u_j\smile u_iを得る。§E7.40 命題 3.1の次数零の記述により、[f∅]=[ε][f_\varnothing]=[\ep]は単位であり、整数は通常の整数倍として作用する。従ってvi↦uiv_i\mapsto u_iは単位的次数付き環の準同型を誘導する。

i1<⋯<iki_1<\cdots<i_kとすると、積ui1⌣⋯⌣uiku_{i_1}\smile\cdots\smile u_{i_k}はコチェインf{i1}ci2⋯cikf_{\{i_1\}}c_{i_2}\cdots c_{i_k}によって表される。ci(eJ)=(−1)∣J∣−reJ∖{i}c_i(e_J)=(-1)^{|J|-r}e_{J\setminus\{i\}}(i=jri=j_r)であるから、最大の添字を削除するときの符号は11である。右端の写像から順に作用させると、表示したコチェインはe{i1,…,ik}e_{\{i_1,\ldots,i_k\}}に11を与え、他の次数kkの基底には00を与える。よってこの積は[f{i1,…,ik}][f_{\{i_1,\ldots,i_k\}}]に等しい。

外積代数の関係式を用いて語の添字を増加順に並べると、重複する添字をもつ語は零となる。従って相異なる添字の増加順の積と空積は、外積代数を整数加群として生成する。これらの積の像は系 3.2の整数基底であるため、得られた準同型は全射かつ単射である。n=0n=0の場合には双方が次数零のZ\Zであり、同じ準同型は恒等写像である。▨

参考文献

  1. Kenneth S. Brown, Cohomology of Groups, Graduate Texts in Mathematics 87, Springer, New York, 1982.自由群の増大イデアルと自由アーベル群のコホモロジーの計算を参考にした。
  2. Charles A. Weibel, An Introduction to Homological Algebra, Cambridge University Press, 1994.分解のテンソル全複体と持上げの合成による Ext の積を参考にした。

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