1 テンソル分解と対角
補題 1.1.Gを群、R=Z[G]とし、標準自由分解をB∙εZと書く。添加を除いた複体ではB0からの微分を零とする。k=2,3と各n≥0に対して
(B⊗k)n=i1+⋯+ik=n⨁Bi1⊗Z⋯⊗ZBik(i1,…,ik≥0)とおき、各テンソル積に対角作用
g(x1⊗⋯⊗xk)=gx1⊗⋯⊗gxkを入れる。xa∈Biaに対する微分を
D(x1⊗⋯⊗xk)=a=1∑k(−1)i1+⋯+ia−1x1⊗⋯⊗dxa⊗⋯⊗xkと定める。この複体と添加ε⊗k:(B⊗k)0→Zは、自明左R-加群Zの自由分解をなす。
証明. 各g∈Gに対して(x,y)↦gx⊗gyはZ-双線形であるから、テンソル積の普遍性§E6.14 定義 3.1によりBi⊗ZBjの自己準同型を定める。二つの群元の作用の合成は、純テンソル上でその積の作用に等しい。純テンソルはテンソル積を生成するため、これらの写像は群の作用を定め、群環へ線形に延長して左R-加群構造を与える。三因子にも同じ構成を適用する。
Bi,BjのR-基底の元を、それぞれb,cで表す。§E6.14 定理 4.2により、b,cを各基底全体に、g,hをG全体にわたらせたgb⊗hcは、Bi⊗ZBjの整数基底である。各基底元は
gb⊗hc=g(b⊗g−1hc)と一意に表されるので、b⊗tc(t∈G)は対角作用に関するR-基底である。三因子の基底元も、第三因子のR-基底の元をa、群元をtとすると、
gb⊗hc⊗ta=g(b⊗g−1hc⊗g−1ta)という一意な表示からR-基底を得る。したがって各全複体の各項は自由である。
二因子の微分D(x⊗y)=dx⊗y+(−1)ix⊗dy(x∈Bi)はR-線形である。D2の交差項の係数は(−1)i−1+(−1)i=0であり、各因子のd2は零であるからD2=0となる。三因子の微分は二因子の全複体とBに同じ構成を適用したものであり、その二乗も零である。
§E7.35 補題 2.3の整数線形写像をhn:Bn→Bn+1、ι=h−1:Z→B0と書く。非添加複体Bの写像eを、次数零ではιε、正次数では零と定める。eは整数線形な鎖写像であり、既出の縮約恒等式は
dh+hd=1−eとなる。二因子の全複体に整数線形写像
H(x⊗y)=hx⊗y+(−1)iex⊗hy(x∈Bi)を定める。第一項をH1、第二項をH2と書くと、
DH1+H1D=(1−e)⊗1,DH2+H2D=e⊗(1−e)である。実際、第一の等式の交差項は(−1)i+1+(−1)i=0で消え、残る項は(dh+hd)x⊗yとなる。第二の等式ではde=edによって第一因子を微分する項が消え、残る項はex⊗(dh+hd)yとなる。よって
DH+HD=1−e⊗e.正次数のサイクルzは(e⊗e)z=0を満たすのでz=DH(z)である。次数零で(ε⊗ε)z=0の場合も(e⊗e)z=(ι⊗ι)(ε⊗ε)z=0なのでz=DH(z)となる。添加は[]⊗[]を1に送るから全射であり、二因子の添加複体は完全である。
三因子では、二因子の複体の縮約Hと写像e⊗e、および第三因子のh,eに上記の二項の計算を適用する。すなわちz∈(B⊗B)aに対し
K(z⊗y)=Hz⊗y+(−1)a(e⊗e)z⊗hyとおくと、DK+KD=1−e⊗e⊗eとなる。正次数のサイクルと次数零の添加の核は、この恒等式によってそれぞれ境界である。添加は[]⊗[]⊗[]を1に送るので全射である。整数加群についての核と像の一致はR-加群についての核と像の一致でもあり、両複体は自由分解をなす。▨
補題 1.2.Gを群とし、標準自由分解をB∙εZと書く。R=Z[G]-線形写像Δn:Bn→(B⊗ZB)nを、自由基底上の式
Δn[g1∣⋯∣gn]=i=0∑n[g1∣⋯∣gi]⊗(g1⋯gi)[gi+1∣⋯∣gn]で定める。空の組は[]、空の群元の積は単位元を表す。この写像はDΔ=Δdと(ε⊗ε)Δ0=εを満たす。さらに、εを非添加複体Bから次数零に置いたZへの写像とみなすと、
(ε⊗1)Δ=1B=(1⊗ε)Δが成り立つ。このΔを Alexander–Whitney 対角という。
証明.§E6.10 補題 1.4により、表示した基底値はR-線形写像を一意に定める。§E7.35 補題 2.2の証明で用いた整数基底の表示を
v(x0,…,xn)=x0[x0−1x1∣⋯∣xn−1−1xn]と書く。この表示では面は一つの頂点を削除し、対角の式は
Δv(x0,…,xn)=i=0∑nv(x0,…,xi)⊗v(xi,…,xn)となる。n≥1に対してDΔv(x0,…,xn)は、二つの和
i=1∑nr=0∑i(−1)rv(x0,…,xr,…,xi)⊗v(xi,…,xn)および
i=0∑n−1s=i∑n(−1)sv(x0,…,xi)⊗v(xi,…,xs,…,xn)の和である。第一の和でr=iの項は、第二の和で分割位置と削除位置がともにi−1の項と値が等しく、符号が逆である。残る項では、削除する頂点が分割頂点より前にあるか後にあるかに応じて、それぞれr<iまたはs>iとなる。頂点を一つ削除してから残った頂点で分割する各項は、この二つの場合の一方にちょうど一度現れ、削除位置による符号も一致する。よって残る和はΔdv(x0,…,xn)に等しい。整数基底上での一致からDΔ=Δdを得る。
次数零ではΔv(x0)=v(x0)⊗v(x0)、εv(x0)=1であるから添加を保つ。(ε⊗1)Δには分割位置0の項だけが残り、値はv(x0,…,xn)である。(1⊗ε)Δには分割位置nの項だけが残り、同じ値を与える。したがって両合成は1Bに等しい。▨
2 カップ積
定理 2.1.Gを群、M,N,Lを左Z[G]-加群、β:M×N→LをG-同変なZ-双線形写像とする。各p,q≥0に対し、非斉次コチェインの積を
(f⌣βg)(g1,…,gp+q)=β(f(g1,…,gp),(g1⋯gp)g(gp+1,…,gp+q))(f∈Cp(G,M), g∈Cq(G,N))と定める。空の入力における零次コチェインの値は対応する係数加群の元とし、空の群元の積は単位元とする。この積は
δ(f⌣βg)=δf⌣βg+(−1)pf⌣βδgを満たし、双加法的な写像
Hp(G,M)×Hq(G,N)⟶Hp+q(G,L),([f],[g])⟼[f⌣βg]を定める。この積をβによるカップ積という。
テンソル積M⊗ZNに対角作用を入れ、βˉ:M⊗ZN→Lをβの線形化とする。標準分解の対角の(p,q)成分をΔp,qと書くと、コチェインの積は合成βˉ(f⊗g)Δp,qに等しい。Δを、同じ添加を保つ任意の鎖写像B→B⊗ZBに置き換えても、コホモロジー上の積は変わらない。β(m,n)=m⊗nの場合には積を単に⌣と書く。
証明. テンソル積の普遍性によりβˉが一意に定まり、G-同変性の等式β(hm,hn)=hβ(m,n)は、純テンソル上でβˉがG-作用を保つことを与える。したがってβˉはZ[G]-線形である。§E7.35 命題 4.2によってf,gをそれぞれBp→M、Bq→Nとみなす。補題 1.2の(p,q)成分にβˉ(f⊗g)を合成すると、表示した非斉次コチェインの式を得る。
βˉ(f⊗g)を、全複体の次数p+qにおいて(p,q)成分以外では零となるコチェインFとみなす。FDは(p+1,q)成分でβˉ((δf)⊗g)、(p,q+1)成分で(−1)pβˉ(f⊗δg)となり、他の成分では零である。DΔ=Δdにより、これが積の Leibniz 則を与える。したがってコサイクル同士の積はコサイクルである。δg=0のとき(δa)⌣βg=δ(a⌣βg)であり、δf=0のときf⌣βδb=(−1)pδ(f⌣βb)であるから、代表の変更による差はコバウンダリーである。次数零には負次数からのコバウンダリーがない。コチェインの式の双加法性もコホモロジーへ移る。
添加を保つ別の鎖写像Δ′を取る。始域Bは§E7.35 定理 2.4によって射影分解であり、終域B⊗Bは補題 1.1によって分解である。§E6.38 定理 2.2により、Δ−Δ′=DS+Sdを満たすZ[G]-線形写像Sが存在する。f,gがコサイクルならFD=0であり、n=p+q≥1で
F(Δn−Δn′)=FSn−1dn=δ(FSn−1)となる。n=0ではΔ0−Δ0′=DS0なのでF(Δ0−Δ0′)=0である。したがってコホモロジー上の積は対角の選択によらない。▨
定理 2.2.Gを群、M,N,Lを左Z[G]-加群、p,q,r≥0とする。カップ積は次の性質を満たす。
- 左Z[G]-線形写像u:M→M′、v:N→N′、w:L→L′と、同変双線形写像β:M×N→L、β′:M′×N′→L′がwβ(m,n)=β′(um,vn)を満たすならば、
w∗(x⌣βy)=u∗x⌣β′v∗y
がすべてのx∈Hp(G,M)、y∈Hq(G,N)について成り立つ。
- 群準同型φ:H→Gに対し、φ∗Mを作用hm=φ(h)mを入れたH-加群とする。コチェインの入力へのφの代入は、すべてのn≥0について準同型φ∗:Hn(G,M)→Hn(H,φ∗M)を定める。同変双線形写像β:M×N→Lとx∈Hp(G,M)、y∈Hq(G,N)に対して、
φ∗(x⌣βy)=φ∗x⌣βφ∗y
が成り立つ。
- x∈Hp(G,M)、y∈Hq(G,N)、z∈Hr(G,L)に対し、テンソル積の自然な同型(M⊗N)⊗L≅M⊗(N⊗L)による同定のもとで
(x⌣y)⌣z=x⌣(y⌣z)
が成り立つ。
- Zに自明作用を与え、1∈Z=H0(G,Z)とする。自然な同型Z⊗M≅M≅M⊗Zによる同定のもとで、すべてのx∈Hp(G,M)について1⌣x=x=x⌣1である。
- 交換写像s:M⊗N→N⊗M、s(m⊗n)=n⊗mに対し、すべてのx∈Hp(G,M)、y∈Hq(G,N)について
s∗(x⌣y)=(−1)pqy⌣x
が成り立つ。
ここでテンソル積はすべてZ上で取り、各テンソル積には対角作用を入れる。
証明.x,yのコサイクル代表をf,gとする。wβˉ(f⊗g)=βˉ′((uf)⊗(vg))が純テンソル上で成り立つので、対角と合成すると(1)を得る。
群準同型φ:H→Gに対し、標準分解の間のZ[H]-線形写像
Fn:Bn(H)⟶φ∗Bn(G),[h1∣⋯∣hn]⟼[φ(h1)∣⋯∣φ(hn)]を取る。φ(hihi+1)=φ(hi)φ(hi+1)と作用の定義により、Fは標準分解の各面と可換であり、添加も保つ。したがってFとの前合成は余鎖写像を与え、コホモロジーにφ∗を誘導する。二つの写像ΔGFと(F⊗F)ΔHは、B(H)からφ∗(B(G)⊗B(G))への鎖写像であり、同じidZを持ち上げる。始域はZ[H]上自由であり、終域は作用を制限しても完全性を保つため、§E6.38 定理 2.2により両写像は鎖ホモトピックである。定理 2.1の証明で用いた閉コチェインとの合成の境界計算を適用すると、(2)を得る。
M,N,Lの左右の整数作用を通常の整数倍とし、§E6.14 定理 8.1を係数環R=S=T=Zに適用して結合同型を得る。この同型は(m⊗n)⊗ℓをm⊗(n⊗ℓ)へ送るので、純テンソル上で対角作用を保つ。以下の三重テンソル積をこの写像で同定する。B→B⊗B⊗Bの鎖写像(Δ⊗1)Δと(1⊗Δ)Δは、いずれもidZを持ち上げる。補題 1.1と§E6.38 定理 2.2により両写像は鎖ホモトピックである。zのコサイクル代表をh:Br→Lとし、次数p+q+rの全コチェインf⊗g⊗hを合成する。この全コチェインと全微分の合成は、δf=δg=δh=0によって零である。二つの合成の差はコバウンダリーとなるので、(3)が成り立つ。
1∈H0(G,Z)の代表はε:B0→Zである。補題 1.2の(ε⊗1)Δ=1B=(1⊗ε)Δをfと合成すると、(4)を得る。
a∈Bi、b∈Bjに対し、τ(a⊗b)=(−1)ijb⊗aと定める。Dτ(a⊗b)のdb⊗aとb⊗daの係数は、それぞれ(−1)ijと(−1)ij+jである。τD(a⊗b)の同じ二項の係数は、それぞれ(−1)i+i(j−1)と(−1)(i−1)jであり、前の二つの符号に等しい。よってτは添加を保つ鎖写像であり、τΔとΔは同じidZを持ち上げる。比較定理により両写像は鎖ホモトピックである。次数p+qの閉コチェインg⊗fを合成すると、
[(g⊗f)Δq,p]=[(g⊗f)τΔp,q]=(−1)pqs∗[(f⊗g)Δp,q]となり、(5)が従う。▨
3 Yoneda 積とコホモロジー環
命題 3.1.Gを群、Mを左Z[G]-加群、p,q≥1とする。係数の双線形写像M×Z→M、(m,a)↦amによるカップ積
Hp(G,M)×Hq(G,Z)⟶Hp+q(G,M)は、Hn(G,A)=ExtZ[G]n(Z,A)という同定のもとで、射影分解上の持ち上げの合成による積と一致する。したがって、拡大による表示では Yoneda 積と一致する。特にM=Zのとき、整数の乗法による正次数のカップ積は Yoneda 積である。
零次の元を含める場合には、右側のa∈H0(G,Z)はa倍写像との前合成、左側のx∈H0(G,M)は対応する写像Z→Mとの後合成として積に作用する。これらの合成作用もカップ積と一致する。
証明. 標準分解B上のコサイクルg:Bq→Zに対し、
Aj=(1⊗g)Δj,q:Bj+q⟶Bj(j≥0)と定める。終域ではBj⊗Z≅Bjと同定している。対角の微分適合性の(j−1,q)成分は、j≥1で
(dj⊗1)Δj,q+(−1)j−1(1⊗dq+1)Δj−1,q+1=Δj−1,qdj+qである。第二因子にgを合成すると、gdq+1=0により第二項は消え、
djAj=Aj−1dj+qを得る。また(ε⊗1)Δ=1Bにgを合成するとεA0=gとなる。したがってAは§E6.40 命題 4.1の積に用いるgの持ち上げである。f:Bp→Mがコサイクルならば、
fAp=(f⊗g)Δp,q=f⌣gであるから、持ち上げの合成による積[f][g]とカップ積[f]⌣[g]は等しい。§E6.40 定理 4.3により、正次数のこの積は拡大の接合による Yoneda 積に一致する。
a∈H0(G,Z)=Zのコサイクル代表はaεであり、a倍写像Z→Zの持ち上げとして各次数のa1Bjを取ることができる。前合成はf↦afであり、(1⊗ε)Δ=1Bによってf⌣(aε)=afでもある。一方、x∈H0(G,M)=MGはtx:Z→M、tx(1)=xを定め、代表はtxεである。(ε⊗1)Δ=1Bによって
(txε)⌣g=txgとなり、係数への後合成に一致する。両方の次数が零の場合も、これらの式はtxと整数倍写像の合成を与える。▨
定義 3.2.Gを群とし、Zに自明作用を与える。次数付きアーベル群
H∗(G,Z)=n≥0⨁Hn(G,Z)に、整数の乗法Z×Z→Zによるカップ積を双加法的に延長する。この積をもつH∗(G,Z)を、Gの整数係数のコホモロジー環 (cohomology ring) という。整数の乗法の結合律、定理 2.2 (3)および定理 2.2 (4)により、この環は結合的で単位元1∈H0(G,Z)をもち、定理 2.2 (5)により
xy=(−1)pqyx(x∈Hp(G,Z), y∈Hq(G,Z))を満たす。すなわち、この環は次数付き可換である。
4 有限巡回群の周期性と環
定理 4.1.G=⟨σ⟩を位数m≥1の有限巡回群、Aを左Z[G]-加群とする。§E7.38 命題 1.2の周期分解Pn=Z[G]を、奇数次の微分T=σ−1、正偶数次の微分N=∑i=0m−1σiによって取る。整数係数の二次類を
u=[ε:P2→Z]∈H2(G,Z)と定める。評価φ↦φ(1)によるH2(G,Z)≅Z/mZのもとで、uは1+mZに対応する。すべてのn≥1に対して、積による写像
Hn(G,A)⟶Hn+2(G,A),x⟼x⌣uはAについて自然な同型である。自然な係数の同定のもとでx⌣u=u⌣xである。零次の同じ写像は、§E7.38 定理 2.1の同定のもとで商写像AG→AG/NAである。
証明.εd3=εT=0であるから、ε:P2→Zはコサイクルである。§E7.38 定理 2.1の評価同型により、その類は1+mZに対応する。j≥0に対してUj:Pj+2→Pjを群環の恒等写像とする。εU0=εであり、j≥1では周期分解のdj+2=djにより
djUj=Uj−1dj+2となる。したがってUは二次コサイクルεの持ち上げである。
n≥1のコサイクルf:Pn→Aを取る。命題 3.1と§E6.40 命題 4.1の分解独立性により、[f]⌣uはfUn:Pn+2→Aの類である。評価するとfUn(1)=f(1)である。奇数次数ではこの写像はkerN/TAの恒等写像であり、正偶数次数ではAG/NAの恒等写像である。よってすべてのn≥1で同型である。係数加群の射は評価と可換なので自然性も成り立つ。定理 2.2 (5)の符号は(−1)2n=1であり、x⌣u=u⌣xを得る。
a∈AGに対して、ta:Z→A、ta(1)=aはZ[G]-線形である。命題 3.1の零次の合成作用により、a⌣uはtaε:P2→Aの類である。その評価はaなので、零次の写像はa↦a+NAである。▨
定理 4.2.G=⟨σ⟩を位数m≥1の有限巡回群とし、u∈H2(G,Z)を定理 4.1の二次類とする。次数二の不定元Uに対して、U↦uは次数付き環の同型
Z[U]/(mU) ∼ H∗(G,Z)を与える。
証明.§E7.38 例 2.2により、次数零はZ、奇数次数は零、各正偶数次数はZ/mZである。uは二次の群で1+mZに対応する。定理 4.1の証明における恒等持ち上げを繰り返し用いると、各k≥1に対しukはε:P2k→Zの類であり、次数2kの群を生成する。したがってU↦uが定める環準同型Z[U]→H∗(G,Z)は全射である。多項式a0+a1U+⋯+asUsの像が零であるための必要十分条件は、次数ごとにa0=0、ak∈mZ(1≤k≤s)となることである。この条件を満たす多項式全体はイデアル(mU)であり、商を取ると主張の同型を得る。m=1のときも同じ計算が成り立ち、u=0、Z[U]/(U)≅Zとなる。▨
例 4.3. 位数二の巡回群G=⟨σ⟩が、アーベル群A=Zにσa=−aによって作用するとする。このときT=−2、N=1+σ=0であるから、§E7.38 定理 2.1により
H0(G,A)=0,H2k+1(G,A)≅Z/2Z,H2k+2(G,A)=0(k≥0)である。評価によるH1(G,A)≅Z/2Zの非零類をxとし、整数係数の二次類をuとする。定理 4.1により、x⌣ukはすべてのk≥0について次数2k+1の非零類である。したがって二次整数類との積は、自明でない作用をもつ係数の奇数次数の類にも周期性を与える。
例 4.4.Gを位数m≥1の有限巡回群とし、Zに自明作用を与える。二次類uとの積による零次から二次への写像は
Z=H0(G,Z)⟶H2(G,Z)=Z/mZ,a⟼a+mZである。その核はmZ=0であり、同型ではない。したがって定理 4.1の正次数という条件を零次まで広げることができない。