§A5.3相似比と面積比・体積比

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立体の模型を、もとの立体と同じ形に縮めて作ると、長さだけでなく表面積や体積も小さくなります。しかし、長さを半分にしたからといって、表面積や体積も半分になるわけではありません。相似比と面積比・体積比の関係は、縮尺を図形の大きさへ結びつける基本的な性質です。たとえば、相似な多面体では、対応する長さを半分にすると表面積は四分の一、体積は八分の一になります。

相似による長さの比較を面積や体積へ広げると、模型の大きさを目的に応じて定めることができます。本記事では、相似な図形の面積や体積を比べる性質と、その使い方を解説します。

1 相似比と面積比・体積比

定理 1.1. 有限個の三角形に分割することができる二つの非退化な相似多角形、または対応する有限個の角錐に分割することができる二つの非退化な相似多面体について、前者から後者への相似比がk>0k>0(後者の長さと前者の対応する長さの比がkk)であるとき、

  • 面積の比はk2k^2
  • 体積の比(相似な立体の場合)はk3k^3

である。

面積比は、対応する三角形の面積を足し合わせることによって求めます。

2 中点による三角形の分割

非退化な三角形の三辺の中点を結ぶと、§A5.2 定理 2.1により、各線分は残りの辺と平行で、長さはその辺の半分です。四つの小三角形の三辺はそれぞれ元の三角形の三辺の半分なので、三辺相等の合同条件により四つの小三角形は合同です。各小三角形は元の三角形と相似で、相似比は1/21/2です。四つの面積が等しいので、各小三角形の面積は元の三角形の面積の1/41/4です。

頂点A\mathrm{A}をドラッグしても、4つの三角形はいつも合同なままです。

この図は三角形を中点で分けた一例です。一般の相似比についての等式は、次の証明で示します。

3 三角形と角錐への分割

冒頭の定理 1.1を、図形を三角形または角錐に分割して示します。

証明. 相似多角形を対応する対角線で有限個の三角形に分割する。対応する三角形も相似比kkである。三角形では底辺と高さがともにkk倍になるので、面積12(底辺)(高さ)\frac12(\text{底辺})(\text{高さ})はk2k^2倍になる。各三角形の面積を足し合わせても、全体の面積比はk2k^2である。

相似多面体を有限個の対応する角錐に分割する。各角錐の底面積はk2k^2倍、高さはkk倍であり、V=13(底面積)(高さ)V=\frac13(\text{底面積})(\text{高さ})だから体積はk3k^3倍になる。角錐の体積を足し合わせれば全体にも同じ比が成り立つ。▨

4 面積比・体積比からの逆算と模型

公式 4.1. 有限個の三角形に分割することができる二つの非退化な相似多角形の面積をA,A′A,A'とし、前者から後者への相似比をk>0k>0とする。このときk=A′/Ak=\sqrt{A'/A}である。対応する有限個の角錐に分割することができる二つの非退化な相似多面体の体積をV,V′V,V'とすると、前者から後者への相似比はk=V′/V3k=\sqrt[3]{V'/V}である。

証明.定理 1.1により、面積についてはA′/A=k2A'/A=k^2、体積についてはV′/V=k3V'/V=k^3である。k>0k>0なので、面積の比の正の平方根と、体積の比の正の立方根は、それぞれkkに等しい。▨

例 4.2. 二つの非退化な相似角錐の形をした模型を考える。底面が対応し、底面積の比が9:169:16である場合、相似比は3:43:4、体積比は27:6427:64である。体積比が8:278:27である場合、相似比は2:32:3、対応する底面の面積比は4:94:9である。

問題 4.3. 有限個の角錐に分割することができる非退化な多面体の模型を、もとの立体と相似に作る。模型の表面積はもとの立体の表面積の1/4001/400以下、模型の体積はもとの体積の1/270001/27000以下とする。模型の長さともとの立体の対応する長さの比をk>0k>0とするとき、kkの最大値を求めよ。また、最大の模型の表面積の比を求めよ。

解答.

対応する各面も相似であるから、定理 1.1により各面の面積の比はk2k^2である。すべての面積を足すと表面積の比もk2k^2となり、体積の比はk3k^3となる。したがって、条件はk2≤1400,k3≤127000k^2\leq\frac1{400},\qquad k^3\leq\frac1{27000}である。k>0k>0だから、それぞれk≤1/20k\leq1/20、k≤1/30k\leq1/30と同値である。二つの条件が同時に成り立つ範囲は0<k≤1/300<k\leq1/30なので、最大値は1/301/30である。このとき、表面積の比は(1/30)2=1/900(1/30)^2=1/900である。表面積だけから定めたk=1/20k=1/20では体積の比が1/80001/8000となり、体積の条件を満たさない。▨

例 4.4. 一辺が22の正方形と、隣り合う辺の長さが1,41,4の長方形は、面積がともに44であるが相似ではない。相似ならば、等しい長さをもつ正方形の二辺に対応する長方形の二辺も等しい長さをもつはずである。しかし、長方形の隣り合う辺の長さは11と44である。したがって、面積比が11であることだけから相似比が11であるとは結論することができない。面積比の平方根が長さの比になるのは、二つの図形が相似であると分かっている場合である。

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