1 相似比と面積比・体積比
定理 1.1. 有限個の三角形に分割することができる二つの非退化な相似多角形、または対応する有限個の角錐に分割することができる二つの非退化な相似多面体について、前者から後者への相似比がk>0(後者の長さと前者の対応する長さの比がk)であるとき、
- 面積の比はk2
- 体積の比(相似な立体の場合)はk3
である。
面積比は、対応する三角形の面積を足し合わせることによって求めます。
2 中点による三角形の分割
非退化な三角形の三辺の中点を結ぶと、§A5.2 定理 2.1により、各線分は残りの辺と平行で、長さはその辺の半分です。四つの小三角形の三辺はそれぞれ元の三角形の三辺の半分なので、三辺相等の合同条件により四つの小三角形は合同です。各小三角形は元の三角形と相似で、相似比は1/2です。四つの面積が等しいので、各小三角形の面積は元の三角形の面積の1/4です。
頂点Aをドラッグしても、4つの三角形はいつも合同なままです。
この図は三角形を中点で分けた一例です。一般の相似比についての等式は、次の証明で示します。
3 三角形と角錐への分割
冒頭の定理 1.1を、図形を三角形または角錐に分割して示します。
証明. 相似多角形を対応する対角線で有限個の三角形に分割する。対応する三角形も相似比kである。三角形では底辺と高さがともにk倍になるので、面積21(底辺)(高さ)はk2倍になる。各三角形の面積を足し合わせても、全体の面積比はk2である。
相似多面体を有限個の対応する角錐に分割する。各角錐の底面積はk2倍、高さはk倍であり、V=31(底面積)(高さ)だから体積はk3倍になる。角錐の体積を足し合わせれば全体にも同じ比が成り立つ。▨
4 面積比・体積比からの逆算と模型
証明.定理 1.1により、面積についてはA′/A=k2、体積についてはV′/V=k3である。k>0なので、面積の比の正の平方根と、体積の比の正の立方根は、それぞれkに等しい。▨
例 4.2. 二つの非退化な相似角錐の形をした模型を考える。底面が対応し、底面積の比が9:16である場合、相似比は3:4、体積比は27:64である。体積比が8:27である場合、相似比は2:3、対応する底面の面積比は4:9である。
問題 4.3. 有限個の角錐に分割することができる非退化な多面体の模型を、もとの立体と相似に作る。模型の表面積はもとの立体の表面積の1/400以下、模型の体積はもとの体積の1/27000以下とする。模型の長さともとの立体の対応する長さの比をk>0とするとき、kの最大値を求めよ。また、最大の模型の表面積の比を求めよ。
解答.
対応する各面も相似であるから、定理 1.1により各面の面積の比はk2である。すべての面積を足すと表面積の比もk2となり、体積の比はk3となる。したがって、条件はk2≤4001,k3≤270001である。k>0だから、それぞれk≤1/20、k≤1/30と同値である。二つの条件が同時に成り立つ範囲は0<k≤1/30なので、最大値は1/30である。このとき、表面積の比は(1/30)2=1/900である。表面積だけから定めたk=1/20では体積の比が1/8000となり、体積の条件を満たさない。▨
例 4.4. 一辺が2の正方形と、隣り合う辺の長さが1,4の長方形は、面積がともに4であるが相似ではない。相似ならば、等しい長さをもつ正方形の二辺に対応する長方形の二辺も等しい長さをもつはずである。しかし、長方形の隣り合う辺の長さは1と4である。したがって、面積比が1であることだけから相似比が1であるとは結論することができない。面積比の平方根が長さの比になるのは、二つの図形が相似であると分かっている場合である。