§A5.2平行線と線分の比

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三角形の一つの角を二等分する線を引くと、向かいの辺が二つの線分に分かれます。角を二等分しても、向かいの辺が等しく二分されるとは限らず、二つの線分の長さを決める関係が必要です。相似による長さの比較は、角の条件と線分の比を結びつける基本的な方法です。たとえば、二等分線が対辺を分ける比は、その角をはさむ二辺の比に等しくなります。

相似条件は、二つの三角形の形を比べるだけでなく、一つの三角形の中にある線分の関係を調べるときにも用います。本記事では、平行線と相似に関わる線分の比の性質を解説します。

1 この記事で証明すること

通常の角は、二本の半直線がつくる0°0°以上180°180°以下の小さい方の角として扱います。

  • 中点連結定理:三角形の2辺の中点を結ぶ線分は、残りの1辺と平行で長さがちょうど半分になること(定理 2.1)。
  • 角の二等分線の定理:三角形で1つの角の二等分線が対辺を分ける比は、その角をはさむ2辺の比に等しいこと(定理 3.1)。

定理 1.1. 非退化三角形△ABC\triangle\mathrm{ABC}について、M,N\mathrm{M},\mathrm{N}をそれぞれ辺AB,AC\mathrm{AB},\mathrm{AC}の内部の中点とする。また、D\mathrm{D}を∠A\angle\mathrm{A}の内角の二等分線と辺BC\mathrm{BC}の内部の交点とする。このとき

BDDC=ABAC.\frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}}=\frac{\mathrm{AB}}{\mathrm{AC}}.

2 中点連結定理

三角形の2辺の中点を結ぶと、残りの1辺と平行で、長さがちょうど半分の線分ができます。

下の図では頂点A\mathrm{A}の位置を変えることができます。M\mathrm{M},N\mathrm{N}を2辺の中点に保つ限り、MN\mathrm{MN}はBC\mathrm{BC}と平行なまま、長さはBC\mathrm{BC}の半分のままです。

図は、M,N\mathrm{M},\mathrm{N}が辺の内部にある非退化な配置だけを表示しています。有限個の表示は、平行・中点・長さの関係の証明ではありません。

定理 2.1 (中点連結定理). 非退化な△ABC\triangle \mathrm{ABC}の辺AB\mathrm{AB},AC\mathrm{AC}の中点をそれぞれM\mathrm{M},N\mathrm{N}とすると

MN∥BC,MN=12 BC.\mathrm{MN} \parallel \mathrm{BC}, \qquad \mathrm{MN} = \tfrac{1}{2}\,\mathrm{BC}.

証明.M\mathrm{M}を通るBC\mathrm{BC}に平行な直線と辺AC\mathrm{AC}の内部との交点をP\mathrm{P}とする。∠MAP=∠BAC\angle\mathrm{MAP}=\angle\mathrm{BAC}、∠AMP=∠ABC\angle\mathrm{AMP}=\angle\mathrm{ABC}なので、§A5.1 定理 3.1 (1)により△AMP∼△ABC\triangle\mathrm{AMP}\sim\triangle\mathrm{ABC}である。対応する辺の比とM\mathrm{M}が中点であることから

APAC=MPBC=AMAB=12\frac{\mathrm{AP}}{\mathrm{AC}}=\frac{\mathrm{MP}}{\mathrm{BC}}=\frac{\mathrm{AM}}{\mathrm{AB}}=\frac12

を得る。したがってAP=AC/2=AN\mathrm{AP}=\mathrm{AC}/2=\mathrm{AN}である。P,N\mathrm{P},\mathrm{N}はともに辺AC\mathrm{AC}上にあるから、P=N\mathrm{P}=\mathrm{N}である。ゆえにMN∥BC\mathrm{MN}\parallel\mathrm{BC}であり、MN=BC/2\mathrm{MN}=\mathrm{BC}/2である。▨

3 角の二等分線と比

内角の二等分線と対辺との交点でも、補助平行線から相似な三角形を作ることで辺の比を求めます。

定理 3.1 (角の二等分線の定理). 非退化な△ABC\triangle \mathrm{ABC}の辺BC\mathrm{BC}の内部点をD\mathrm{D}とし、半直線AD\mathrm{AD}は通常の内角∠BAC\angle\mathrm{BAC}の二等分線とする。このとき

BDDC=ABAC.\frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} = \frac{\mathrm{AB}}{\mathrm{AC}}.

証明.C\mathrm{C}を通りAD\mathrm{AD}に平行な直線と、直線AB\mathrm{AB}との交点をE\mathrm{E}とする。D\mathrm{D}は辺BC\mathrm{BC}の内部にあるので、E\mathrm{E}は辺AB\mathrm{AB}のA\mathrm{A}側の延長上にあり、点の順序はB,A,E\mathrm{B},\mathrm{A},\mathrm{E}である。したがってD,A\mathrm{D},\mathrm{A}は三角形BCE\mathrm{BCE}の辺BC,BE\mathrm{BC},\mathrm{BE}の内部点である。∠DBA=∠CBE\angle\mathrm{DBA}=\angle\mathrm{CBE}、∠BDA=∠BCE\angle\mathrm{BDA}=\angle\mathrm{BCE}なので、§A5.1 定理 3.1 (1)により△BDA∼△BCE\triangle\mathrm{BDA}\sim\triangle\mathrm{BCE}である。対応する辺の比からBDBC=BABE.\frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{BC}}=\frac{\mathrm{BA}}{\mathrm{BE}}.BC=BD+DC\mathrm{BC}=\mathrm{BD}+\mathrm{DC}、BE=BA+AE\mathrm{BE}=\mathrm{BA}+\mathrm{AE}を代入して交差積をとると

BD⋅AE=BA⋅DC\mathrm{BD}\cdot\mathrm{AE}=\mathrm{BA}\cdot\mathrm{DC}

となる。

また、AD∥EC\mathrm{AD}\parallel\mathrm{EC}と内角の二等分より

∠ACE=∠CAD=∠DAB=∠AEC.\angle\mathrm{ACE}=\angle\mathrm{CAD}=\angle\mathrm{DAB}=\angle\mathrm{AEC}.

したがって△ACE\triangle\mathrm{ACE}は二等辺三角形であり、AE=AC\mathrm{AE}=\mathrm{AC}である。交差積の等式に代入し、正の長さDC⋅AC\mathrm{DC}\cdot\mathrm{AC}で割るとBD/DC=AB/AC\mathrm{BD}/\mathrm{DC}=\mathrm{AB}/\mathrm{AC}を得る。▨

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