§A5.22反転の実戦

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中心OO、半径rrの反転は、OO以外の点PPを、半直線OPOP上の点P′P'で

OP⋅OP′=r2OP\cdot OP'=r^2

となる点へ移す操作です。円や直線の複雑な配置を、別の円や直線へ変換して解きます。

1 基本像

中心OO、半径r>0r>0の反転では、OO以外の点XXの像X∗X^*を、半直線OXOX上にOX⋅OX∗=r2OX\cdot OX^*=r^2となるように取ります。

注意 1.1. 中心OO、半径r>0r>0の反転について、§A5.19 定理 3.1による円と直線の対応は次のとおりである。

  • OOを通らない円は、OOを通らない円へ移る。
  • OOを通る円からOOを除いた集合は、OOを通らない直線へ移る。
  • OOを通らない直線は、OOを通る円からOOを除いた集合へ移る。

また、中心以外の交点における接線のなす角の大きさは、§A5.19 定理 5.1により保たれる。向きをつけた角の符号は反転する。

したがって、中心OOを通る円が複数ある問題では、それらを直線へ送ることが第一候補です。

2 共通点を中心とする反転

例 2.1. 相異なる二円Γ1,Γ2\Gamma_1,\Gamma_2が相異なる二点A,BA,Bで交わるとする。AAを中心とする半径r>0r>0の反転を取る。

§A5.19 定理 3.1 (2)により、各円のAA以外の部分は、AAを通らない直線ℓ1,ℓ2\ell_1,\ell_2へ移る。反転は§A5.19 定理 2.2 (2)により自分自身が逆写像である。もしℓ1=ℓ2\ell_1=\ell_2なら、もう一度反転することで二円のAA以外の部分が一致し、二円が相異なることに反する。したがって、二直線は相異なる。

B≠AB\ne Aなので像B∗B^*が存在し、B∗B^*は二直線の交点である。§A5.19 定理 5.1により、元の二円のBBにおける接線のなす角の大きさは、ℓ1,ℓ2\ell_1,\ell_2のなす角の大きさに等しい。したがって、像の二直線の角を求めることで、元の二円の交角を求めることができる。

3 中心の選び方

  • 多くの円が通る点を中心に取ると、それらの円を直線へ移すことができます。
  • 接する円がある場合は、接点を中心の候補とします。
  • 正の方べきk=OP⋅OQk=OP\cdot OQが現れる場合は、中心OO、半径r=kr=\sqrt{k}の反転を取って、r2=kr^2=kとします。
  • 直線と円の接触が主題の場合は、反転像の平行関係や共線性を調べます。

反転は長さを保ちません。像の長さから元の長さを求めるときは、反転積または§A5.19 定理 2.2 (4)の距離公式を用います。角の大きさを元へ戻すときは、中心以外の交点における接線の交角を用います。

4 二つの直径円の第二交点

問題 4.1.∠AOB=90∘\angle AOB=90^\circ、OA=6OA=6、OB=8OB=8とする。線分OA,OBOA,OBをそれぞれ直径とする二円の、OO以外の交点PPが存在することを示せ。中心OO、半径の二乗が2424である反転を用いてOPOPを求めよ。また、PPが線分ABABの内部にあることを示し、AP:PBAP:PBを求めよ。

解答.

中心OO、半径24\sqrt{24}の反転を取り、A,BA,Bの像をA′,B′A',B'とする。反転の定義から、A′A'は半直線OAOA上、B′B'は半直線OBOB上にあり、

OA′=246=4,OB′=248=3OA'=\frac{24}{6}=4,\qquad OB'=\frac{24}{8}=3

である。

§A5.19 定理 3.1 (2)により、直径OAOAの円のOO以外の部分は、A′A'を通る直線へ移る。円周上のO,AO,Aと異なる点XXとその像X′X'を取ると、

OXOA=OA′OX′\frac{OX}{OA}=\frac{OA'}{OX'}

であり、∠XOA=∠A′OX′\angle XOA=\angle A'OX'である。O,X,AO,X,Aは非共線で、X′X'は半直線OXOX上にあるのでO,A′,X′O,A',X'も非共線である。§A5.1 定理 3.1 (2)により、△OXA∼△OA′X′\triangle OXA\sim\triangle OA'X'である。§A5.5 系 5.1により∠OXA=90∘\angle OXA=90^\circなので、∠OA′X′=90∘\angle OA'X'=90^\circとなる。したがって、像はA′A'を通りOAOAに垂直な直線である。

直径OBOBの円にも同じ議論を適用すると、像はB′B'を通りOBOBに垂直な直線である。OA⊥OBOA\perp OBなので、二つの像は相異なる直交直線であり、一点P′P'で交わる。四角形OA′P′B′OA'P'B'は長方形である。§A5.4 定理 1.1により、

OP′=42+32=5OP'=\sqrt{4^2+3^2}=5

である。P′P'はO,A′,B′O,A',B'と異なる。二直線の各点は元の各円の点の像であり、反転は自分自身が逆写像なので、P′P'の逆像PPは二円の共通点であり、O,A,BO,A,Bと異なる。二つの像の交点はただ一つなので、PPはOO以外のただ一つの共通点である。反転積OP⋅OP′=24OP\cdot OP'=24から、

OP=245OP=\frac{24}{5}

を得る。

元の二円に§A5.5 系 5.1を適用すると、PA⊥OPPA\perp OP、PB⊥OPPB\perp OPである。したがって、A,P,BA,P,Bは一直線上にあり、PPはOOから直線ABABへの垂線の足である。直角三角形OABOABのA,BA,Bの角は鋭角なので、垂線の足PPは線分ABABの内部にある。

§A5.4 定理 1.1によりAB=10AB=10である。P∈ABP\in ABと二組の等角から、§A5.1 定理 3.1 (1)により△APO∼△AOB\triangle APO\sim\triangle AOB、△BPO∼△BOA\triangle BPO\sim\triangle BOAである。対応する辺の比は

APAO=AOAB,BPBO=BOBA\frac{AP}{AO}=\frac{AO}{AB},\qquad \frac{BP}{BO}=\frac{BO}{BA}

なので、

AP=OA2AB=185,PB=OB2AB=325AP=\frac{OA^2}{AB}=\frac{18}{5},\qquad PB=\frac{OB^2}{AB}=\frac{32}{5}

となる。よってAP:PB=9:16AP:PB=9:16である。▨

5 演習

  1. 反転で中心を通る円が直線へ移ることを、円の方程式または相似で示せ。
  2. 2円の共通点を中心とする反転で、共通弦に関する角度問題を直線の角度問題へ変換せよ。
  3. 反転後に得た共線性を、元の配置の共円性へ戻すとき、どの対応を使ったか説明せよ。

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