§A5.12ヴィヴィアーニの定理

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正三角形の内部で点を動かすと、点から各辺を含む直線までの距離も変わります。一つの辺に近づけば、その辺を含む直線までの距離は小さくなりますが、三つの距離の和まで変わるとは限りません。

ヴィヴィアーニの定理は、この和が点の位置によらず、正三角形の高さに等しいことを述べます。例えば、点を辺の上へ移すと、その辺を含む直線までの距離は0になりますが、残る二つの距離の和は正三角形の高さに等しいままです。個々の長さが変わっても一定に保たれる量を見いだすことは、図形の変化を理解するうえで重要です。

本記事では、正三角形の点から三辺を含む直線までの距離の和と、点を置く位置との関係を扱います。

1 ヴィヴィアーニの定理

定理 1.1 (ヴィヴィアーニの定理). 一辺の長さがs>0s>0、高さがhhの正三角形△ABC\triangle ABCを考える。内部または境界上の点PPから、直線BC,CA,ABBC,CA,ABまでの距離をそれぞれx,y,zx,y,zとすると、

x+y+z=h=32sx+y+z=h=\frac{\sqrt3}{2}s

が成り立つ。

図では内部の点を動かしていますが、観察は証明ではなく、内部と境界のすべての点についての等式は次の面積計算で示します。

証明.[XYZ][XYZ]で三角形△XYZ\triangle XYZの面積を表し、三点が一直線上にある場合には[XYZ]=0[XYZ]=0とする。PPが△ABC\triangle ABCの内部または境界上にあるので、三つの小三角形の内部は互いに重ならず、

[PBC]+[PCA]+[PAB]=[ABC][PBC]+[PCA]+[PAB]=[ABC]

である。各小三角形の底辺の長さはss、高さはそれぞれx,y,zx,y,zなので、

[PBC]=12sx,[PCA]=12sy,[PAB]=12sz.[PBC]=\frac12sx,\qquad [PCA]=\frac12sy,\qquad [PAB]=\frac12sz.

境界上では一つまたは二つの小三角形の面積が00となるが、同じ等式が成り立つ。全体の面積はsh/2sh/2だから、

12s(x+y+z)=12sh.\frac12s(x+y+z)=\frac12sh.

s>0s>0より、x+y+z=hx+y+z=hである。

AAからBCBCへ下ろした垂線の足をDDとする。直角三角形△ADB\triangle ADBと△ADC\triangle ADCは斜辺と一辺がそれぞれ等しいので合同であり、BD=CD=s/2BD=CD=s/2である。§A5.4 定理 1.1により、

h2+(s2)2=s2.h^2+\left(\frac{s}{2}\right)^2=s^2.

h>0h>0なので、h=3s/2h=\sqrt3s/2を得る。▨

例 1.2. 高さがhhの正三角形△ABC\triangle ABCにおいて、AAを直線BCBCに関して反射した点をPPとする。PPは三角形の外部にあり、直線BCBCまでの距離はhhである。PPは直線CA,ABCA,ABのいずれの上にもないので、直線CA,ABCA,ABまでの距離はともに正である。したがって、三辺を含む三直線までの距離の和はhhより大きい。

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