幾何の難問は、補助線を無作為に増やす問題ではありません。図の条件を、等角、相似、共円、接線、面積比、射影量のどれへ変換するかを選ぶ問題です。
1 補助線の目的
- 等しい角を増やす:平行線、角の二等分線、円周上の点。
- 相似を作る:既知の角をもう一つ再現する。
- 共円を作る:同じ弦に対する角、直角、角の和180度。
- 積や比を作る:方べき、相似、面積比。
- 長さの条件を消す:複比、反転、射影変換。
補助線を引くときは、その線から導く等角、相似、共円、積や比の関係を定めます。
2 例:垂心の反射
例 2.1. 鋭角三角形の垂心をとし、直線に関してを反射した点をとする。点は三角形の外接円上にある。
証明.§A5.8 系 14.1により、は三角形の内部にある。高さの交点であることから、であり、
となる。三角形の内角の和から、
を得る。直線に関する反射はを固定して角を保つので、である。
は直線に関して同じ側にあり、はと反対側にある。したがって、は直線に関して反対側にある。であるから、§A5.6 定理 2.2 (2)により、は同一円周上にある。よっては三角形の外接円上にある。▨
3 例:線分上の点の位置
例 3.1. 非退化な三角形と、直線上の点をとる。が半直線上にあるとき、半直線と半直線は一致するので、である。この場合には、が線分の内部にある場合と、の場合と、の先にある場合を含む。
がに関してと反対側にあるとき、半直線と半直線は互いに反対向きであるので、である。
通常の角を用いる証明では、側の半直線上にある点と、側の延長上にある点を区別します。有向角を用いる証明では、通常の角との違いを明らかにする角の規約が必要です。
4 演習
- 三角形の各頂点から引いた高さと垂心を図に描き、垂線の足まで明示せよ。
- 円周角の定理を、点が弦の同じ側・反対側にある場合で書き分けよ。
- 一つの幾何問題を、角追い、相似、座標の三方法で解き、補助線の役割を比較せよ。