§A5.20幾何の技法

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幾何の難問は、補助線を無作為に増やす問題ではありません。図の条件を、等角、相似、共円、接線、面積比、射影量のどれへ変換するかを選ぶ問題です。

1 補助線の目的

  • 等しい角を増やす:平行線、角の二等分線、円周上の点。
  • 相似を作る:既知の角をもう一つ再現する。
  • 共円を作る:同じ弦に対する角、直角、角の和180度。
  • 積や比を作る:方べき、相似、面積比。
  • 長さの条件を消す:複比、反転、射影変換。

補助線を引くときは、その線から導く等角、相似、共円、積や比の関係を定めます。

2 例:垂心の反射

例 2.1. 鋭角三角形ABCABCの垂心をHHとし、直線BCBCに関してHHを反射した点をHaH_aとする。点HaH_aは三角形ABCABCの外接円上にある。

証明.§A5.8 系 14.1により、HHは三角形ABCABCの内部にある。高さの交点であることからBH⊥ACBH\perp AC、CH⊥ABCH\perp ABであり、

∠HBC=90∘−∠BCA,∠HCB=90∘−∠ABC\angle HBC=90^\circ-\angle BCA,\qquad \angle HCB=90^\circ-\angle ABC

となる。三角形BHCBHCの内角の和から、

∠BHC=∠ABC+∠BCA=180∘−∠BAC\angle BHC=\angle ABC+\angle BCA=180^\circ-\angle BAC

を得る。直線BCBCに関する反射はB,CB,Cを固定して角を保つので、∠BHaC=∠BHC\angle BH_aC=\angle BHCである。

A,HA,Hは直線BCBCに関して同じ側にあり、HaH_aはHHと反対側にある。したがって、A,HaA,H_aは直線BCBCに関して反対側にある。∠BAC+∠BHaC=180∘\angle BAC+\angle BH_aC=180^\circであるから、§A5.6 定理 2.2 (2)により、A,B,C,HaA,B,C,H_aは同一円周上にある。よってHaH_aは三角形ABCABCの外接円上にある。▨

3 例:線分上の点の位置

例 3.1. 非退化な三角形ABCABCと、直線BCBC上の点D≠BD\ne Bをとる。DDが半直線BCBC上にあるとき、半直線BDBDと半直線BCBCは一致するので、∠ABD=∠ABC\angle ABD=\angle ABCである。この場合には、DDが線分BCBCの内部にある場合と、D=CD=Cの場合と、CCの先にある場合を含む。

DDがBBに関してCCと反対側にあるとき、半直線BDBDと半直線BCBCは互いに反対向きであるので、∠ABD=180∘−∠ABC\angle ABD=180^\circ-\angle ABCである。

通常の角を用いる証明では、CC側の半直線上にある点と、BB側の延長上にある点を区別します。有向角を用いる証明では、通常の角との違いを明らかにする角の規約が必要です。

4 演習

  1. 三角形の各頂点から引いた高さと垂心を図に描き、垂線の足まで明示せよ。
  2. 円周角の定理を、点が弦の同じ側・反対側にある場合で書き分けよ。
  3. 一つの幾何問題を、角追い、相似、座標の三方法で解き、補助線の役割を比較せよ。

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