§E9.32C₀ の双対と連続関数による近似

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測度に関する積分は、連続関数に作用する線形汎関数を与える。逆に、連続関数上の汎関数がどのような測度を表すかを知るためには、正の汎関数だけでなく、符号や複素数値をもつ汎関数を扱う必要がある。無限遠で零となる連続関数の空間C0C_0と有限複素 Radon 測度の対応は、測度論と関数解析を結ぶ最も基本的な表現の一つである。たとえば、ある点で関数の値を取る汎関数は、その点に集中する測度による積分である。この対応を支えるのが、可測関数をコンパクトな台をもつ連続関数によって近似する性質である。本記事では、連続関数による近似とC0C_0の双対の測度による表現を扱う。

1 指示関数の連続近似

補題 1.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、μ\muを Radon 測度とする。A∈B(X)A\in\mathcal B(X)、μ(A)<∞\mu(A)<\infty、1≤p<∞1\leq p<\inftyとする。任意のε>0\ep>0に対してϕ∈Cc(X,R)\phi\in C_c(X,\R)が存在して

0≤ϕ≤1,∥1A−ϕ∥Lp(μ)<ε0\leq\phi\leq1,\qquad\|\mathbf1_A-\phi\|_{L^p(\mu)}<\ep

を満たす。

証明.η>0\eta>0を2η<εp2\eta<\ep^pとなるように取る。内正則性により、コンパクト集合K⊆AK\subseteq Aでμ(A∖K)<η\mu(A\setminus K)<\etaを満たすものが存在する。§E9.30 補題 1.2によりKKを含むコンパクトな閉包をもつ開集合VVを取り、§E9.30 命題 3.2によりK⊆U⊆VK\subseteq U\subseteq V、μ(U∖K)<η\mu(U\setminus K)<\etaを満たす開集合UUを取る。KK上で1、台がUUに含まれる切断関数ϕ\phiを取ると、

∣1A−ϕ∣p≤1A∖K+1U∖K.|\mathbf1_A-\phi|^p\leq\mathbf1_{A\setminus K}+\mathbf1_{U\setminus K}.

したがって∥1A−ϕ∥pp<2η<εp\|\mathbf1_A-\phi\|_p^p<2\eta<\ep^pである。▨

定理 1.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、μ\muを Radon 測度、F∈{R,C}\mathbb F\in\{\R,\C\}とし、1≤p<∞1\leq p<\inftyとする。Cc(X,F)C_c(X,\mathbb F)の関数の類はLp(μ;F)L^p(\mu;\mathbb F)で稠密である。可算選択公理のもとで、同じ結論はμ\muの完備化に関するLpL^p空間でも成り立つ。

証明.f∈Lp(μ;F)f\in L^p(\mu;\mathbb F)とε>0\ep>0を取る。§E9.22 定理 2.2により、LpL^pに属する単関数ssで∥f−s∥p<ε/2\|f-s\|_p<\ep/2を満たすものを取る。§E9.22 補題 2.3により

s=∑j=1mcj1Aj,μ(Aj)<∞s=\sum_{j=1}^m c_j\mathbf1_{A_j},\qquad\mu(A_j)<\infty

と表示される。s=0s=0ならば連続近似として0を取る。s≠0s\ne0ならば、補題 1.1を各AjA_jに適用し、∑j∣cj∣∥1Aj−ϕj∥p<ε/2\sum_j|c_j|\|\mathbf1_{A_j}-\phi_j\|_p<\ep/2となる切断関数を取る。g=∑jcjϕjg=\sum_jc_j\phi_jはCc(X,F)C_c(X,\mathbb F)に属する。Minkowski の不等式§E9.21 定理 6.1により

∥f−g∥p≤∥f−s∥p+∑j∣cj∣∥1Aj−ϕj∥p<ε.\|f-g\|_p\leq\|f-s\|_p+\sum_j|c_j|\|\mathbf1_{A_j}-\phi_j\|_p<\ep.

完備化に関する可測代表元には、§E9.10 命題 4.2により Borel 可測代表元を取ることができる。§E9.10 命題 4.3により、その代表元のLpL^pノルムと連続関数からの距離は元の測度で計算した値に一致する。したがって完備化の場合にも同じ近似が成立する。▨

例 1.3. 非可算集合DDに離散位相と数え上げ測度を入れる。この測度は Radon 測度であり、シグマ有限ではない。Cc(D,F)C_c(D,\mathbb F)は有限集合に台をもつ関数全体であるから、1≤p<∞1\leq p<\inftyではℓp(D;F)\ell^p(D;\mathbb F)で稠密である。一方、Cc(D,F)C_c(D,\mathbb F)はℓ∞(D;F)\ell^\infty(D;\mathbb F)で稠密ではない。

証明. 離散空間のコンパクト集合は有限集合である。任意の集合の数え上げ測度は、その有限部分集合の濃度の上限であるから、Radon 測度の条件が成り立つ。有限測度集合は有限集合であり、非可算集合DDを可算個の有限集合で覆うことはできない。有限なppにおける稠密性は定理 1.2による。定数関数1はℓ∞(D)\ell^\infty(D)に属するが、有限集合に台をもつ任意のggに対して、台の外で∣1−g∣=1|1-g|=1である。したがって∥1−g∥∞≥1\|1-g\|_\infty\geq1である。▨

2 正汎関数の表現

命題 2.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、F∈{R,C}\mathbb F\in\{\R,\C\}とする。Cc(X,F)C_c(X,\mathbb F)は、一様ノルムに関してC0(X,F)C_0(X,\mathbb F)で稠密である。

証明.f∈C0(X,F)f\in C_0(X,\mathbb F)とε>0\ep>0を取る。K={∣f∣≥ε}K=\{|f|\geq\ep\}はコンパクトである。ffはKK上で有界であり、その外では∣f∣<ε|f|<\epであるから、有界である。§E9.30 補題 1.2により0≤χ≤10\leq\chi\leq1、χ∣K=1\chi|_K=1を満たすχ∈Cc(X,R)\chi\in C_c(X,\R)を取る。fχ∈Cc(X,F)f\chi\in C_c(X,\mathbb F)であり、∥f−fχ∥∞≤ε\|f-f\chi\|_\infty\leq\epである。▨

命題 2.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。正で連続な実線形汎関数L:C0(X,R)→RL:C_0(X,\R)\to\Rに対して、有限 Radon 測度μ\muが一意に存在して

L(f)=∫Xf dμ(f∈C0(X,R))L(f)=\int_Xf\,d\mu\qquad(f\in C_0(X,\R))

を満たす。また、∥L∥=μ(X)\|L\|=\mu(X)である。

証明.LLのCc(X,R)C_c(X,\R)への制限に§E9.31 定理 2.1を適用し、表現する Radon 測度μ\muを取る。§E9.30 命題 4.1の開集合の公式から

μ(X)=sup⁡ϕ∈Cc(X,R)0≤ϕ≤1L(ϕ)≤∥L∥.\mu(X)=\sup_{\substack{\phi\in C_c(X,\R)\\0\leq\phi\leq1}}L(\phi)\leq\|L\|.

したがってμ\muは有限である。f∈C0(X,R)f\in C_0(X,\R)とε>0\ep>0を取る。命題 2.1によりg∈Cc(X,R)g\in C_c(X,\R)で∥f−g∥∞<ε\|f-g\|_\infty<\epを満たすものを取ると、

∣L(f)−∫Xf dμ∣≤(∥L∥+μ(X))ε.\left|L(f)-\int_Xf\,d\mu\right| \leq\left(\|L\|+\mu(X)\right)\ep.

ε↓0\ep\downarrow0とすれば表現公式を得る。有限測度に関する評価∣∫f dμ∣≤μ(X)∥f∥∞|\int f\,d\mu|\leq\mu(X)\|f\|_\inftyは∥L∥≤μ(X)\|L\|\leq\mu(X)を与える。CcC_c上の一意性§E9.30 系 4.2により、表現する有限 Radon 測度は一意である。▨

補題 2.3.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、L:C0(X,R)→RL:C_0(X,\R)\to\Rを連続実線形汎関数とする。f∈C0(X,R)f\in C_0(X,\R)、f≥0f\geq0に対して

P(f)=sup⁡{L(g):g∈C0(X,R), 0≤g≤f}P(f)=\sup\{L(g):g\in C_0(X,\R),\ 0\leq g\leq f\}

と定める。この関数は、正で連続な実線形汎関数L+L^+に一意に拡張される。L−=L+−LL^-=L^+-Lも正で連続であり、L=L+−L−L=L^+-L^-である。

証明.0≤P(f)≤∥L∥∥f∥∞0\leq P(f)\leq\|L\|\|f\|_\inftyである。正のスカラーによる同次性は、上限に現れる関数を同じスカラーで掛けることによる。P(0)=0P(0)=0であるから、零スカラーの場合も成り立つ。

f1,f2≥0f_1,f_2\geq0とし、0≤g≤f1+f20\leq g\leq f_1+f_2を取る。

g1=min⁡(g,f1),g2=g−g1g_1=\min(g,f_1),\qquad g_2=g-g_1

はC0(X,R)C_0(X,\R)に属し、0≤gj≤fj0\leq g_j\leq f_jとg=g1+g2g=g_1+g_2を満たす。したがってL(g)≤P(f1)+P(f2)L(g)\leq P(f_1)+P(f_2)である。逆に、0≤gj≤fj0\leq g_j\leq f_jならばg1+g2g_1+g_2はP(f1+f2)P(f_1+f_2)の上限に現れる。二つのgjg_jについて独立に上限を取ると、P(f1+f2)=P(f1)+P(f2)P(f_1+f_2)=P(f_1)+P(f_2)である。

f=u−vf=u-v、u,v≥0u,v\geq0に対してL+(f)=P(u)−P(v)L^+(f)=P(u)-P(v)と定める。別の表示f=r−sf=r-sにはu+s=r+vu+s=r+vが成り立ち、加法性からP(u)+P(s)=P(r)+P(v)P(u)+P(s)=P(r)+P(v)である。したがって定義は表示によらず、実線形である。任意のf∈C0f\in C_0は正部分と負部分の差であるため、この拡張は一意である。正値性と上の評価から

∣L+(f)∣≤L+(∣f∣)=P(∣f∣)≤∥L∥∥f∥∞.|L^+(f)|\leq L^+(|f|)=P(|f|)\leq\|L\|\|f\|_\infty.

ゆえにL+L^+は連続である。f≥0f\geq0に対してg=fg=fを上限の候補に取ればP(f)≥L(f)P(f)\geq L(f)であるから、L−L^-は正である。二つの連続汎関数の差としてL−L^-は連続である。▨

3 有限複素 Radon 測度

定義 3.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。B(X)\mathcal B(X)上の複素測度ν\nuの全変動∣ν∣|\nu|が有限 Radon 測度であるとき、ν\nuを 有限複素 Radon 測度 (finite complex Radon measure) という。

補題 3.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、θ\thetaを有限 Radon 測度とする。正 Borel 測度α\alphaがすべての Borel 集合AAでα(A)≤θ(A)\alpha(A)\leq\theta(A)を満たすならば、α\alphaは有限 Radon 測度である。有限個の有限 Radon 測度の和も有限 Radon 測度である。

証明.A∈B(X)A\in\mathcal B(X)とε>0\ep>0を取る。コンパクト集合K⊆AK\subseteq Aでθ(A∖K)<ε\theta(A\setminus K)<\epを満たすものを取ると、α(A∖K)<ε\alpha(A\setminus K)<\epである。したがってα\alphaはコンパクト内正則であり、α(X)≤θ(X)<∞\alpha(X)\leq\theta(X)<\inftyである。有限和については、各測度に対するAAのコンパクトな内側近似の有限和を取れば、和の測度に対する内側近似を得る。▨

命題 3.3.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、ν\nuを有限複素 Radon 測度とする。

Tν(f)=∫Xf dν(f∈C0(X,C))T_\nu(f)=\int_Xf\,d\nu\qquad(f\in C_0(X,\C))

は連続複素線形汎関数であり、∥Tν∥=∣ν∣(X)\|T_\nu\|=|\nu|(X)である。

証明. 全変動による積分評価§E9.26 命題 3.2により

∣Tν(f)∣≤∫X∣f∣ d∣ν∣≤∣ν∣(X)∥f∥∞.|T_\nu(f)|\leq\int_X|f|\,d|\nu|\leq|\nu|(X)\|f\|_\infty.

複素積分の線形性からTνT_\nuは複素線形である。§E9.26 定理 2.4の密度kkを取り、∣k∣≠1|k|\ne1である零集合上ではk=1k=1に変更する。u=k‾u=\overline kは Borel 可測で∣u∣=1|u|=1であり、∫Xu dν=∣ν∣(X)\int_Xu\,d\nu=|\nu|(X)である。

定理 1.2を∣ν∣|\nu|、p=1p=1に適用し、任意のε>0\ep>0に対して∥g−u∥L1(∣ν∣)<ε\|g-u\|_{L^1(|\nu|)}<\epを満たすg∈Cc(X,C)g\in C_c(X,\C)を取る。

q=gmax⁡(1,∣g∣)q=\frac{g}{\max(1,|g|)}

はCc(X,C)C_c(X,\C)に属し、∥q∥∞≤1\|q\|_\infty\leq1である。∣u∣≤1|u|\leq1により∣q−g∣=(∣g∣−1)+≤∣g−u∣|q-g|=(|g|-1)^+\leq|g-u|であるから、∥q−u∥1<2ε\|q-u\|_1<2\epである。積分評価から

∣Tν(q)−∣ν∣(X)∣<2ε.\left|T_\nu(q)-|\nu|(X)\right|<2\ep.

ゆえに∥Tν∥≥∣ν∣(X)−2ε\|T_\nu\|\geq|\nu|(X)-2\epである。ε↓0\ep\downarrow0とし、最初の上側評価と合わせてノルムの等式を得る。▨

定理 3.4.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。任意の連続複素線形汎関数T:C0(X,C)→CT:C_0(X,\C)\to\Cに対して、有限複素 Radon 測度ν\nuが一意に存在して

T(f)=∫Xf dν(f∈C0(X,C))T(f)=\int_Xf\,d\nu\qquad(f\in C_0(X,\C))

を満たす。写像ν↦Tν\nu\mapsto T_\nuは複素線形な等長全単射であり、∥T∥=∣ν∣(X)\|T\|=|\nu|(X)である。

証明. 実関数に対するTTの実部と虚部を

A(h)=Re⁡T(h),B(h)=Im⁡T(h)(h∈C0(X,R))A(h)=\operatorname{Re}T(h),\qquad B(h)=\operatorname{Im}T(h) \qquad(h\in C_0(X,\R))

と書く。A,BA,Bは連続実線形汎関数である。補題 2.3により、それぞれを二つの正汎関数の差A=A+−A−A=A^+-A^-、B=B+−B−B=B^+-B^-に分解する。命題 2.2により、四つの正汎関数を有限 Radon 測度μ1,μ2,μ3,μ4\mu_1,\mu_2,\mu_3,\mu_4で表現する。

ν=μ1−μ2+iμ3−iμ4\nu=\mu_1-\mu_2+i\mu_3-i\mu_4

と定める。全変動の定義から∣ν∣≤θ=μ1+μ2+μ3+μ4|\nu|\leq\theta=\mu_1+\mu_2+\mu_3+\mu_4である。§E9.26 定理 2.3と補題 3.2により、∣ν∣|\nu|は有限 Radon 測度である。

実 Borel 単関数ssに対して、極形式と積分の線形性から

∫Xs dν=∫Xs dμ1−∫Xs dμ2+i∫Xs dμ3−i∫Xs dμ4\int_Xs\,d\nu=\int_Xs\,d\mu_1-\int_Xs\,d\mu_2 +i\int_Xs\,d\mu_3-i\int_Xs\,d\mu_4

である。任意のh∈C0(X,R)h\in C_0(X,\R)は有界であり、値域の有限分割によって Borel 単関数で一様に近似することができる。∣ν∣≤θ|\nu|\leq\thetaと四つの測度の有限性による積分評価により、一様近似の誤差を0へ近づければ∫Xh dν=A(h)+iB(h)=T(h)\int_Xh\,d\nu=A(h)+iB(h)=T(h)を得る。任意のf∈C0(X,C)f\in C_0(X,\C)を実部と虚部に分け、複素線形性を用いると表現公式が従う。

別の表現測度ν′\nu'との差の全変動は∣ν∣+∣ν′∣|\nu|+|\nu'|以下であるから、同じ支配の補題により差も有限複素 Radon 測度である。命題 3.3により

∣ν−ν′∣(X)=∥Tν−Tν′∥=0|\nu-\nu'|(X)=\|T_\nu-T_{\nu'}\|=0

であり、ν=ν′\nu=\nu'である。線形結合の表現測度の全変動も有限 Radon 測度に支配されるため、有限複素 Radon 測度全体は複素線形空間をなす。積分の線形性とノルムの等式により、対応は複素線形な等長全単射である。▨

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