1 コンパクト空間上の表現
定理 1.1.Kをコンパクト Hausdorff 空間とする。実線形汎関数Λ:C(K,R)→Rが正、すなわちf≥0ならばΛ(f)≥0を満たすとする。このとき、有限正則 Borel 測度μが一意に存在して、すべてのf∈C(K,R)に対して
Λ(f)=∫Kfdμを満たす。また、μ(K)=Λ(1)である。
証明.m=Λ(1)とおく。正値性と−∥f∥∞1≤f≤∥f∥∞1により、∣Λ(f)∣≤m∥f∥∞である。開集合U⊆Kに対して
v(U)=sup{Λ(f)∣f∈C(K,R), 0≤f≤1, suppf⊆U}と定める。零関数が上限に現れるから0≤v(U)≤mであり、v(∅)=0、v(K)=mである。U⊆Vならばv(U)≤v(V)である。
主張 1.1.1. 任意の開集合列(Un)n∈N≥1に対して
v(n⋃Un)≤n∑v(Un)が成り立つ。互いに交わらない二つの開集合U,Vに対してv(U∪V)=v(U)+v(V)である。
証明.0≤f≤1、suppf⊆⋃nUnを満たすf∈C(K,R)を取る。コンパクト集合suppfは有限個のUnで覆われる。§E9.30 補題 1.3により、その有限被覆に従属する関数ϕjであって、suppf上で和が1となるものが存在する。各fϕjは対応するUnの上限に現れる関数であり、f=∑jfϕjである。したがってΛ(f)≤∑nv(Un)である。fについて上限を取ると劣加法性が従う。
U∩V=∅とする。UとVの上限に現れる関数f,gに対して、f+gはU∪Vの上限に現れる。ゆえにv(U∪V)≥Λ(f)+Λ(g)であり、両方の関数について上限を取るとv(U∪V)≥v(U)+v(V)である。逆向きは劣加法性による。▨
A⊆Kに対して
μ∗(A)=inf{v(U)∣A⊆U, U は開集合}と定める。
主張 1.1.2.μ∗は外測度である。すべての開集合はμ∗に関して Carathéodory 可測であり、開集合Gに対してμ∗(G)=v(G)である。
証明.μ∗(∅)=0と単調性はvの性質から従う。集合列An⊆Kとε>0に対して、An⊆Unとv(Un)<μ∗(An)+ε2−nを満たす開集合Unを取る。主張 1.1.1により
μ∗(n⋃An)≤v(n⋃Un)≤n∑μ∗(An)+εである。ε↓0として可算劣加法性を得る。Gが開集合ならば、Gを含む開集合の費用はv(G)以上であり、G自身も候補であるからμ∗(G)=v(G)である。
開集合Gとε>0を取る。0≤f≤1、C=suppf⊆G、Λ(f)>v(G)−εを満たすf∈C(K,R)が存在する。G∖Cの上限に現れる関数hに対して、f+hはGの上限に現れる。したがって
v(G∖C)≤v(G)−Λ(f)<ε.§E9.30 補題 1.2によりC⊆O⊆O⊆Gを満たす開集合Oが存在する。任意のA⊆Kと、A⊆Wを満たす開集合Wに対して、W∩OとW∩(K∖O)は互いに交わらない。主張 1.1.1と単調性から
v(W)≥v(W∩O)+v(W∩(K∖O))≥μ∗(A∩C)+μ∗(A∖G)である。Wについて下限を取ると
μ∗(A)≥μ∗(A∩C)+μ∗(A∖G)を得る。一方、外測度の劣加法性から
μ∗(A∩G)≤μ∗(A∩C)+μ∗(G∖C)<μ∗(A∩C)+ε.ゆえにμ∗(A)≥μ∗(A∩G)+μ∗(A∖G)−εである。ε↓0とし、外測度の劣加法性による逆の不等式と合わせると、Gの Carathéodory 可測性が従う。▨
§E9.9 定理 3.4により、μ=μ∗∣B(K)は有限正 Borel 測度である。μ(K)=mであり、定義によりすべての Borel 集合で外正則である。
主張 1.1.3.μはすべての Borel 集合でコンパクト内正則である。また、任意のコンパクト集合C⊆Kに対して
μ(C)=inf{Λ(g)∣g∈C(K,R), g≥0, g∣C≥1}である。
証明. Borel 集合A⊆Kとε>0に対して、K∖A⊆Uとμ(U)<μ(K∖A)+εを満たす開集合Uを取る。F=K∖UはAに含まれるコンパクト集合であり、有限性から
μ(A)−μ(F)=μ(U)−μ(K∖A)<εである。したがってコンパクト内正則性が成り立つ。
g≥0、g∣C≥1と0<ε<1を取る。G={g>1−ε}はCを含む開集合である。Gの上限に現れる関数hに対して(1−ε)h≤gであるから、正値性により(1−ε)v(G)≤Λ(g)である。ゆえに
μ(C)≤1−εΛ(g).ε↓0とするとμ(C)≤Λ(g)である。逆に、C⊆Uを満たす開集合Uに対して、§E9.30 補題 1.2により0≤g≤1、g∣C=1、suppg⊆Uを満たすgが存在する。この関数はΛ(g)≤v(U)=μ(U)を満たす。Uについて下限を取れば、主張の下限はμ(C)以下である。▨
f∈C(K,R)、f≥0とする。δ>0とN∈N≥1をNδ≥∥f∥∞となるように取り、0≤k<Nに対して
hk=min(1,max(0,δf−kδ))とおく。点ごとにf=δ∑k=0N−1hkである。hkは閉集合{f≥(k+1)δ}上で1となるから、主張 1.1.3により
μ{f≥(k+1)δ}≤Λ(hk).1−hkは閉集合{f≤kδ}上で1となる。同じ公式とμ(K)=Λ(1)=mにより
Λ(hk)≤m−μ{f≤kδ}=μ{f>kδ}.したがってΛ(f)は
Lδ=δk=0∑N−1μ{f≥(k+1)δ},Uδ=δk=0∑N−1μ{f>kδ}の間にある。対応する二つの単関数はfを下と上から挟み、その差は点ごとにδ以下である。積分の単調性§E9.10 命題 1.2により∫Kfdμも同じ区間にあり、Uδ−Lδ≤δmである。δ↓0としてΛ(f)=∫Kfdμを得る。任意の連続実関数を正部分と負部分の差に分け、§E9.10 定理 2.3 (1)を適用すると、すべてのf∈C(K,R)に対する表現が従う。
有限正則 Borel 測度は Radon 測度である。Cc(K,R)=C(K,R)であるから、§E9.30 系 4.2により表現測度は一意である。▨
2 局所コンパクト空間上の表現
定理 2.1.Xを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。実線形汎関数Λ:Cc(X,R)→Rが正であるならば、Radon 測度μが一意に存在して、すべてのf∈Cc(X,R)に対して
Λ(f)=∫Xfdμを満たす。
証明.0≤χ∈Cc(X,R)とし、Kχ=suppχとおく。g∈C(Kχ,R)に対して、§E9.30 補題 1.4の拡張gを用いて
Λχ(g)=Λ(χg)と定める。二つの拡張の差はKχ上で零であり、χはKχの外で零であるから、積χgは拡張の選び方によらない。拡張の和とスカラー倍も対応する関数の拡張であるため、Λχは実線形である。g≥0には非負の拡張を取ることができるから、Λχは正である。
定理 1.1により、Λχを表現する有限正則 Borel 測度がKχ上に存在する。この測度をX∖Kχで零として延長し、μχと書く。Kχのコンパクト集合はXでもコンパクトであるから、μχは有限 Radon 測度である。任意のf∈Cc(X,R)に対して
∫Xfdμχ=Λ(χf)である。
主張 2.1.1. 非負のχ,ψ∈Cc(X,R)に対して、Borel 測度として
ψμχ=χμψが成り立つ。ここでψμχはA↦∫Aψdμχという測度である。
証明. Borel 集合Aとε>0に対して、μχの有限性と内正則性により、コンパクト集合C⊆Aでμχ(A∖C)<εを満たすものが存在する。したがって
∫A∖Cψdμχ≤∥ψ∥∞ε.ゆえにψμχは有限 Radon 測度である。χμψも同じ理由で有限 Radon 測度である。任意のf∈Cc(X,R)は、これらの有限測度について可積分である。§E9.12 命題 3.4を、基準測度μχ、密度ψ、関数fの正部分と負部分に適用すると、
∫Xfd(ψμχ)=∫Xfψdμχ=Λ(χψf)を得る。χとψを交換して同じ公式を適用すると、∫Xfd(χμψ)=Λ(χψf)である。§E9.30 系 4.2により二つの測度は一致する。▨
コンパクトな閉包をもつ開集合全体をVとする。各V∈Vに対して、§E9.30 補題 1.2により0≤χV≤1、χV∣V=1を満たすχV∈Cc(X,R)を取り、
νV(A)=μχV(A∩V)(A∈B(X))と定める。νVは有限 Radon 測度である。実際、μχVの内正則性を Borel 集合A∩Vに適用すれば、νVの内正則性が従う。主張 2.1.1をV∩Wに制限すると、χV=χW=1であるから
νV(A∩W)=νW(A∩V)を得る。同じ公式を二つのχVに適用すると、νVは切断関数の選び方によらない。V⊆WならばνV(A)=νW(A∩V)≤νW(A)である。Vは有限和について閉じており、Xを覆う。
Borel 集合Aに対して
μ(A)=V∈VsupνV(A)と定める。
主張 2.1.2.μは正 Borel 測度であり、μ(A∩V)=νV(A)がすべてのA∈B(X)とV∈Vに対して成り立つ。μは Radon 測度である。
証明. 互いに交わらない Borel 集合列Anに対して
μ(n⋃An)=Vsupn∑νV(An)≤n∑μ(An)である。N∈N≥1とV1,…,VN∈Vに対してW=⋃n=1NVnとおくと、W∈Vであり、
μ(n⋃An)≥n=1∑NνW(An)≥n=1∑NνVn(An).各Vnについて上限を取ると右辺は∑n=1Nμ(An)となる。Nについて上限を取れば逆の不等式が従う。μ(∅)=0と合わせて可算加法性を得る。
整合性の公式から、任意のW∈Vに対して
νW(A∩V)=νV(A∩W)≤νV(A)である。W=Vとすれば等号であるから、μ(A∩V)=νV(A)である。任意のコンパクト集合Cは、§E9.30 補題 1.2によりあるV∈Vに含まれる。ゆえにμ(C)=νV(C)<∞である。
νVの内正則性により、νV(A)はA∩Vに含まれるコンパクト集合CのνV(C)=μ(C)の上限である。したがって
μ(A)=VsupνV(A)≤C⊆AC はコンパクトsupμ(C)≤μ(A).ゆえにμはすべての Borel 集合でコンパクト内正則である。▨
f∈Cc(X,R)に対して、suppf⊆Vを満たすV∈Vを取る。μとνVはV内で一致し、χV=1はV上で成り立つため、
∫Xfdμ=∫XfdμχV=Λ(χVf)=Λ(f).§E9.30 系 4.2により、この表現をもつ Radon 測度は一意である。▨
系 2.2.Xを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。写像
μ⟼(f⟼∫Xfdμ)は、X上の Radon 測度全体からCc(X,R)上の正実線形汎関数全体への全単射である。