§E9.30正則 Borel 測度と Radon 測度

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測度は可測集合の大きさを与えるが、測度の公理だけでは、集合の大きさが位相とどのように関係するかは定まらない。位相をもつ空間では、開集合やコンパクト集合による近似と、連続関数の積分による測度の記述が重要になる。たとえば、非可算な離散空間ではすべての実関数が連続である一方、コンパクトな台をもつ連続関数は有限集合の外で零となる。連続関数のどの族を用いるかによって、測度を調べるための集合族も異なる。

Radon 測度は、コンパクト集合による近似を通じて測度と位相を結びつける、解析学の基本的な測度のクラスである。一般の局所コンパクト Hausdorff 空間では、Radon 測度のコンパクト内正則性と、開集合による外正則性を区別する必要がある。この区別は、連続関数の積分から測度を決定し、測度を連続関数上の汎関数として扱うための基礎となる。

本記事では、局所コンパクト Hausdorff 空間上の Radon 測度を導入し、測度の正則性と連続関数との関係について解説する。

1 連続関数とコンパクトな台

定義 1.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、F\mathbb FをR\RまたはC\Cとする。連続関数X→FX\to\mathbb F全体をC(X,F)C(X,\mathbb F)、そのうち有界な関数全体をCb(X,F)C_b(X,\mathbb F)と書く。連続関数ffの台は

supp⁡f={x∈X∣f(x)≠0}‾\supp f=\tpcl{\{x\in X\mid f(x)\ne0\}}

である。台がコンパクトな連続関数全体をCc(X,F)C_c(X,\mathbb F)と書く。任意のε>0\ep>0に対して{x∈X∣∣f(x)∣≥ε}\{x\in X\mid |f(x)|\geq\ep\}がコンパクトである連続関数ffを 無限遠で零となる連続関数 (continuous function vanishing at infinity) といい、その全体をC0(X,F)C_0(X,\mathbb F)と書く。有界連続関数には一様ノルム∥f∥∞=sup⁡x∈X∣f(x)∣\|f\|_\infty=\sup_{x\in X}|f(x)|を入れる。X=∅X=\emptysetでは、このノルムを0とする。

補題 1.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト集合、U⊆XU\subseteq XをK⊆UK\subseteq Uを満たす開集合とする。開集合VVと関数χ∈Cc(X,R)\chi\in C_c(X,\R)が存在して

K⊆V⊆V‾⊆U,0≤χ≤1,χ∣K=1,supp⁡χ⊆V‾K\subseteq V\subseteq\tpcl{V}\subseteq U,\qquad 0\leq\chi\leq1,\qquad \chi|_K=1,\qquad\supp\chi\subseteq\tpcl{V}

を満たし、V‾\tpcl{V}はコンパクトである。

証明.K=∅K=\emptysetならばV=∅V=\emptysetとχ=0\chi=0を取る。K≠∅K\ne\emptysetとする。各x∈Kx\in Kに§E2.24 定理 1.6を適用し、x∈Vxx\in V_xとVx‾⊆U\tpcl{V_x}\subseteq Uを満たす開集合VxV_xであって、閉包がコンパクトであるものを取る。有限個のVx1,…,VxmV_{x_1},\ldots,V_{x_m}がKKを覆う。V=⋃j=1mVxjV=\bigcup_{j=1}^mV_{x_j}とおくと、V‾=⋃j=1mVxj‾\tpcl{V}=\bigcup_{j=1}^m\tpcl{V_{x_j}}はコンパクトであり、UUに含まれる。§E2.24 定理 2.3により、KK上で1、X∖VX\setminus V上で0となる連続関数χ:X→[0,1]\chi:X\to[0,1]が存在する。supp⁡χ⊆V‾\supp\chi\subseteq\tpcl{V}であるから、χ∈Cc(X,R)\chi\in C_c(X,\R)である。▨

補題 1.3.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト集合とする。開集合U1,…,UmU_1,\ldots,U_mがKKを覆うならば、関数ϕj∈Cc(X,R)\phi_j\in C_c(X,\R)が存在して

0≤ϕj≤1,supp⁡ϕj⊆Uj,∑j=1mϕj=1 on K,∑j=1mϕj≤1 on X0\leq\phi_j\leq1,\qquad\supp\phi_j\subseteq U_j,\qquad \sum_{j=1}^m\phi_j=1\text{ on }K,\qquad \sum_{j=1}^m\phi_j\leq1\text{ on }X

を満たす。空の被覆についてはK=∅K=\emptysetとする。

証明.K=∅K=\emptysetならばすべてのϕj\phi_jを0とする。各x∈Kx\in Kに対してx∈Uj(x)x\in U_{j(x)}となる添字j(x)j(x)を取り、補題 1.2によりβx(x)=1\beta_x(x)=1とsupp⁡βx⊆Uj(x)\supp\beta_x\subseteq U_{j(x)}を満たすβx∈Cc(X,R)\beta_x\in C_c(X,\R)、0≤βx≤10\leq\beta_x\leq1を取る。開集合{βx>0}\{\beta_x>0\}から有限個を選んでKKを覆う。選んだ関数を添字j(x)j(x)ごとに足し、βj\beta_jと書く。s=∑j=1mβjs=\sum_{j=1}^m\beta_jはKK上で正である。補題 1.2により、η∣K=1\eta|_K=1とsupp⁡η⊆{s>0}\supp\eta\subseteq\{s>0\}を満たすη∈Cc(X,R)\eta\in C_c(X,\R)、0≤η≤10\leq\eta\leq1を取る。

ϕj(x)={η(x)βj(x)/s(x),s(x)>0,0,s(x)=0\phi_j(x)= \begin{cases} \eta(x)\beta_j(x)/s(x),&s(x)>0,\\ 0,&s(x)=0 \end{cases}

と定める。supp⁡η\supp\etaは{s>0}\{s>0\}に含まれるため、零による延長は連続である。supp⁡ϕj⊆supp⁡βj⊆Uj\supp\phi_j\subseteq\supp\beta_j\subseteq U_jであり、∑jϕj=η\sum_j\phi_j=\etaである。▨

補題 1.4.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト集合とする。任意のg∈C(K,R)g\in C(K,\R)に対して、g~∈Cc(X,R)\widetilde g\in C_c(X,\R)が存在して

g~∣K=g,∥g~∥∞≤∥g∥∞\widetilde g|_K=g,\qquad\|\widetilde g\|_\infty\leq\|g\|_\infty

を満たす。g≥0g\geq0の場合にはg~≥0\widetilde g\geq0とすることができる。

証明.K=∅K=\emptysetまたはg=0g=0ならばg~=0\widetilde g=0を取る。補題 1.2により、K⊆VK\subseteq Vを満たす開集合VVであってL=V‾L=\tpcl{V}がコンパクトであるものを取る。同じ補題を開集合VVに適用し、χ∣K=1\chi|_K=1、supp⁡χ⊆V\supp\chi\subseteq V、0≤χ≤10\leq\chi\leq1を満たすχ∈Cc(X,R)\chi\in C_c(X,\R)を取る。LLはコンパクト Hausdorff 空間であるから、§E2.19 定理 6.11により正規である。KKはLLの閉集合である。§E2.18 定理 4.1により、ggは∥G∥∞≤∥g∥∞\|G\|_\infty\leq\|g\|_\inftyを満たすG∈C(L,R)G\in C(L,\R)に拡張される。g≥0g\geq0の場合にはGGをmax⁡(G,0)\max(G,0)に替える。LL上でχG\chi G、X∖LX\setminus L上で0となる関数をg~\widetilde gとする。supp⁡χ⊆V⊆L\supp\chi\subseteq V\subseteq Lであるから、LLの境界の各点はsupp⁡χ\supp\chiの外にあり、その近傍でg~=0\widetilde g=0である。したがってg~\widetilde gは連続であり、台はコンパクト集合supp⁡χ\supp\chiに含まれる。χ∣K=1\chi|_K=1と0≤χ≤10\leq\chi\leq1が、拡張とノルムの条件を与える。▨

2 Borel 集合族と Baire 集合族

定義 2.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。

  1. 開集合全体が生成するシグマ加法族を Borel 集合族 (Borel sigma-algebra) といい、B(X)\mathcal B(X)と書く。
  2. すべての連続実関数を可測にする最小のシグマ加法族を Baire 集合族 (Baire sigma-algebra) といい、Ba⁡(X)\operatorname{Ba}(X)と書く。
  3. Cc(X,R)C_c(X,\R)のすべての関数を可測にする最小のシグマ加法族をBa⁡c(X)\operatorname{Ba}_c(X)と書く。

いずれの可測性でも、値域R\Rには Borel 集合族を入れる。

命題 2.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。Cb(X,R)C_b(X,\R)が生成するシグマ加法族はBa⁡(X)\operatorname{Ba}(X)であり、C0(X,R)C_0(X,\R)が生成するシグマ加法族はBa⁡c(X)\operatorname{Ba}_c(X)である。また、

Ba⁡c(X)⊆Ba⁡(X)⊆B(X)\operatorname{Ba}_c(X)\subseteq\operatorname{Ba}(X)\subseteq\mathcal B(X)

である。XXが σ-コンパクトならばBa⁡c(X)=Ba⁡(X)\operatorname{Ba}_c(X)=\operatorname{Ba}(X)である。

証明.f∈C(X,R)f\in C(X,\R)に対してarctan⁡f\arctan fは有界連続関数であり、f=tan⁡(arctan⁡f)f=\tan(\arctan f)である。tan⁡\tanは(−π/2,π/2)(-\pi/2,\pi/2)上で連続であるから、ffはCb(X,R)C_b(X,\R)が生成する集合族について可測である。

f∈C0(X,R)f\in C_0(X,\R)に対して、Kn={∣f∣≥1/n}K_n=\{|f|\geq1/n\}はコンパクトである。K1K_1上でffは有界であり、その外では∣f∣<1|f|<1であるからffは有界である。補題 1.2によりχn∣Kn=1\chi_n|_{K_n}=1、0≤χn≤10\leq\chi_n\leq1を満たすχn∈Cc(X,R)\chi_n\in C_c(X,\R)を取る。fχn∈Cc(X,R)f\chi_n\in C_c(X,\R)であり、∥f−fχn∥∞≤1/n\|f-f\chi_n\|_\infty\leq1/nである。§E9.7 定理 5.1によりffはBa⁡c(X)\operatorname{Ba}_c(X)について可測である。逆にCc(X,R)⊆C0(X,R)C_c(X,\R)\subseteq C_0(X,\R)であり、二つの生成する集合族は一致する。連続関数は Borel 可測であるため、主張の包含が成り立つ。

X=⋃n∈N≥1KnX=\bigcup_{n\in\NN}K_nを満たすコンパクト集合の列が存在するとする。χn∣K1∪⋯∪Kn=1\chi_n|_{K_1\cup\cdots\cup K_n}=1を満たす切断関数を取る。任意のf∈C(X,R)f\in C(X,\R)に対してfχn∈Cc(X,R)f\chi_n\in C_c(X,\R)であり、各x∈Xx\in Xでf(x)χn(x)→f(x)f(x)\chi_n(x)\to f(x)である。§E9.7 定理 5.1によりすべての連続実関数がBa⁡c(X)\operatorname{Ba}_c(X)について可測であり、Ba⁡(X)⊆Ba⁡c(X)\operatorname{Ba}(X)\subseteq\operatorname{Ba}_c(X)である。▨

例 2.3. 非可算集合DDに離散位相を入れる。Ba⁡(D)=B(D)=P(D)\operatorname{Ba}(D)=\mathcal B(D)=\mathcal P(D)であるが、Ba⁡c(D)\operatorname{Ba}_c(D)は可算集合と余可算集合からなるシグマ加法族である。

証明. 任意のA⊆DA\subseteq Dに対して指示関数1A\mathbf1_Aは連続であるから、A∈Ba⁡(D)A\in\operatorname{Ba}(D)である。離散空間のコンパクト部分集合は有限集合であるため、Cc(D,R)C_c(D,\R)の関数は有限集合の外で0となる。そのような関数の Borel 集合の逆像は、有限集合または余有限集合である。したがってBa⁡c(D)\operatorname{Ba}_c(D)は可算集合と余可算集合のシグマ加法族に含まれる。逆に一点集合の指示関数はCc(D,R)C_c(D,\R)に属するから、すべての可算集合とその補集合がBa⁡c(D)\operatorname{Ba}_c(D)に属する。▨

注意 2.4. 局所コンパクト空間の Baire 集合族をCcC_cまたはC0C_0から生成する流儀もある。非可算離散空間では例 2.3の二つの集合族が異なるため、Baire 測度の定義域には、どの連続関数の族が生成した集合族であるかを指定する必要がある。

3 内正則性と外正則性

定義 3.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、μ\muをB(X)\mathcal B(X)上の正測度とする。

  1. A∈B(X)A\in\mathcal B(X)においてμ\muが コンパクト内正則 (inner regular with respect to compact sets) であるとは、 μ(A)=sup⁡K⊆AK はコンパクトμ(K)\mu(A)=\sup_{\substack{K\subseteq A\\K\text{ はコンパクト}}}\mu(K) を満たすことをいう。
  2. A∈B(X)A\in\mathcal B(X)においてμ\muが 外正則 (outer regular) であるとは、 μ(A)=inf⁡A⊆UU は開集合μ(U)\mu(A)=\inf_{\substack{A\subseteq U\\U\text{ は開集合}}}\mu(U) を満たすことをいう。
  3. μ\muが 局所有限 (locally finite measure) であるとは、各点が有限測度の開近傍をもつことをいう。
  4. μ\muが Radon 測度 (Radon measure) であるとは、すべてのコンパクト集合で有限であり、すべての Borel 集合でコンパクト内正則であることをいう。

すべての Borel 集合でコンパクト内正則かつ外正則な正 Borel 測度を、正則 Borel 測度という。

命題 3.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、μ\muを Radon 測度とする。μ\muは局所有限である。有限測度の Borel 集合EEと Borel 集合A⊆EA\subseteq Eに対して

μ(A)=inf⁡A⊆E∩UU は X の開集合μ(E∩U)\mu(A)=\inf_{\substack{A\subseteq E\cap U\\U\text{ は }X\text{ の開集合}}}\mu(E\cap U)

が成り立つ。特に、AAがコンパクトな閉包をもつ開集合VVに含まれるならば、AAにおいてμ\muは外正則であり、近似する開集合をVVの部分集合に取ることができる。

証明. 各点x∈Xx\in Xに§E2.24 定理 1.6を適用すると、コンパクトな閉包をもつ開近傍VVが存在する。μ(V)≤μ(V‾)<∞\mu(V)\leq\mu(\tpcl{V})<\inftyであるからμ\muは局所有限である。

ε>0\ep>0を取る。μ(E)<∞\mu(E)<\inftyとE∖AE\setminus Aの内正則性により、コンパクト集合K⊆E∖AK\subseteq E\setminus Aでμ((E∖A)∖K)<ε\mu((E\setminus A)\setminus K)<\epを満たすものが存在する。U=X∖KU=X\setminus Kは開集合であり、A⊆E∩UA\subseteq E\cap Uと

μ(E∩U)=μ(A)+μ((E∖A)∖K)<μ(A)+ε\mu(E\cap U)=\mu(A)+\mu((E\setminus A)\setminus K)<\mu(A)+\ep

を満たす。測度の単調性が逆向きの評価を与えるため、下限の等式が成り立つ。E=VE=Vの場合には、V∩UV\cap UはXXの開集合であり、A⊆V∩U⊆VA\subseteq V\cap U\subseteq Vである。▨

命題 3.3.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、μ\muを Radon 測度とする。μ(X)<∞\mu(X)<\inftyまたはXXが σ-コンパクトならば、μ\muは正則 Borel 測度である。

証明.μ(X)<∞\mu(X)<\inftyならば、命題 3.2でE=XE=Xとする。

XXが σ-コンパクトならば、補題 1.2の開近傍をコンパクト被覆の各項に取ることで、X=⋃n∈N≥1VnX=\bigcup_{n\in\NN}V_nを満たす開集合列であって、各Vn‾\tpcl{V_n}がコンパクトであるものが存在する。Borel 集合AAについてμ(A)=∞\mu(A)=\inftyならば、AAを含む開集合の測度も無限大である。μ(A)<∞\mu(A)<\inftyとε>0\ep>0を取る。

An=A∩(Vn∖⋃j<nVj)A_n=A\cap\left(V_n\setminus\bigcup_{j<n}V_j\right)

とおく。命題 3.2により、An⊆Un⊆VnA_n\subseteq U_n\subseteq V_nとμ(Un∖An)<ε2−n\mu(U_n\setminus A_n)<\ep2^{-n}を満たす開集合UnU_nが存在する。U=⋃nUnU=\bigcup_nU_nはAAを含む開集合であり、

μ(U∖A)≤∑nμ(Un∖An)<ε\mu(U\setminus A)\leq\sum_n\mu(U_n\setminus A_n)<\ep

である。したがってμ\muはすべての Borel 集合で外正則である。▨

例 3.4. 非可算な離散空間IIと、R\Rの部分空間

S={0}∪{1/n∣n∈N≥1}S=\{0\}\cup\{1/n\mid n\in\NN\}

の積X=I×SX=I\times Sを取る。Borel 集合A⊆XA\subseteq Xに対して

μ(A)=∑i∈I∑n=1∞2−n1A(i,1/n)\mu(A)=\sum_{i\in I}\sum_{n=1}^{\infty}2^{-n}\mathbf1_A(i,1/n)

と定める。非可算な和は、有限部分集合上の和の上限を意味する。μ\muは Radon 測度であるが、閉集合F=I×{0}F=I\times\{0\}で外正則ではない。

証明.SSの開被覆で0を含む一つの項を取ると、その項は十分大きいnnに対する1/n1/nをすべて含む。残る有限個の点を有限個の項で覆うことができるため、SSはコンパクトである。SSはR\Rの部分空間であるから Hausdorff である。各{i}×S\{i\}\times Sはコンパクトな開集合であるため、XXは局所コンパクト Hausdorff 空間である。非負の和を有限部分和の上限と定めた場合、互いに交わらない集合列に対して、和の順序を交換することができる。実際、有限個の原子と有限個の集合についての和は交換することができ、両方の有限部分について上限を取れば、どちらの順序も全ての有限部分和の上限になる。ゆえにμ\muは正測度である。

コンパクト集合は、開被覆({i}×S)i∈I(\{i\}\times S)_{i\in I}の有限部分族で覆われる。各成分の測度は1であるから、コンパクト集合の測度は有限である。μ(A)\mu(A)はAA内の有限個の原子の質量和の上限であり、有限集合はコンパクトであるから、すべての Borel 集合でコンパクト内正則性が成り立つ。

μ(F)=0\mu(F)=0である。F⊆UF\subseteq Uを満たす開集合UUは、各i∈Ii\in Iに対してある(i,1/n)(i,1/n)を含む。したがって各成分でμ(U∩({i}×S))>0\mu(U\cap(\{i\}\times S))>0である。非可算個の正数の和は無限大である。実際、各k∈N≥1k\in\NNについて1/k1/k以上の項が有限個しかなければ、正の項の全体は可算となる。ゆえにμ(U)=∞\mu(U)=\inftyであり、FFの測度0と、開近傍の測度の下限は一致しない。▨

4 連続関数による測度の決定

命題 4.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、μ\muを Radon 測度とする。任意の開集合UUとコンパクト集合KKに対して

μ(U)=sup⁡f∈Cc(X,R)0≤f≤1, supp⁡f⊆U∫Xf dμ,μ(K)=inf⁡g∈Cc(X,R)0≤g≤1, g∣K=1∫Xg dμ\mu(U)=\sup_{\substack{f\in C_c(X,\R)\\0\leq f\leq1,\ \supp f\subseteq U}}\int_Xf\,d\mu, \qquad \mu(K)=\inf_{\substack{g\in C_c(X,\R)\\0\leq g\leq1,\ g|_K=1}}\int_Xg\,d\mu

が成り立つ。

証明. 上限に現れる関数は1U\mathbf1_U以下であるから、その積分はμ(U)\mu(U)以下である。任意のコンパクト集合L⊆UL\subseteq Uに対して、補題 1.2によりf∣L=1f|_L=1とsupp⁡f⊆U\supp f\subseteq Uを満たす切断関数が存在する。その積分はμ(L)\mu(L)以上である。UUの内正則性から上限の等式が従う。

下限に現れる関数は1K\mathbf1_K以上であるから、その積分はμ(K)\mu(K)以上である。補題 1.2により、KKを含むコンパクトな閉包をもつ開集合VVを取る。命題 3.2により、任意のε>0\ep>0に対してK⊆W⊆VK\subseteq W\subseteq Vとμ(W)<μ(K)+ε\mu(W)<\mu(K)+\epを満たす開集合WWが存在する。KK上で1、台がWWに含まれる切断関数の積分はμ(W)\mu(W)以下である。したがって下限の等式が従う。▨

系 4.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間、μ,ν\mu,\nuを Radon 測度とする。すべてのf∈Cc(X,R)f\in C_c(X,\R)に対して

∫Xf dμ=∫Xf dν\int_Xf\,d\mu=\int_Xf\,d\nu

が成り立つならばμ=ν\mu=\nuである。

証明.命題 4.1の下限公式から、μ\muとν\nuはすべてのコンパクト集合で一致する。任意の Borel 集合の測度は、その集合に含まれるコンパクト集合の測度の上限であるから、すべての Borel 集合でμ\muとν\nuは一致する。▨

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