§E9.24ベクトル値 Lp 空間と積分交換

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スカラー値のLpL^p空間は、関数の大きさを積分によって測るための基本的な関数空間である。関数の値がベクトルや数列である場合にも、値のノルムを用いて同様の大きさを測ることができる。しかし、値をとる空間を広げたとき、完備性や単関数による近似がどこまで保たれるかは改めて確かめる必要がある。たとえば、零に収束する数列の空間で各座標の単位ベクトルを順に値とする関数は、有界であっても、有限個の値をとる関数によって一様に近似することができない。

Banach 空間に値をとる関数に対して、ノルムの積分または本質的上限から定まる空間がベクトル値LpL^p空間である。この空間は、スカラー値のLpL^p空間の理論と Bochner 積分の理論を結び、積空間上の関数と切り口の関数との関係を記述するための基本的な枠組みとなる。

本記事では、ベクトル値LpL^p空間の基本的な性質と積分との関係について解説する。

1 定義とノルム

定義 1.1.(X,Σ,μ)(X,\Sigma,\mu)を任意の正測度空間、BBをK∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}上の Banach 空間とする。μ\mu-強可測な写像F:X→BF:X\to Bに対して、強可測代表元F♯F^\sharpをとり、

∥F∥p={(∫X∥F♯(x)∥Bp dμ(x))1/p,1≤p<∞,ess sup⁡x∈X∥F♯(x)∥B,p=∞\|F\|_p= \begin{cases} \displaystyle\left(\int_X\|F^\sharp(x)\|_B^p\,d\mu(x)\right)^{1/p},&1\leq p<\infty,\\[6pt] \displaystyle\operatorname*{ess\,sup}_{x\in X}\|F^\sharp(x)\|_B,&p=\infty \end{cases}

と定める。強可測代表元は§E9.18 命題 1.3により存在する。

∥F∥p<∞\|F\|_p<\inftyを満たすμ\mu-強可測写像のμ\mu-a.e. の一致による同値類の集合をベクトル値LpL^p空間 (Lebesgue–Bochner space) といい、Lp(μ;B)L^p(\mu;B)と書く。FFの同値類を[F][F]と書き、

∥[F]∥p=∥F∥p,[F]+[G]=[F+G],α[F]=[αF](α∈K)\|[F]\|_p=\|F\|_p,\qquad [F]+[G]=[F+G],\qquad \alpha[F]=[\alpha F]\quad(\alpha\in\mathbb K)

と定める。p=1p=1の場合は§E9.18 定義 3.1の空間とノルムに一致する。

命題 1.2.(X,Σ,μ)(X,\Sigma,\mu)を任意の正測度空間、BBを実または複素 Banach 空間、1≤p≤∞1\leq p\leq\inftyとする。Lp(μ;B)L^p(\mu;B)の所属条件、線形演算、および∥⋅∥p\|\cdot\|_pは代表元に依存せず、Lp(μ;B)L^p(\mu;B)は∥⋅∥p\|\cdot\|_pに関してノルム空間である。

証明.μ\mu-強可測なF,GF,Gがμ\mu-a.e. に一致するならば、その強可測代表元F♯,G♯F^\sharp,G^\sharpもμ\mu-a.e. に一致する。各代表元のノルムは§E9.18 命題 1.2 (3)により可測であり、§E9.21 命題 2.4を実数値関数∥F♯∥B,∥G♯∥B\|F^\sharp\|_B,\|G^\sharp\|_Bに適用すると、∥F∥p=∥G∥p\|F\|_p=\|G\|_pとなる。したがって所属条件と値は、元の写像および強可測代表元の選び方に依存しない。

[F],[G]∈Lp(μ;B)[F],[G]\in L^p(\mu;B)とし、強可測代表元F♯,G♯F^\sharp,G^\sharpをとる。§E9.18 命題 1.4 (4)によりF+GF+Gはμ\mu-強可測であり、F♯+G♯F^\sharp+G^\sharpはその強可測代表元である。点ごとの三角不等式と、スカラーの§E9.21 定理 6.1により

∥F+G∥p≤∥ ∥F♯∥B+∥G♯∥B ∥p≤∥F∥p+∥G∥p<∞.\|F+G\|_p \leq\bigl\|\,\|F^\sharp\|_B+\|G^\sharp\|_B\,\bigr\|_p \leq\|F\|_p+\|G\|_p<\infty.

最初の不等式は、有限指数では積分の単調性、無限大の指数では§E9.21 補題 2.2から従う。任意のα∈K\alpha\in\mathbb Kに対してαF\alpha Fもμ\mu-強可測であり、∥αF∥p=∣α∣∥F∥p\|\alpha F\|_p=|\alpha|\|F\|_pである。よって加法とスカラー倍はLp(μ;B)L^p(\mu;B)に閉じている。

F=F′F=F'とG=G′G=G'がそれぞれ可測零集合の外で成り立つならば、二つの可測零集合の和の外でF+G=F′+G′F+G=F'+G'およびαF=αF′\alpha F=\alpha F'が成り立つ。したがって線形演算は代表元に依存しない。ベクトル空間の恒等式は各点の恒等式から同値類へ移る。

非負性は定義から従い、斉次性と三角不等式は上の評価で示されている。スカラーの§E9.21 命題 3.5 (2)により、∥F∥p=0\|F\|_p=0と∥F♯∥B=0\|F^\sharp\|_B=0がμ\mu-a.e. に成り立つこととは同値である。BBのノルムの正定値性から、後者は[F]=[0][F]=[0]と同値である。▨

2 完備性

定理 2.1. 可算選択公理を仮定する。(X,Σ,μ)(X,\Sigma,\mu)を任意の正測度空間、BBを実または複素 Banach 空間とする。すべての1≤p≤∞1\leq p\leq\inftyに対して、Lp(μ;B)L^p(\mu;B)は Banach 空間である。

証明.p=1p=1の場合は§E9.18 定理 3.5による。1<p≤∞1<p\leq\inftyとし、Lp(μ;B)L^p(\mu;B)の Cauchy 列(un)(u_n)をとる。可算選択公理により、各unu_nの強Σ\Sigma-可測な代表元FnF_nを選ぶ。

1<p<∞1<p<\inftyとする。Cauchy 性により、増加する添字列(nk)(n_k)を

∥unk+1−unk∥p≤2−k\|u_{n_{k+1}}-u_{n_k}\|_p\leq2^{-k}

となるようにとる。dk(x)=∥Fnk+1(x)−Fnk(x)∥Bd_k(x)=\|F_{n_{k+1}}(x)-F_{n_k}(x)\|_Bとおくと、dkd_kは非負有限値可測関数である。スカラーの§E9.21 定理 6.1により、l≥j≥1l\geq j\geq1に対して

∥∑k=jldk∥p≤∑k=jl∥dk∥p≤∑k=jl2−k.\left\|\sum_{k=j}^l d_k\right\|_p \leq\sum_{k=j}^l\|d_k\|_p \leq\sum_{k=j}^l2^{-k}.

qj=∑k=j∞dkq_j=\sum_{k=j}^{\infty}d_kとおき、§E9.11 定理 1.1を部分和のpp乗に適用すると、

∫Xqjp dμ≤(∑k=j∞2−k)p=2p(1−j)\int_Xq_j^p\,d\mu \leq\left(\sum_{k=j}^{\infty}2^{-k}\right)^p =2^{p(1-j)}

を得る。特に§E9.10 命題 3.4により、N={q1=∞}N=\{q_1=\infty\}は可測零集合である。

x∈X∖Nx\in X\setminus Nとl>jl>jに対して

∥Fnl(x)−Fnj(x)∥B≤∑k=jl−1dk(x)\|F_{n_l}(x)-F_{n_j}(x)\|_B \leq\sum_{k=j}^{l-1}d_k(x)

であるから、(Fnj(x))j(F_{n_j}(x))_jはBBの Cauchy 列である。BBの完備性によりF(x)=lim⁡jFnj(x)F(x)=\lim_jF_{n_j}(x)をX∖NX\setminus N上で定め、NN上でF=0F=0とおく。各FnjF_{n_j}をNN上で00に変更すると強Σ\Sigma-可測性を保ち、全点でFFに収束する。§E9.18 命題 1.4 (1)によりFFは強Σ\Sigma-可測である。上の不等式でl→∞l\to\inftyとすると、X∖NX\setminus N上で

∥F(x)−Fnj(x)∥B≤qj(x)\|F(x)-F_{n_j}(x)\|_B\leq q_j(x)

となる。積分の単調性とqjq_jの評価から

∥F−Fnj∥p≤21−j⟶0\|F-F_{n_j}\|_p\leq2^{1-j}\longrightarrow0

を得る。j=1j=1の評価によって[F−Fn1]∈Lp(μ;B)[F-F_{n_1}]\in L^p(\mu;B)であり、命題 1.2の加法に関する閉性からu=[F]∈Lp(μ;B)u=[F]\in L^p(\mu;B)である。

任意のε>0\varepsilon>0に対して、m,n≥Mm,n\geq Mならば∥um−un∥p<ε/2\|u_m-u_n\|_p<\varepsilon/2となるMMをとる。nj≥Mn_j\geq Mかつ∥unj−u∥p<ε/2\|u_{n_j}-u\|_p<\varepsilon/2となるjjを固定すると、すべてのn≥Mn\geq Mに対して

∥un−u∥p≤∥un−unj∥p+∥unj−u∥p<ε\|u_n-u\|_p\leq\|u_n-u_{n_j}\|_p+\|u_{n_j}-u\|_p<\varepsilon

である。したがって元の列もuuに収束する。

p=∞p=\inftyとする。§E9.21 補題 2.2により、可測集合

Nn={x:∥Fn(x)∥B>∥un∥∞},Nm,n={x:∥Fm(x)−Fn(x)∥B>∥um−un∥∞}N_n=\{x:\|F_n(x)\|_B>\|u_n\|_\infty\},\qquad N_{m,n}=\{x:\|F_m(x)-F_n(x)\|_B>\|u_m-u_n\|_\infty\}

はいずれも零集合である。N=⋃nNn∪⋃m,nNm,nN=\bigcup_nN_n\cup\bigcup_{m,n}N_{m,n}とおくと、NNは可測零集合であり、X∖NX\setminus N上で

∥Fm(x)−Fn(x)∥B≤∥um−un∥∞\|F_m(x)-F_n(x)\|_B\leq\|u_m-u_n\|_\infty

がすべてのm,nm,nについて成り立つ。Cauchy 性とBBの完備性から、F(x)=lim⁡nFn(x)F(x)=\lim_nF_n(x)をX∖NX\setminus N上で定めることができる。NN上ではF=0F=0とおく。NN上で00に変更したFnF_nの全点での極限であるから、§E9.18 命題 1.4 (1)によりFFは強Σ\Sigma-可測である。

任意のε>0\varepsilon>0に対して、m,n≥Mm,n\geq Mならば∥um−un∥∞<ε\|u_m-u_n\|_\infty<\varepsilonとなるMMをとる。n≥Mn\geq Mを固定してm→∞m\to\inftyとすると、X∖NX\setminus N上で∥F−Fn∥B≤ε\|F-F_n\|_B\leq\varepsilonとなる。したがって∥F−Fn∥∞≤ε\|F-F_n\|_\infty\leq\varepsilonである。特にFFはX∖NX\setminus N上で本質的に有界なFMF_Mと有界な差をもち、[F]∈L∞(μ;B)[F]\in L^\infty(\mu;B)である。よってun→[F]u_n\to[F]がL∞L^\inftyノルムで成り立つ。▨

3 単関数近似と無限大の指数

定理 3.1.(X,Σ,μ)(X,\Sigma,\mu)を任意の正測度空間、BBを実または複素 Banach 空間、1≤p<∞1\leq p<\inftyとする。可積分単関数の同値類はLp(μ;B)L^p(\mu;B)に稠密である。より詳しく、任意の[F]∈Lp(μ;B)[F]\in L^p(\mu;B)とその強可測代表元F♯F^\sharpに対して、可積分単関数列(sn)(s_n)を

sn(x)⟶F♯(x)(x∈X),∥F−sn∥p⟶0s_n(x)\longrightarrow F^\sharp(x)\quad(x\in X),\qquad \|F-s_n\|_p\longrightarrow0

となるように選ぶことができる。

証明.p=1p=1の場合は§E9.18 命題 3.4による。1<p<∞1<p<\inftyとし、§E9.18 命題 1.2により、全点でsn→F♯s_n\to F^\sharpとなり、

∥F♯−sn∥B≤∥F♯∥B,∥sn∥B≤2∥F♯∥B\|F^\sharp-s_n\|_B\leq\|F^\sharp\|_B,\qquad \|s_n\|_B\leq2\|F^\sharp\|_B

を満たす可測単関数列(sn)(s_n)をとる。第二の評価により∫X∥sn∥Bp dμ<∞\int_X\|s_n\|_B^p\,d\mu<\inftyである。sns_nの非零の値bbに対して

∥b∥Bpμ({sn=b})≤∫X∥sn∥Bp dμ<∞\|b\|_B^p\mu(\{s_n=b\})\leq\int_X\|s_n\|_B^p\,d\mu<\infty

であるから、各非零レベル集合は有限測度をもつ。非零の値は有限個であるため∫X∥sn∥B dμ<∞\int_X\|s_n\|_B\,d\mu<\inftyであり、sns_nは可積分単関数である。

非負可測関数∥F♯−sn∥Bp\|F^\sharp-s_n\|_B^pは全点で00に収束し、可積分関数∥F♯∥Bp\|F^\sharp\|_B^pによって支配される。§E9.11 定理 3.1により

∥F−sn∥pp=∫X∥F♯−sn∥Bp dμ⟶0\|F-s_n\|_p^p=\int_X\|F^\sharp-s_n\|_B^p\,d\mu\longrightarrow0

となる。▨

例 3.2.N≥1\NNに数え上げ測度κ\kappaを入れ、c0c_0に上限ノルムを入れる。c0c_0は§E9.1 例 3.1により Banach 空間である。第nn座標だけが11である数列をene_nとし、F(n)=enF(n)=e_nと定める。このときFFは強可測であり、[F]∈L∞(κ;c0)[F]\in L^\infty(\kappa;c_0)かつ∥F∥∞=1\|F\|_\infty=1である。しかし、任意の有限値可測単関数s:N≥1→c0s:\NN\to c_0に対して

∥F−s∥∞≥1\|F-s\|_\infty\geq1

である。

証明.sN(n)=ens_N(n)=e_nをn≤Nn\leq Nで、sN(n)=0s_N(n)=0をn>Nn>Nで定める。sNs_Nは可測単関数であり、各nnに対してsN(n)→F(n)s_N(n)\to F(n)であるから、FFは強可測である。すべてのnnで∥F(n)∥c0=1\|F(n)\|_{c_0}=1である。数え上げ測度の零集合は空集合だけであるため、∥F∥∞=1\|F\|_\infty=1となる。

有限値単関数ssの値をb1,…,bm∈c0b_1,\ldots,b_m\in c_0とする。各bib_iの第nn座標bi(n)b_i(n)はn→∞n\to\inftyで00に収束する。値が有限個であるから、任意のε>0\varepsilon>0に対して、十分大きいnnではすべてのiiについて∣bi(n)∣<ε|b_i(n)|<\varepsilonである。このようなnnでs(n)=bis(n)=b_iと書けば、

∥F(n)−s(n)∥c0≥∣1−bi(n)∣≥1−∣bi(n)∣>1−ε.\|F(n)-s(n)\|_{c_0} \geq|1-b_i(n)|\geq1-|b_i(n)|>1-\varepsilon.

したがって∥F−s∥∞≥1−ε\|F-s\|_\infty\geq1-\varepsilonであり、ε↓0\varepsilon\downarrow0とすると結論を得る。▨

4 積分評価と Fubini の定理

命題 4.1.(X,Σ,μ)(X,\Sigma,\mu)を任意の正測度空間、BBを実または複素 Banach 空間とする。積分作用素

Iμ:L1(μ;B)⟶B,Iμ([F])=∫XF dμI_\mu:L^1(\mu;B)\longrightarrow B,\qquad I_\mu([F])=\int_XF\,d\mu

は有界線形作用素であり、

∥∫XF dμ∥B≤∥F∥1\left\|\int_XF\,d\mu\right\|_B\leq\|F\|_1

を満たす。

さらに、μ(X)<∞\mu(X)<\inftyかつ1<p≤∞1<p\leq\inftyならば、Lp(μ;B)⊆L1(μ;B)L^p(\mu;B)\subseteq L^1(\mu;B)であり、任意の[F]∈Lp(μ;B)[F]\in L^p(\mu;B)に対して

∥∫XF dμ∥B≤∥F∥1≤μ(X)1−1/p∥F∥p\left\|\int_XF\,d\mu\right\|_B \leq\|F\|_1 \leq\mu(X)^{1-1/p}\|F\|_p

が成り立つ。ただし、1/∞=01/\infty=0とする。

証明.p=1p=1の空間とノルムは Bochner 積分によるものに一致するから、§E9.18 命題 3.3により積分作用素の有界線形性と最初の評価を得る。

μ(X)<∞\mu(X)<\infty、1<p≤∞1<p\leq\inftyとし、1/p+1/q=11/p+1/q=1を満たす1≤q<∞1\leq q<\inftyをとる。強可測代表元F♯F^\sharpのノルムと定数関数11に§E9.21 定理 4.2を適用すると、

∫X∥F♯∥B dμ≤∥ ∥F♯∥B ∥p∥1∥q=∥F∥pμ(X)1/q<∞.\int_X\|F^\sharp\|_B\,d\mu \leq\bigl\|\,\|F^\sharp\|_B\,\bigr\|_p\|1\|_q =\|F\|_p\mu(X)^{1/q}<\infty.

したがって[F]∈L1(μ;B)[F]\in L^1(\mu;B)であり、積分作用素の評価を合わせると結論を得る。▨

系 4.2. 可算選択公理を仮定する。(X,Σ,μ)(X,\Sigma,\mu)と(Y,T,ν)(Y,\mathcal T,\nu)をシグマ有限な正測度空間、BBを実または複素 Banach 空間とし、ρ=μ⊗ν\rho=\mu\otimes\nuとおく。ρ\rho-強可測なF:X×Y→BF:X\times Y\to Bに対して、[F]∈L1(ρ;B)[F]\in L^1(\rho;B)であるための必要十分条件は、ある可測零集合NX∈ΣN_X\in\Sigmaの外で切り口Fx(y)=F(x,y)F_x(y)=F(x,y)が[Fx]∈L1(ν;B)[F_x]\in L^1(\nu;B)を満たし、

SF(x)={[Fx],x∉NX,0,x∈NXS_F(x)= \begin{cases}[F_x],&x\notin N_X,\\0,&x\in N_X\end{cases}

と定めた写像の同値類がL1(μ;L1(ν;B))L^1\bigl(\mu;L^1(\nu;B)\bigr)に属することである。

この切り口写像による対応

S:L1(ρ;B)⟶L1(μ;L1(ν;B)),[F]⟼[SF]S:L^1(\rho;B)\longrightarrow L^1\bigl(\mu;L^1(\nu;B)\bigr),\qquad [F]\longmapsto[S_F]

は全射線形等長写像であり、

∥F∥L1(ρ;B)=∥SF∥L1(μ;L1(ν;B))=∫X∥SF(x)∥L1(ν;B) dμ(x)\|F\|_{L^1(\rho;B)} =\|S_F\|_{L^1(\mu;L^1(\nu;B))} =\int_X\|S_F(x)\|_{L^1(\nu;B)}\,d\mu(x)

が成り立つ。座標を交換した切り口Fy(x)=F(x,y)F^y(x)=F(x,y)についても同じ結論が成り立つ。

[F]∈L1(ρ;B)[F]\in L^1(\rho;B)のとき、内側積分をそれぞれの可測例外零集合上で00と定めれば、内側積分は外側の変数について Bochner 可積分であり、

∫X×YF dρ=∫X(∫YF(x,y) dν(y))dμ(x)=∫Y(∫XF(x,y) dμ(x))dν(y)\int_{X\times Y}F\,d\rho =\int_X\left(\int_YF(x,y)\,d\nu(y)\right)d\mu(x) =\int_Y\left(\int_XF(x,y)\,d\mu(x)\right)d\nu(y)

となる。

証明.§E9.18 定理 3.5によりL1(ν;B)L^1(\nu;B)は Banach 空間である。L1(μ;L1(ν;B))L^1\bigl(\mu;L^1(\nu;B)\bigr)への所属は、L1(ν;B)L^1(\nu;B)値写像の強可測性とノルム可積分性を意味する。§E9.18 定理 2.4により、この所属条件は Bochner 可積分性と同値である。したがって§E9.19 命題 4.2が所属条件の同値とノルム等式を与える。

§E9.19 定理 4.3によりSSは全射線形等長写像である。内側積分はIν∘SFI_\nu\circ S_Fであり、§E9.19 定理 5.1により、その Bochner 可積分性と反復積分の等式を得る。両結果において座標を交換した結論を適用すると、逆の順序の切り口と反復積分に関する結論を得る。▨

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