§E9.5Riesz の表現定理と Lax–Milgram の定理

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Hilbert 空間HHの各ベクトルyyに対して、x↦⟨x,y⟩x\mapsto\langle x,y\rangleという汎関数が定まる。この汎関数は線形であり、Cauchy–Schwarz の不等式によって有界である。H∗H^*の元がすべてこの形をとること、すなわちyyをこの汎関数へ対応させる写像がH∗H^*への全射であることを主張するのが、Riesz の表現定理である。この定理の主張は、f∈H∗f\in H^*を表すyyが一つに定まることも含む。

Riesz の表現定理によるHHとH∗H^*の同定のもとでは、二つのベクトルに依存する形式aaによって定まる方程式を、HH上の一つの有界作用素についての方程式として書き直すことができる。形式の側に要る条件は、有界性と強圧性の二つである。Lax–Milgram の定理では、この二つの条件を満たす形式に対して解の存在と一意性が主張される。偏微分方程式の弱形式は、形式aaによって定まる方程式の形をとる。本記事では、実数体と複素数体で線形性の型を分けたうえで、この二つの定理を証明する。

1 Riesz の表現定理

ここで扱うのは、Hilbert 空間の有界線形汎関数がベクトルとの内積で表されることを主張する定理であり、連続関数空間の双対が測度で表されることを主張する Riesz–Markov–Kakutani の定理とは異なる。

係数体K\mathbb KはR\mathbb RまたはC\mathbb Cとする。複素内積は第1変数について線形であり、第2変数について共役線形である。

定理 1.1 (Riesz の表現定理).HHを実 Hilbert 空間または複素 Hilbert 空間とする。任意の有界線形汎関数f∈H∗f\in H^*に対して、

f(x)=⟨x,y⟩(x∈H)f(x)=\langle x,y\rangle\qquad(x\in H)

を満たすy∈Hy\in Hがただ一つ存在する。さらに∥f∥=∥y∥\|f\|=\|y\|である。

証明.f=0f=0ならy=0y=0とすればよい。以下ではf≠0f\ne0とする。M=ker⁡fM=\ker fはffの連続性により閉部分空間であり、M≠HM\ne Hである。§E9.4 定理 2.2によりH=M⊕M⊥H=M\oplus M^\perpであるから、単位ベクトルz∈M⊥z\in M^\perpをとることができる。

x∈Hx\in Hに対してw=f(x)z−f(z)xw=f(x)z-f(z)xとおくとf(w)=0f(w)=0であるからw∈Mw\in Mである。よって⟨w,z⟩=0\langle w,z\rangle=0であり、

0=f(x)⟨z,z⟩−f(z)⟨x,z⟩=f(x)−f(z)⟨x,z⟩.0=f(x)\langle z,z\rangle-f(z)\langle x,z\rangle =f(x)-f(z)\langle x,z\rangle.

実数体ではy=f(z)zy=f(z)z、複素数体ではy=f(z)‾zy=\overline{f(z)}zとおけば、いずれの場合もf(x)=⟨x,y⟩f(x)=\langle x,y\rangleを得る。

Cauchy–Schwarz の不等式により∣f(x)∣≤∥x∥∥y∥|f(x)|\le\|x\|\|y\|であるから∥f∥≤∥y∥\|f\|\le\|y\|である。y≠0y\ne0の場合にはx=y/∥y∥x=y/\|y\|を代入して∣f(x)∣=∥y∥|f(x)|=\|y\|を得る。y=0y=0の場合にはf=0f=0であるから∥f∥=0=∥y∥\|f\|=0=\|y\|である。したがって∥f∥=∥y∥\|f\|=\|y\|である。

y,y′y,y'がともに表現ベクトルなら、x=y−y′x=y-y'を代入して∥y−y′∥2=⟨y−y′,y−y′⟩=0\|y-y'\|^2=\langle y-y',y-y'\rangle=0を得るのでy=y′y=y'である。▨

系 1.2.R:H→H∗R:H\to H^*を(Ry)(x)=⟨x,y⟩(Ry)(x)=\langle x,y\rangleと定めると、RRは全単射かつ等長である。実数体上ではRRは線形であり、複素数体上ではR(αy+βz)=α‾Ry+β‾RzR(\alpha y+\beta z)=\overline\alpha Ry+ \overline\beta Rzを満たす共役線形写像である。

証明. 全射性、一意性、および等長性は定理 1.1から従う。複素数体では

(R(αy+βz))(x)=⟨x,αy+βz⟩=α‾⟨x,y⟩+β‾⟨x,z⟩(R(\alpha y+\beta z))(x)=\langle x,\alpha y+\beta z\rangle =\overline\alpha\langle x,y\rangle+\overline\beta\langle x,z\rangle

である。実数体では複素共役が恒等写像なので線形である。▨

例 1.3.H=L2([0,1])H=L^2([0,1])の内積を⟨h,g⟩=∫01h(x)g(x)‾ dx\langle h,g\rangle=\int_0^1h(x)\overline{g(x)}\,dxとする。区間[0,1/2][0,1/2]上の平均をとる汎関数

F(h)=2∫01/2h(x) dxF(h)=2\int_0^{1/2}h(x)\,dx

の表現ベクトルはg=21[0,1/2]g=2\mathbf 1_{[0,1/2]}である。実際、F(h)=⟨h,g⟩F(h)=\langle h,g\rangleであり、定理 1.1により∥F∥=∥g∥2=2\|F\|=\|g\|_2=\sqrt2である。

2 Lax–Milgram の定理

定義 2.1.HHを Hilbert 空間とする。実数体では双線形形式a:H×H→Ra:H\times H\to\mathbb R、複素数体では第1変数について線形で第2変数について共役線形な半双線形形式a:H×H→Ca:H\times H\to\mathbb Cを考える。

  1. あるM>0M>0に対して∣a(x,y)∣≤M∥x∥∥y∥|a(x,y)|\le M\|x\|\|y\|が全てのx,y∈Hx,y\in Hで成り立つとき、aaは有界 (bounded) であるという。
  2. 実数体ではa(x,x)≥α∥x∥2a(x,x)\ge\alpha\|x\|^2、複素数体ではRe⁡a(x,x)≥α∥x∥2\operatorname{Re}a(x,x)\ge\alpha\|x\|^2が、あるα>0\alpha>0と全てのx∈Hx\in Hに対して成り立つとき、aaは強圧的 (coercive) であるという。

定理 2.2 (Lax–Milgram の定理).HHを Hilbert 空間とし、aaを有界かつ強圧的な形式とする。強圧性定数をα>0\alpha>0とする。

  1. HHが実 Hilbert 空間なら、任意のf∈H∗f\in H^*に対して a(u,v)=f(v)(v∈H)a(u,v)=f(v)\qquad(v\in H) を満たすu∈Hu\in Hがただ一つ存在する。
  2. HHが複素 Hilbert 空間で、aaが第1変数について線形、第2変数について共役線形なら、任意のf∈H∗f\in H^*に対して a(v,u)=f(v)(v∈H)a(v,u)=f(v)\qquad(v\in H) を満たすu∈Hu\in Hがただ一つ存在する。

いずれの場合も∥u∥≤∥f∥/α\|u\|\le\|f\|/\alphaである。

証明.(1)を示す。まず実数体の場合を扱う。u∈Hu\in Hを固定するとv↦a(u,v)v\mapsto a(u,v)は有界線形汎関数である。定理 1.1により、

a(u,v)=⟨v,Au⟩(v∈H)a(u,v)=\langle v,Au\rangle\qquad(v\in H)

を満たすAu∈HAu\in Hが一意に存在する。双線形性と Riesz 対応の実線形性によりA:H→HA:H\to Hは線形であり、∥Au∥≤M∥u∥\|Au\|\le M\|u\|である。強圧性と Cauchy–Schwarz の不等式から

α∥u∥2≤a(u,u)=⟨u,Au⟩≤∥u∥∥Au∥\alpha\|u\|^2\le a(u,u)=\langle u,Au\rangle\le\|u\|\|Au\|

であるから∥Au∥≥α∥u∥\|Au\|\ge\alpha\|u\|である。

(2)を示す。次に複素数体の場合を扱う。u∈Hu\in Hを固定するとv↦a(v,u)v\mapsto a(v,u)は有界線形汎関数であるから、

a(v,u)=⟨v,Au⟩(v∈H)a(v,u)=\langle v,Au\rangle\qquad(v\in H)

によってAuAuを定める。a(v,cu)=c‾ a(v,u)a(v,cu)=\overline c\,a(v,u)と⟨v,cAu⟩=c‾ ⟨v,Au⟩\langle v,cAu\rangle=\overline c\,\langle v,Au\rangleを比較するとA(cu)=cAuA(cu)=cAuである。加法性も同様に従うのでAAは線形であり、∥Au∥≤M∥u∥\|Au\|\le M\|u\|である。また

α∥u∥2≤Re⁡a(u,u)=Re⁡⟨u,Au⟩≤∥u∥∥Au∥\alpha\|u\|^2\le\operatorname{Re}a(u,u) =\operatorname{Re}\langle u,Au\rangle\le\|u\|\|Au\|

より∥Au∥≥α∥u∥\|Au\|\ge\alpha\|u\|を得る。

以下の議論は両場合に共通である。Aun→yAu_n\to yなら∥un−um∥≤α−1∥Aun−Aum∥\|u_n-u_m\|\le\alpha^{-1}\|Au_n-Au_m\|であるため(un)(u_n)は Cauchy 列である。HHの完備性とAAの連続性からy∈Ran⁡Ay\in\operatorname{Ran}Aとなり、Ran⁡A\operatorname{Ran}Aは閉じている。

w∈(Ran⁡A)⊥w\in(\operatorname{Ran}A)^\perpなら、とくに⟨w,Aw⟩=0\langle w,Aw\rangle=0である。実数体ではa(w,w)=0a(w,w)=0、複素数体ではRe⁡a(w,w)=0\operatorname{Re}a(w,w)=0となり、強圧性からw=0w=0を得る。したがって(Ran⁡A)⊥={0}(\operatorname{Ran}A)^\perp=\{0\}である。閉部分空間に対する§E9.4 定理 2.2によりRan⁡A=H\operatorname{Ran}A=Hである。下からの評価によりAAは単射でもある。

定理 1.1によってf(v)=⟨v,yf⟩f(v)=\langle v,y_f\rangleと表し、u=A−1yfu=A^{-1}y_fとおく。実数体ではa(u,v)=f(v)a(u,v)=f(v)、複素数体ではa(v,u)=f(v)a(v,u)=f(v)を得る。一意性はAAの単射性から従う。最後に

α∥u∥≤∥Au∥=∥yf∥=∥f∥\alpha\|u\|\le\|Au\|=\|y_f\|=\|f\|

であるから、∥u∥≤∥f∥/α\|u\|\le\|f\|/\alphaである。▨

3 弱形式の Hilbert 空間モデル

例 3.1.H=ℓ2H=\ell^2を複素 Hilbert 空間とし、実数列(cn)(c_n)が0<α≤cn≤M0<\alpha\le c_n\le Mを満たすとする。

a(v,u)=∑n=1∞cnvnun‾a(v,u)=\sum_{n=1}^\infty c_nv_n\overline{u_n}

と定めると、Cauchy–Schwarz の不等式により∣a(v,u)∣≤M∥v∥2∥u∥2|a(v,u)|\le M\|v\|_2\|u\|_2であり、a(u,u)≥α∥u∥22a(u,u)\ge\alpha\|u\|_2^2である。g∈ℓ2g\in\ell^2に対してf(v)=⟨v,g⟩f(v)=\langle v,g\rangleとおくと、定理 2.2の解は

un=gncnu_n=\frac{g_n}{c_n}

である。実際、u∈ℓ2u\in\ell^2かつa(v,u)=f(v)a(v,u)=f(v)が全てのvvに対して成り立ち、∥u∥2≤∥g∥2/α=∥f∥/α\|u\|_2\le\|g\|_2/\alpha=\|f\|/\alphaである。

この等式により、未知のuuを全ての試験ベクトルvvに対する恒等式によって定めるという弱形式の構造が示される。

4 演習

問題 4.1 (Riesz 対応の共役線形性). 複素 Hilbert 空間HHでR(y)(x)=⟨x,y⟩R(y)(x)=\langle x,y\rangleと定める。R(iy)=−iR(y)R(iy)=-iR(y)を直接確かめ、H≠{0}H\neq\{0\}のときR:H→H∗R:H\to H^*が複素線形でないことを証明せよ。

解答.

x,y∈Hx,y\in Hとする。内積は第2変数について共役線形であるから

R(iy)(x)=⟨x,iy⟩=i‾ ⟨x,y⟩=−i ⟨x,y⟩=−i R(y)(x)R(iy)(x)=\langle x,iy\rangle=\overline i\,\langle x,y\rangle=-i\,\langle x,y\rangle=-i\,R(y)(x)

である。x∈Hx\in Hは任意であるから、R(iy)=−iR(y)R(iy)=-iR(y)である。

H≠{0}H\neq\{0\}ならば、RRは複素線形でない。実際、RRが複素線形であると仮定し、y∈H∖{0}y\in H\setminus\{0\}をとる。R(iy)=iR(y)R(iy)=iR(y)とR(iy)=−iR(y)R(iy)=-iR(y)から2iR(y)=02iR(y)=0、すなわちR(y)=0R(y)=0である。一方、R(y)(y)=⟨y,y⟩=∥y∥2>0R(y)(y)=\langle y,y\rangle=\|y\|^2>0であるからR(y)≠0R(y)\neq0である。この二つは両立しないので、H≠{0}H\neq\{0\}ならばRRは複素線形でない。一方、系 1.2により、共役線形性R(αy+βz)=α‾Ry+β‾RzR(\alpha y+\beta z)=\overline\alpha Ry+\overline\beta Rzは成り立つ。H={0}H=\{0\}の場合にはR=0R=0であり、線形性と共役線形性はどちらも成り立つ。▨

問題 4.2 (複素の場合の線形性の型).定理 2.2の複素数体の場合に、a(u,v)=f(v)a(u,v)=f(v)と書くと両辺のvvに関する線形性の型が一致しないことを示せ。

解答.

HHを複素 Hilbert 空間、aaを第1変数について線形、第2変数について共役線形な形式とし、u∈Hu\in Hとf∈H∗f\in H^*を固定する。c∈Cc\in\mathbb Cとv∈Hv\in Hに対して

a(u,cv)=c‾ a(u,v),f(cv)=c f(v)a(u,cv)=\overline c\,a(u,v),\qquad f(cv)=c\,f(v)

である。したがって、左辺のv↦a(u,v)v\mapsto a(u,v)はvvについて共役線形であり、右辺のv↦f(v)v\mapsto f(v)はvvについて線形である。

a(u,v)=f(v)a(u,v)=f(v)がすべてのv∈Hv\in Hについて成り立つと仮定する。v∈Hv\in Hに対してivivを代入すると

f(iv)=a(u,iv)=−i a(u,v)=−i f(v)f(iv)=a(u,iv)=-i\,a(u,v)=-i\,f(v)

であり、ffの線形性によりf(iv)=i f(v)f(iv)=i\,f(v)である。二つの等式から2i f(v)=02i\,f(v)=0であるからf(v)=0f(v)=0である。v∈Hv\in Hは任意であるからf=0f=0である。したがってf≠0f\neq0ならば、a(u,v)=f(v)a(u,v)=f(v)をすべてのv∈Hv\in Hについて満たすu∈Hu\in Hは存在しない。定理 2.2 (2)の等式a(v,u)=f(v)a(v,u)=f(v)では、左辺のv↦a(v,u)v\mapsto a(v,u)が第1変数についての線形性によりvvについて線形であるから、両辺の線形性の型が一致する。▨

問題 4.3 (強圧的でない正定値形式). 実 Hilbert 空間ℓ2\ell^2上でa(u,v)=∑n=1∞unvn/na(u,v)=\sum_{n=1}^{\infty}u_nv_n/n、f(v)=∑n=1∞vn/nf(v)=\sum_{n=1}^{\infty}v_n/nとおく。aaが有界な対称双線形形式でありu≠0u\neq0ならばa(u,u)>0a(u,u)>0であるが強圧的でないこと、およびf∈(ℓ2)∗f\in(\ell^2)^*であることを示せ。さらに、すべてのv∈ℓ2v\in\ell^2についてa(u,v)=f(v)a(u,v)=f(v)を満たすu∈ℓ2u\in\ell^2は存在しないことを証明し、定理 2.2で強圧性の仮定を外すと結論が成り立たないことを確かめよ。

解答.

Cauchy–Schwarz の不等式から∣a(u,v)∣≤∑n∣un∣∣vn∣≤∥u∥2∥v∥2|a(u,v)|\leq\sum_n|u_n||v_n|\leq\|u\|_2\|v\|_2であるから、級数は絶対収束し、aaは有界である。双線形性と対称性は定義から従う。a(u,u)=∑nun2/na(u,u)=\sum_nu_n^2/nはu≠0u\neq0のとき正である。第nn成分だけが11のene_nについてa(en,en)=1/na(e_n,e_n)=1/n、∥en∥2=1\|e_n\|_2=1であるから、a(x,x)≥α∥x∥2a(x,x)\geq\alpha\|x\|^2を満たすα>0\alpha>0は存在せず、aaは強圧的でない。y=(1/n)n≥1y=(1/n)_{n\geq1}は∑n1/n2<∞\sum_n1/n^2<\inftyからℓ2\ell^2に属し、f(v)=⟨v,y⟩f(v)=\langle v,y\rangleであるからf∈(ℓ2)∗f\in(\ell^2)^*である。

u∈ℓ2u\in\ell^2がすべてのvvについてa(u,v)=f(v)a(u,v)=f(v)を満たすと仮定する。v=env=e_nとするとun/n=1/nu_n/n=1/n、すなわちun=1u_n=1がすべてのnnで成り立つ。しかし∑nun2=∞\sum_nu_n^2=\inftyであるからu∉ℓ2u\notin\ell^2であり、矛盾する。したがってそのようなuuは存在しない。この形式は有界で正定値であるが、強圧性を満たさないので、定理 2.2 (1)の結論は成り立たない。▨

問題 4.4 (対角形式の解の計算).例 3.1でcn=1+1/nc_n=1+1/n、gn=1/ng_n=1/nとし、解の各成分と∥u∥2≤∥g∥2\|u\|_2\le\|g\|_2を確認せよ。

解答.

cn=1+1/nc_n=1+1/nは1<cn≤21<c_n\leq2を満たすので、例 3.1の条件0<α≤cn≤M0<\alpha\leq c_n\leq Mはα=1\alpha=1、M=2M=2で成り立つ。∑n1/n2\sum_n1/n^2は収束するのでg∈ℓ2g\in\ell^2である。解の各成分は

un=gncn=1/n1+1/n=1n+1u_n=\frac{g_n}{c_n}=\frac{1/n}{1+1/n}=\frac1{n+1}

である。実際、0<un≤gn0<u_n\leq g_nであるからu∈ℓ2u\in\ell^2であり、unu_nとgng_nは実数でcnun=(1+1/n)/(n+1)=1/n=gnc_nu_n=(1+1/n)/(n+1)=1/n=g_nであるから、任意のv∈ℓ2v\in\ell^2に対して

a(v,u)=∑n=1∞cnvnun‾=∑n=1∞vngn‾=⟨v,g⟩=f(v)a(v,u)=\sum_{n=1}^\infty c_nv_n\overline{u_n}=\sum_{n=1}^\infty v_n\overline{g_n}=\langle v,g\rangle=f(v)

が成り立つ。定理 2.2により、このuuがa(v,u)=f(v)a(v,u)=f(v)をすべてのv∈ℓ2v\in\ell^2について満たす唯一の元である。

uuのノルムは

∥u∥22=∑n=1∞1(n+1)2=∑n=2∞1n2=∥g∥22−1\|u\|_2^2=\sum_{n=1}^\infty\frac1{(n+1)^2}=\sum_{n=2}^\infty\frac1{n^2}=\|g\|_2^2-1

を満たすので、∥u∥2<∥g∥2\|u\|_2<\|g\|_2であり、とくに∥u∥2≤∥g∥2\|u\|_2\leq\|g\|_2が成り立つ。定理 1.1により∥f∥=∥g∥2\|f\|=\|g\|_2であるから、この不等式は定理 2.2の評価∥u∥≤∥f∥/α\|u\|\leq\|f\|/\alphaのα=1\alpha=1の場合と一致する。▨

参考文献

  1. Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Springer, New York, 2011.Riesz の表現定理と Lax–Milgram の定理の作用素による証明を参考にした。
  2. Walter Rudin, Functional Analysis, 2nd ed., International Series in Pure and Applied Mathematics, McGraw Hill, 1991.複素 Hilbert 空間における Riesz 対応の共役と有界半双線形形式を参考にした。

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