1 一様可積分性
証明.(1)⇒(2)を示す。K>0を、すべてのh∈Hについて∫{∣h∣>K}∣h∣dμ<1となるようにとる。
∥h∥1≤Kμ(X)+1であるから、ノルムは一様有界である。ε>0に対し、今度は裾の積分がε/2未満となるK>0をとり、δ=ε/(2(K+1))とおく。μ(A)<δならば、すべてのh∈Hについて
∫A∣h∣dμ≤Kμ(A)+∫{∣h∣>K}∣h∣dμ<ε.(2)⇒(1)を示す。M=suph∈H∥h∥1<∞とする。ε>0に対して一様絶対連続性のδ>0をとり、K>M/δとする。積分の単調性から
μ({∣h∣>K})≤K∥h∥1≤KM<δである。したがって、すべてのh∈Hについて∫{∣h∣>K}∣h∣dμ<εであり、一様可積分性が従う。▨
補題 1.4.(X,F,μ)を有限測度空間、K∈{R,C}とする。g∈L1(μ;R)が非負であり、関数族H⊆L1(μ;K)のすべての元が∣h∣≤gをほとんど至る所で満たすならば、Hは一様可積分である。特に、有限個の可積分関数からなる族は一様可積分である。
証明. 任意のh∈HとK>0について
∫{∣h∣>K}∣h∣dμ≤∫{g>K}gdμである。§E9.11 定理 3.1をg1{g>n}へ適用すると右辺はK→∞のとき0に収束する。有限族h1,…,hNにはg=∑j=1N∣hj∣を用いることができる。▨
例 1.5. 従属選択公理を仮定し、[0,1]に Lebesgue 測度を入れる。fn=n1(0,1/n)とすると、∥fn∥1=1である。任意のK>0に対して整数n>Kをとれば、
∫{∣fn∣>K}∣fn∣dλ1=1であるから、(fn)は一様可積分でない。偏差集合は(0,1/n)に含まれるのでfn→0は測度収束であるが、L1収束ではない。
2 Vitali の収束定理
定理 2.1.(X,F,μ)を有限測度空間、K∈{R,C}とする。fn:X→K(n≥1)を可積分関数とし、f:X→Kを有限値可測関数とする。次の二条件は同値である。
- fnはfに測度収束し、族{fn∣n≥1}は一様可積分である。
- fは可積分であり、∥fn−f∥1→0である。
これらの条件が成り立つとき、∫Xfndμ→∫Xfdμである。
証明.(1)⇒(2)を示す。§E9.20 定理 4.2により、ある部分列fnkがfにほとんど至る所で収束する。定理 1.3によってM=supn∥fn∥1<∞であるから、§E9.11 補題 2.1と零集合上の積分の不変性により
∫X∣f∣dμ≤kliminf∫X∣fnk∣dμ≤M.よってfは可積分である。同じ部分列へ Fatou の補題を可測集合A上で適用すると
∫A∣f∣dμ≤kliminf∫A∣fnk∣dμを得る。
ε>0をとる。一様絶対連続性により、μ(A)<δならばすべてのnについて∫A∣fn∣dμ<ε/4となるδ>0をとる。前段の不等式により同じ集合上で∫A∣f∣dμ≤ε/4である。a=ε/(2(1+μ(X)))とし、En={∣fn−f∣>a}とおく。測度収束により十分大きいnではμ(En)<δであり、
∥fn−f∥1≤aμ(X)+∫En∣fn∣dμ+∫En∣f∣dμ<2ε+4ε+4ε=ε.したがってL1収束が成り立つ。
(2)⇒(1)を示す。任意のa>0に対し、積分の単調性により
μ({∣fn−f∣≥a})≤a−1∥fn−f∥1⟶0である。三角不等式により(∥fn∥1)も有界である。ε>0に対してn≥Nならば∥fn−f∥1<ε/2となるNをとる。補題 1.4と定理 1.3を有限族{f,f1,…,fN−1}に適用して、μ(A)<δのとき各関数の絶対値のA上の積分がε/2未満となるδ>0をとる。n≥Nに対しては
∫A∣fn∣dμ≤∥fn−f∥1+∫A∣f∣dμ<εであり、n<Nに対しても同じ上界が成り立つ。積分は一様絶対連続であり、定理 1.3により一様可積分性を得る。
最後に§E9.10 補題 2.5から∣∫Xfndμ−∫Xfdμ∣≤∥fn−f∥1→0である。▨
3 無限測度空間における支持の制御
例 3.1. 従属選択公理を仮定し、Rに Lebesgue 測度を入れる。fn=n−11[0,n]とする。0≤fn≤1なので、K≥1ならば∫{∣fn∣>K}∣fn∣dλ1=0である。また∥fn∥1=1であり、任意の可測集合A上で∫A∣fn∣dλ1≤λ1(A)である。したがって、裾の条件、ノルムの一様有界性、および積分の一様絶対連続性がすべて成り立つ。任意のa>0に対してn>1/aならば{∣fn∣≥a}=∅であるから、fn→0は測度収束である。しかし、∥fn∥1=1は0に収束しない。
有限測度の可測集合Eを一つ固定すると、
∫R∖E∣fn∣dλ1=1−nλ1(E∩[0,n])≥1−nλ1(E)⟶1.この族の積分を一様に小さい誤差で有限測度集合へ制限することはできない。無限測度空間では、値の大きさに対する裾の条件に加えて、関数がどの集合上に分布するかの制御が必要になる。
4 演習
問題 4.1. 有限測度空間(X,F,μ)上でK∈{R,C}、1<q<∞とし、K値可積分関数の族Hがsuph∈H∥h∥q≤C<∞を満たすとする。suph∈H∫{∣h∣>K}∣h∣dμ≤CqK1−qを示せ。さらに、fn,f:X→Kを有限値可測関数とし、supn∥fn∥q<∞かつfn→fが測度収束ならば、f∈Lqでありfn→fがL1収束であることを証明せよ。
解答.
∣h∣>K上で∣h∣≤K1−q∣h∣qであるから、積分すると主張した評価を得る。q>1によりK1−q→0であるので、族は一様可積分である。後半では§E9.20 定理 4.2によりfnk→fがほとんど至る所で成り立つ部分列をとる。§E9.11 補題 2.1を∣fnk∣qに適用すると、∫∣f∣qdμ≤Cqであり、f∈Lqである。定理 2.1により∥fn−f∥1→0を得る。▨
問題 4.2. 有限測度空間(X,F,μ)上でfn→fが実数値または複素数値関数のL1収束であるとする。同じスカラー体の有限値可測関数gn,gがgn→gを測度収束で満たし、あるC<∞に対して∣gn∣≤C、∣g∣≤Cがほとんど至る所で成り立つとする。∥fngn−fg∥1→0を証明せよ。
解答.
un=f(gn−g)とおく。∣un∣≤2C∣f∣であるから、補題 1.4により(un)は一様可積分である。任意のa>0とR>0に対して
{∣un∣>a}⊆{∣f∣>R}∪{∣gn−g∣>a/R}である。右辺第一項の測度はR−1∥f∥1以下であり、第二項の測度はn→∞で0に収束する。R→∞とすると、un→0は測度収束である。定理 2.1により∥un∥1→0である。したがって、
∥fngn−fg∥1≤C∥fn−f∥1+∥f(gn−g)∥1⟶0.▨