§E9.23一様可積分性と Vitali の収束定理

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関数列が測度収束しても、積分値が極限関数の積分へ近づくとは限らない。たとえば Lebesgue 測度をもつ[0,1][0,1]上で、区間(0,1/n)(0,1/n)では値nn、その外では値00をとる関数を考える。この列は00に測度収束するが、各関数の積分は11である。値が大きくなる部分の測度が小さくても、その部分の積分への寄与が消えるとは限らない。

一様可積分性は、値の絶対値が大きい部分の積分を、関数列全体について一様に小さくする条件である。有限測度空間では、Vitali の収束定理によって、測度収束にこの条件を加えることとL1L^1収束とが同値になる。一様可積分性は、共通の可積分な優関数を用いる条件より広く、積分と極限の交換を支える基本的な条件である。本記事では、一様可積分性の意味と、測度収束から積分の収束を導く関係を扱う。

1 一様可積分性

定義 1.1.(X,F,μ)(X,\mathcal F,\mu)をμ(X)<∞\mu(X)<\inftyである測度空間とし、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とする。可積分関数の族H⊆L1(μ;K)\mathcal H\subseteq L^1(\mu;\mathbb K)が

lim⁡K→∞sup⁡h∈H∫{∣h∣>K}∣h∣ dμ=0\lim_{K\to\infty}\sup_{h\in\mathcal H}\int_{\{|h|>K\}}|h|\,d\mu=0

を満たすとき、H\mathcal Hは一様可積分 (uniform integrability) であるという。積分は各同値類の有限値可測な代表元で計算する。代表元を変更しても値は変わらない。空の族に対する上限は00とする。

定義 1.2. 測度空間(X,F,μ)(X,\mathcal F,\mu)上の可積分関数の族H\mathcal Hについて、任意のε>0\varepsilon>0に対してあるδ>0\delta>0が存在し、μ(A)<δ\mu(A)<\deltaを満たすすべてのA∈FA\in\mathcal Fとすべてのh∈Hh\in\mathcal Hについて∫A∣h∣ dμ<ε\int_A|h|\,d\mu<\varepsilonが成り立つとき、H\mathcal Hの積分は一様絶対連続 (uniform absolute continuity of integrals) であるという。

定理 1.3.(X,F,μ)(X,\mathcal F,\mu)を有限測度空間、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とし、H⊆L1(μ;K)\mathcal H\subseteq L^1(\mu;\mathbb K)とする。次の二条件は同値である。

  1. H\mathcal Hは一様可積分である。
  2. sup⁡h∈H∥h∥1<∞\sup_{h\in\mathcal H}\|h\|_1<\inftyであり、任意のε>0\varepsilon>0に対してあるδ>0\delta>0が存在して、A∈FA\in\mathcal Fとμ(A)<δ\mu(A)<\deltaを満たすすべての集合AAおよびすべてのh∈Hh\in\mathcal Hに対して ∫A∣h∣ dμ<ε\int_A|h|\,d\mu<\varepsilon が成り立つ。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。K>0K>0を、すべてのh∈Hh\in\mathcal Hについて∫{∣h∣>K}∣h∣ dμ<1\int_{\{|h|>K\}}|h|\,d\mu<1となるようにとる。

∥h∥1≤Kμ(X)+1\|h\|_1\leq K\mu(X)+1

であるから、ノルムは一様有界である。ε>0\varepsilon>0に対し、今度は裾の積分がε/2\varepsilon/2未満となるK>0K>0をとり、δ=ε/(2(K+1))\delta=\varepsilon/(2(K+1))とおく。μ(A)<δ\mu(A)<\deltaならば、すべてのh∈Hh\in\mathcal Hについて

∫A∣h∣ dμ≤Kμ(A)+∫{∣h∣>K}∣h∣ dμ<ε.\int_A|h|\,d\mu\leq K\mu(A)+\int_{\{|h|>K\}}|h|\,d\mu<\varepsilon.

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。M=sup⁡h∈H∥h∥1<∞M=\sup_{h\in\mathcal H}\|h\|_1<\inftyとする。ε>0\varepsilon>0に対して一様絶対連続性のδ>0\delta>0をとり、K>M/δK>M/\deltaとする。積分の単調性から

μ({∣h∣>K})≤∥h∥1K≤MK<δ\mu(\{|h|>K\})\leq\frac{\|h\|_1}{K}\leq\frac M K<\delta

である。したがって、すべてのh∈Hh\in\mathcal Hについて∫{∣h∣>K}∣h∣ dμ<ε\int_{\{|h|>K\}}|h|\,d\mu<\varepsilonであり、一様可積分性が従う。▨

補題 1.4.(X,F,μ)(X,\mathcal F,\mu)を有限測度空間、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とする。g∈L1(μ;R)g\in L^1(\mu;\R)が非負であり、関数族H⊆L1(μ;K)\mathcal H\subseteq L^1(\mu;\mathbb K)のすべての元が∣h∣≤g|h|\leq gをほとんど至る所で満たすならば、H\mathcal Hは一様可積分である。特に、有限個の可積分関数からなる族は一様可積分である。

証明. 任意のh∈Hh\in\mathcal HとK>0K>0について

∫{∣h∣>K}∣h∣ dμ≤∫{g>K}g dμ\int_{\{|h|>K\}}|h|\,d\mu\leq\int_{\{g>K\}}g\,d\mu

である。§E9.11 定理 3.1をg1{g>n}g\mathbf1_{\{g>n\}}へ適用すると右辺はK→∞K\to\inftyのとき00に収束する。有限族h1,…,hNh_1,\dots,h_Nにはg=∑j=1N∣hj∣g=\sum_{j=1}^N|h_j|を用いることができる。▨

例 1.5. 従属選択公理を仮定し、[0,1][0,1]に Lebesgue 測度を入れる。fn=n1(0,1/n)f_n=n\mathbf1_{(0,1/n)}とすると、∥fn∥1=1\|f_n\|_1=1である。任意のK>0K>0に対して整数n>Kn>Kをとれば、

∫{∣fn∣>K}∣fn∣ dλ1=1\int_{\{|f_n|>K\}}|f_n|\,d\lambda_1=1

であるから、(fn)(f_n)は一様可積分でない。偏差集合は(0,1/n)(0,1/n)に含まれるのでfn→0f_n\to0は測度収束であるが、L1L^1収束ではない。

2 Vitali の収束定理

定理 2.1.(X,F,μ)(X,\mathcal F,\mu)を有限測度空間、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とする。fn:X→Kf_n:X\to\mathbb K(n≥1n\geq1)を可積分関数とし、f:X→Kf:X\to\mathbb Kを有限値可測関数とする。次の二条件は同値である。

  1. fnf_nはffに測度収束し、族{fn∣n≥1}\{f_n\mid n\geq1\}は一様可積分である。
  2. ffは可積分であり、∥fn−f∥1→0\|f_n-f\|_1\to0である。

これらの条件が成り立つとき、∫Xfn dμ→∫Xf dμ\int_X f_n\,d\mu\to\int_X f\,d\muである。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。§E9.20 定理 4.2により、ある部分列fnkf_{n_k}がffにほとんど至る所で収束する。定理 1.3によってM=sup⁡n∥fn∥1<∞M=\sup_n\|f_n\|_1<\inftyであるから、§E9.11 補題 2.1と零集合上の積分の不変性により

∫X∣f∣ dμ≤lim inf⁡k∫X∣fnk∣ dμ≤M.\int_X|f|\,d\mu\leq\liminf_k\int_X|f_{n_k}|\,d\mu\leq M.

よってffは可積分である。同じ部分列へ Fatou の補題を可測集合AA上で適用すると

∫A∣f∣ dμ≤lim inf⁡k∫A∣fnk∣ dμ\int_A|f|\,d\mu\leq\liminf_k\int_A|f_{n_k}|\,d\mu

を得る。

ε>0\varepsilon>0をとる。一様絶対連続性により、μ(A)<δ\mu(A)<\deltaならばすべてのnnについて∫A∣fn∣ dμ<ε/4\int_A|f_n|\,d\mu<\varepsilon/4となるδ>0\delta>0をとる。前段の不等式により同じ集合上で∫A∣f∣ dμ≤ε/4\int_A|f|\,d\mu\leq\varepsilon/4である。a=ε/(2(1+μ(X)))a=\varepsilon/(2(1+\mu(X)))とし、En={∣fn−f∣>a}E_n=\{|f_n-f|>a\}とおく。測度収束により十分大きいnnではμ(En)<δ\mu(E_n)<\deltaであり、

∥fn−f∥1≤aμ(X)+∫En∣fn∣ dμ+∫En∣f∣ dμ<ε2+ε4+ε4=ε.\begin{aligned} \|f_n-f\|_1 &\leq a\mu(X)+\int_{E_n}|f_n|\,d\mu+\int_{E_n}|f|\,d\mu\\ &<\frac\varepsilon2+\frac\varepsilon4+\frac\varepsilon4=\varepsilon. \end{aligned}

したがってL1L^1収束が成り立つ。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。任意のa>0a>0に対し、積分の単調性により

μ({∣fn−f∣≥a})≤a−1∥fn−f∥1⟶0\mu(\{|f_n-f|\geq a\})\leq a^{-1}\|f_n-f\|_1\longrightarrow0

である。三角不等式により(∥fn∥1)(\|f_n\|_1)も有界である。ε>0\varepsilon>0に対してn≥Nn\geq Nならば∥fn−f∥1<ε/2\|f_n-f\|_1<\varepsilon/2となるNNをとる。補題 1.4と定理 1.3を有限族{f,f1,…,fN−1}\{f,f_1,\dots,f_{N-1}\}に適用して、μ(A)<δ\mu(A)<\deltaのとき各関数の絶対値のAA上の積分がε/2\varepsilon/2未満となるδ>0\delta>0をとる。n≥Nn\geq Nに対しては

∫A∣fn∣ dμ≤∥fn−f∥1+∫A∣f∣ dμ<ε\int_A|f_n|\,d\mu\leq\|f_n-f\|_1+\int_A|f|\,d\mu<\varepsilon

であり、n<Nn<Nに対しても同じ上界が成り立つ。積分は一様絶対連続であり、定理 1.3により一様可積分性を得る。

最後に§E9.10 補題 2.5から∣∫Xfn dμ−∫Xf dμ∣≤∥fn−f∥1→0|\int_X f_n\,d\mu-\int_X f\,d\mu|\leq\|f_n-f\|_1\to0である。▨

3 無限測度空間における支持の制御

例 3.1. 従属選択公理を仮定し、R\Rに Lebesgue 測度を入れる。fn=n−11[0,n]f_n=n^{-1}\mathbf1_{[0,n]}とする。0≤fn≤10\leq f_n\leq1なので、K≥1K\geq1ならば∫{∣fn∣>K}∣fn∣ dλ1=0\int_{\{|f_n|>K\}}|f_n|\,d\lambda_1=0である。また∥fn∥1=1\|f_n\|_1=1であり、任意の可測集合AA上で∫A∣fn∣ dλ1≤λ1(A)\int_A|f_n|\,d\lambda_1\leq\lambda_1(A)である。したがって、裾の条件、ノルムの一様有界性、および積分の一様絶対連続性がすべて成り立つ。任意のa>0a>0に対してn>1/an>1/aならば{∣fn∣≥a}=∅\{|f_n|\geq a\}=\varnothingであるから、fn→0f_n\to0は測度収束である。しかし、∥fn∥1=1\|f_n\|_1=1は00に収束しない。

有限測度の可測集合EEを一つ固定すると、

∫R∖E∣fn∣ dλ1=1−λ1(E∩[0,n])n≥1−λ1(E)n⟶1.\int_{\R\setminus E}|f_n|\,d\lambda_1 =1-\frac{\lambda_1(E\cap[0,n])}{n} \geq1-\frac{\lambda_1(E)}n\longrightarrow1.

この族の積分を一様に小さい誤差で有限測度集合へ制限することはできない。無限測度空間では、値の大きさに対する裾の条件に加えて、関数がどの集合上に分布するかの制御が必要になる。

4 演習

問題 4.1. 有限測度空間(X,F,μ)(X,\mathcal F,\mu)上でK∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、1<q<∞1<q<\inftyとし、K\mathbb K値可積分関数の族H\mathcal Hがsup⁡h∈H∥h∥q≤C<∞\sup_{h\in\mathcal H}\|h\|_q\leq C<\inftyを満たすとする。sup⁡h∈H∫{∣h∣>K}∣h∣ dμ≤CqK1−q\sup_{h\in\mathcal H}\int_{\{|h|>K\}}|h|\,d\mu\leq C^qK^{1-q}を示せ。さらに、fn,f:X→Kf_n,f:X\to\mathbb Kを有限値可測関数とし、sup⁡n∥fn∥q<∞\sup_n\|f_n\|_q<\inftyかつfn→ff_n\to fが測度収束ならば、f∈Lqf\in L^qでありfn→ff_n\to fがL1L^1収束であることを証明せよ。

解答.

∣h∣>K|h|>K上で∣h∣≤K1−q∣h∣q|h|\leq K^{1-q}|h|^qであるから、積分すると主張した評価を得る。q>1q>1によりK1−q→0K^{1-q}\to0であるので、族は一様可積分である。後半では§E9.20 定理 4.2によりfnk→ff_{n_k}\to fがほとんど至る所で成り立つ部分列をとる。§E9.11 補題 2.1を∣fnk∣q|f_{n_k}|^qに適用すると、∫∣f∣q dμ≤Cq\int|f|^q\,d\mu\leq C^qであり、f∈Lqf\in L^qである。定理 2.1により∥fn−f∥1→0\|f_n-f\|_1\to0を得る。▨

問題 4.2. 有限測度空間(X,F,μ)(X,\mathcal F,\mu)上でfn→ff_n\to fが実数値または複素数値関数のL1L^1収束であるとする。同じスカラー体の有限値可測関数gn,gg_n,gがgn→gg_n\to gを測度収束で満たし、あるC<∞C<\inftyに対して∣gn∣≤C|g_n|\leq C、∣g∣≤C|g|\leq Cがほとんど至る所で成り立つとする。∥fngn−fg∥1→0\|f_ng_n-fg\|_1\to0を証明せよ。

解答.

un=f(gn−g)u_n=f(g_n-g)とおく。∣un∣≤2C∣f∣|u_n|\leq2C|f|であるから、補題 1.4により(un)(u_n)は一様可積分である。任意のa>0a>0とR>0R>0に対して

{∣un∣>a}⊆{∣f∣>R}∪{∣gn−g∣>a/R}\{|u_n|>a\}\subseteq\{|f|>R\}\cup\{|g_n-g|>a/R\}

である。右辺第一項の測度はR−1∥f∥1R^{-1}\|f\|_1以下であり、第二項の測度はn→∞n\to\inftyで00に収束する。R→∞R\to\inftyとすると、un→0u_n\to0は測度収束である。定理 2.1により∥un∥1→0\|u_n\|_1\to0である。したがって、

∥fngn−fg∥1≤C∥fn−f∥1+∥f(gn−g)∥1⟶0.\|f_ng_n-fg\|_1\leq C\|f_n-f\|_1+\|f(g_n-g)\|_1\longrightarrow0.

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参考文献

  1. Gerald B. Folland, Real Analysis, 2nd ed., Wiley, 1999.
  2. Walter Rudin, Real and Complex Analysis, 3rd ed., McGraw Hill, 1987.

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