§E9.44平滑化と滑らかな関数による近似

最終更新

連続関数であっても、微分することができるとは限らない。たとえば実数直線上の関数x↦max⁡{1−∣x∣,0}x\mapsto\max\{1-|x|,0\}は連続であり、有界な区間の外で00になるが、折れ曲がる点では微分可能でない。積分による近似に微分の議論を加えるには、連続関数による近似からさらに進み、滑らかな関数による近似を得る必要がある。

平滑化は、近くの関数値を滑らかな重みで平均することによって、この要求を満たす方法である。Euclid 空間の Lebesgue 測度では、有限な指数のLpL^p空間に属する関数を、コンパクトな台をもつ滑らかな関数によって任意に小さいノルム誤差で近似することができる。この性質は、一般の可積分関数についての問題を微分可能な関数についての問題へ移すための基本となる。本記事では、平滑化による近似とその代表的な応用を扱う。

1 平滑化核と平均

補題 1.1. 従属選択公理を仮定し、d≥1d\geq1を整数とする。任意のr>0r>0に対して、次の条件を満たすηr∈Cc∞(Rd;R)\eta_r\in C_c^\infty(\mathbb R^d;\mathbb R)が存在する。

ηr≥0,supp⁡ηr=B(0,r)‾,ηr(−x)=ηr(x),∫Rdηr dλd=1.\eta_r\geq0,\qquad \operatorname{supp}\eta_r=\overline{B(0,r)},\qquad \eta_r(-x)=\eta_r(x),\qquad \int_{\mathbb R^d}\eta_r\,d\lambda_d=1.

証明. 一変数関数θ:R→R\theta:\mathbb R\to\mathbb Rを

θ(t)={e−1/t,t>0,0,t≤0\theta(t)= \begin{cases} e^{-1/t},&t>0,\\ 0,&t\leq0 \end{cases}

と定める。t>0t>0では、帰納法により、各mmに対してある多項式PmP_mが存在して

θ(m)(t)=Pm(1/t)e−1/t\theta^{(m)}(t)=P_m(1/t)e^{-1/t}(1.1.1)\text{(1.1.1)}

と書くことができる。実際、式 (1.1.1)の右辺を微分すると、再び1/t1/tの多項式とe−1/te^{-1/t}の積になる。また、任意の非負整数NNに対して、指数関数の冪級数から

es≥sN+1(N+1)!(s>0)e^s\geq\frac{s^{N+1}}{(N+1)!}\qquad(s>0)

であるため、

0≤sNe−s≤(N+1)!s⟶0(s→∞)0\leq s^Ne^{-s}\leq\frac{(N+1)!}{s}\longrightarrow0 \qquad(s\to\infty)(1.1.2)\text{(1.1.2)}

である。式 (1.1.1)の多項式の各項へ式 (1.1.2)を適用すると、lim⁡t↓0θ(m)(t)=0\lim_{t\downarrow0}\theta^{(m)}(t)=0を得る。t<0t<0ではθ\thetaとすべての導関数が00である。ここで、θ(m−1)(0)=0\theta^{(m-1)}(0)=0まで構成済みであるとする。t>0t>0に対する

θ(m−1)(t)−θ(m−1)(0)t=t−1Pm−1(1/t)e−1/t\frac{\theta^{(m-1)}(t)-\theta^{(m-1)}(0)}{t} =t^{-1}P_{m-1}(1/t)e^{-1/t}

は式 (1.1.2)によりt↓0t\downarrow0で00へ収束し、t<0t<0に対する差商は00である。したがって、θ(m)(0)\theta^{(m)}(0)は存在して00に等しい。この議論をm=1m=1から帰納的に繰り返すと、θ\thetaはR\mathbb R上でC∞C^\infty級であり、すべての階数の導関数が00で連結する。

固定したr>0r>0に対して

qr(x)=θ(r2−∣x∣2)q_r(x)=\theta(r^2-|x|^2)

とおく。θ\thetaの滑らかさと多項式写像x↦r2−∣x∣2x\mapsto r^2-|x|^2の滑らかさからqr∈C∞(Rd)q_r\in C^\infty(\mathbb R^d)である。qrq_rはB(0,r)B(0,r)上で正であり、その外で00であるから、

supp⁡qr=B(0,r)‾.\operatorname{supp}q_r=\overline{B(0,r)}.

さらに、0≤qr≤10\leq q_r\leq1であり、台は[−r,r]d[-r,r]^dに含まれるため、

∫Rdqr dλd<∞.\int_{\mathbb R^d}q_r\,d\lambda_d<\infty.

半開立方体

Q=(−r2d,r2d]dQ=\left(-\frac{r}{2\sqrt d},\frac{r}{2\sqrt d}\right]^d

では∣x∣≤r/2|x|\leq r/2であるから、

qr(x)≥θ(3r2/4)>0.q_r(x)\geq\theta(3r^2/4)>0.

§E9.16 定義 1.1によるQQの測度は(r/d)d>0(r/\sqrt d)^d>0である。したがって、

0<θ(3r2/4)λd(Q)≤∫Rdqr dλd<∞.0< \theta(3r^2/4)\lambda_d(Q) \leq\int_{\mathbb R^d}q_r\,d\lambda_d<\infty.

正の定数

cr=(∫Rdqr dλd)−1c_r=\left(\int_{\mathbb R^d}q_r\,d\lambda_d\right)^{-1}

を定め、ηr=crqr\eta_r=c_rq_rとおく。ηr\eta_rは非負で滑らかであり、台はB(0,r)‾\overline{B(0,r)}である。qrq_rが∣x∣|x|だけに依存することからηr\eta_rは偶関数であり、定数crc_rの定義から積分は11である。▨

補題 1.2. 従属選択公理を仮定し、d≥1d\geq1を整数、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とする。φ∈Cc(Rd;K)\varphi\in C_c(\mathbb R^d;\mathbb K)とし、r>0r>0とする。補題 1.1のηr\eta_rを用いて

(Mrφ)(x)=∫Rdφ(z)ηr(x−z) dλd(z)(M_r\varphi)(x) =\int_{\mathbb R^d}\varphi(z)\eta_r(x-z)\,d\lambda_d(z)(1.2.1)\text{(1.2.1)}

と定める。このときMrφ∈Cc∞(Rd;K)M_r\varphi\in C_c^\infty(\mathbb R^d;\mathbb K)である。さらに、

∥Mrφ−φ∥∞⟶0(r↓0)\lVert M_r\varphi-\varphi\rVert_\infty\longrightarrow0 \qquad(r\downarrow0)(1.2.2)\text{(1.2.2)}

であり、任意の1≤p<∞1\leq p<\inftyに対して

∥Mrφ−φ∥p⟶0(r↓0)\lVert M_r\varphi-\varphi\rVert_p\longrightarrow0 \qquad(r\downarrow0)(1.2.3)\text{(1.2.3)}

が成り立つ。

証明.φ=0\varphi=0ならば、すべてのr>0r>0に対してMrφ=0M_r\varphi=0であり、滑らかさ、台、および二つの収束はいずれも直ちに成り立つ。以下ではφ≠0\varphi\neq0とする。

K=supp⁡φK=\operatorname{supp}\varphiとおく。このときKKは空でないコンパクト集合であるから、φ\varphiは有界であり、KKは有限 Lebesgue 測度をもつ。式 (1.2.1)の被積分関数はz∉Kz\notin Kで00となり、KK上で有界である。したがって、各xxに対して式 (1.2.1)の積分は絶対収束する。

eje_jを第jj座標方向の単位ベクトルとする。固定したxxとjjに対して、

(Mrφ)(x+hej)−(Mrφ)(x)h=∫Kφ(z)ηr(x+hej−z)−ηr(x−z)h dλd(z).\frac{(M_r\varphi)(x+he_j)-(M_r\varphi)(x)}{h} = \int_K\varphi(z) \frac{\eta_r(x+he_j-z)-\eta_r(x-z)}{h}\,d\lambda_d(z).(1.2.4)\text{(1.2.4)}

∣h∣≤1|h|\leq1のとき、差商に現れる点はコンパクト集合

{x+tej−z∣∣t∣≤1, z∈K}\{x+te_j-z\mid |t|\leq1,\ z\in K\}

に属する。∂jηr\partial_j\eta_rはこの集合上で一様連続である。したがって、一変数の平均値の定理をt↦ηr(x+tej−z)t\mapsto\eta_r(x+te_j-z)へ適用すると、式 (1.2.4)の差商は∂jηr(x−z)\partial_j\eta_r(x-z)へz∈Kz\in Kについて一様に収束する。ゆえに

∣∫Kφ(z)(ηr(x+hej−z)−ηr(x−z)h−∂jηr(x−z))dλd(z)∣≤∥φ∥∞λd(K)sup⁡z∈K∣ηr(x+hej−z)−ηr(x−z)h−∂jηr(x−z)∣⟶0.\left| \int_K\varphi(z) \left( \frac{\eta_r(x+he_j-z)-\eta_r(x-z)}{h} -\partial_j\eta_r(x-z) \right)d\lambda_d(z) \right| \leq \lVert\varphi\rVert_\infty\lambda_d(K) \sup_{z\in K}\left| \frac{\eta_r(x+he_j-z)-\eta_r(x-z)}{h} -\partial_j\eta_r(x-z) \right| \longrightarrow0.

したがって、

∂j(Mrφ)(x)=∫Kφ(z)∂jηr(x−z) dλd(z).\partial_j(M_r\varphi)(x) =\int_K\varphi(z)\partial_j\eta_r(x-z)\,d\lambda_d(z).(1.2.5)\text{(1.2.5)}

任意の多重指数α\alphaに対して∂αηr\partial^\alpha\eta_rは連続である。同じ議論を式 (1.2.5)へ繰り返すと、

∂α(Mrφ)(x)=∫Kφ(z)∂αηr(x−z) dλd(z)\partial^\alpha(M_r\varphi)(x) =\int_K\varphi(z)\partial^\alpha\eta_r(x-z)\,d\lambda_d(z)(1.2.6)\text{(1.2.6)}

を得る。式 (1.2.6)の右辺の連続性も、∂αηr\partial^\alpha\eta_rのコンパクト集合上一様連続性と同じ積分評価から従う。よってMrφM_r\varphiはC∞C^\infty級である。

x∉K+B(0,r)‾x\notin K+\overline{B(0,r)}ならば、すべてのz∈Kz\in Kに対してx−z∉B(0,r)‾x-z\notin\overline{B(0,r)}であり、ηr(x−z)=0\eta_r(x-z)=0である。したがって、

supp⁡(Mrφ)⊆K+B(0,r)‾.\operatorname{supp}(M_r\varphi) \subseteq K+\overline{B(0,r)}.(1.2.7)\text{(1.2.7)}

右辺はコンパクト集合K×B(0,r)‾K\times\overline{B(0,r)}の連続像であるからコンパクトである。式 (1.2.6)と式 (1.2.7)によりMrφ∈Cc∞(Rd;K)M_r\varphi\in C_c^\infty(\mathbb R^d;\mathbb K)である。

Lebesgue 測度の平行移動不変性§E9.16 定理 6.1により、非負可測関数hhに対して

∫Rdh(z−x) dλd(z)=∫Rdh(z) dλd(z)\int_{\mathbb R^d}h(z-x)\,d\lambda_d(z) =\int_{\mathbb R^d}h(z)\,d\lambda_d(z)(1.2.8)\text{(1.2.8)}

が成り立つ。実際、平行移動による像測度は Lebesgue 測度と一致するので、§E9.12 定理 1.3 (1)を適用することができる。ηr\eta_rは偶関数であるから、式 (1.2.8)により

∫Rdηr(x−z) dλd(z)=∫Rdηr(z−x) dλd(z)=1.\int_{\mathbb R^d}\eta_r(x-z)\,d\lambda_d(z) =\int_{\mathbb R^d}\eta_r(z-x)\,d\lambda_d(z) =1.(1.2.9)\text{(1.2.9)}

式 (1.2.1)と式 (1.2.9)から

∣(Mrφ)(x)−φ(x)∣≤∫Rd∣φ(z)−φ(x)∣ηr(x−z) dλd(z).|(M_r\varphi)(x)-\varphi(x)| \leq \int_{\mathbb R^d} |\varphi(z)-\varphi(x)|\eta_r(x-z)\,d\lambda_d(z).(1.2.10)\text{(1.2.10)}

台がコンパクトな連続関数はRd\mathbb R^d上で一様連続である。実際、台を含む閉球を一つ固定し、その半径を11だけ増やした閉球上では Heine–Cantor の定理を用いることができる。この閉球の外にある点を含む十分近い二点については、両方の関数値が00である。この二つの場合を合わせると全空間での一様連続性を得る。したがって、

ωφ(r)=sup⁡{∣φ(z)−φ(x)∣∣x,z∈Rd, ∣x−z∣≤r}⟶0(r↓0).\omega_\varphi(r) =\sup\{|\varphi(z)-\varphi(x)|\mid x,z\in\mathbb R^d,\ |x-z|\leq r\} \longrightarrow0 \qquad(r\downarrow0).

ηr(x−z)≠0\eta_r(x-z)\neq0ならば∣x−z∣<r|x-z|<rであるため、式 (1.2.10)と式 (1.2.9)から

∥Mrφ−φ∥∞≤ωφ(r)⟶0\lVert M_r\varphi-\varphi\rVert_\infty \leq\omega_\varphi(r)\longrightarrow0

を得る。これが式 (1.2.2)である。

0<r≤10<r\leq1とする。式 (1.2.7)により、φ\varphiとMrφM_r\varphiの台はともに固定したコンパクト集合

L=K+B(0,1)‾L=K+\overline{B(0,1)}

に含まれる。λd(L)<∞\lambda_d(L)<\inftyであるから、

∥Mrφ−φ∥pp≤λd(L)∥Mrφ−φ∥∞p⟶0.\lVert M_r\varphi-\varphi\rVert_p^p \leq \lambda_d(L)\lVert M_r\varphi-\varphi\rVert_\infty^p \longrightarrow0.

したがって、式 (1.2.3)が成り立つ。▨

定理 1.3. 従属選択公理を仮定する。d≥1d\geq1、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}、および1≤p<∞1\leq p<\inftyとする。Cc∞(Rd;K)C_c^\infty(\mathbb R^d;\mathbb K)はLp(Rd,Ld,λd;K)L^p(\mathbb R^d,\mathcal L_d,\lambda_d;\mathbb K)で稠密である。

証明.[f]∈Lp(Rd;K)[f]\in L^p(\mathbb R^d;\mathbb K)とε>0\varepsilon>0を任意にとる。§E9.22 定理 3.3により、φ∈Cc(Rd;K)\varphi\in C_c(\mathbb R^d;\mathbb K)で

∥f−φ∥p<ε2\lVert f-\varphi\rVert_p<\frac{\varepsilon}{2}

を満たすものが存在する。補題 1.2により、十分小さいr>0r>0に対して

∥φ−Mrφ∥p<ε2\lVert\varphi-M_r\varphi\rVert_p<\frac{\varepsilon}{2}

であり、Mrφ∈Cc∞(Rd;K)M_r\varphi\in C_c^\infty(\mathbb R^d;\mathbb K)である。三角不等式から

∥f−Mrφ∥p≤∥f−φ∥p+∥φ−Mrφ∥p<ε\lVert f-M_r\varphi\rVert_p \leq\lVert f-\varphi\rVert_p +\lVert\varphi-M_r\varphi\rVert_p <\varepsilon

を得る。▨

2 平行移動と Fourier 変換

命題 2.1. 従属選択公理を仮定する。d≥1d\geq1を整数、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、1≤p<∞1\leq p<\inftyとする。f∈Lp(Rd,Ld,λd;K)f\in L^p(\R^d,\mathcal L_d,\lambda_d;\mathbb K)とh∈Rdh\in\R^dに対して(τhf)(x)=f(x+h)(\tau_hf)(x)=f(x+h)と定めると、τh\tau_hはLpL^p上の線形等長写像であり、

lim⁡h→0∥τhf−f∥p=0\lim_{h\to0}\|\tau_hf-f\|_p=0

が成り立つ。

証明. 演習とする(問題 5.1)。▨

定理 2.2. 従属選択公理を仮定する。f∈L1(R,L1,λ1;C)f\in L^1(\R,\mathcal L_1,\lambda_1;\C)とする。任意のt∈Rt\in\Rに対して

f^(t)=∫Rf(x)e−itx dλ1(x)\widehat f(t)=\int_{\R}f(x)e^{-itx}\,d\lambda_1(x)

は定義され、∣t∣→∞|t|\to\inftyのときf^(t)→0\widehat f(t)\to0である。

証明. 演習とする(問題 5.2)。▨

3 円周上の連続関数の稠密性

定理 3.1. 従属選択公理を仮定する。T=R/(2πZ)\mathbb T=\R/(2\pi\Z)を円周とし、商写像をq:R→Tq:\R\to\mathbb Tとする。円周上の正規化 Lebesgue 確率測度mmは、I=[−π,π)I=[-\pi,\pi)上の測度(2π)−1λ1∣I(2\pi)^{-1}\lambda_1|_Iのq∣Iq|_Iによる像測度とする。可測集合族は{A⊆T∣q−1(A)∩I∈L1}\{A\subseteq\mathbb T\mid q^{-1}(A)\cap I\in\mathcal L_1\}とする。K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}および1≤p<∞1\leq p<\inftyに対して、C(T;K)C(\mathbb T;\mathbb K)はLp(T,m;K)L^p(\mathbb T,m;\mathbb K)で稠密である。

証明.f∈Lp(T,m;K)f\in L^p(\mathbb T,m;\mathbb K)の有限値可測な代表元を一つとり、F:R→KF:\R\to\mathbb KをII上でf∘qf\circ q、IIの外で00と定める。§E9.12 定理 1.3 (1)により

∫R∣F∣p dλ1=2π∫T∣f∣p dm<∞.\int_{\R}|F|^p\,d\lambda_1=2\pi\int_{\mathbb T}|f|^p\,dm<\infty.

連続関数χ:R→[0,1]\chi:\R\to[0,1]を、∣x∣≤π|x|\leq\piで11、π<∣x∣<2π\pi<|x|<2\piで2−∣x∣/π2-|x|/\pi、∣x∣≥2π|x|\geq2\piで00と定める。ε>0\varepsilon>0に対して、§E9.22 定理 3.3により

∥F−g∥Lp(R)<ε(2π)1/p31/p−1\|F-g\|_{L^p(\R)}<\varepsilon(2\pi)^{1/p}3^{1/p-1}

を満たすg∈Cc(R;K)g\in C_c(\R;\mathbb K)をとり、u=χgu=\chi gとおく。χF=F\chi F=Fであるから∥u−F∥p≤∥g−F∥p\|u-F\|_p\leq\|g-F\|_pであり、uuの台は[−2π,2π][-2\pi,2\pi]に含まれる。

G(q(x))=∑k∈Zu(x+2πk)G(q(x))=\sum_{k\in\Z}u(x+2\pi k)

と定める。この和は局所有限であり、添字をずらすと2π2\pi周期性が従う。したがって、GGは円周上の連続関数である。一方、各x∈Ix\in Iに対して∑k∈ZF(x+2πk)=f(q(x))\sum_{k\in\Z}F(x+2\pi k)=f(q(x))である。u−Fu-Fの台が[−2π,2π][-2\pi,2\pi]に含まれるので、固定したx∈Ix\in Iに対する差の和には高々三つの非零項しかない。三項の Hölder の不等式(p=1p=1では三角不等式)と、区間I+2πkI+2\pi kがR\Rを分割することから、

∥G−f∥Lp(m)p≤3p−12π∫I∑k∈Z∣u(x+2πk)−F(x+2πk)∣p dλ1(x)=3p−12π∥u−F∥Lp(R)p<εp.\begin{aligned} \|G-f\|_{L^p(m)}^p &\leq\frac{3^{p-1}}{2\pi}\int_I\sum_{k\in\Z}|u(x+2\pi k)-F(x+2\pi k)|^p\,d\lambda_1(x)\\ &=\frac{3^{p-1}}{2\pi}\|u-F\|_{L^p(\R)}^p<\varepsilon^p. \end{aligned}

積分の等式には§E9.11 系 1.2と式 (1.2.8)を用いた。よって主張が成り立つ。▨

4 無限大の指数における反例

例 4.1. 従属選択公理を仮定し、d≥1d\geq1を整数とする。Rd\mathbb R^d上の実数値定数関数11はL∞(Rd,Ld,λd;R)L^\infty(\mathbb R^d,\mathcal L_d,\lambda_d;\mathbb R)に属する。一方、任意のg∈Cc(Rd;R)g\in C_c(\mathbb R^d;\mathbb R)はコンパクトな台の外で00であるため、∥1−g∥∞≥1\lVert1-g\rVert_\infty\geq1である。よって、Cc(Rd;R)C_c(\mathbb R^d;\mathbb R)はL∞(Rd,Ld,λd;R)L^\infty(\mathbb R^d,\mathcal L_d,\lambda_d;\mathbb R)で稠密でない。この例により、有限なppの証明で用いた有限測度の台による評価をp=∞p=\inftyへ移すことはできない。

5 演習

問題 5.1. 従属選択公理を仮定し、d≥1d\geq1を整数、1≤p<∞1\leq p<\inftyとする。[f]∈Lp(Rd,Ld,λd;K)[f]\in L^p(\R^d,\mathcal L_d,\lambda_d;\mathbb K)とh∈Rdh\in\R^dに対して(τhf)(x)=f(x+h)(\tau_hf)(x)=f(x+h)とおく。[τhf]∈Lp[\tau_hf]\in L^pかつ∥τhf∥p=∥f∥p\lVert\tau_hf\rVert_p=\lVert f\rVert_pであること、およびh→0h\to0のとき∥τhf−f∥p→0\lVert\tau_hf-f\rVert_p\to0であることを示し、命題 2.1の証明を完成させよ。また、d=1d=1、p=∞p=\infty、f=1(0,∞)f=\mathbf 1_{(0,\infty)}について、すべてのh≠0h\neq0で∥τhf−f∥∞=1\lVert\tau_hf-f\rVert_\infty=1であることを示せ。

解答.

T(x)=x+hT(x)=x+hとおく。§E9.16 定理 6.1により、任意のE∈LdE\in\mathcal L_dについてT−1(E)=E−h∈LdT^{-1}(E)=E-h\in\mathcal L_dであるから、TTは(Ld,Ld)(\mathcal L_d,\mathcal L_d)可測であり、§E9.7 命題 1.2によりτhf=f∘T\tau_hf=f\circ Tは可測である。f∼gf\sim gの例外集合をZZとすると、τhf\tau_hfとτhg\tau_hgは零集合Z−hZ-hの外で一致するので、[τhf][\tau_hf]は代表元に依存しない。式 (1.2.8)を非負可測関数∣f∣p|f|^pとx=−hx=-hに適用すると

∫Rd∣f(z+h)∣p dλd(z)=∫Rd∣f(z)∣p dλd(z)\int_{\R^d}|f(z+h)|^p\,d\lambda_d(z)=\int_{\R^d}|f(z)|^p\,d\lambda_d(z)

であるから、[τhf]∈Lp[\tau_hf]\in L^pかつ∥τhf∥p=∥f∥p\lVert\tau_hf\rVert_p=\lVert f\rVert_pである。

ε>0\varepsilon>0をとる。§E9.22 定理 3.3により、φ∈Cc(Rd;K)\varphi\in C_c(\R^d;\mathbb K)で∥f−φ∥p<ε\lVert f-\varphi\rVert_p<\varepsilonを満たすものが存在する。supp⁡φ⊆B(0,R)‾\operatorname{supp}\varphi\subseteq\overline{B(0,R)}を満たすRRをとり、L=B(0,R+1)‾L=\overline{B(0,R+1)}とおく。φ\varphiはRd\R^d上で一様連続であるので(LL上では§E2.9 定理 5.1により一様連続であり、距離11未満の二点の一方がLLの外にあれば両方の値が00である)、ω(r)=sup⁡{ ∣φ(x)−φ(y)∣∣∣x−y∣≤r }\omega(r)=\sup\{\,|\varphi(x)-\varphi(y)|\mid|x-y|\leq r\,\}はr↓0r\downarrow0のとき00に収束する。∣h∣<1|h|<1ならばτhφ−φ\tau_h\varphi-\varphiはLLの外で00であり、絶対値はω(∣h∣)\omega(|h|)以下であるから

∥τhφ−φ∥p≤ω(∣h∣)λd(L)1/p\lVert\tau_h\varphi-\varphi\rVert_p\leq\omega(|h|)\lambda_d(L)^{1/p}

である。τh\tau_hは線形であり、前段により∥τh(f−φ)∥p=∥f−φ∥p\lVert\tau_h(f-\varphi)\rVert_p=\lVert f-\varphi\rVert_pであるから、§E9.21 定理 6.1により

∥τhf−f∥p≤∥τh(f−φ)∥p+∥τhφ−φ∥p+∥φ−f∥p<2ε+ω(∣h∣)λd(L)1/p\lVert\tau_hf-f\rVert_p \leq\lVert\tau_h(f-\varphi)\rVert_p+\lVert\tau_h\varphi-\varphi\rVert_p+\lVert\varphi-f\rVert_p <2\varepsilon+\omega(|h|)\lambda_d(L)^{1/p}

である。λd(L)<∞\lambda_d(L)<\inftyであるから、∣h∣|h|が十分小さいとき右辺は3ε3\varepsilon未満である。ε\varepsilonは任意であるから、∥τhf−f∥p→0\lVert\tau_hf-f\rVert_p\to0である。

d=1d=1、f=1(0,∞)f=\mathbf 1_{(0,\infty)}とする。h>0h>0ならばτhf−f=1(−h,0]\tau_hf-f=\mathbf 1_{(-h,0]}であり、h<0h<0ならばτhf−f=−1(0,−h]\tau_hf-f=-\mathbf 1_{(0,-h]}である。いずれも絶対値は正の測度∣h∣|h|の集合上で11、その外で00であるから、∥τhf−f∥∞=1\lVert\tau_hf-f\rVert_\infty=1である。▨

問題 5.2. 従属選択公理を仮定する。[f]∈L1(R,L1,λ1;C)[f]\in L^1(\R,\mathcal L_1,\lambda_1;\C)とt∈Rt\in\Rに対して

f^(t)=∫Rf(x)e−itx dλ1(x)\widehat f(t)=\int_{\R}f(x)e^{-itx}\,d\lambda_1(x)

とおく。この積分が定義されることを示し、定理 2.2の証明を完成させよ。

解答.

x↦e−itxx\mapsto e^{-itx}は連続であるから可測であり、f(x)e−itxf(x)e^{-itx}は可測で∣f(x)e−itx∣=∣f(x)∣|f(x)e^{-itx}|=|f(x)|である。したがってこの関数は可積分であり、f^(t)\widehat f(t)は定義される。また、§E9.10 補題 2.5により∣f^(t)∣≤∥f∥1|\widehat f(t)|\leq\lVert f\rVert_1であり、f^\widehat fはffについて線形であるから、[f],[g]∈L1[f],[g]\in L^1について∣f^(t)−g^(t)∣≤∥f−g∥1|\widehat f(t)-\widehat g(t)|\leq\lVert f-g\rVert_1である。

φ∈Cc∞(R;C)\varphi\in C_c^\infty(\R;\C)とし、supp⁡φ⊆[−R+1,R−1]\operatorname{supp}\varphi\subseteq[-R+1,R-1]を満たすR>1R>1をとる。φ\varphiとφ′\varphi'の実部と虚部は[−R,R][-R,R]上で連続であるから、§D1.17 定理 2.5と§E9.17 系 5.2により、φ(x)e−itx\varphi(x)e^{-itx}とφ′(x)e−itx\varphi'(x)e^{-itx}のλ1\lambda_1に関する積分は[−R,R][-R,R]上の Riemann 積分に等しい。t≠0t\neq0とすると、積の微分法により

ddx(φ(x)e−itx−it)=φ′(x)e−itx−it+φ(x)e−itx\frac{d}{dx}\Bigl(\varphi(x)\frac{e^{-itx}}{-it}\Bigr)=\varphi'(x)\frac{e^{-itx}}{-it}+\varphi(x)e^{-itx}

であり、実部と虚部に§D1.19 定理 2.1を適用してφ(±R)=0\varphi(\pm R)=0を用いると

∫−RRφ(x)e−itx dx=1it∫−RRφ′(x)e−itx dx\int_{-R}^{R}\varphi(x)e^{-itx}\,dx=\frac{1}{it}\int_{-R}^{R}\varphi'(x)e^{-itx}\,dx

を得る。したがって∣φ^(t)∣≤1∣t∣∫−RR∣φ′(x)∣ dx≤2Rsup⁡∣φ′∣∣t∣|\widehat\varphi(t)|\leq\frac{1}{|t|}\int_{-R}^{R}|\varphi'(x)|\,dx\leq\frac{2R\sup|\varphi'|}{|t|}であり、∣t∣→∞|t|\to\inftyのときφ^(t)→0\widehat\varphi(t)\to0である。

一般の[f]∈L1[f]\in L^1について、ε>0\varepsilon>0をとる。定理 1.3により∥f−φ∥1<ε\lVert f-\varphi\rVert_1<\varepsilonを満たすφ∈Cc∞(R;C)\varphi\in C_c^\infty(\R;\C)が存在する。前二段により

∣f^(t)∣≤∣f^(t)−φ^(t)∣+∣φ^(t)∣<ε+∣φ^(t)∣|\widehat f(t)|\leq|\widehat f(t)-\widehat\varphi(t)|+|\widehat\varphi(t)|<\varepsilon+|\widehat\varphi(t)|

であるから、lim sup⁡∣t∣→∞∣f^(t)∣≤ε\limsup_{|t|\to\infty}|\widehat f(t)|\leq\varepsilonである。ε\varepsilonは任意であるからf^(t)→0\widehat f(t)\to0である。▨

参考文献

  1. Gerald B. Folland, Real Analysis, 2nd ed., Wiley, 1999.
  2. Walter Rudin, Real and Complex Analysis, 3rd ed., McGraw Hill, 1987.
  3. Lawrence C. Evans, Partial Differential Equations, 2nd ed., Graduate Studies in Mathematics 19, American Mathematical Society, Providence, R.I., 2010.

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